区分マンション投資、理事会活動の記録

マンション給水・給湯管の劣化

マンション給排水管の調査・診断の方法、技術についてまとめました。  
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給水管の材料・継手の変遷
1)1960年(昭和35年)~
 
〇水配管用亜鉛メッキ鋼管
・亜鉛メッキ鋼管が主流
・継手:ネジ継手
 
2)1970年(昭和45年)~
 
・1970年頃より赤水対策のため水道用硬質塩ビライニング鋼管が用いられるようになった。
・継手はエポキシ塗装継手、75年以降より樹脂コーティング継手となった。
 
●水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管
・住宅公団が本格採用した昭和40年代半ばの頃に本格的に普及した。
・直管部分内面の全面腐食の問題は解決したが、”継手部”と”管接合部”に腐食が発生した。
 
①当初の継手、ライニングなし
・”水道用亜鉛メッキ鋼管”に使っていたものと同じ継手(ねじ込み式可鍛鋳鉄製管接手)を使用すると、継手内面は亜鉛メッキ素地のままなので全面腐食してしまう。
・使用当初は、継手本体にライニングされたものがなく、管端のネジ部分で鋼部と水が接触していたため継手部分で錆の発生があった。
 
②樹脂コーティング継手
・鋼管の管端ネジ部が水に露出して、この部分に錆が集中して発生した。
 
〇管接合部の腐食
・直管材だけでなく継手にもその内面に防錆皮膜が施されるようになったが、現場で管を所要の寸法に切断し、ねじ切り加工を行ってつなぐ際、このねじ込み接合部分まで防錆処理を行うことはできない。
→切断されてねじ切り加工された直管の管端部(おねじ側)が、継手側(めねじ側)に挿入された部分で水に接してしまい、ねじ込み接合部分に集中的に腐食が発生してしまう。
→こぶ状に大きなさびが成長し、末期になるとねじ部が消失してしまって漏水に至る。
 
③管端コア、防食継手
・1970年代前半にライニング継手が使われるようになり、1980年代半ばには管端防食コアとの併用が行われ、また、1990年代前半からは管端防食コアが内蔵された管端防食継手が採用されるようになった。
 
3)1980年(昭和55年)~
 
・1980年代より一般用ステンレス鋼管が一部で採用され始めたほか、半ばには水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管も使われ始めた。
・継手も樹脂コーティングのものに防食対策として管端コアを取り付ける方法がとられた。
・配管でも防食用塗覆鋼管が用いられ、継手もMD接合となってきた。
 
〇管端コア
・昭和50年代に入って導入された。
・水に接して腐食する接合部分の管端面にキャップをしたもの。
・管端コアを現場で逐次挿入しながらねじ込み施工することになるので、挿入し忘れがあったり、施工の精度によってはコアの隙間から水が入り込んだりして、完全な防食をすることができなかった。
 
4)1990年(平成2年)~
 
・給水配管は従来の硬質塩ビライニング鋼管であるが、管端防食継手が用いられるようになった。
・90年代に入り、住戸内配管に”さや管ヘッダー工法”が水廻りに採り入れらるようになった。
 
〇管端防食継手
・昭和60年代に入って導入。
・継手本体に管端コアがあらかじめ組み込まれて製品化されたもの。
・コアの現場での挿入し忘れの問題は解消し、精度も向上して隙間が残って腐食することは大幅に減少した。
 
5)近年
 
・耐食性等に優れた架橋ポリエチレン管やポリブデン管等も使用され始めている。
・継手については、異種金属接触防止型継手が採用されるようになっている。
 
●樹脂管
・近年の改修工事では、特に室内配管の改修に多く見られる。
〇水道用硬質ポリ塩化ビニル管(VP)
・共用部分で防火対応が要求されるところ以外、とくに住戸内で多用されている。
〇水道用耐衝撃性硬質塩化ビニル管(HIVP)
〇架橋ポリエチレン管、ポリブテン管(PB)
・住戸内。主にさや管ヘッダー工法等に使用。
・小管径樹脂管による”さや管ヘッダー方式”が新築、リフォームを問わず、採用されるようになってきている。
腐食と給水管の劣化
1)腐食の種類
 
