区分マンション投資、理事会活動の記録

建築物の維持保全

〇建築基準法:8~11条
〇過去問
・管理業務主任者 H13問17、H14問28、H29問26
・マンション管理士 H21問20、H23問20、H26問20
 
 
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維持保全(法8条)
・建築物の所有者、管理者又は”占有者”は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するように努めなければならない。
 
●維持保全に関する準則又は計画の作成
・第12条第1項に規定する建築物の所有者又は”管理者”は、その建築物の敷地、構造及び建築設備を常時適法な状態に維持するため、必要に応じ、その建築物の維持保全に関する準則又は計画を作成し、その他適切な措置を講じなければならない。
・特殊建築物等は、適正な維持保全の必要性が高いので、建築物の維持保全のための準則又は計画を作成したり、国土交通大臣はそれに必要な指針を定めることができる旨を規定している。
・”国土交通大臣”は、第12条第1項に規定する建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針を定めることができる。
 
●”建築物の維持保全に関する準則又は計画の作成に関し必要な指針”
昭和60年3月19日建設省告示第606号
 
・建築物の維持保全に関する計画には、維持保全の実施体制、資金計画、建築物の利用計画、点検等を定めることとされている。
・準則又は計画は、複数の建築物が一団地を形成している場合は、当該一団地について作成することができる。
 
〇計画に定めるべき事項
①建築物の利用計画
・建築物又はその部分の用途等、将来の増改築の予定等に関する事項
②維持保全の実施体制
・維持保全を行うための組織、維持保全業務の委託、建築士その他専門技術者の関与等に関する事項
③維持保全の責任範囲
・計画作成者の維持保全の責任範囲に関する事項
④占有者に対する指導等
・建築物の破損時等における通報、使用制限の遵守等に関する事項
⑤点検
・点検箇所、点検時期、点検者、点検に当たつての判断基準、結果の報告等に関する事項
⑥修繕
・修繕計画の作成、修繕工事の実施等に関する事項
⑦図書の作成、保管等
・維持保全計画書、確認通知書、竣工図、設備仕様書等の作成、保管、廃棄等に関する事項
⑧資金計画
・点検、修繕等の資金の確保、保険等に関する事項
⑨計画の変更
・計画の変更の手続等に関する事項
⑩その他
・前各号に掲げるもののほか、維持保全を行うため必要な事項
違反建築物に対する措置(法9条)
1)手続きの原則(本命令)
 
・特定行政庁は、建築基準法令の規定や許可に違反した建築物or敷地について、命令等の必要な措置をとることができる。
 
・【特定行政庁】→<一定の手続き:通知書など>→措置命令
 
①措置命令(1項)
〇命令者
・特定行政庁
〇対象建築物
・建築基準法令の規定や許可に違反した建築物
〇措置の内容
・工事の施工の停止、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限、その他違反是正に必要な措置
〇違反者の権利
・前項の措置を命じようとする場合においては、通知書を交付し、意見書及び自己に有利な証拠を提出する機会を与えなければならない。
・前項の通知書の交付を受けた者は、その交付を受けた日から3日以内に、特定行政庁に対して、意見書の提出に代えて公開による意見の聴取を行うことを請求することができる。
 
2)緊急時の措置(仮命令・緊急命令)
 
・緊急時には、特定行政庁・建築監視員は、使用禁止・使用制限の仮命令、工事施工停止の命令をすることができる。
→緊急時の措置は、現状の凍結を目的とするため、本来必要とされる手続きが省略される代わり、命令自体は”禁止・制限・停止”等の消極的なもの。本来の措置命令では、、一定の手続きが保障される代わり、命令は自体は”除却・移転・改築”等の積極的なものとなる。
 
・【特定行政庁・建築監視員】→<緊急の必要あり>→使用禁止・使用制限の仮命令
・【特定行政庁・建築監視員】→<違反が明らかで、緊急時>→工事施工停止の命令
 
②使用禁止or使用制限の仮命令(7項)
〇命令者
・特定行政庁、建築監視員
〇対象建築物
・建築基準法令の規定や許可に違反した建築物
〇要件
・緊急の必要がある場合
〇措置の内容
・使用禁止、使用制限
 
