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POG契約とFM契約
1)FM契約とPOG契約の概要
●FM(フルメンテナンス)契約
・劣化した部品の取替、修理費用が、月額の保守契約料金に含まれている。
・定期点検、調整、修理・部品の取替を状況に合わせて行ってもらえる。
〇契約範囲外
・乗場ドア及び三方枠の塗装
・かご内の張物、塗装及び床材の修理
・意匠変更による改造
・新しい機能の追加、新規取替等。
●POG(Part、Oil、Grease)契約
・消耗部品付きの保守契約。
・定期点検及び管理仕様範囲内の消耗品の交換を含み、それ以外の部品の取替及び修理は原則として含まれない契約。
2)コスト削減でPOG契約に切り替える場合の注意点
POG契約に切り替えると月額の保守費用が安くなり、必要に応じて適宜部品交換を行えば、長期的にみてもコスト削減できることが期待できます。
ただし、以下のような点に注意する必要があります。
〇理事会での検討の手間が増える
・保守点検報告書で修理や部品交換の指摘事項が挙がるたびに、理事会で部品交換を実施するか検討する必要があります。
〇予防交換をしたらかえってコスト増?
・明らかに故障している場合は判断は容易ですが、以下のような”交換を推奨する”といった指摘事項も頻繁に報告されます。
耐用年数が過ぎているので交換を推奨
予防保全のため交換を推奨
交換部品が生産終了のため早めの交換を推奨
故障した部品単体の取替ではなく、その部品を含むユニット単位での交換を推奨
上記の指摘事項にそのまま従って、実際に故障した部品以外にも予防的に交換していたらかえってコスト増になる可能性があります。
・理事は専門的知識がないので判断が困難で、もし事故が起きたら理事が責められるのでは?と思うと、予防保全の対応を選択することも考えられます。
・理事会内に、安全最優先で予防保全を過剰に要求する人がいた場合、その意見に反対するのは難しいかもしれません。
どちらが有利かについての判断は難しいですが、POG契約にしてエレベータ保守会社から指摘された修繕、部品交換を必要最小限にするというのが、一番管理費節約にはつながるとは思います。
ただ、それを行うには理事会や管理会社の手間が当然増えるのでその兼ね合いだと思います。
交換対象の部品の数は思っている以上に多く、その一つ一つについて理事会で交換するかしないかの判断を行うのは大変でしょうし、安全に関わる事なので、もし万が一の事を考えると交換・修繕を引き延ばすという選択をするのは心理的に負担になるのかなと思います。
3)エレベーターが古くなってからFM契約に切り替え?
エレベーター新設当初は部品交換のリスクは少ないので、当初はPOG契約にして月額費用を削減し、古くなって部品交換のリスクが高まってきた時点でFM契約にしたらどうか、という考えもあるかと思います。
古くなってからFM契約に切り替える場合、以下の注意点があります。
〇新設から10年を超えるとFM契約への切り替えは不可?
・エレベータ保守会社によっては、10年を超えているとFM契約への切り替えは不可としている場合もあるようです。
〇契約切り替え時に劣化している部品の交換が必要?
・契約切り替え時に、新しい保守点検業者がエレベータを点検し、その時点で劣化している部品を有料で交換することをFM契約への切り替えの条件としている場合があります。
●FM(フルメンテナンス)契約
・劣化した部品の取替、修理費用が、月額の保守契約料金に含まれている。
・定期点検、調整、修理・部品の取替を状況に合わせて行ってもらえる。
〇契約範囲外
・乗場ドア及び三方枠の塗装
・かご内の張物、塗装及び床材の修理
・意匠変更による改造
・新しい機能の追加、新規取替等。
●POG(Part、Oil、Grease)契約
・消耗部品付きの保守契約。
・定期点検及び管理仕様範囲内の消耗品の交換を含み、それ以外の部品の取替及び修理は原則として含まれない契約。
2)コスト削減でPOG契約に切り替える場合の注意点
POG契約に切り替えると月額の保守費用が安くなり、必要に応じて適宜部品交換を行えば、長期的にみてもコスト削減できることが期待できます。
ただし、以下のような点に注意する必要があります。
〇理事会での検討の手間が増える
・保守点検報告書で修理や部品交換の指摘事項が挙がるたびに、理事会で部品交換を実施するか検討する必要があります。
〇予防交換をしたらかえってコスト増?
