フローリング張りの概要、施工方法

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フローリングの概要
●フローリングとは?
 
・主に木質系材料からなる床板で表面加工などの加工を施したもの。
※フローリングの日本農林規格
表面加工の材料及び基材に用いられた木質系材料の合計厚さが、表面加工の材料及び基材の合計厚さの50%以上であり、かつ、基材を構成する材料に木質系の材料を用いたもの
 
●フローリングの特徴
 
○長所
・湿気を吸収・放出する湿度調節能力。
・熱伝導率が低く、断熱性に優れる。
・ダニやカビが発生しにくく、紫外線を吸収し、光を乱反射するので衛生的かつ健康的。
・軽量、強度や弾力性に富む。
・切削加工が容易。
・色調が豊富で自然の木目が優しく、工芸的な美しさを持ち、肌触りがソフト。
 
○短所
・湿気を吸うと膨張し、乾燥すると収縮する。
・湿潤な状態では腐敗しやすい。
・虫害を受けやすい樹種がある。
・燃えやすい。
・色・木目が完全には揃わない。
 
●フローリングの工法の分類
 
○根太張
・フローリング材を床組を構成する根太の上に直接貼り付ける工法。
・釘打により貼り付けることが一般的だが、最近では接着剤を併用する場合が多い。
・釘打工法は、下地により根太(ねだ)工法と捨張工法がある。
 
○直張
・フローリング材を接着剤のみで下地に施工する方法。
・下地がモルタル面や捨て張りされている場合等、下地が平面で、強度を有する場合でないと用いえない。
用語、定義
1)突き板、挽き板、無垢材
 
○突き板(つきいた、突板)
・木材を0.2~0.6mmに薄くスライスした板材。
・美しい木目を持つ木材が用いられ、銘木単板(めいぼくたんぱん)とも呼ばれる。
・合板や繊維板(ファイバーボード)の表面等に用いられ、突板を表面に用いた合板は天然木化粧合板と呼ばれる。
・フローリングや建材・家具などの表面化粧材。
 
○挽き板(ひきいた、挽板)
・鋸などで挽いて切った木の板のこと。
・突板(つきいた、0.2mm~0.6mm)よりも厚めの木材。
・厚みを持たせることで、無垢同等の味のある質感を出している。
・単層無垢材に比べると、天然木の表情を生かしたまま、木の繊維を縦横交互に積層接着する、または合板と組み合わせると、反りやひび、狂いを防ぐことができる。
 
○無垢材
・合板や集成材ではなく、使用する形状で丸太から切り出した木材。
・割れやひびなどが入りやすいが、天然木本来の風合いを持ち、室内の湿度を調整する働きもある。
 
2)フローリングの構成層、化粧
 
〇基材
・フローリングを構成する材料のうち、フローリングの表面に美観を表すことを主たる目的として施された加工層及び表面加工の保護を目的として積層された材料並びに裏面に防湿及び不陸緩和を目的として積層した材料以外のものをいう。
 
〇化粧加工
・複合フローリングの表面に美観を表すことを主たる目的として施された加工(オーバーレイ、塗装その他の表面加工のうち、被覆した表面材料の美観を生かしたものを除く。)をいう。
 
〇天然木化粧
・天然木のひき板又は単板を用いた化粧加工をいう。
 
〇特殊加工化粧
・天然木化粧以外の化粧加工をいう。
 
3)施工
 
○根太張用
・根太の上に直接張り込むことを目的としたフローリングの用途であって、通常の使用状態において要求される曲げ剛性及び曲げ強度を有するものをいう。
 
○根太張
・フローリング材を床組を構成する根太(床板を支えるため、床の下に渡す横木)の上に直接貼り付ける工法。
・釘打により貼り付けることが一般的だが、最近では接着剤を併用する場合が多い。
・釘打工法は、下地により根太(ねだ)工法と捨張工法がある。
 
○直張用
・根太張用以外の用途のものをいう。
 
○直張
・フローリング材を接着剤のみで下地に施工する方法。
・下地がモルタル面や捨て張りされている場合等、下地が平面で、強度を有する場合でないと用いえない。
・一般的には直貼り専用のフローリング材が用いられる。
・コンクリート建造物等の躯体床面に強度がある場合、根太や各種下地工法を省く事ができる。
単層、複層フローリング
(1)単層フローリング
 
・ひき板を基材とし、厚さ方向の構成層が1のフローリング(裏面に防湿及び不陸緩和を目的として積層した材料を接着したものを含む。)をいう。
・ブナ・サクラ・ナラ・イタヤなどの一枚板により構成されている自然素材。
 
1)分類
 
〇フローリングボード(根太張用又は直張用)
・一枚のひき板(これをたて継ぎしたものを含む。)を基材。
・現在、広く生産・流通・施工されているのはフローリングボード。
 