①異種金属接触腐食
・亜鉛メッキ鋼管と青銅製バルブのように種類の異なった金属を接触させると、そこに電位差が生じ、腐食を起こす。
②隙間腐食
・配管のネジ部に水が入り込むと、ネジ部と配管内部との間に酸素濃淡電池が生じ、配管ネジ部に腐食が生じる。
③残留塩素による劣化
・上水中に含まれる残留塩素の量が多いと腐食の進行が速い。
④溶存酸素による劣化
・錆こぶの下部において、溶存酸素が減少し、外部の溶存酸素との差から酸素濃淡電池が形成され腐食が発生する。
 
2)配管の材質と劣化
 
〇鋼管
・水道メーター回りで青銅製バルブと鋼管を直接つなぐと、異なった金属を接触させることにより、鋼管に腐食が起きることがある。
・水道メーター、バルブの接続部などでは、配管の鉄と水道メーターやバルブの銅合金など異なった金属同士が接触しているため、鋼管に異種金属接触腐食が生じることがある。
 
③樹脂管(VP、HIVP、PB、PP)
・腐食の問題はないが、強度低下、変形及び継手部の緩み等による漏水問題がある。
・紫外線や衝撃などに弱いため、直射日光を受ける場所や屋外で使用する場合は、注意が必要。
 
3)用途・使用箇所と劣化
 
●マンション給水管の注意すべき劣化箇所
①異種金属が接触する水道メーターまわり
・ねじを切られたライニング鋼管が青銅製の弁類に直接的に接続されると”異種金属接触腐食”によって、ライニング鋼管側の腐食が極めて早く進行する。
 
②管外面の腐食
・グラスウール保温材で囲まれた管外面の環境が湿潤となり、長い年月経って腐食する場合がある。
 
●土中埋設の鋼管
・土壌の電流が流入し、土壌に再度流出するときに電位差が生ずることにより、鋼管外面に腐食が起きることがある。
・大地は巨大な電導体であり、土中埋設の鋼管は、絶好の電導体である。特に電位差の大きい場所に埋設された鋼管は電流が流入されやすく、再び土壌中に流出する地点では、電位差が生ずることにより、鋼管外面に腐食が起きることがある。
 
●給湯管に使用される鋼管
・管内の流速が速いことにより、鋼管の表面が削り取られて腐食することがある。
・銅管では、潰食といって、銅管の表面上の保護皮膜が過大な流速、気泡の巻き込みや流れの乱れによって削り取られ腐食することがある。
 
●たて主管
・管端面の防食不良等によって劣化する。
〇さびこぶ、ねじ部の腐食
〇継手からの漏水
 
●枝管
・管端面の防食不良、さびこぶによる閉塞等によって劣化する。
〇さびこぶ、ねじ部の腐食
〇継手からの漏水
〇流量・流速の低下
 
●その他の劣化箇所
・継手部パッキン等の劣化、弁類の腐食等によって劣化する。
〇さびこぶ、継手からの漏水
〇配管支持金物の損傷・脱落
〇弁類の動作不良
・さびにより可動部分が固着
水道用亜鉛めっき鋼管(SGP、白管)
・耐食性を持たせるために亜鉛めっきを施したガス・水道用の鋼管。内外面にめっき。
・高度経済成長期に多用されたが、その後耐食性は充分ではなかったことが判明し、水道管として使用した場合には赤水や白水の発生原因となる。
・亜鉛メッキが剥げると給水管は全体的に錆びてゆき、赤水が発生し、こぶ状に管内を閉そくさせることがある。
ライニング鋼管
①硬質塩化ビニルライニング鋼管(SGP-VA等)
・錆の発生を防ぐため鋼管の内面に硬質塩化ビニルでライニングしたもので、鋼管の強靭性、耐衝撃性、耐火性と塩ビの耐食性とを併せ持っている。
〇初期
・直管内部は塩化ビニルで覆われてさびないように工夫されているが、継手本体はライニングされておらず、管端のネジ部分で鋼部と水が接触していたため、継手部分で錆の発生があった。
〇継手の改良
・1970年代前半:ライニング継手
・1980年代半ば以降:管端防食コアとの併用
・1990年代前半以降:管端防食継手
〇注意点
・管端コアを使用しても異種金属接触腐食は起きる。
・異種金属接触腐食によって鉄管のネジが無くなり、配管が抜ける事故もある。
・管端コア:15年、管端防食継手:25年、溶接・フランジ:40年
 