・明らかに故障している場合は判断は容易ですが、以下のような”交換を推奨する”といった指摘事項も頻繁に報告されます。
耐用年数が過ぎているので交換を推奨
予防保全のため交換を推奨
交換部品が生産終了のため早めの交換を推奨
故障した部品単体の取替ではなく、その部品を含むユニット単位での交換を推奨
上記の指摘事項にそのまま従って、実際に故障した部品以外にも予防的に交換していたらかえってコスト増になる可能性があります。
・理事は専門的知識がないので判断が困難で、もし事故が起きたら理事が責められるのでは?と思うと、予防保全の対応を選択することも考えられます。
・理事会内に、安全最優先で予防保全を過剰に要求する人がいた場合、その意見に反対するのは難しいかもしれません。
どちらが有利かについての判断は難しいですが、POG契約にしてエレベータ保守会社から指摘された修繕、部品交換を必要最小限にするというのが、一番管理費節約にはつながるとは思います。
ただ、それを行うには理事会や管理会社の手間が当然増えるのでその兼ね合いだと思います。
交換対象の部品の数は思っている以上に多く、その一つ一つについて理事会で交換するかしないかの判断を行うのは大変でしょうし、安全に関わる事なので、もし万が一の事を考えると交換・修繕を引き延ばすという選択をするのは心理的に負担になるのかなと思います。
3)エレベーターが古くなってからFM契約に切り替え?
エレベーター新設当初は部品交換のリスクは少ないので、当初はPOG契約にして月額費用を削減し、古くなって部品交換のリスクが高まってきた時点でFM契約にしたらどうか、という考えもあるかと思います。
古くなってからFM契約に切り替える場合、以下の注意点があります。
〇新設から10年を超えるとFM契約への切り替えは不可?
・エレベータ保守会社によっては、10年を超えているとFM契約への切り替えは不可としている場合もあるようです。
〇契約切り替え時に劣化している部品の交換が必要?
・契約切り替え時に、新しい保守点検業者がエレベータを点検し、その時点で劣化している部品を有料で交換することをFM契約への切り替えの条件としている場合があります。
メーカー系と独立系の保守会社
●メーカー系の保守会社
・日本のエレベーター製造会社は、三菱・日立・東芝・日本オーチス・フジテックが5大メーカーと言われていて、その系列の保守点検業者が”メーカー系”と言われています。
・メーカー系の保守点検業者は、大半は自社製のエレベーターを保守しているようです。
・独立系の保守会社と比べて月額費用が高額、と言われています。
●独立系の保守会社
・どこのメーカー系列にも属さず、専業としてエレベータ保守点検を行っている会社。
・メーカー系の保守会社と比べて月額費用が低額、と言われています。
・メーカー系が行っている遠隔監視(主要機器の状態監視と異常時の緊急対応)については、対応している会社としていない会社があるので注意が必要です。
・日本のエレベーター製造会社は、三菱・日立・東芝・日本オーチス・フジテックが5大メーカーと言われていて、その系列の保守点検業者が”メーカー系”と言われています。
・メーカー系の保守点検業者は、大半は自社製のエレベーターを保守しているようです。
・独立系の保守会社と比べて月額費用が高額、と言われています。
●独立系の保守会社
・どこのメーカー系列にも属さず、専業としてエレベータ保守点検を行っている会社。
・メーカー系の保守会社と比べて月額費用が低額、と言われています。
・メーカー系が行っている遠隔監視(主要機器の状態監視と異常時の緊急対応)については、対応している会社としていない会社があるので注意が必要です。
メーカー系FM→独立系POGへの切替事例
●切り替えの状況
・マンション:約30戸のワンルームマンション
・エレベーター:油圧式、1台
・切替時期:新築から25年経過時
・切替内容:メーカー系FM(3.8万/月)→独立系POG(2万/月)
●切り替えの効果(築26年→築35年)
・この事例では、築35年の時点で制御リニューアルを実施し、POG契約を終了しましたので、築26年から築35年の10年間に要した費用で検討しています。
〇月額補修費用の削減額
・(3.8-2)万/月 × 12ヵ月 × 10年 = 216万
〇10年間の部品交換費用
・築27年:かご内操作盤内の基板交換 21万
・築30年:各種部品交換 30万
・築34年:駆動ベルト交換 7万
・合計 : 58万
〇10年間の削減効果
216万 - 58万 = 158万
この事例では、結果的には大幅なコストカットに成功しました。
築25年時点でのPOG契約への切替だと、高額な部品交換のリスクが増大するので、かえってコスト増になるリスクもあったかと思いますが、築25年以前のFM契約の段階で高額な部品交換が実施済みであったのかもしれません。
30戸のワンルームマンションは、エレベーター1台当たりの利用人数がとても少ないので(90戸のファミリーマンションと比べると、世帯数が3倍、世帯当たり人数も約3倍とすると9倍も利用人数が多い)、劣化の程度が世間一般のファミリーマンションでの事例と比較して劣化の程度が少ないのかもしれません。