〇フローリングブロック(直張用)
・ひき板(これをたて継ぎしたものを含む。)を2枚以上並べて接合したもの(雁行タイプを含む。)を基材。
・ムクの板を2枚以上並べて接合し、側面加工などを施した正方形のブロック。
 
〇モザイクパーケット(直張用)
・ひき板の小片(最長辺が22.5㎝以下のもの、ピース)を2個以上並べて紙等を用いて組み合わせたものを基材。
 
※無垢フローリング
・合板を使用せず、原木を切断加工したのみのいわゆる”無垢材”を用いたフローリング。 ・日本農林規格の分類上は単層フローリング。
 
2)無垢フローリングの特徴
 
〇メリット
・天然材の香りや雰囲気を楽しむことができる。
・踏み心地が柔らかなものが多く、足への負担が小さい。
・傷がついても削ることで修復が可能。
→一枚板なので傷んできたり、汚れてしまったときに表面を削り、塗装し直せば新規施工と同様に美しくなる。

・経年変化を楽しむことができる。
・無垢材は他の建材に比べ、表面の温度変化が小さく、調湿機能があるため室内の湿度を一定に保つことができる。
 
〇デメリット
・複合フローリングよりも高価な場合が多い
・水に弱い樹種がある
・色のばらつきが大きい
・狂いが出やすい樹種も多い
・空気中の水分や湿気により伸縮が生じやすく、節に近い部分や乾燥が不十分な物はねじれたり反ったりすることがある。
 
(2)複合フローリング
 
・単層フローリング以外のフローリングあって、根太張用又は直張用として使用されるものをいう。
・一層以上の基材の表面に、0.3~2mm程度の厚さの化粧加工用の木材を張ったもの。
・代表的な商品は合板を基材とし、表面に天然突き板を張り合わせたもの。(公共建築改修工事標準仕様は、天然木化粧としている。)
・加工材の普及に伴い、施工が増加しており、一般的な住宅の主流となっている。
・基材には合板を用いることが多いが、集成材、単板積層材、中密度繊維板をはじめとするファイバーボードなど多様な材料が用いられている。
・耐用年数をさほど必要としないマンションや一般家屋などに多く使われている。
・マンションでの階下への遮音性能を高めるため、基材の下にゴム・ウレタン等のクッション材を貼り付けた”遮音フローリング”も存在する。
 
○化粧加工
・無垢材の突板を張り合わせることもあるが、床材としての耐久性を保つため、WPC(プラスティックと混成した木材)をはじめとする特殊加工化粧材が用いられることも多い。
 
1)複合フローリングの特徴
 
〇メリット
・耐水性に優れ、傷にも強い。
・品質が一定で無垢フローリングよりも安価。
・合板などに木の単板などを貼り合わせた複合フローリングは、温度・湿度の変化に強く、膨張伸縮が少ないため、変形(反りや膨張、収縮)しにくい
・耐摩耗性や対衝撃性、遮音等、用途によって選べる商品が多い。
→床暖房用フローリング、耐水フローリング、防虫フローリングなど。
・デザインや色が豊富
・メンテナンスが楽
・塗装品もあり、短期間での施工が可能。
 
〇デメリット
・表面の単板が剥がれる様な傷は補修が難しい
・踏み心地がかたい
・見た目の高級感が得にくい
・経年変化を楽しむことができない
 
2)複合フローリングの1種、2種、3種
 
①複合1種フローリング (根太貼用、直貼用)
合板のみを基材
 
②複合2種フローリング (根太貼用、直貼用)
集成材又は単板積層材のみを基材
 
③複合3種フローリング (根太貼用、直貼用)
複合1種及び複合2種以外の複合フローリング
フローリングの施工
(1)施工全般の注意点
 
・幅木(壁と床が接する部分に設けられた横板)下及び敷居下の板そばには,必要に応じて,板の伸縮に備えた隙間を設ける。
・単層フローリングに現場で塗装仕上げを行う場合は,現場塗装仕上げによる。
・寒冷期に施工する場合は,適切な防寒,保温設備等を設け,凍害のないようにする。
 
(2)釘留め工法
 
1)根太張り工法
 
・根太の上に,下張りを行わずに,直接フローリングボード又は複合フローリングを接着剤を併用して釘打ちで張り込む工法。
・低コストで工期も短くなるが、床鳴りが生じやすく、重い家具などが根太との間にかかった場合、床材がたわみやすく床鳴りも発生しやすい面がある。
 
