〇過去問
・管理業務主任者 H15問4、H19問6、H20問5、H23問3、H24問43、H25問4,42、H26問4、H27問6
・マンション管理士 H13問14、H16問2、H17問14、H18問3,5、H23問3、H24問15、H26問15、H29問13
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賃貸借の概要
1)賃貸借とは(601条)
・賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
2)賃貸借の期間、解約
●賃貸借の存続期間(604条)
・賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。
※最短期間の制限はない。
・賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。
●期間を定めた場合
〇期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保(618条)
・当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保することができる。
●期間を定めなかった場合
〇期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ(617条)
・賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
・解約の申し入れを行った場合、土地なら1年後、建物なら3ヵ月後に契約が終了する。
●賃貸借の更新の推定等(619条)
・賃貸借の期間が満了した後、賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。
3)不動産賃貸借の対抗力(605条)
〇賃借人の対抗力
・不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。
〇譲受人
・不動産が譲受人に譲渡され、賃料を請求するなど譲受人が賃貸人としての地位を賃借人に対して主張するには、所有権の移転登記が必要。
4)敷金関係
●敷金とは
・いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。
・賃料の滞納、賃借物の損傷、損害賠償債務を担保するためのもの。
・滞納等があれば滞納額等を差し引いて返還
・賃貸借終了前でも、滞納賃料など賃借人が賃貸人に支払うべき金銭債務があれば、賃貸人は、敷金をもって充当することができる。
・敷金を充当するかどうかは”賃貸人の任意”であって、賃借人の方から、賃貸人に対して、敷金をその債務の弁済に充当するよう請求することはできない。
〇敷金返還請求権
・賃借人の敷金返還請求権は、賃貸借終了後の目的物の返還時において、債務を控除し、なお残額があることを条件にとして、その残額につき発生する。
→敷金返還請求権が発生するのは、賃貸借契約が終了し、賃借人が賃貸人に賃借物を明け渡したとき。
→敷金返還請求権と賃借物の明け渡しは、同時履行の関係ではなく、明け渡しが先履行。
〇賃貸物が第三者に譲渡されて、賃貸人が変更となった場合
・敷金は新賃貸人に承継。
〇賃借権が譲渡され、賃借人が変更となった場合
・敷金は新賃借人に承継されない。
→旧賃借人と賃貸人との間で精算される。
●権利金、礼金
・契約の対価としての性格を有するので、返還しなくてもよい。
・賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
2)賃貸借の期間、解約
●賃貸借の存続期間(604条)
・賃貸借の存続期間は、50年を超えることができない。契約でこれより長い期間を定めたときであっても、その期間は、50年とする。
※最短期間の制限はない。
・賃貸借の存続期間は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から50年を超えることができない。
●期間を定めた場合
〇期間の定めのある賃貸借の解約をする権利の留保(618条)
・当事者が賃貸借の期間を定めた場合であっても、その一方又は双方がその期間内に解約をする権利を留保することができる。
●期間を定めなかった場合
〇期間の定めのない賃貸借の解約の申入れ(617条)
・賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。
・解約の申し入れを行った場合、土地なら1年後、建物なら3ヵ月後に契約が終了する。
●賃貸借の更新の推定等(619条)
・賃貸借の期間が満了した後、賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。
3)不動産賃貸借の対抗力(605条)
〇賃借人の対抗力
・不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。
〇譲受人
・不動産が譲受人に譲渡され、賃料を請求するなど譲受人が賃貸人としての地位を賃借人に対して主張するには、所有権の移転登記が必要。
4)敷金関係
●敷金とは
・いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。
・賃料の滞納、賃借物の損傷、損害賠償債務を担保するためのもの。
・滞納等があれば滞納額等を差し引いて返還
・賃貸借終了前でも、滞納賃料など賃借人が賃貸人に支払うべき金銭債務があれば、賃貸人は、敷金をもって充当することができる。
・敷金を充当するかどうかは”賃貸人の任意”であって、賃借人の方から、賃貸人に対して、敷金をその債務の弁済に充当するよう請求することはできない。
〇敷金返還請求権
・賃借人の敷金返還請求権は、賃貸借終了後の目的物の返還時において、債務を控除し、なお残額があることを条件にとして、その残額につき発生する。
