区分マンション投資、理事会活動の記録

水道の種類、管理、検査

〇水道法:3,4,14,19~23,34条の2,34条の4
〇水道法施行令:1条
〇水道法施行規則:12条の4,15,17,55,56
〇過去問
・管理業務主任者 H13問21、H16問22、H18問22、H22問23、H28問21
・マンション管理士 H13問22、H15問23、H16問23、H17問26、H18問23、H20問23,43、H21問22、H22問22、H23問22、H24問22、H25問22、H26問22、H27問22、H28問22、H29問22、R1問22、R2問22
 
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
水道に関する用語の定義
〇水道(法3条1号)
・導管及びその他の工作物により、水を人の飲用に適する水として供給する施設の総体をいう。
・臨時に施設されたものを除く。
 
〇水道事業(法3条2号)
・一般の需要に応じて、給水人口が101人以上である水道により水を供給する事業。
 
〇給水装置(法3条9項)
・需要者に水を供給するために水道事業者の施設した配水管から分岐して設けられた給水管及びこれに直結する給水用具をいう。
→敷地内配管も水道法の給水装置の適用を受ける。受水槽から先の部分が各管理組合の責任。
水道の種類
1)専用水道
 
●専用水道とは(法3条6項)
・原則として、寄宿舎、社宅、療養所等における自家用の水道その他水道事業の用に供する水道以外の水道であつて、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
ア)100人を超える者にその居住に必要な水を供給するもの
イ)その水道施設の1日最大給水量が20m3を超えるもの
 
〇適用除外
・他の水道から供給を受ける水のみを水源とし、かつ、その水道施設のうち地中or地表に施設されている部分の規模が政令で定める基準(令1条)以下である水道を除く。
〇専用水道の基準(令1条)
・口径25mm以上の導管の全長:1,500m
・貯水槽の有効容量の合計:100m3
 
※マンションの場合、人数や給水量が当てはまるものもあるが、この適用除外例にある25mmの水道管が1,500m以下である(普通19mmや22mmのものが多く使われており、太い口径は水道本管や給水タンク関係だけである)ので一般的には簡易専用水道扱いとされている。
 
2)簡易専用水道
 
●簡易専用水道とは(法3条7項)
・原則として、水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするもの。
 
〇適用除外
・ただし、その用に供する施設の規模が政令(令2条)で定める基準以下のものを除く。
〇簡易専用水道の適用除外の基準(令2条)
・水道事業の用に供する水道から水の供給を受けるために設けられる水槽の有効容量の合計が10m3であることとする。
 
●簡易専用水道の概要
・マンションで多く利用されている給水設備。
・貯水槽水道の管理は、設置者(建物所有者や分譲マンションでは管理組合等)が行うこととされている。
・ビル、マンション等の貯水槽水道の管理について、その設置者の責任を水道事業者が定める供給規定上明確にし、その管理の徹底を図るために平成13年の改正水道法で設けられた。
 
3)貯水槽水道
 
●貯水槽水道とは(法14条2項5号)
・水道事業の用に供する水道及び専用水道以外の水道であつて、水道事業の用に供する水道から供給を受ける水のみを水源とするものをいう。
 
●簡易専用水道と小規模貯水槽水道
・簡易専用水道も貯水槽水道に該当するが、貯水槽の有効容量の合計によって以下のように分類する。
①簡易専用水道
・貯水槽の有効容量の合計が10m3超100m3以下
 
②小規模貯水槽水道
・貯水槽の有効容量の合計が10m3以下
・簡易専用水道の設置者は、厚生労働省令で定める基準(規則55条)に従い、その水道を管理しなければならないが、簡易専用水道に該当しない場合は、その必要はない。
・水道法の適用はなく、地方公共団体が定める条例により、設置者の自主管理に任せるが、ほぼ、水道法と同じ管理になっている。
専用水道の設置者の義務、管理
●設置者の義務
・専用水道は、100人超の居住者に必要な水を供給orその水道施設の一日最大給水量が20m3超と、汚染事故等が公衆衛生上大きな問題につながる。
→専用水道の設置者には、水道法で水質検査、健康診断、衛生上の措置などの遵守すべき事項が明示されている。また、義務違反に対する罰則も併せて規定されている。
 