●材料
〇フローリング
・フローリングボード(根太張用)
・複合フローリング(根太張用)
・樹種は特記がなければ,ならとする。
 
〇釘
・原則として,スクリュー釘,フロア釘及びフロア用ステープルとする。
 
〇接着剤
・JIS A 5536(床仕上げ材用接着剤)によるエポキシ樹脂系,ウレタン樹脂系又は変成シリコーン樹脂系とする。
 
●施工
〇フローリングボード張り
①板の割付け(どのようなパターンで仕上げ材を張り付けていくか)
・継手を乱にし,板そば,木口等のさね肩,しゃくり溝等を損傷しないように通りよく敷き並べて締め付け,
※フローリング材の実(サネ)
・フローリング材の継ぎ手部分(フローリング材が組み合わさるところ)にある凹凸になっている箇所。
②釘留め
・根太当たりに雄ざねの付け根から隠し釘留めとする。
・接着剤を併用し平滑に留め付ける。
 
〇複合フローリング張り
①板の割付け(どのようなパターンで仕上げ材を張り付けていくか)
・張込みに先立ち,木理,色沢等配置よく割り付ける。
②釘留め
・接着剤を併用し,継手を根太上とし通りよく敷き並べて,板そば,木口のさね肩を損傷しないように平滑に根太へ向け,雄ざねの付け根から隠し釘留めとする。
 
2)直張り(下張り、捨て張り)工法
 
・根太の上に下張り用床板を張り,その上にフローリングボード又は複合フローリングを釘打ちで張り込む工法に適用する。
・必要に応じて,接着剤を併用する。
・根太張り工法よりも床の剛性は高まり、床鳴りも少なく、強度、耐久性共に高まる。
 
●材料
〇フローリング
・フローリングボード(直張用)
・複合フローリング(直張用)
・樹種は特記がなければ,ならとする。
 
〇釘
・原則として,スクリュー釘,フロア釘及びフロア用ステープルとする。
 
〇接着剤
・JIS A 5536(床仕上げ材用接着剤)によるエポキシ樹脂系,ウレタン樹脂系又は変成シリコーン樹脂系とする。
 
●施工
〇フローリングボード張り
①下張り用床板を捨て張り
・下張り用床板は,下張りと上張りとの継手位置が合わないようにする。
・根太間隔は,300mm程度とする。
②板の割付け
・継手を乱にし,板そば,木口等のさね肩,しゃくり溝等を損傷しないように通りよく敷き並べて締め付ける。
③釘留め
・根太当りに雄ざねの付け根から隠し釘留めとする。
・必要に応じて,接着剤を併用し平滑に留め付ける。
 
〇複合フローリング張り
①下張り用床板を捨て張り
・下張り用床板は,下張りと上張りとの継手位置が合わないようにする。
・根太間隔は,300mm程度とする。
②板の割付け
・木理,色沢等配置よく割り付ける。
③釘留め
・所定の接着剤を下地に塗布し,通りよく敷き並べて,板そば,木口のさね肩を損傷しないように平滑に根太へ向け雄ざねの付け根から隠し釘留めとする。
 
(3)接着工法(直床工法)
 
・コンクリート又はモルタル下地の類に,接着剤を用いてフローリングを張り込む工法。
・マンション等の防音フローリングの施工方法として普及している。
・下地が平面で、強度を有する場合に用いる。
 
●材料
〇フローリング
・単層フローリング(直張用)
・複合フローリング(直張用)
・マンションの防音対策用等で利用されるフローリング裏面の緩衝材は、特記がなければ,合成樹脂発泡シートとする。
 
〇接着剤
・JIS A 5536 (床仕上げ材用接着剤)によるエポキシ樹脂系,ウレタン樹脂系又は変成シリコーン樹脂系とする。
 
●施工
①板の割付け
・木理,色沢等配置よく割り付ける。
②接着剤で張り込む
・接着剤を下地に塗布し通りよく並べ,表面に損傷のないよう押さえ,平滑に張り込む。
・接着剤は,専用のくしべらを用いて均等に伸ばし,塗残しのないように行う。また,接着剤が硬化するまで養生を行う。
 
(4)二重床工法(置き床工法)
 
・主に鉄筋コンクリート床スラブの上に、パーティクルボードなどのベースとなるパネルと、それを支持する支持脚によって床下を構成。その上にフローリングを施工する工法。
・支持脚は高さ調節が可能なので、段差のないバリアフリー住宅の設計にも最適。
・遮音効果を高めるシステムもある。
 
(5)現場塗装仕上げ
 
①下地調整
・フローリング表面の塗装下地調整は,張込み完了後,傷,汚れを取り除き研磨を行う。ただし,接着剤を使用する工法においては,接着剤の硬化後とする。
・研磨は,目違い払い(材の表面を同一面にするために凸部を研磨して平滑にする事)をし,研磨を掛けて平滑に仕上げる。
 
②塗装
・塗装は以下により,特記がなければウレタン樹脂ワニス塗りとする。
〇ウレタン樹脂ワニス塗り(1液形)とする。
〇オイルステイン塗りのうえワックス塗り
〇生地のままワックス塗り
 
(6)養生
 
・施工後は,吸湿及び汚れを防ぎ,直射日光を避け,水が掛からないように養生紙等で養生を行う。

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