区分マンション投資、理事会活動の記録

換気設備の種類、構造、設置義務

〇建築基準法:28条、建築基準法施行令:20条の3、129条の2の6
〇過去問
・管理業務主任者 H14問22、問H19問24、H25問20、H29問18
・マンション管理士 H14問20、H16問20、H18問21、H30問21
 
 
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換気設備の設置義務
1)換気のための開口部(建築基準法28条2項)
 
・居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、1/20以上としなければならない。ただし、政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合においては、この限りでない。
・1/20未満の場合は換気設備(自然、機械、中央管理等)を取り付けなければならない。
 
●設置すべき居室と換気設備の種類
 
〇住宅等の居室
・窓等の換気に有効な開口部(居室の床面積の1/20以上)
・自然換気設備
・機械換気設備
・中央管理方式の空気調和設備等
 
〇劇場・映画館・集会所等の居室
・機械換気設備
・中央管理方式の空気調和設備等
※自然換気設備は不可。
 
〇調理室・浴室その他の室でかまど・こんろその他火を使用する設備又は器具を設けた室
・火気使用室の自然換気設備
・火気使用室の機械換気設備等
※中央管理方式は不可
 
2)シックハウス対策(建築基準法施行令20条の8)
 
・原則として、すべての建築物に機械換気設備等の設置を義務付けている。
・住宅の居室では、換気回数0.5回/h以上の機会換気設備(24時間換気システム等)の設置が必要となる。
※詳細は以下の記事参照。
シックハウス対策(内装制限、換気設備、天井裏)
換気設備の種類、特徴
1)自然換気方式
 
・給気口と排気口を設け、室内と室外との温度差による対流や風による圧力等、自然の条件を利用した換気の方式。
 
①風力換気方式
・外気風が建物にあたると、風上が高圧に、風下が低圧になる力を利用する方式。
②温度差(重力)換気方式
・暖かい空気が上昇し、冷たい空気が下降する力を利用する方式。
・温度差による自然換気の換気量は、開口部の面積のほか、給気口と排気口の高さの差の平方根と、内外の温度差の平方根に比例する。
 
2)機械換気方式
 
①第1種機械換気方式
・給気側と排気側に送・排風機を設け換気する方式。
・給気ファン、排気ファンの両方が設置されるため、室内の圧力を自由にコントロールすることにより換気を確実に行うことができる方式。
・全熱交換機を用いることにより室内へ取り入れる外気温をコントロールすることができる。
〇採用例
・部屋単体で換気システムを完結したい場合等に用いられる。
・機械室、電気室等
 
〇熱交換型換気扇
・熱交換器の働きで、換気(排気)で逃げる熱エネルギーの約70%を回収し、外気を室温に近づけて部屋に取り込む(給気)ことを、1台で行う同時給排気式の換気扇。
・換気設備において、換気によって室内の暖かさや涼しさが捨てられるため、第1種換気方式となる熱交換型換気扇を用い、排気の際の熱エネルギーを回収し、給気の際に再利用する。
 
②第2種機械換気方式
・給気側に送風機を設け、排気口から自然排気させる方式。
・給気ファンが設置されるため、室内の圧力が正圧に保たれる(他の部屋より高い圧力になる)。
〇採用例
・室内の空気を清浄に保ちたい部屋等に用いられる。
・ボイラー室等
〇注意点
・外気を直接室内へ取り入れる方式のため、寒冷地等では給気を余熱する等の配慮が必要。
・廊下等から排気する場合は、換気経路となる廊下やトイレ等についても建築基準法に基づく内装仕上げの制限を受けることになるとともに、建築基準法の規定による必要換気回数の算定に際しては、廊下やトイレ等を含めた換気量とする必要がある。
 
③第3種機械換気方式
・排気側に送風機を設け、給気口から自然給気させる方式。
・排気ファンを設置するため、室内の圧力が負圧に保たれる(他の部屋より低い圧力になる)。
〇採用例
・汚染質が発生し易い部屋等に多く用いられる。
・住宅の便所、台所、浴室等。
〇注意点
・廊下等から給気する場合は、換気経路となる廊下やトイレ等についても建築基準法に基づく内装仕上げの制限を受けることになるとともに、建築基準法の規定による必要換気回数の算定に際しては、廊下やトイレ等を含めた換気量とする必要がある。
・居室内が換気設備により減圧されるため、天井裏等より空気が流入する恐れがある。そのため、この機械換気方式を採用する場合、天井裏等にも換気設備が必要となる事がある。
・給気の確保が不十分であると、換気扇の能力をいくら大きくしても必要換気量を確保することはできない。
・室内外差圧の増大により、ドアや窓の開閉が困難になったり、風切り音が発生することがある。
 
●選定例
・窓を開放する事が困難な地下室や外気の取り入れに熱回収機能が必要な場合、あるいは廊下等を換気経路としないで換気を完結したい場合等は第1種機械換気設備
・特別な汚染質の発生が認められない室で廊下等からの汚染質の流入を防止したい場合等は第2種機械換気設備
・接着剤や塗料等の汚染質が発生する可能性のある室では第3種機械換気設備
自然換気設備の構造(令129条の2の6)
・自然換気設備の給気口は、居室の天井の高さの1/2以下の高さの位置に設け、常時外気に開放された構造とすること。
・排気口は、給気口より高い位置に設け、常時開放された構造とし、かつ、排気筒の立上り部分に直結すること。
火気使用室の換気設備設置義務(令20条の3)
●対象となる室
 
・建築物の調理室、浴室などで、コンロその他火を使用する設備or器具を設けた室。
・居室であるかどうかに関わらない。
 
●換気設備設置義務の対象外の室(令20条の3第1項)
 
①密閉式燃焼器具等
・火を使用する設備or器具で直接屋外から空気を取り入れ、かつ、廃ガスその他の生成物を直接屋外に排出する構造を有するものその他室内の空気を汚染するおそれがないものであり、住戸内の密閉式燃焼器具等のみを設けている浴室には、換気設備を設けなくてもよい。
②床面積の合計が100m2以内の住戸に設けられた調理室
ただし、以下の条件を満たしている場合に限る。
・当該調理室の床面積の1/10以上かつ0.8m2以上の換気上有効な窓などを設けたもの
・密閉式燃焼器具など又は煙突を設けた器具以外の器具などの発熱量の合計が12kW以下のもの。
③調理室以外の室
・発熱量の合計が6kW以下の火気使用設備(ガス栓、ガスコンセントなど)などを設け、かつ換気上有効な開口部を設けたもの
 
●換気設備の構造(令20条の3第2項)
 
〇排気筒
・吸気口(天井高/2以下)+排気筒(天井から80㎝以内)
〇排気フード
・吸気口(位置は自由)+排気フード
〇換気扇
・吸気口(位置は自由)+換気扇
 
・火を使用する設備or器具の通常の使用状態において、異常な燃焼が生じないよう当該室内の酸素の含有率をおおむね20.5%以上に保つ換気ができるものとして、国土交通大臣の認定を受けたものとすること。
・火を使用する設備or器具の近くに排気フードを有する排気筒を設ける場合においては、排気フードは、不燃材料で造ること。
 
〇火気を使用する部屋の必要有効換気量(昭和45年建設省告示1826号)
・換気設備を設けるべき調理室等に煙突、排気フードなどを設けず、排気口or排気筒に換気扇を設ける場合にあっては、その有効換気量は、40×(燃料の単位燃焼量当たりの理論廃ガス量)×(火を使用する設備又は器具の実況に応じた燃料消費量)以上とされている。
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