●水道技術管理者(法19条)
・”専用水道の設置者”が水道技術管理者を置くことを義務付け、その事務及び資格要件について規定。
・水道事業者は、水道の管理について技術上の業務を担当させるため、水道技術管理者一人を置かなければならない。ただし、自ら水道技術管理者となることを妨げない。
・水道技術管理者は、次に掲げる事項に関する事務に従事し、及びこれらの事務に従事する他の職員を監督しなければならない。
①水道施設が第5条の規定による施設基準に適合しているかどうかの検査
②第13条第1項の規定による水質検査及び施設検査
③給水装置の構造及び材質が第16条の規定に基づく政令で定める基準に適合しているかどうかの検査
④次条第1項の規定による水質検査
⑤第21条第1項の規定による健康診断
⑥第22条の規定による衛生上の措置
⑦第23条第1項の規定による給水の緊急停止
⑧第37条前段の規定による給水停止
 
〇法第34条(準用規定)
①法19条の規定は、専用水道の設置者について準用する。
②一日最大給水量が1,000m3以下である専用水道については、当該水道が消毒設備以外の浄水施設を必要とせず、かつ、自然流下のみによって給水することができるものであるときは、前項の規定にかかわらず、法19条3項の規定を準用しない。
 
●健康診断(法21条1項)
・水道事業者は、水道の取水場、浄水場又は配水池において業務に従事している者及びこれらの施設の設置場所の構内に居住している者について、厚生労働省令の定めるところにより、定期及び臨時の健康診断を行わなければならない。
(ア)定期健康診断(規則16条1項)
・定期の健康診断は、病原体が便中に排せつされる伝染病について、その保菌者の有無を検査するため行うもので、検査はおおむね6ケ月ごとに行うことが必要。
(イ)臨時の健康診断(規則16条2項、3項)
・臨時の健康診断は、健康診断対象者が赤痢、腸チフス、パラチフス等の患者又は保菌者であることが明らかになった場合、又はこれらの施設の地域において、赤痢などの伝染病が発生する等により健康診断対象者に罹り患するおそれがある場合に行うものとされている。
 
●水質検査(法20条)
・水道事業者は、厚生労働省令の定めるところにより、定期及び臨時の水質検査を行わなければならない。
・水道事業者は、前項の規定による水質検査を行つたときは、これに関する記録を作成し、水質検査を行つた日から起算して5年間、これを保存しなければならない。
 
〇定期の水質検査(規則15条1項)
・”水質基準に関する省令”では、水道水の水質基準として、”51″の検査項目が示されている。
・検査項目に”塩素酸”はあるが、”塩素”は含まれていない。
 
①毎日行う検査
・色及び濁り(目視でも可)、消毒の残留効果に関する検査
 
②毎月1回以上行う検査:11項目
・一般細菌、大腸菌:頻度の軽減、省略共に不可
・塩化物イオンほか6項目:省略不可。
・ジェオスミン、2-メチルイソボルネオール
 
③3ヶ月に1回以上行う検査:40項目
・シアン化物イオン及び塩化シアン並びに消毒副生成物11項目
・亜硝酸態窒素、硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素:過去の検査結果等から頻度の軽減可
・その他の26項目
 
〇臨時の水質検査(規則第15条2項)
・水源の水質が著しく悪化したとき。
・水源に異常があったとき。
・水源付近、給水区域及びその周辺等において消化器系感染病が流行しているとき。
・浄水過程に異常があったとき。
・配水管の大規模な工事その他水道施設が著しく汚染されたおそれがあるとき。
・その他特に必要があると認められるとき。
 
●水槽の清掃(法第22条)~衛生上の措置
・水道事業者は、厚生労働省令の定めるところにより、水道施設の管理及び運営に関し、消毒その他衛生上必要な措置を講じなければならない。
 
●給水の緊急停止(23条)
・水道事業者は、その供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講じなければならない。
・水道事業者の供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つた者は、直ちにその旨を当該水道事業者に通報しなければならない。
簡易専用水道の管理基準
●管理基準(法34条の2、規則55条)
 
・簡易専用水道の設置者は、厚生労働省令で定める基準(規則55条)に従い、その水道を管理しなければならない。
 
〇管理基準(規則55条)
①水槽の掃除を1年以内ごとに1回、定期に、行うこと。
②水槽の点検等有害物、汚水等によつて水が汚染されるのを防止するために必要な措置を講ずること。
③給水栓における水の色、濁り、臭い、味その他の状態により供給する水に異常を認めたときは、水質基準に関する省令の表の上欄に掲げる事項のうち必要なものについて検査を行うこと。
※必要なもの
一般細菌、大腸菌、カドミウム及びその化合物、水銀及びその化合物など51項目がある。「残留塩素」は該当しない
④供給する水が人の健康を害するおそれがあることを知つたときは、直ちに給水を停止し、かつ、その水を使用することが危険である旨を関係者に周知させる措置を講ずること。
 