③工事施工停止命令(10項)
〇命令者
・特定行政庁、建築監視員
〇対象建築物
・建築基準法令の規定や許可に違反することが明らかな建築、修繕又は模様替の工事中の建築物
〇要件
・緊急の必要があって、意見の聴取等第2項から第6項までに定める手続によることができない場合
〇措置の内容
・工事の施工の停止
 
●建築監視員(法9条の2)
・特定行政庁は、建築基準法違反の共同住宅について、当該市町村又は都道府県の職員のうちから建築監視員を命じ、緊急の必要がある場合においては、当該建築物の所有者等に対して、仮に、使用禁止又は使用制限の命令をすることができる。
→”緊急の必要がある場合でなければ”これらの処分をすることはできない。
→現場を現状のまま凍結命令だけで、除去・移転・改築・増築などの命令できない。
 
3)行政代執行等
 
④対処者不明の場合(11項)
・特定行政庁は、(違反建築物の除却など)必要な措置を命じようとする場合において、過失がなくてその措置を命ぜられるべき者を確知することができず、かつ、その違反を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、特定行政庁は、その者の負担において、その措置を自ら行うことができる。
 
⑤行政代執行(12項)
・特定行政庁は、違反建築物に対する措置を命じた場合において、その措置を命ぜられた者がその措置を履行しないときは、行政代執行法の定めるところに従い、みずから義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをさせることができる。そしてこの場合、特定行政庁はその費用を義務者から徴収することができる。
危険な建築物等に対する措置
1)保安上危険な建築物等に対する措置(法10条)
 
・特定行政庁は、著しく保安上危険又は衛生上有害な建築物について、命令等の必要な措置をとることができる。
 なお、放置すれば、著しく保安上危険又は衛生上有害な建築物については、勧告・命令等の必要な措置をとることができる。
 
①措置勧告(1項)
〇対象建築物
・別表第一に掲げる200㎡超の特殊建築物
・事務所等で階数5以上かつ1000㎡以上の建築物
〇要件
・損傷、腐食その他の劣化が進み、そのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害となるおそれがあると認める場合
〇措置の内容
・”相当の猶予期限を付けて”、建築物の除却、修繕、模様替、使用中止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置等の保安上又は衛生上必要な措置をとることを勧告することができる
 
②措置命令(2項)
〇対象建築物
・1項と同様。
〇要件
・正当な理由がなくて1項の勧告に係る措置をとらない場合で特に必要がある場合
〇措置の内容
・相当の猶予期限を付けて、その勧告に係る措置をとることを命ずることができる。
 
③著しく危険or衛生上有害な場合の措置命令(3項)
〇対象建築物
・全ての建築物
〇要件
・著しく保安上危険であり、又は著しく衛生上有害であると認める場合
〇措置の内容
・相当の猶予期限を付けて、除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他保安上又は衛生上必要な措置をとることを命ずることができる。
 
●措置命令が未是正の既存不適格建築物に対する行政代執行
 
①著しく保安上危険・衛生上有害な既存不適格建築物
 ↓
・是正措置命令(3項)
 ↓
・未是正の場合、行政代執行法に基づく手続き(4項)
 
②”放置すれば”、著しく保安上危険・衛生上有害な既存不適格建築物(特殊建築物等が対象)
 ↓
・是正措置勧告(1項)
 ↓
・未是正の場合、是正措置命令(2項)
 ↓
・未是正の場合、行政代執行法に基づく手続き(4項)
 
〇是正・改善命令違反違反者(法99条)
・懲役1年以下又は罰金100万円以下
 
2)公益上著しく支障があると認める場合、第三章の規定に適合しない建築物に対する措置(11条)
 
・特定行政庁は、建築物の敷地等が公益上著しく支障があると認める場合においては、市町村の議会の同意を得た場合に限り、所有者等に対して、相当の猶予期限を付けて、除却等を命ずることができる。この場合においては、当該建築物の所在地の市町村は、措置によって通常生ずべき損害を時価によって補償しなければならない。所有者が負担する必要はない。
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