先取特権

〇民法:303~341条
〇過去問
・管理業務主任者 H15問3、H18問4、H19問4、H27問2
・マンション管理士 H28問3
 
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
先取特権の内容、物上代位性
1)先取特権(303条)とは
 
・法律の定めた一定の債権を有する債権者が、債務者の財産から優先的に弁済を受けることができる権利。優先弁済権。
・”法定”担保物権なので、当事者が約定(合意)して担保物権を設定する必要はなく、約定がなくても担保物権の権利が成立する。
 
2)物上代位性(304条)
 
・目的物が売却、賃貸、滅失などによって、”代金”、”賃料”、”保険金”などに価値を換えた場合、その価値に対しても担保物権の効力が及ぶ性質。
・物上代位を行使するためには、保険金等が払い渡される前に差押える必要がある。
先取特権の種類
1)先取特権の種類
 
●特別の先取特権(第一順位)
①動産の先取特権
・債務者の特定の動産を目的とする。
・不動産の賃貸借
②不動産の先取特権(325条)
・債務者の不動産を目的とする。
・不動産保存、不動産工事、不動産売買
 
●一般の先取特権(306条 第二順位)
・債務者の”総財産”について優先弁済権を付与される。
・共益の費用、雇用関係、葬式の費用、日用品の供給
 
●共益費用の先取特権(307条)
・共益の費用の先取特権は、各債権者の共同の利益のためにされた債務者の財産の保存、清算又は配当に関する費用について存在する。
 
2)先取特権の順位(329~332条)
 
〇共益の費用の先取特権
・その利益を受けたすべての債権者に対して優先する効力を有する。
〇一般の先取特権と特別の先取特権
・特別>一般
〇一般の先取特権同士
・共益の費用>雇用関係>葬式の費用>日用品の供給
〇不動産の先取特権
・不動産の保存>不動産の工事>不動産の売買
〇同一順位の先取特権同士
・各先取特権者は、その債権額の割合に応じて弁済を受ける。
不動産の先取特権
1)不動産の先取特権の種類
 
①不動産保存の先取特権(326条)
・不動産の保存のために要した費用又は不動産に関する権利の保存、承認若しくは実行のために要した費用に関し、その不動産について存在する。
例)建物について滞納税を支払った場合に、その費用を担保するために当該建物に成立する。
 
②不動産工事の先取特権(327条)
・工事の設計、施工又は監理をする者が債務者の不動産に関してした工事の費用に関し、その不動産について存在する。
例)建物を新築した場合に、その工事代金を担保するために当該建物に成立する。
 
③不動産売買の先取特権(328条)
・不動産の代価及びその利息に関し、その不動産について存在する。
 
2)不動産の先取特権の登記
 
・不動産の先取特権は、いずれも、工事代金の額等を登記しなければ(保存登記)、その効力を生じない。
 不動産保存:保存行為が完了した後直ちに登記。
 不動産工事:工事を始める前にその費用の予算額を登記
 不動産売買:売買契約と同時にその代価・利息を登記
 
〇抵当権との優劣
・不動産保存と不動産工事の先取特権は、先に登記された抵当権があっても優先して行使できる。
不動産賃貸の先取特権
●不動産賃貸の先取特権とは
・その不動産の賃料その他の賃貸借関係から生じた賃借人の債務に関し、賃借人の動産について存在する先取特権。
 
●不動産賃貸の先取特権の目的物の範囲(313~314条)
〇土地の賃貸人の先取特権
・土地
・土地の利用のための建物に備え付けられた動産
・その土地の利用に供された動産
・賃借人が占有するその土地の果実
〇建物の賃貸人の先取特権
・賃借人がその建物に備え付けた動産
〇賃借権の譲渡又は転貸の場合
・賃貸人の先取特権は、譲受人又は転借人の動産にも及ぶ。
〇敷金を受け取った場合
・敷金から弁済を受けられない債権の部分についてのみ、先取特権を有する。
先取特権の効力
●先取特権と第三取得者(333条)
・先取特権は、債務者がその目的である動産をその第三取得者に引き渡した後は、その動産について行使することができない。
 
●一般の先取特権の効力(335条)
・一般の先取特権者は、まず不動産以外の財産から弁済を受け、なお不足があるのでなければ、不動産から弁済を受けることができない。
 
●一般の先取特権の対抗力(336条)
・登記をしてない一般先取特権者は、登記をした抵当権者等の特別担保権を有する第三者には優先力が劣るが、一般債権者に対しては優先弁済効を対抗できる。

コメントを残す

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください