大規模修繕工事の見積の見方 共通仮設、諸経費

マンション大規模修繕工事の共通仮設、諸経費の詳細内訳の中にある項目について調べました。
 
 
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共通仮設の主な見積項目
・建築と設備の複数の工事種目に共通に使用される仮設工事費。
 
●主な項目
 
〇準備に関わる費用
・敷地整理
・道路占有料
・仮設用地借地料
・その他の準備に要する費用
 
〇仮設建物に関わる費用
・現場事務所
・倉庫
・作業員施設等に要する費用
 
〇環境、安全に関わる費用
・安全標識
・消火設備等の設置
・安全管理・合図等の要員の費用
 
〇動力用水、光熱費
・工事用電気設備および工事用給排水設備に要する費用
・工事用電気水道料金
諸経費の主な見積項目
1)現場管理費
 
・工事現場の運営に必要な費用。
 
●主な項目
 
〇労務管理費
・現場労働者などの労務管理に要する費用
・純工事費に含まれない作業用具、作業被服等の費用
・賃金以外の食事、通勤費等に要する費用
・安全、衛生に要する費用、研修訓練等に要する費用
・労災保険法による給付以外に災害時に事業主が負担する費用。
 
〇保険料
・火災保険
・工事保険
・自動車保険
・賠償責任保険および法定外の労災保険
 
〇従業員給与手当
・現場従業員の給与、諸手当(交通費、住宅手当等)、賞与
 
〇法定福利費
・現場労働者に対する労災保険料、雇用保険料、健康保険料、、厚生年金保険料の事業主負担額
・建設業退職金共済制度に基づく事業主負担額
 
〇事務用品費
 
〇通信交通費
・通信費、旅費、交通費
 
2)一般管理費
 
・工事原価とは別に扱われる経費で、企業の運営に必要な経費全体から当該工事で負担すべき割合の費用と営業利益との合計額。
電線保護、防護管設置費用
電線付近に仮設足場を設置する際に、十分な安全距離の確保が出来ない場合は、防護管の取付が必要になる。
 
(1)概要
 
・労働安全衛生規則等により、送配電線部分と人体、ワイヤーロープ、吊り荷の離隔距離を常に保つようにする。
 
●配電線からの最小離隔距離
〇100V、200V
・労働基準局長通達:1.0m
※絶縁防護された場合はこのかぎりではない。
・電力会社の目標値:2.0m
〇6600V
・労働基準局長通達:1.2m
※絶縁防護された場合はこのかぎりではない。
・電力会社の目標値:2.0m
 
(2)労働安全衛生規則、労働基準局長通達
 
1)労働安全衛生規則 第570条(鋼管足場)第1項第6号
 
架空電路に近接して足場を設けるときは、架空電路を移設し、架空電路に絶縁用防護具を装着する等架空電路との接触を防止するための措置を講ずること。
 
2)労働基準局長通達(昭和50年12月17日基発第759号)移動式クレーン等の送配電線類への接触による感電災害の防止対策について
 
①送配電線類に対して安全な離隔距離を保つこと。
・高圧(6600V):1.2m
・低圧(100、200V):1m
②監視責任者を配置すること。
③作業計画の事前打合せをすること。
・この種作業の作業計画の作成に当たっては、事前に、電力会社等送配電線類の所有者と作業の日程、方法、防護措置、監視の方法、送配電線類の所有者の立会い等について、十分打ち合わせるように努めること。
④関係作業者に対し、作業標準を周知徹底させること。
 
(3)電力会社への連絡、打合せ(東京電力パワーグリッド)
 
※感電災害を防ぐ|安定供給を支える設備|東京電力パワーグリッド株式会社
 
●電力会社へ連絡
・配電線の付近で移動式クレーン、圧送車、足場等を使用されるときは、電力会社へ連絡する。
 
●現地確認、打合せ
・クレーン、圧送車、足場等と配電線の間にどのような危険が潜んでいるのか、具体的にどのように感電災害を防ぐかについて現地確認・打合せを行う。
 
●防護管の設置
・接近を防止する目印として、電線に防護管を設置する必要がある。
・防護管設置後も、安全な離隔距離を確保する。
・充電線路接近作業となるため、電力会社にて設置する。
・設置の申込は、3週間前までに連絡する。
・建設工事用防護管の設置費用は使用者が負担する。
 
〇電力会社に支払う費用の単価
・基本料金(取付・取外等の協議+基本工事費用):51,700円
・加算単価
 高圧線防護:1,034円/本
 低圧線防護:693円/本
 機器防護:27,500円/基
道路使用許可手続き費用
(1)概要
 