②ポリエチレン粉体ライニング鋼管(SGP-PA等)
・白管などの鋼管にポリエチレンを被覆した樹脂ライニング鋼管。
・鋼管の持つ機械的強度とポリエチレン樹脂の優れた耐食性を合わせ持つが、ライニング塗装の塗膜は薄い。
・管端部及びねじ部に防食処理を施す。
 
③耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管
・85℃以下の給湯管に使用可能。
ステンレス鋼管
●概要
・マンションの改修工事では、一般的にSUS304とSUS316が使用される。
・配管肉厚も亜鉛メッキ鋼管の1/3となり、重量が軽く運搬作業や施工がしやすいため近年の改修工事では主流となりつつある。
・共用部分の改修において、耐久性が要求されることから”水道用ステンレス鋼管が使用される事例が多くなってきている。
・住戸内でも、簡単な継手方式の薄肉ステンレス管の利用も多い。
・鋼管類と併用した場合は、電気腐食作用により、その接続部が腐食(異種金属接触腐食)する。
・配管自体の耐用年数は60年位とされているが、継手部分にパッキンを使用しているため、総合的な耐用年数は40年位とされている。
 
〇長所
・腐食による赤さびや異味・異臭が発生したり、環境ホルモンが溶出する心配がなく、人体に対して安全性の高い非石油化学系の配管材料。
・管内にスケールの発生がない。
・強度があり、摩耗に強く、外傷やつぶれのおそれが少ない。
・軽量。
・コストパフォーマンスに優れ、将来の改修を考える必要がないので、ランニングコストは長く使うほど安くなる。
 
〇短所
・電食を受けやすい。
・熱膨張率が大きく伸びやすい。
 
●マンションで一般的に使用されるステンレス配管
・一般配管用ステンレス鋼管(JIS G 3448、SUS304):薄肉、メカニカル形/ハウジング形管継手
・配管用ステンレス鋼管(JIS G 3459、SUS304):厚肉、ネジ接合
・水道用ステンレス鋼管(JWWAG115、SUS316):薄肉、メカニカル形継手
・水道用波状ステンレス鋼管(JWWAG119、SUS316):波状、メカニカル継手
※SUS316は、水質、環境などからSUS304よりも耐食性が要求される場合に用いられる。
 
●ステンレス鋼管の接合方法
〇メカニカル形とは
・管及び継手を加熱または溶接することなく、原則として施工現場で管を切断または加工し、継手に内蔵したシール部材や抜け出し防止機構によって機械的に接合できる構造を持つ接合方式。
・主に小・中口径の枝管の場合
・ねじ切りや溶接加工が不要。
〇プレファブ工法
・メイン配管など大口径管の場合は、複数の継手をあらかじめ工場でTIG溶接しておき、現場では接合部に若干の遊びのある”ルーズフランジ”で接合する。
・中口径管の場合は、あらかじめ工場で”グルービング加工”によって管端に溝を切ったパイプを、接合部を包むタイプの”ハウジング形管接手”で接続することが多い。
・メーターボックスの内の立管については、枝管の分岐取り出しを、従来のようなT字形チーズ継手を使用せず、”バーリング加工”により直管部材に穴を開け、直接分岐を取り出す方式が用いられている。
 
