給水装置設計・施工基準(給水装置編)給水管の種類・口径・埋設深さ等、水道メータ

東京都水道局の『給水装置設計・施工基準(給水装置編)(R3年10月版)』を読んで給水装置の設計・施工方法を勉強しました。参考になった点、要点等をメモ書きしました。
 
13.1.2 宅地内に使用する給水管
13.2 配管口径等配管上の注意
13.3 給水管の埋設深さ
15.2.4 各戸メータ設置条件
 
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宅地内使用の給水管の種類・特徴(金属管)
1)ライニング鋼管
 
①硬質塩化ビニルライニング鋼管(JWWA K 116)
・給湯管への使用禁止。
・一部を除き、地中埋設禁止。
②ポリエチレン粉体ライニング鋼管(JWWA K 132)
・管端部及びねじ部に防食処理を施す。
・給湯管への使用禁止。
・一部を除き、地中埋設禁止。
③耐熱性硬質塩化ビニルライニング鋼管(JWWA K 140)
・85℃以下の給湯管に使用可能。
・使用圧力は1.0MPa以下とする。
・地中埋設及び屋外露出配管は禁止。
・管外面には塗装による防錆処理を施す。
・接合には管端防食処理を施す。
 
〇長所
・外力に対する強度が大きい。
・管内にサビ、スケール発生がない。
〇短所
・ライニングされた部分がはくりしやすいので、施工時の取扱いに注意を要する。
・施工性が悪い。
・電食を受けやすい。
 
2)ステンレス鋼管
 
①ステンレス鋼管(SUS304,316)
②波状ステンレス鋼管(SUS304,316)
 
〇長所
・腐食のおそれが少ない。
・管内にスケールの発生がない。
・強度があり、外傷やつぶれのおそれが少ない。
・軽量。
〇短所
・電食を受けやすい。
・熱膨張率が大きく伸びやすい。
 
3)鋳鉄管
 
①ダクタイル鋳鉄管
〇長所
・強度があり、外力、凍結等に強い。
・せん孔に適している。
〇短所
・重量がある。
・電食を受けやすい。
 
4)銅管
 
〇長所
・軽量。
・耐アルカリ性でコンクリート、モルタル内の布設に適する。
・管内にスケールの発生がない。
〇短所
・外傷を受けやすい。
・電食を受けやすい。
・原水に遊離炭酸が多いときは、銅が溶解して白布などに着色することがある。
〇注意点
・酸性土壌へ埋設する場合は被覆銅管が望ましい。
・厨房、浴室、ベランダの床や壁面のコンクリートのように水が浸透する箇所に敷設するときには、被覆銅管が望ましい。
宅地内使用の給水管の種類・特徴(樹脂管)
1)塩化ビニル管
 
①硬質塩化ビニル管
②耐衝撃性硬質塩化ビニル管
 
〇長所
・耐酸、耐アルカリ性に富み、電食のおそれがない。
・スケールの発生がない。
・施工が容易。
・軽量。
〇短所
・衝撃に弱く外傷を受けると強度が低下する。
・耐熱性が低い。
・温度に対する膨張率が大きく温度変化の激しい場所に布設する場合は伸縮継手等が必要。
・シンナーなどの溶剤におかされる。
・直射日光を避けて保管する。
〇注意点
・軟弱地盤又は化学薬品に浸された土壌での使用禁止。
・給湯管への使用禁止。
 
2)耐熱性硬質塩化ビニル管
 
〇長所
・耐酸、耐アルカリ性に富み、電食のおそれがない。
・スケールの発生がない。
・施工が容易。
・軽量。
〇短所
・衝撃に弱く外傷を受けると強度が低下する。
・温度に対する膨張率が大きく温度変化の激しい場所に布設する場合は伸縮継手等が必要。
・シンナーなどの溶剤におかされる。
〇注意点
・90℃以下の給湯管に使用可能。
・使用水温により、使用圧力が異なる。
・軟弱地盤又は化学薬品に浸された土壌での使用禁止。
 
3)架橋ポリエチレン管、ポリブテン管
 
①水道用架橋ポリエチレン管
・この管は、主に水道水の屋内配管として使用する。
・屋外露出配管の場合には、管に直射日光が当たらないように外面被覆を施す。
・M種管は乳白色、E種管はライトグリーン。
・E種管の継手は、JISK6788(水道用架橋ポリエチレン管継手)のE種の継手以外のものを使用しないこと。
・管は傷つきやすいので、投げたり、引きずったりするようなことは避けること。
②水道用ポリブテン管
・この管は、主に水道水の屋内配管として使用する。
・屋外露出配管の場合には、管に直射日光が当たらないように外面被覆を施す。
・管の色は明るい灰黄(ベージュ)色。
・管は傷つきやすいので、投げたり、引きずったりするようなことは避けること。
 