・建物敷地を越境して工事や作業を使用とする行為に際しては所轄警察署長の使用許可が必要。
・仮設足場等の資材搬出入の際に、トラックを道路に止め、作業を行うために必要。
 
(2)道路の使用に関する規則(道路交通法)
 
1)道路の使用の許可(法77条)
 
次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長の許可を受けなければならない。
 
一 道路において工事若しくは作業をしようとする者又は当該工事若しくは作業の請負人(1号許可)
 
2)許可の手続き(法78条)
 
前条第一項の規定による許可を受けようとする者は、内閣府令で定める事項を記載した申請書を所轄警察署長に提出しなければならない。
 
2 前条第一項の規定による許可に係る行為が道路法32条1項又は3項の規定の適用を受けるものであるときは、前項の規定による申請書の提出は、当該道路の管理者を経由して行なうことができる。この場合において、道路の管理者は、すみやかに当該申請書を所轄警察署長に送付しなければならない。
 
3)申請費用(東京都の場合)
 
東京都、警視庁の道路使用許可の1号許可の申請手数料・申請費用
2,700円
 
4)道路交通法における”道路”の定義
 
〇公道
〇一般交通の用に供するその他の場所
・私有地も含まれる
・”敷地に接続している私道(位置指定道路や2項道路)”は通常これに該当する。
・”セットバック部分”も該当する
・一定の条件・範囲で”民間・公的な駐車場”も含まれる
 
※法2条(定義)
一 道路 道路法2条第1項に規定する道路、道路運送法2条8項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。
 
(3)申請費用の例
 
・大規模修繕工事では、足場組立時(期間によっては2回)、足場解体時1回、朝顔等落下防護棚1回(面によって複数)、複数の申請毎に手数料、そして申請する手間(人工)賃がプラスアルファで掛かる。
・足場組立×2回、解体1回、朝顔2回の計5回とすると申請手数料として13,500円かかる。
道路占用許可手続き費用
工事期間中継続して建物敷地を越境、一部足場や防護棚が道路を占用する際には、道路管理者による道路占用許可が必要で、占用料がかかる。
 
(1)概要
 
・建築用足場・仮囲い・突出看板等がやむを得ず、道路にはみ出る場合(占用するとき)は、道路占用許可および道路使用許可が必要となる。
・占用する施設および物件の種類に応じて占用料が必要となる。
・都道の場合は、申請先が東京都建設局、国道の場合は、申請先が国土交通省関東地方整備局になる。
 
(2)道路の占用に関する規則(道路法)
 
1)道路の占用の許可(法32条、令7条)
 
道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。
 
七 前各号に掲げるもののほか、道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの
 
〇道路の構造又は交通に支障を及ぼすおそれのある工作物等(令7条)
 
四 工事用板囲、足場、詰所その他の工事用施設
 
2)申請書の提出(法32条2号)
 
以下の事項を記載した申請書を道路管理者に提出しなければならない。
一 道路の占用の目的
二 道路の占用の期間
三 道路の占用の場所
四 工作物、物件又は施設の構造
五 工事実施の方法
六 工事の時期
七 道路の復旧方法
 
〇警察署長を経由した提出
許可に係る行為が道路交通法77条1項の規定(道路の使用の許可)の適用を受けるものである場合においては、上記の申請書の提出は、当該地域を管轄する警察署長を経由して行なうことができる。
 
3)工事実施の方法
 
〇工事実施の方法に関する基準(令13条)
法32条2項5号に掲げる事項についての基準は、次のとおりとする。
 
四 原則として、道路の一方の側は、常に通行することができることとすること。
五 工事現場においては、さく又は覆いの設置、夜間における赤色灯又は黄色灯の点灯その他道路の交通の危険防止のために必要な措置を講ずること。
 
4)道路法の”道路”
 
・公道のみ(国道・都道府県道・市町村道・高速道路)で、それ以外(公衆通行地)は含まれない。
 
(3)手続きの例(台東区の場合)
 
※足場・仮囲・朝顔の道路占用 台東区ホームページ
 
1)提出書類
 
①道路占用許可(協議)書(4枚綴り)
②図面(案内図・平面図・立面図・断面図)
・平面図・立面図・断面図には、いずれも足場・仮囲等の図面を用意する。
・道路境界線を赤色で明示し、方位、道路幅員、占用出幅および延長を記入。
③道路使用許可申請書
・上記②と同じ図面をそれぞれに貼付。(申請書は警察で入手)
④工事着手届・工事竣工届
・占用を始める前までに提出する。
 