●ステンレス鋼管の漏水
〇異物が沈積して発生する腐食
・ステンレス鋼の耐食性は、表面に保護皮膜が形成されていることによるもので、保護皮膜が管内面に付着した異物や水の停滞と水道水に含まれる塩化物イオンや水中に溶け込んだ酸素が原因となって、管壁に穴を開ける孔食が発生することがある。
〇すきま腐食
・配管のフランジ接続部でフランジとガスケットの間の隙間や、水が流れにくい死水部分で、酸素濃度が薄くなることによって生じる電池作用(酸素濃淡電池)によって腐食することもある。
〇ゴムパッキンの劣化
・薄肉の為、ねじ接合ではなくゴムパッキン止水する圧着接合(メカニカルジョイント)になり、ゴムの経年劣化漏水することがある。
〇その他
・溶接接合部分での腐食
・土中やコンクリート埋設部での腐食
・異種金属との接続部での腐食
→配管の吊りボルトなどの異種金属とは腐食電池が形成されないように完全に絶縁しなければならない。
銅管
・鋼管より耐食性・可撓性に優れており、主に専有部の給湯設備配管などに使用される。
 
〇長所
・軽量。
・耐アルカリ性でコンクリート、モルタル内の布設に適する。
・管内にスケールの発生がない。
・可とう性が高く、加工しやすい。
・住宅用などに使われる銅管は安価。ステンレス管よりも安価でコストが低い。
・水道管の場合、水質による影響が少ないことから再生水や中水道、工業用水道等を使用する場合、水質による腐食を防げる。
 
〇短所
・外傷を受けやすい。
・電食を受けやすい。
・原水に遊離炭酸が多いときは、銅が溶解して白布などに着色することがある。
・高価
 
〇注意点
・酸性土壌へ埋設する場合は被覆銅管が望ましい。
・厨房、浴室、ベランダの床や壁面のコンクリートのように水が浸透する箇所に敷設するときには、被覆銅管が望ましい。
 
〇被覆付銅管
・銅管に高発砲ポリエチレンフォームを被覆した管。
塩化ビニル管
・塩ビ管は、赤さびなどが出ないので、水道管をはじめ下水道管・電線管・土木用など極めて広範囲に使用されている。
・主に専有部で使用される。
 
①硬質塩化ビニル管
②耐衝撃性硬質塩化ビニル管
 
〇長所
・耐酸、耐アルカリ性に富み、電食のおそれがない。
・管の内面はきわめて滑らかで、摩擦抵抗が小さいため、異物の発生や汚物の付着が少なく、効率よく通水できる。
・施工が容易。異形管が豊富で多様な施工が可能。
・軽量。
 
〇短所
・衝撃に弱く外傷を受けると強度が低下する。
・耐熱性が低い。
・温度に対する膨張率が大きく温度変化の激しい場所に布設する場合は伸縮継手等が必要。
・シンナーなどの溶剤におかされる。
・直射日光を避けて保管する。
 
〇注意点
・軟弱地盤又は化学薬品に浸された土壌での使用禁止。
・給湯管への使用禁止。
 
③耐熱性硬質塩化ビニル管
 
・耐食性に優れ、接着接合で施工が容易で経済性に優れているが、直射日光、衝撃、凍結には弱い。
・腐食に強く加工が容易だが、外圧、衝撃に弱いため、主として、専有部分で使用される。
 
〇長所
・耐酸、耐アルカリ性に富み、電食のおそれがない。
・スケールの発生がない。
・施工が容易。
・軽量。
 
〇短所
・衝撃に弱く外傷を受けると強度が低下する。
・温度に対する膨張率が大きく温度変化の激しい場所に布設する場合は伸縮継手等が必要。
・シンナーなどの溶剤におかされる。
 
〇注意点
・90℃以下の給湯管に使用可能。
・使用水温により、使用圧力が異なる。
・軟弱地盤又は化学薬品に浸された土壌での使用禁止。
ポリエチレン管、ポリブテン管
●水道用架橋ポリエチレン管、ポリブテン管
・主に専有部で使用され、給水・給湯配管に多く用いられている。
・さや管ヘッダー方式に使用されている。
・軽量で柔軟性に富み、長尺物のため、少ない継手で施工出来る。
・管は傷つきやすいので、投げたり、引きずったりするようなことは避ける。
・屋外露出配管の場合には、管に直射日光が当たらないように外面被覆を施す。
 
