区分マンション投資、理事会活動の記録

ビニル系床材、接着剤の概要

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ビニル系床材の特長、種類
(1)ビニル系床材の特長
 
①豊富なデザイン性
・ビニル系床材の色・柄は、着色加工技術や印刷技術、エンボス加工技術により、石や木などの床材の柄についても表現することが可能。
 
②用途に応じた多様な弾力性
・発泡層を一体化した積層構造を付与することにより、弾力性を付与しやすい。
 
③用途の多様性
・様々な機能を付与できる。
 
④様々な下地に施工できる
・コンクリート系、木質下地、石質下地、金属下地、プラスック下地などの様々な下地に施工することができる。
 
⑤施工が早い
・乾式工法で施工できる。
・石やセラミックの湿式工法と比べると、施工時間は、約1/20に短縮できる。
 
⑥養生期間が短い
・施工直後から歩行が可能で、通行の規制も、非常に短いことも特長。
 
⑦改修も容易
・下地からの剥離が、他の材料と比べて、容易に剥がせる。
 
⑧リサイクル性に優れる
・建築現場で発生するビニル系床材の端材や余材のリサイクルシステムが構築されており、数多くの製品がグリーン購入法の特定調達品目適合品となっている。
 
(2)用語
 
〇バインダー
・ビニル系床材の材料成分中のビニル樹脂,可塑剤及び安定剤を主な原材料として組み合わせた基本材料。
 
〇ビニル樹脂
・塩化ビニル樹脂,塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂などの原材料。
 
〇可塑剤
・ジオクチルフタレート,ジノニルフタレートなどのビニル樹脂を可塑化(軟質化と同意)する原材料。
 
〇安定剤
・カルシウム・亜鉛系安定剤,バリウム・亜鉛系安定剤などのビニル樹脂の耐熱性,耐光性などを付与する原材料。
 
〇リサイクル材
・石綿を含まない次のようなリサイクル可能な材料を,分別,破砕などを行い,ビニル系床材の中間層,裏面層などの材料として再生使用するもの。
 
(3)JIS A 5705 (ビニル系床材)の種類
 
1)床タイル
 
〇接着形
①単層ビニル床タイル(TT)
・バインダー含有率:30%以上
②複層ビニル床タイル(FT)
・バインダー含有率:30%以上
③コンポジションビニル床タイル(KT)
・バインダー含有率:30%未満
 
〇置敷形
①置敷きビニル床タイル(FOA)
・厚さ:4.0㎜以上
②薄型置敷きビニル床タイル(FOB)
・厚さ:4.0未満
 
2)床シート
 
〇発泡層無
①単層ビニル床シート(TS)
②複層ビニル床シート(FS)
 
〇発泡層有
①発泡複層ビニル床シート(HS)
・密度:650kg/m3以上
②クッションフロア(KS)
・密度:650kg/m3未満
各ビニル系床材の特徴
1)床タイル
 
①コンポジションビニル床タイル
・ビニル系樹脂と可塑剤などが総重量の30%未満。
・ビニル系床材の中でも難燃性が高く、耐薬品性、耐水性に優れ,変形や反りも生じにくい。
・施工性の良さや経済的な価格等から、事務所・学校などを中心とする非住宅分野における代表的な床材の一つとして定評を得ている。
・大理石を思わせる模様や質感、独特な意匠を現出させたものがあり、中・大型店舗に等使用されている。
 
②複層ビニル床タイル
・ビニル系樹脂と可塑剤などが30%以上含まれるビニル床タイル。
・チップ(粒状)などをプレスしたタイプと、印刷シート等を積層したタイプがある。
・表層に透明層と印刷層をラミネートした木目や石目などの意匠性と、多彩なサイズバリエーションが特徴。
・色彩が鮮明で高級感・意匠性に富み、耐摩耗性、耐薬品性にも優れている。
・商業施設用途等を中心に根強い需要がある。
 
③置敷きビニル床タイル
・複層ビニル床タイルの一種で、簡易接着工法で剥離・貼替え等が容易。
・接着剤で下地に固定しない置き敷き施工が可能で、剥がし貼り替えが容易なビニル床タイル。
・フリーアクセスフロアの普及に伴って需要が増えている。
・リサイクルの観点からも注目されている。
 
2)床シート
 
①ビニル床シート汎用品(発泡層のないもの)
・一般に長尺塩ビシートと呼ばれているもの。
・高純度の塩化ビニル樹脂による表層は、耐摩耗性、耐薬品性、耐傷性、難燃性、弾力性、柔軟性、下地追随性、防塵性など、多くの優れた性能を有している。
・用途は学校・病院・官公庁施設・オフィス・工場と多岐にわたっている。
・溶接することで清潔な床に仕上がり、豊かな色彩も表現できる割には廉価であるなど、コンポジションタイルと並んで汎用床材の代表となっている。
 