→敷金返還請求権が発生するのは、賃貸借契約が終了し、賃借人が賃貸人に賃借物を明け渡したとき。
→敷金返還請求権と賃借物の明け渡しは、同時履行の関係ではなく、明け渡しが先履行。
〇賃貸物が第三者に譲渡されて、賃貸人が変更となった場合
・敷金は新賃貸人に承継。
〇賃借権が譲渡され、賃借人が変更となった場合
・敷金は新賃借人に承継されない。
→旧賃借人と賃貸人との間で精算される。
●権利金、礼金
・契約の対価としての性格を有するので、返還しなくてもよい。
賃貸人の義務、権利
1)目的物の修繕義務
●賃貸物の修繕等(606条)
・賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
・ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、賃貸人に修繕義務はない。
〇賃貸人の修繕する権利
・賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人はこれを拒むことができない。
・賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
●賃借人による修繕(607条の2)
・賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
②急迫の事情があるとき。
・上記修繕費用が、本来賃貸人がすべき修繕内容であれば、その費用は、必要費として賃貸人に請求することができる。
2)賃貸人の費用償還義務(賃借人の費用償還請求権)(608条)
・賃借人が、賃借物について必要費または有益費を支出した場合には、賃貸人は、これを賃借人に償還しなければならない。
・償還請求は、賃貸人が賃貸した目的物の返還を受けてから1年以内にしなければならない。
●必要費の償還請求
〇必要費とは
・賃借物を保存・管理し使用する上で必要不可欠な費用。
・現状維持・原状回復のための費用のほか、賃借物を通常の用法に適する状態に保存するための費用を含む。
例)雨漏り修繕費など賃貸人が修繕すべき場合の修繕費用など。
〇償還の範囲
・支出した金額の全額
〇償還請求の時期
・支出後直ちに可
●有益費の償還請求
〇有益費とは
・賃借物を改良し、その価値を増加させる費用。
・必要費のように使用収益に絶対に必要ではないが、その費用をかけたことにより建物の価値が上がるようなもの
例)シャワーのない風呂にシャワー設備設置。トイレの便座を温水便座に交換。
〇償還の範囲
・その価格の増加が現存する場合に限り、その支出した金額又は増価額のどちらかを賃貸人が選択
※”支出した金額”と”(価値の)増加額”を比較すると、”増加額”の方が低くなる場合が多い。例えば、15万円(支出した金額)かけて温水洗浄便座式のトイレにしたが、償還時点では10万円(増加額)くらいの価値になっていたという場合など。
〇償還の時期
・賃貸借の終了の時
●留置権の行使
・上記両請求とも、賃借人は留置権を行使し、支払があるまで賃借物の引渡しを拒否できる。ただし、賃貸借終了後も賃料相当額の支払が必要。
※賃貸借の目的物が譲渡された場合の有益費償還請求の相手方は、譲受人(判例)。
3)貸主の担保責任(559条)
・賃貸借契約については、売買契約の規定が準用されているので、賃貸人が賃借人に対して、契約不適合責任を負うことになる。
・賃借人に引き渡された賃貸借物件が契約内容に適合しない場合、賃借人は、損害賠償請求や解除の他、追完請求(修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)及び賃料減額請求を行うことができる。
4)損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限(622、600条)
・契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
・上記の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
●賃貸物の修繕等(606条)
・賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。
・ただし、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、賃貸人に修繕義務はない。
〇賃貸人の修繕する権利
・賃貸人が賃貸物の保存に必要な行為をしようとするときは、賃借人はこれを拒むことができない。
・賃貸人が賃借人の意思に反して保存行為をしようとする場合において、そのために賃借人が賃借をした目的を達することができなくなるときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
●賃借人による修繕(607条の2)
・賃借物の修繕が必要である場合において、次に掲げるときは、賃借人は、その修繕をすることができる。
①賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないとき。
②急迫の事情があるとき。
・上記修繕費用が、本来賃貸人がすべき修繕内容であれば、その費用は、必要費として賃貸人に請求することができる。
2)賃貸人の費用償還義務(賃借人の費用償還請求権)(608条)
・賃借人が、賃借物について必要費または有益費を支出した場合には、賃貸人は、これを賃借人に償還しなければならない。
・償還請求は、賃貸人が賃貸した目的物の返還を受けてから1年以内にしなければならない。
●必要費の償還請求
〇必要費とは
・賃借物を保存・管理し使用する上で必要不可欠な費用。
・現状維持・原状回復のための費用のほか、賃借物を通常の用法に適する状態に保存するための費用を含む。