〇長所
・耐寒性、耐衝撃強さ、耐食性、耐塩素水性に優れている。
・軽量。
・柔軟性に富んでいる。
・長尺物のため、少ない継手で施工出来る。
〇短所
・有機溶剤などに侵されるおそれがある。
配管口径等配管上の注意
1)配管口径
 
●原則、増径不可
・給水管の口径は、分岐口径と同等又はそれ以下でなければならない。
・原則として給水管の口径は、その上流側より下流側を増径すること(「先太配管」という)はできない。
ただし、次のものについてはこの限りではない。
ア)別に定める基準に基づき増径を認めるもの(いずれもメータの下流側)
(ア)増圧給水設備以下の給水装置の配管
(イ)特例直圧給水の給水装置の配管
(ウ)3階までの受水タンク以下装置を直圧直結給水に切り替える場合の既設配管
イ)既設の給水装置又は受水タンク以下装置において、水使用実態の変更等により、所有者からメータ口径減径の要望があった場合は、現状の水使用実態とメータの選定基準を照らし、給水課長が問題ないと判断したものについて2段階までの減径を認める。
ただし、増圧直結給水方式の場合、増圧ポンプ口径がメータ口径より大きくならないこと。
ウ)上記ア、イともに、末端の吐出口は経由したメータの口径より大きくならないこと。
エ)地上式メータユニット、複式メータボックスを使用する場合は、上流側の給水管口径がユニット等の接続部の口径より小さい場合においても「先太配管」として扱わない。
この場合の接続方法は、継手類のみ使用した接続が望ましいが、必要最小限の増径配管による接続も可とする。
 
2)道路下で使用する給水管の口径
 
・原則として20mm以上とする。
 
3)2階等に配管する場合の止水栓の設置
 
・給水管を2階以上又は地階に配管する場合は、修理や改造工事に備えて、その配管の途中で容易に操作できる箇所に止水栓を設置することが望ましい。
 
4)その他配管上の注意
 
・鋳鉄管の配管で勾配をつけて配管する必要がある場合は、原則として受口を上り勾配に向けて施工する。
・管の切断
ア)異形管は切断してはならない。
イ)管の切断は、管軸に対して直角に行う。
・クロスコネクション等を防止するため、給水管と他の管との交差は極力避ける。
・給水管は、下水、便所、汚水タンク等から遠ざけて配管する。
 
5)曲げ配管
 
・給水管の配管は、直管や曲管などを接続して行わなければならないが、施工上、異形管がなかったり、使用できない箇所がある場合には、次により直管を曲げて配管することができる。
 
●硬質塩化ビニル管
・曲げ角度6°以内で生曲げとする。
 
●銅管
・断面が変形しないように、できるだけ大きな半径で少しずつ曲げる。
 
●ステンレス鋼管
・ベンダー(管曲げ加工機)で、管を一定の角度に曲げ加工し、配管する。
・曲げの最大角は原則として90゜(補角)とし、曲げ部分にしわ、ねじれ等がないようにする。
・継手ののみ込み寸法等を考慮して、曲がりの始点又は終点からそれぞれ10㎝以上の直管部分を確保する。
・曲げの曲率半径は、管軸線上において4D以上でなければならない。
 
●波状ステンレス鋼管
・波状ステンレス鋼管を切断する場合は、継手ののみ込み部分を考慮して直管部分を約10㎝以上確保する。
・給水管の埋設深さ調整、立上り部等の曲げ配管は波状部で行うこととし、配管場所の状況に合わせて仮曲げを行う。
・波状部は、滑らかなカーブで各山が均等になるように曲げる。
・曲げ角度は、90度以内とし、過度な繰返し曲げは行わない。
 
●NS・GX形ダクタイル鋳鉄管
・接続の際に、施工上やむを得ず接続部で曲げ配管となる場合があるが、曲げ角度が過大となると、離脱や、漏水の原因となるので、規定の角度の範囲内で施工する。
 口径250㎜以下:4度以内、口径300㎜以上:3度以内
給水管の埋設深さ
・自動車等の走行による荷重や衝撃、道路管理者が行う道路改修工事等による影響を防止するため、障害物があるなど技術上やむを得ない場合を除き、定められた深さを保つように配管する。
・国道上においてやむを得ず標準土被りを確保できない場合は、当該国道出張所と協議のうえ給水管の防護を行う。
 
〇宅地
・0.3m以上。
・メータの設置位置が公私境界線から1.5m以内で、メータ上流側の給水管の保全が確保される場合は、メータ上流側の埋設深さをメータ取り付け位置の深さに合わせることができる。
 