2)許可までの流れ
 
①区役所道路管理課で図面審査
②現場の管轄の警察署で図面審査
③占用料納付
 
3)占用料の計算方法(概算)
 
①足場、仮囲
 25,200円/m2・年、2,100円/m2・月
②朝顔
 7,600円/m2・年、633円/m2・月
 
〇工事期間が3ヶ月、足場占用を10㎡、防護棚占用を30㎡の場合
・足場:2,100×3ヶ月×10=63,000円
・朝顔:633×3ヶ月×30=56,970円
機械等設置届の手続き費用
(1)概要
 
・仮設足場設置(高さ10m以上、設置期間が60日以上のもの)するにあたって、労働基準監督署に届け出が必要になる。
・”機械等設置届”という書類を作成して、着工30日前に提出。
 
(2)機械等(仮設足場)設置に関する規則(労働安全衛生法)
 
1)計画の届出等(法88条1項)
 
事業者は、機械等で、危険若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。
 
●計画の届出をすべき機械等(規則85条)
・法88条1項の厚生労働省令で定める機械等は、法に基づく他の省令に定めるもののほか、別表第7の上欄に掲げる機械等とする。ただし、別表7の上欄に掲げる機械等で次の各号のいずれかに該当するものを除く。
二 機械集材装置、運材索道、架設通路又は足場で、組立てから解体までの期間が60日未満のもの
 
〇別表7
十二 足場(つり足場、張出し足場以外の足場にあつては、高さが10m以上の構造のものに限る。)
 
●計画の届出等(規則86条)
・事業者は、別表7の上欄に掲げる機械等を設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、法88条1項の規定により、様式20号による届書に、当該機械等の種類に応じて同表の中欄に掲げる事項を記載した書面及び同表の下欄に掲げる図面等を添えて、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
・足場の場合の中欄に掲げる記載事項:設置個所、種類・用途、構造・材質・主要寸法 ・足場の場合の下欄に掲げる図面:組立図・配置図
 
〇届出用紙(様式第20号)の記入要領
・「事業の種類」:「総合工事業」・「職別工事業」・「設備工事業」
・「計画の概要」:機械等の設置、移転又は変更の概要を簡潔に記入
・「参画者の経歴の概要」:参画者の資格に関する職歴・勤続年数を記入
・「工事着手予定年月日」、「工事落成予定年月日」:建設物の契約工期ではなく該当する足場の設置期間について記入
 
2)資格を有する者の参画(法88条4項)
 
事業者は、第1項の規定による届出に係る工事のうち厚生労働省令で定める工事の計画、第2項の厚生労働省令で定める仕事の計画又は前項の規定による届出に係る仕事のうち厚生労働省令で定める仕事の計画を作成するときは、当該工事に係る建設物若しくは機械等又は当該仕事から生ずる労働災害の防止を図るため、厚生労働省令で定める資格を有する者を参画させなければならない。
 
●資格を有する者の参画に係る工事又は仕事の範囲(規則92条の2)
・法88条4項の厚生労働省令で定める工事は、別表7の上欄10号及び12号(足場)に掲げる機械等を設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更する工事とする。
 
●計画の作成に参画する者の資格(規則92条の3)
・法88条4項の厚生労働省令で定める資格を有する者は、別表9の上欄に掲げる工事又は仕事の区分に応じて、同表の下欄に掲げる者とする。
 
〇12号(足場)に掲げる機械等に係る工事
①次のイ及びロのいずれにも該当する者
イ)次のいずれかに該当する者
・足場に係る工事の設計監理又は施工管理の実務に3年以上従事した経験を有すること。
・建築士法4条2項に規定する一級建築士の免許を受けることができる者であること。
・建設業法施行令27条の3に規定する一級土木施工管理技術検定又は一級建築施工管理技術検定に合格したこと。
ロ)工事における安全衛生の実務に3年以上従事した経験を有すること又は厚生労働大臣の登録を受けた者が行う研修を修了したこと。
②労働安全コンサルタント試験に合格した者で、その試験の区分が土木又は建築であるもの
③その他厚生労働大臣が定める者
 
(3)主な届出書類・添付書類
 
・様式第20号(機械等設置届)
・案内図
・工程表
・平面図
・立面図
・詳細図
・足場部材等明細書
・構造計算書

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