〇複層ビニル床シート
・表層と下層を貼り合せることで、多彩な意匠性と機能を付与したバリエーション豊かなビニル床シート。
 
②防滑性ビニル床シート
・ビニル床シートの中で、主として凹凸(エンボス)を施して防滑性を付与したもの。
・防滑性に配慮したビニル床シートで、屋外対応の耐候性のあるものや耐熱性、抗菌性などの機能性を付与したタイプがある。
・近年は、その耐候性や意匠性から、UR都市機構・民間マンション等の共用廊下および階段では必須品となっている。
 
③発泡複層ビニル床シート
・耐久性の高い表層と発泡層を組合わせることで、衝撃吸収性や断熱性などに優れた機能型のビニル床シート。
 
④クッションフロア
・表層(透明塩ビ層)、印刷層、発泡塩ビ層、バッキング(裏打ち基材)で構成される。
・表層は耐摩耗性、防汚性など、発泡層は保温性(断熱性)、衝撃吸収性、防音性などに優れている。
・現在では、多くが抗菌性能も付与されている。
・住宅内の水周りに適した床材として根強い需要がある。
・製品の構成上リサイクル材の使用は、困難でグリーン購入法の特定調達品目の対象外。
床材の機能、性能
1)耐摩耗性
 
〇劣化の要因
・建築物の立地条件や使用される環境(特に砂等の持込み等)と歩行量、履物の種類、メンテナンスの方法・頻度等により、大きく影響をうける。
・土砂がサンドペーパーの役割を果たし、歩行や台車等の往来によって床材表面が削られ、摩耗する。
・摩耗跡にホコリなどの汚れが溜まり、汚染を招く。
・摩耗が進行すると床材の機能や寿命が縮まるだけでなく、色や柄が褪せて美観にも影響する。
 
〇各種製品との関連
・有効摩耗層(摩耗しても使用可能な範囲の層)の材質と厚みによって決まる。
・一般には、バインダー含有率(ビニル樹脂+可塑剤)が高いほど強く、耐摩耗性に優れている。
・コンポジションビニル床タイルの中でもスルーチップビニル床タイルは、全層有効摩耗層なので、耐摩耗性に優れている。
・シート床材は、柔軟性を得るためにも、バインダー含有率が高い構成になっているので耐摩耗性には優れているが、弾力性のある分だけ耐静荷重性や耐動荷重性に劣る場合がある。
 
2)耐動荷重性
 
〇劣化の要因
・台車やストレッチャーといったキャスターの付いた機器は、キャスターと床面の接地面積が小さいため、床面にかかる単位面積あたりの荷重が大きくなり、さらにキャスターの方向転換によるねじりの力も加わる。
・重量とキャスターの幅、材質により、床材、下地に加わる荷重が異なる。硬く、接地面が小さいほど厳しい。
・キャスターの動荷重による負荷に対応するには、床材の耐動荷重性だけでなく、下地強度と接着剤強度が重要な要素を果たす。
・動荷重による破壊は、床材そのものが破壊される場合よりも、下地の破壊や、下地と接着剤との間の層間剥離によって床材が下地から浮上がり、破壊に至る事の方が多く見られる。
 
〇各種製品との関連
・重量物の走行が頻繁に行われる場所において、一般的なビニル系床材では床材の損傷、ふくれ、剥離等のトラブルが発生する可能性がある。
・床材および接着剤の選定と、下地の調整や補強等床全般にわたり細心の注意をはらい、トラブルを未然に防ぐ必要がある。
・シートは、やわらかいため伸びやすく、また目地が少ないため下地湿気を逃がさない事から接着強度の低下により膨れや剥がれを招く事がある。
・シートに荷重がかかると、荷重部分はへこんで周辺が膨れる。膨れた床材は、接着強度が弱い場合は下地と接着剤の間で剥離し、下地が弱い場合は下地ごと破壊される。
 一方、接着剤にも下地にも問題がなくても、シートそのものが負荷に耐え切れず、層間剥離する事がある。
・発泡ビニル床シートは、層間剥離だけでなく、表面が傷つくとそこから発泡層が破壊される場合がある。
・吸水性の大きな下地や、ざらめモルタルや石膏系のセルフレベリングなどのような脆弱な下地は、破壊されやすく、下地補強剤による補強が必要。
・接着剤は、反応形接着剤のほうが強度に優れている。
 
3)防滑性
 
〇滑りやすさ、防滑性機能
・滑りやすさは靴の材質や形状によっても異なるが、床面に水や砂、泥などがある場合はさらに滑りやすくなる。
・滑って転倒するのを防ぐためには、適度なグリップ力を持った防滑性にすぐれた床材が必要。
 