〇私道
・口径75㎜未満:0.5m以上、口径75㎜以上:0.75m以上
・公道に準ずる道路又は車の出入りの激しい場所においては、車道に準ずる深さとする。
 
〇歩道
・国道:0.5m以上
・都道:0.6m以上
・区市町道:各市町村の取り扱い
各戸水道メータの設置
(1)メータ接続部の経年劣化、メータユニット化
 
●メータ接続部の腐食
・水道メーターの材質は砲金(銅90%、スズ10%程度)性がほとんど。
→築20年以上のマンションでは、砲金性の水道メーターと接続している配管は鋼管であることが多く、この場合、砲金と鋼管の異なる金属での接続。
→同種類の配管同士の接続箇所よりも、腐食がかなり激しく漏水事故のリスクがかなり高い。
 
●メータユニットの概要
・メータユニットは、メータ前後に使用する器具(止水栓、逆止弁、減圧弁、メータ接続器具類)を金属製の台座上に取り付け、一体化した器具。
・これにより、継手が不要となり、メータ前後配管の耐食性や強度が大幅に向上する。
メータユニット
 
〇止水弁
・水道メーターや室内の蛇口の取り替えで断水するときに必要になる。
〇減圧弁
・直結増圧ポンプから各部屋に直接給水する場合は、下の階は水圧が高く、上の階になると水圧が低くなるので、どの階でも一定の水圧にするために減圧弁を付ける。
・水圧の調節をすると、専有部内の配管や給水設備の寿命を延ばすことにも繋がる。
 
(2)各戸メータ設置条件
※『給水装置設計・施工基準(給水装置編)』15.2.4 各戸メータ設置条件
 
1)構成
 
〇メータを新規に設置する場合(13~25㎜)
・メータユニットを設置すること。
 
〇既設のメータ前後配管を改造する場合(13㎜から25㎜まで)
イ)メータユニットを設置する。
ロ)以下構成による。
・メータに近接して上流側に止水器具を、下流側に止水器具又は逆止弁を設置する。なお、ポンプ直送給水構造又は蓄圧式タンクを使用した構造の場合、下流側には逆止弁を設置する。
・原則としてメータの上流側に「メータソケット」を、下流側に「メータ伸縮ソケット」を設置する。
 
〇13~25㎜以外のメータを設置する場合
以下構成による。
・メータに近接して上流側に止水器具を、下流側に止水器具又は逆止弁を設置する。なお、ポンプ直送給水構造又は蓄圧式タンクを使用した構造の場合、下流側には逆止弁を設置する。
・原則としてメータの上流側に「メータソケット」を、下流側に「メータ伸縮ソケット」を設置する。
 
2)メータ室内の配管
 
配管に際しては、各材料の接続部に異種金属の接触による腐食等が生じないよう適切な防食対策を講じる。
 
〇メータユニットを設置する場合
以下の構成よる配管、又は同等の材料を組み合わせた配管とすること。なお、メータユニットの接続部形状がテーパめねじの場合、管端防食コアを内蔵し、接続継手は、管端防食コア対応型のものを使用する。
イ)硬質塩ビライニングorポリエチレン粉体ライニング→メータユニット→フレキシブル継手→管端防食継手→硬質塩ビライニングorポリエチレン粉体ライニング
ロ)ステン鋼管→おねじ付ソケット→メータユニット→架橋ポリエチレン管接続用継手→架橋ポリエチレン管
ハ)硬質塩ビライニングorポリエチレン粉体ライニング→メータユニット→鋼管接続用波状継手→硬質塩ビライニングorポリエチレン粉体ライニング
 
〇メータユニットを設置しない場合(メータを新規に設置しないもの)
参考配管例(例図1から4)による配管、又は同等の材料を組み合わせた配管とすること。
 
3)防食対策
 
・弁類及び継手は管端防食構造、又は絶縁構造(異種金属接触防止構造)の耐食性に配慮した材料を使用すること。
・各ねじ接合部は、シール材及び防食テープにより、必ず防食措置を施すこと。
・青銅製品どうしの接合に使用するニップルは、必ず青銅製のものを使用すること。
 
4)メータ室及びメータ設置環境
 
・定期検針、メータ引換、止水栓操作、停水キャップ着脱等の作業が容易に行えること。
・衛生的でメータ損傷のおそれがなく、かつ、メータが水平に取り付けられる配管構造とするとともに、メータ室扉面と平行に設置すること。
・メータ室の広さは、原則としてメータ1個につき規定の寸法を満たすこと。
・メータ室は、漏水やメータ取外時の戻り水などによる階下の住宅等への浸水被害を防止するため、防水、排水の措置を講じること。
・メータ及びメータ室内の配管の凍結防止のため、必要に応じ、保温カバーを設置すること。また、設置に際しては、メータ引換え、定期検針、止水栓操作等の作業が容易に行えるようにすること。
・メータ室内の配管は、支持具等により適切に配管の支持を行うこと。
・集合住宅の各戸にメータを設置する場合は「集合住宅におけるメータ設置の規則性の確保」を適用する。

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