①水道用架橋ポリエチレン管(PEX)
・熱可塑性プラスチックとしての鎖状構造ポリエチレンの分子どうしのところどころを結合させ、立体の網目構造にした超高分子量ポリエチレンを材料とする合成樹脂管。
・接続は大口径は熱融着、小口径はメカニカル式があり、錆びない性質と耐ストレスクラップ性、クリープ性に優れるので埋設管によく使用される。
 
②水道用ポリブテン管(PBP)
・ポリエチレンや、ポリプロピレンと同じポリオレフィン系の樹脂(ポリブテン)で作られた合成樹脂管。
・管の色は明るい灰黄(ベージュ)色。
・継手はメカニカル型先分岐式やヘーダー方式等でメカニカル型が採用されている。
 
●高性能ポリエチレン管(PE 管)
・可とう性が大きく、地震や地盤沈下にも強い配管。
・内外面からの耐食性に優れているので、主に埋設管として使用されている。
・軽量で作業性・加工性に優れている。
・最近では給水立管・枝管でも使用されている。
給湯管の材料、劣化
1)給湯管の材料
 
①銅管(CUP)
・Mタイプとそれより厚肉のLタイプがあり、一般的にはMタイプが使用される。
・銅管は熱を伝えやすいため、保温材を巻くことで熱を逃し難くしている。
・現在は銅管に保温材を巻いた被覆銅管を採用することが多く、分岐部の継手はろう接合により接合される。
 
②耐熱性ポリ塩化ビニルライニング鋼管
 
③一般配管用ステンレス鋼管(SUS)
 
④樹脂管
・耐熱性硬質ポリ塩化ビニル管(HTVP)
・ポリブテン管(PB)
・架橋ポリエチレン管(PEX)
 
2)給湯配管(銅管)の劣化
 
①孔食
・銅管の表面(お湯が流れる面)に緑青色のかさぶた状腐食性生物ができ、その下部でピンホールが生じる。
 
②潰食(エロージョン、コロージョン)
・温水が速い流速で管内を流れる場合に、その力によって表面の被膜が破壊され局部腐食を生じる。
・水流方向が急変するエルボ・チーズ等の継手部で生じやすく、水の衝撃を受ける部分で生じる。
 
③その他腐食
・応力腐食割れ
・疲労割れ
・異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)
 
●給湯設備と給水設備の相違
①空気抜き対策(溶かしやすさの違い)
・湯は水に比べて固体は溶かしやすいが気体は溶かしにくい。
→給水システム内では溶けていた空気が分離しやすくなる。
→立管頂部や空気の滞りやすい部分などに溜まってしまう。
→空気抜き弁や空気抜き管を設けて、たまった空気を抜く必要がある。
②腐食対策
・金属の腐食速度は、同一条件下では一般に温度が高いほど反応は速くなる。
・給湯配管でよく使われる銅管は表面が柔らかく、速度が上がると皮膜を破壊して腐食速度が上がってしまうので、流速(1.5m/s以下)に注意する必要がある。
 
●給湯配管の管内流速と圧力
・管内流速は、管材の腐食、流水音、水撃音、空気溜まり等の発生しない流速を選定する必要がある。
・水圧が高い場合、水栓の開度が小さくするため止水機構部の通過流速が速くなることによる流水音の発生や、水栓の急閉鎖による水撃音の発生等の恐れがあるので、減圧弁を設ける等して、水栓部に加わる圧力や管内圧力を適正にする。
〇設計用標準流速
①銅管:1.0~1.5m/秒
・流速が早いとキャビテーションまたは浸食、腐食の原因となるので、最高流速は2.0m/秒とするのが望ましい。
※キャビテーションとは、液体の流れの中で、圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる現象。
・空気溜まりの生じにくい流速は、呼び径20にて0.4m/秒。
②樹脂管、樹脂ライニング鋼管:1.0~2.0m/秒
・空気溜まりの生じにくい流速は、呼び径20にて0.4m/秒。
 
3)給湯配管の耐用年数
 
①銅管
・異種金属接触腐食を起こすため鋼管類との接続には注意が必要。
・はんだ接合:20年、機械的接合(ゴム止水):40年
 
②樹脂管(HTVP、PB、PEX)
・紫外線や衝撃等に弱いため、直射日光を受ける場所や屋外で使用する場合は注意が必要。
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