例)雨漏り修繕費など賃貸人が修繕すべき場合の修繕費用など。
〇償還の範囲
・支出した金額の全額
〇償還請求の時期
・支出後直ちに可
●有益費の償還請求
〇有益費とは
・賃借物を改良し、その価値を増加させる費用。
・必要費のように使用収益に絶対に必要ではないが、その費用をかけたことにより建物の価値が上がるようなもの
例)シャワーのない風呂にシャワー設備設置。トイレの便座を温水便座に交換。
〇償還の範囲
・その価格の増加が現存する場合に限り、その支出した金額又は増価額のどちらかを賃貸人が選択
※”支出した金額”と”(価値の)増加額”を比較すると、”増加額”の方が低くなる場合が多い。例えば、15万円(支出した金額)かけて温水洗浄便座式のトイレにしたが、償還時点では10万円(増加額)くらいの価値になっていたという場合など。
〇償還の時期
・賃貸借の終了の時
●留置権の行使
・上記両請求とも、賃借人は留置権を行使し、支払があるまで賃借物の引渡しを拒否できる。ただし、賃貸借終了後も賃料相当額の支払が必要。
※賃貸借の目的物が譲渡された場合の有益費償還請求の相手方は、譲受人(判例)。
3)貸主の担保責任(559条)
・賃貸借契約については、売買契約の規定が準用されているので、賃貸人が賃借人に対して、契約不適合責任を負うことになる。
・賃借人に引き渡された賃貸借物件が契約内容に適合しない場合、賃借人は、損害賠償請求や解除の他、追完請求(修補、代替物の引渡し、不足分の引渡し)及び賃料減額請求を行うことができる。
4)損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限(622、600条)
・契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は、貸主が返還を受けた時から1年以内に請求しなければならない。
・上記の損害賠償の請求権については、貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでの間は、時効は、完成しない。
賃借人の義務、権利
1)賃料支払い義務
・賃料の支払時期について特約がないときは。後払いが原則。
●賃借物の一部滅失等による賃料の減額等(611条)
・賃借人の過失によらないで、賃借物の一部が滅失その他事由により使用・収益できなくなった場合は、その使用・収益ができなくなった部分の割合に応じて、当然に減額される。
〇解除
・賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
2)善管注意義務
・賃借人は、賃借物を、以下のように善良な管理者の注意をもって管理する義務を負う。
〇用法遵守義務
・賃借人は、賃借物を、契約またはその性質によって定まる用法に従って使用・収益しなければならない。
例)住宅は住宅として、事務所は事務所として使用するなど。
〇通知義務(615条)
・賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。
3)賃借人の原状回復義務(621条)
・賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。
〇対象外の損傷
・その損傷が、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化の場合。
・その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるとき。
〇通常使用による損耗の原状回復を、賃借人の負担とする特約
・補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が契約条項に具体的に明記されるなど、明確な合意がある場合のみ、有効となる。(判例、国交省の原状回復ガイドライン)
・賃料の支払時期について特約がないときは。後払いが原則。
●賃借物の一部滅失等による賃料の減額等(611条)
・賃借人の過失によらないで、賃借物の一部が滅失その他事由により使用・収益できなくなった場合は、その使用・収益ができなくなった部分の割合に応じて、当然に減額される。
〇解除
・賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。
2)善管注意義務
・賃借人は、賃借物を、以下のように善良な管理者の注意をもって管理する義務を負う。
〇用法遵守義務
・賃借人は、賃借物を、契約またはその性質によって定まる用法に従って使用・収益しなければならない。
例)住宅は住宅として、事務所は事務所として使用するなど。
〇通知義務(615条)
・賃借物が修繕を要し、又は賃借物について権利を主張する者があるときは、賃借人は、遅滞なくその旨を賃貸人に通知しなければならない。
3)賃借人の原状回復義務(621条)
・賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。
〇対象外の損傷
・その損傷が、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化の場合。
・その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるとき。
〇通常使用による損耗の原状回復を、賃借人の負担とする特約
・補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が契約条項に具体的に明記されるなど、明確な合意がある場合のみ、有効となる。(判例、国交省の原状回復ガイドライン)
賃借権の譲渡、転貸
1)賃借権の譲渡及び転貸の制限(612条)
〇賃貸人の承諾
・賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
〇借地権の区分マンションの譲渡の場合