・マンション:約30戸のワンルームマンション
・エレベーター:油圧式、1台
・切替時期:新築から25年経過時
・切替内容:メーカー系FM(3.8万/月)→独立系POG(2万/月)
●切り替えの効果(築26年→築35年)
・この事例では、築35年の時点で制御リニューアルを実施し、POG契約を終了しましたので、築26年から築35年の10年間に要した費用で検討しています。
〇月額補修費用の削減額
・(3.8-2)万/月 × 12ヵ月 × 10年 = 216万
〇10年間の部品交換費用
・築27年:かご内操作盤内の基板交換 21万
・築30年:各種部品交換 30万
・築34年:駆動ベルト交換 7万
・合計 : 58万
〇10年間の削減効果
216万 - 58万 = 158万
この事例では、結果的には大幅なコストカットに成功しました。
築25年時点でのPOG契約への切替だと、高額な部品交換のリスクが増大するので、かえってコスト増になるリスクもあったかと思いますが、築25年以前のFM契約の段階で高額な部品交換が実施済みであったのかもしれません。
30戸のワンルームマンションは、エレベーター1台当たりの利用人数がとても少ないので(90戸のファミリーマンションと比べると、世帯数が3倍、世帯当たり人数も約3倍とすると9倍も利用人数が多い)、劣化の程度が世間一般のファミリーマンションでの事例と比較して劣化の程度が少ないのかもしれません。
メーカー系POG→独立系FMへの切替事例
●切り替えの状況
・マンション:約30戸のワンルームマンション
・エレベーター:ロープ式、1台
・切替時期:新築から11年経過時
・切替内容:メーカー系POG(3.0万/月)→独立系FM(2.9万/月)
〇FM契約切替えに伴う部品交換
FM契約への条件として、その時点で劣化している部品の交換が必要となり、以下の交換費用が発生しました。
・ACドアモータ :6.3万
・パルスジェネレータ :5万
・リレー、基板類 :18万
・スイッチ類、ファン :3万
・メインロープ、ガバナロープ:9万
・作業費 :32万
・諸経費 :11.7万
・合計 :85万
●独立系POGの場合の月額費用
この事例では独立系FM契約に切り替えましたが、独立系POG契約の場合も3社から見積をもらっていて、
12,000円/月、15,000円/月、16,000円/月
でした。
〇独立系FM契約と独立敬POG契約との比較(15年間)
(2.9万/月 - 1.2万/月)× 12ヶ月 × 15年 = 306万
切替え時点から15年間の間に306万円の交換が発生するかどうか?ということですが、この規模のワンルームマンションの場合は、使用頻度が少ないのでそれほど劣化せず、POG契約の方が効果的だったかもしれません。
保守会社も長期的にみて採算が合うように月額保守費用を決めているかと思いますので、理事会での検討の手間を気にしないのであればPOG契約でも良い気がします。
・マンション:約30戸のワンルームマンション
・エレベーター:ロープ式、1台
・切替時期:新築から11年経過時
・切替内容:メーカー系POG(3.0万/月)→独立系FM(2.9万/月)
〇FM契約切替えに伴う部品交換
FM契約への条件として、その時点で劣化している部品の交換が必要となり、以下の交換費用が発生しました。
・ACドアモータ :6.3万
・パルスジェネレータ :5万
・リレー、基板類 :18万
・スイッチ類、ファン :3万
・メインロープ、ガバナロープ:9万
・作業費 :32万
・諸経費 :11.7万
・合計 :85万
●独立系POGの場合の月額費用
この事例では独立系FM契約に切り替えましたが、独立系POG契約の場合も3社から見積をもらっていて、
12,000円/月、15,000円/月、16,000円/月
でした。
〇独立系FM契約と独立敬POG契約との比較(15年間)
(2.9万/月 - 1.2万/月)× 12ヶ月 × 15年 = 306万
切替え時点から15年間の間に306万円の交換が発生するかどうか?ということですが、この規模のワンルームマンションの場合は、使用頻度が少ないのでそれほど劣化せず、POG契約の方が効果的だったかもしれません。
保守会社も長期的にみて採算が合うように月額保守費用を決めているかと思いますので、理事会での検討の手間を気にしないのであればPOG契約でも良い気がします。
メーカー系FM→独立系FMへの切替事例
●切り替えの状況
・マンション:約50戸のワンルームマンション
・エレベーター:ロープ式、1台
・切替時期:新築から7年経過時
・切替内容:メーカー系FM(4.3万/月)→独立系FM(3.0万/月)
この事例では、新築から7年と10年未満での切替えであったため、切り替えに当たって、特に部品交換等実施せずに切り替えることができました。
・マンション:約50戸のワンルームマンション
・エレベーター:ロープ式、1台
・切替時期:新築から7年経過時
・切替内容:メーカー系FM(4.3万/月)→独立系FM(3.0万/月)
この事例では、新築から7年と10年未満での切替えであったため、切り替えに当たって、特に部品交換等実施せずに切り替えることができました。