●検査(法34条の2、規則56条)
・簡易専用水道の設置者は、厚生労働省令の定めるところ(規則56条)により、定期に、地方公共団体の機関又は厚生労働大臣の登録を受けた者の検査を受けなければならない。
→検査についての規定に違反した者は、100万円以下の罰金に処せられる。
 
〇検査の頻度(規則56条)
・1年以内ごとに1回とする。
 
〇検査の方法等(規則56条2項)
→H15年厚生労働省告示262号”簡易専用水道の管理に係る検査の方法その他必要な事項”
 
●H15年厚生労働省告示262号”簡易専用水道の管理に係る検査の方法その他必要な事項
〇検査時期
・検査は、1年以内ごとに1回とする。
 
〇検査者
・検査者は別記様式による身分証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があったときは、これを提示すること。
・検査者は、検査終了後、設置者に検査済みを証する書類を交付すること。
・検査の結果、判定基準に適合しなかった事項がある場合には、設置者に対し、当該事項について速やかに対策を講じるよう助言を行うこと。
・検査の結果、水の供給について特に衛生上問題があると認められた場合には、設置者に対し、直ちに都道府県知事にその旨を報告するよう助言を行うこと。
 
〇検査項目
・水槽だけでなく、水槽の周囲の状態の検査として、清潔であり、ごみ、汚物等が置かれていないこと、水槽周辺にたまり水、湧水等がないこと、などが検査の対象となっている。
①簡易専用水道に係る施設及びその管理の状態に関する検査
・水質に害を及ぼすおそれのあるものであるか否かを検査。
・水槽の水を抜かずに、次に掲げる検査を行う。
 ・汚水等の衛生上有害なものが混入するおそれの有無についての検査
 ・水槽及びその周辺の清潔の保持についての検査
 ・沈積物、浮遊物質等の異常な物の有無についての検査
 
②給水栓における水質の検査
・臭気、味、色及び濁りに関する検査
・残留塩素に関する検査
※水道水の水質を確保するためには、給水栓における遊離残留塩素の濃度は、通常「0.1mg/l」以上にしなければならない。(規則17条1項3号)
 
③書類の整理等に関する検査
・設備の配置及び系統を明らかにした図面
・受水槽の周囲の構造物の配置を明らかにした平面図
・水槽の掃除の記録
・その他の管理についての記録
貯水槽水道の設置者の責任
・水道事業者は、供給規程を定めなければならず、この供給規程は、貯水槽水道が設置される場合においては、貯水槽水道に関し、水道事業者及び当該貯水槽水道の設置者の責任に関する事項が、適正かつ明確に定められていることが必要である。
→この供給規程に基づき貯水槽水道の設置者は、水槽の管理責任を負う。これは、その水槽の有効容量の合計が10m3以下の小規模貯水槽水道であっても同様。
・貯水槽水道(小規模貯水槽水道も含む)に関し、その水道の設置者は、当該水道事業者の定める供給規程に基づき、水槽の管理責任を負うことになる。
・貯水槽水道(小規模貯水槽水道も含む)に関し、水道事業者は、供給規程に基づき、その水道の設置者に指導、助言及び勧告をすることができる。
 
●供給規定(法14条2項5号)
・貯水槽水道が設置される場合においては、貯水槽水道に関し、水道事業者及び当該貯水槽水道の設置者の責任に関する事項が、適正かつ明確に定められていること。
 
●規則12条の4
・法14条3項に規定する技術的細目のうち、同条2項5号に関するものは、次に掲げるものとする。
①水道事業者の責任に関する事項として、必要に応じて、次に掲げる事項が定められていること。
イ)貯水槽水道の設置者に対する指導、助言及び勧告
ロ)貯水槽水道の利用者に対する情報提供
②貯水槽水道の設置者の責任に関する事項として、必要に応じて、次に掲げる事項が定められていること。
イ)貯水槽水道の管理責任及び管理の基準
ロ)貯水槽水道の管理の状況に関する検査
水質基準
●水質基準(法4条)
・水道により供給される水は、次の各号に掲げる要件を備えるものでなければならない。
一)病原生物に汚染され、又は病原生物に汚染されたことを疑わせるような生物若しくは物質を含むものでないこと。
二)シアン、水銀その他の有毒物質を含まないこと。
三)銅、鉄、弗素、フェノールその他の物質をその許容量をこえて含まないこと。
四)異常な酸性又はアルカリ性を呈しないこと。
五)異常な臭味がないこと。ただし、消毒による臭味を除く。
六)外観は、ほとんど無色透明であること。
・前項各号の基準に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。
→平成15年厚生労働省令101号”水質基準に関する省令”
 
モバイルバージョンを終了