・借地権付きマンションの場合でも、やはり専有部分を譲渡した場合などには、借地権の譲渡を伴い、借地権設定者の承諾かこれに代わる裁判所の許可が必要となる。(借地借家法19条)
〇無断の譲渡・転貸
・賃借人が無断で譲渡・転貸を行い、第三者に”使用又は収益をさせたとき”は、信頼関係を破壊するほどのものであれば解除の原因となる。(解除されるまでは転貸借契約も有効)。
賃借物の無断転貸があっても、それが、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情が存在すれば、賃貸人は賃貸借契約を解除することはできない(判例)。
上記特段の事情の主張・立証責任は賃借人にあるので、この特段の事情の存在を賃借人が主張立証しているのであれば、賃貸人は賃貸借契約を解除することはできない。
〇転借人に対する明渡
・無断転貸が行われた場合には、賃貸人は賃貸借契約を解除することができるが、解除をする前であっても、転借人に対して”所有権”に基づいて明渡し請求をすることができるとされている(判例)。
〇延滞賃料債権
・延滞賃料債権については、特にこれを引き受ける契約がない限り、新賃借人に移転することはない。
2)転貸の効果(613条)
・賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、賃貸人と賃借人との間には従前の関係が継続して存続し、賃借人と転借人との間に新たな賃貸借(転貸借)関係が生じる。
〇賃貸人と転借人との関係
・転借人と賃貸人との間には、直接の賃貸借関係は生じないが、賃貸人の利益を保護するため、転借人は、賃貸人に対して、直接に義務を負うことになる。
→賃貸人は転借人に対して、賃貸人と賃借人の原賃貸借に基づく賃借人の債務を限度として、直接賃料等の請求をすることができる。
この場合、転借人は、転貸人に対する賃料の前払いをもって、賃貸人に対抗することはできない。
●不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲(312条)
・建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する。
・先取特権は、法定担保物権であり、当事者間に約定が存在する必要はない。
3)転借人の地位
〇賃借人の債務不履行・解除により原賃貸借契約が解除されたとき
・転貸借自体は適法なものであっても、賃貸人からの転借人に対する建物の明渡し請求時に終了し(判例)、転借人は退去することとなる。
・賃貸人は、原賃貸借契約の終了を転借人に対抗することができる。この際に、賃貸人は転借人に催告をして弁済の機会を与える必要はない(判例)。
〇原賃貸借契約が合意解除された場合
・賃貸人は、合意解除を、転借人に対抗することはできない。
・転借人は賃貸人の明渡請求に応ずる義務はない。
〇賃貸人の承諾
・賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し、又は賃借物を転貸することができない。
〇借地権の区分マンションの譲渡の場合
・借地権付きマンションの場合でも、やはり専有部分を譲渡した場合などには、借地権の譲渡を伴い、借地権設定者の承諾かこれに代わる裁判所の許可が必要となる。(借地借家法19条)
〇無断の譲渡・転貸
・賃借人が無断で譲渡・転貸を行い、第三者に”使用又は収益をさせたとき”は、信頼関係を破壊するほどのものであれば解除の原因となる。(解除されるまでは転貸借契約も有効)。
賃借物の無断転貸があっても、それが、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情が存在すれば、賃貸人は賃貸借契約を解除することはできない(判例)。
上記特段の事情の主張・立証責任は賃借人にあるので、この特段の事情の存在を賃借人が主張立証しているのであれば、賃貸人は賃貸借契約を解除することはできない。
〇転借人に対する明渡
・無断転貸が行われた場合には、賃貸人は賃貸借契約を解除することができるが、解除をする前であっても、転借人に対して”所有権”に基づいて明渡し請求をすることができるとされている(判例)。
〇延滞賃料債権
・延滞賃料債権については、特にこれを引き受ける契約がない限り、新賃借人に移転することはない。
2)転貸の効果(613条)
・賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、賃貸人と賃借人との間には従前の関係が継続して存続し、賃借人と転借人との間に新たな賃貸借(転貸借)関係が生じる。
〇賃貸人と転借人との関係
・転借人と賃貸人との間には、直接の賃貸借関係は生じないが、賃貸人の利益を保護するため、転借人は、賃貸人に対して、直接に義務を負うことになる。
→賃貸人は転借人に対して、賃貸人と賃借人の原賃貸借に基づく賃借人の債務を限度として、直接賃料等の請求をすることができる。
この場合、転借人は、転貸人に対する賃料の前払いをもって、賃貸人に対抗することはできない。
●不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲(312条)
・建物の賃貸人の先取特権は、賃借人がその建物に備え付けた動産について存在する。
・先取特権は、法定担保物権であり、当事者間に約定が存在する必要はない。
3)転借人の地位
〇賃借人の債務不履行・解除により原賃貸借契約が解除されたとき
・転貸借自体は適法なものであっても、賃貸人からの転借人に対する建物の明渡し請求時に終了し(判例)、転借人は退去することとなる。
・賃貸人は、原賃貸借契約の終了を転借人に対抗することができる。この際に、賃貸人は転借人に催告をして弁済の機会を与える必要はない(判例)。
〇原賃貸借契約が合意解除された場合
・賃貸人は、合意解除を、転借人に対抗することはできない。
・転借人は賃貸人の明渡請求に応ずる義務はない。