〇各種製品との関連
・防滑性床材のような、凹凸のある多くの床材は、液体を凹部に逃がす事によって、滑りやすさを緩和している。
・弾力性のあるやわらかい床材では、砂粒がめり込んで滑りにくくなる場合もある。
・但し、凹凸のある床材は一般的に汚れやすい欠点を持ち合わせているので、メンテナンスに注意が必要。
 
4)衝撃吸収性
 
・衝撃吸収性は、転倒時の衝撃を床がどれだけやわらげるかを示す。
・床材の衝撃吸収性は、G値(転倒衝突時の衝撃加速度)で表される。
 
〇各種製品との関連
・G値が小さなものほど安全性に優れるといえるが、床材としては比較的厚く、柔らかくなる傾向にある。したがって、部位によっては移動荷重性等、他の性能も考慮して、床材を選択することが重要。
・転倒時の安全性は、内装材である床材の衝撃吸収性よりも、下地と構造材の衝撃吸収性が大きく寄与する。
 例えば同じ床材でも、コンクリート下地よりも木造組床下地のほうが、はるかに衝撃吸収性に優れている。逆に、衝撃吸収性の良い床材でも、コンクリート下地では得られる性能に限界がある。
 
5)帯電防止性
 
〇静電気の発生要因、与える影響
・静電気は、床材と靴の摩擦によって生じて人体に帯電し、コンピュータの誤動作をはじめ、半導体の破壊や不良品の発生率を増やすなど、さまざまな障害を引き起こす。
・歩行による静電気の人体帯電を考えた場合は、”床材”のみならず、”履物”、”着衣”を含めて総合的に対処する必要がある。
 
〇帯電防止床の機能
・歩行による静電気の発生を抑える
・発生した静電気を速やかに緩和する(または逃がす)
 
〇各種製品との関連
・帯電防止床材等は、歩行によって人体と床材との間に生じた静電気を、床材を導体にする事によって地中に逃す働きをする。
・帯電防止床材は、配合された帯電防止剤が空気中の水分を利用して電気抵抗を下げるため、室内の相対湿度や下地の導電性の影響をうける。
・導電性床材はカーボン等の導体を埋め込んでいるので安定した制電性を期待できる。
・塗り床、タイル等、既存床の上に重ね貼りすると、静電気の逃げ場がなくなり、問題を起こす事がある。
・塗り床下地、木質下地、重ね貼り下地等においては、下地自体の抵抗が帯電防止床材の抵抗に比べて高い場合が多いので、”導電テープ工法”等の特別な対応が必要な場合がある。
床仕上げ材用接着剤の分類
1)感圧・感熱タイプ
 
・固体状の接着剤。
・主として両面接着テープやシーミングテープなど。
 
2)塗布タイプ
 
・液体状の接着剤。
・塗布された接着剤は圧着され、その後硬化して初めて接着効果が発揮される。
 
①エマルション形・ラテックス形
・接着剤に含まれる水分が乾燥(蒸発)する事によって固化する接着剤。
・下地湿気の影響を受けやすい。
 
〇アクリル樹脂系エマルション形
・アクリル樹脂を主成分としたエマルション形のもの。
※エマルション
樹脂を乳化重合によりコロイド状に水に分散させたもの。
〇ゴム系ラテックス形
・天然ゴム又は合成ゴムを主成分としたラテックス形のもの。
※ラテックス
ゴムの微粒子が水中に分散し,コロイド状の安定な懸濁液となっているもの。
 
②溶剤形
・接着剤に含まれる溶剤が揮発する事によって固化する接着剤。
・コンクリート下地に含まれるアルカリ性の強い湿気に影響されやすい。
・火気厳禁で、健康有害性があるので取扱注意。使用時は換気が必要。
 
〇酢酸ビニル樹脂系溶剤形
・酢酸ビニル樹脂を主成分とした溶剤形のもの。
〇ビニル共重合樹脂系溶剤形
・アクリル・酢酸ビニル共重合樹脂,エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂を主成分とした溶剤形のもの。
〇ゴム系溶剤形
・天然ゴム又は合成ゴムを主成分とした溶剤形のもの。
 
③反応形
・接着剤に含まれる成分が化学反応する事によって変化し硬化、接着するタイプ。
・下地湿気の影響を受けにくく、耐湿工法用接着剤として用いられる事が多い。
・火気厳禁で、健康有害性があるので取扱注意。使用時は換気が必要。
 
〇エポキシ樹脂系
・エポキシ樹脂を主成分とした主剤と,ポリアミン類を主成分とした硬化剤との二液反応形のもの。
〇ウレタン樹脂形
・ウレタン樹脂を主成分としたもの。
〇変成シリコーン樹脂形
・変成シリコーン(オルガノシロキサンをもつ有機ポリマー)樹脂を主成分としたもの。
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