ブランコ工法のメリット・デメリット、見積比較・提案内容等についてまとめています。
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ブランコ工法・無足場工法のメリット・デメリット
(1)ブランコ工法のメリット・デメリット
1)ブランコ工法のメリット
●直接仮設費用が安価
・組立足場を使用する場合、現場まで・作業場内での資材の運搬、組立、事故防止のための設備、運搬・作業時の警備費用等、と非常に高額。
→足場は工事終了後には解体されてなくたってしまうにも関わらず、設置・解体費用が高額。
・小規模マンションの場合は、戸数に対するマンション表面積の割合が多くなるため、総額に対する足場設置費用の占める割合が多くなりがち。
・足場費用がすべて無くなるわけではないが、組立足場に比べ仮設費用が格段に安価。
●必要な補修を必要な時に
〇高額な足場設置→不要不急の補修もまとめて実施しがち
・10数年に1度の大規模修繕の足場設置費用が高額
→まだ数年は耐用年数があるが、次の大規模修繕工事までは持たない
→不要不急の補修もまとめて実施しがち。
足場設置が高額なため、10数年に1度の大規模修繕工事実施時に不要不急な工事もまとめて実施してしまうことになる。
→長期的にみると足場設置が高額であるために、余計な費用がかかってしまう。
・ブランコ工法の場合、高額な足場は使用しないため、必要な補修を必要な時に実施することができる。
〇小規模の外壁補修工事にも柔軟に対応
・外壁の雨漏り箇所の補修。
・外壁の配管をとめる工事
・外壁の一部だけ補修。
・アフターサービスなどで部分補修が必要な場合。
●施工中のストレスを半減
〇足場設置・解体の騒音を軽減
・数週間の期間を要し、居住者以外にも近隣の方にもストレスがかかってしまう。
〇メッシュシートに覆われる期間の低減
・足場を使った大規模修繕では修繕工事が終わるまでの数ヶ月間、足場の外側にメッシュシートがかかる。
→四方をメッシュシートに覆われ、洗濯物も自由に干せず、日光も遮られ、風通しも悪くなる。
・ブランコ工法であれば、メッシュシートは施工中の壁面のみに設置することが可能。
2)ブランコ工法のメリット
●施工後の第三者による確認・検査が困難
・管理組合理事による施工後の状態確認ができない。
●組立足場の場合と比べて作業効率が劣る
〇縦移動による効率悪化
・打継目地シーリングの打ち替えなどの横方向の作業効率が悪くなる。
〇力を要する作業の効率悪化
・職人の作業環境が不安定なので、力を要する作業の効率が悪くなる。
(2)ブランコ工法の注意点
●建物の形状、劣化状況、工事内容によって向き・不向きがある
〇外壁の補修量が非常に多い場合
・外壁躯体の痛みが激しく、塗装の剥がれも多く、目地のシール打ち替え量が多い等の場合は、組立足場の方が適している。
●組立足場との併用も
・バルコニー面だけ組立足場を設置する等、組立足場と併用する場合もある。
・外装タイルの剥がれ等、外壁の痛みが剥がしい面のみ組立足場にして併用。
1)ブランコ工法のメリット
●直接仮設費用が安価
・組立足場を使用する場合、現場まで・作業場内での資材の運搬、組立、事故防止のための設備、運搬・作業時の警備費用等、と非常に高額。
→足場は工事終了後には解体されてなくたってしまうにも関わらず、設置・解体費用が高額。
・小規模マンションの場合は、戸数に対するマンション表面積の割合が多くなるため、総額に対する足場設置費用の占める割合が多くなりがち。
・足場費用がすべて無くなるわけではないが、組立足場に比べ仮設費用が格段に安価。
●必要な補修を必要な時に
〇高額な足場設置→不要不急の補修もまとめて実施しがち
・10数年に1度の大規模修繕の足場設置費用が高額
→まだ数年は耐用年数があるが、次の大規模修繕工事までは持たない
→不要不急の補修もまとめて実施しがち。
足場設置が高額なため、10数年に1度の大規模修繕工事実施時に不要不急な工事もまとめて実施してしまうことになる。
→長期的にみると足場設置が高額であるために、余計な費用がかかってしまう。
・ブランコ工法の場合、高額な足場は使用しないため、必要な補修を必要な時に実施することができる。
〇小規模の外壁補修工事にも柔軟に対応
・外壁の雨漏り箇所の補修。
・外壁の配管をとめる工事
・外壁の一部だけ補修。
・アフターサービスなどで部分補修が必要な場合。
●施工中のストレスを半減
〇足場設置・解体の騒音を軽減
・数週間の期間を要し、居住者以外にも近隣の方にもストレスがかかってしまう。
〇メッシュシートに覆われる期間の低減
・足場を使った大規模修繕では修繕工事が終わるまでの数ヶ月間、足場の外側にメッシュシートがかかる。
→四方をメッシュシートに覆われ、洗濯物も自由に干せず、日光も遮られ、風通しも悪くなる。
・ブランコ工法であれば、メッシュシートは施工中の壁面のみに設置することが可能。
2)ブランコ工法のメリット
●施工後の第三者による確認・検査が困難
・管理組合理事による施工後の状態確認ができない。
●組立足場の場合と比べて作業効率が劣る
〇縦移動による効率悪化
・打継目地シーリングの打ち替えなどの横方向の作業効率が悪くなる。
〇力を要する作業の効率悪化
・職人の作業環境が不安定なので、力を要する作業の効率が悪くなる。
(2)ブランコ工法の注意点
●建物の形状、劣化状況、工事内容によって向き・不向きがある
〇外壁の補修量が非常に多い場合
・外壁躯体の痛みが激しく、塗装の剥がれも多く、目地のシール打ち替え量が多い等の場合は、組立足場の方が適している。
●組立足場との併用も
・バルコニー面だけ組立足場を設置する等、組立足場と併用する場合もある。
・外装タイルの剥がれ等、外壁の痛みが剥がしい面のみ組立足場にして併用。
見積比較事例
1)同一仕様の見積比較事例(2022年、20戸)
●理事会の判断
・ブランコ工法を採用することによって、共通・直接仮設の費用は大幅に削減できています。ただし、外壁の補修・シーリングはブランコ作業で人工単価が高くなったり作業性が悪くなるなどで大幅に高くなっています。
・組立足場と同一仕様だと総額では同程度または割高となりました。
・ブランコ工法に合った独自仕様で見積依頼をすればもう少し違った結果になっていたと思いますが、営業担当の方から独自仕様の提案についての売り込みがなかったので、ブランコ工法A社に対してはこの段階でお断りしました。
2)異なる仕様の見積比較事例(2022年、20戸)
●金額の比較
●ブランコ工法B社の独自仕様の主な相違点
〇下地補修
・モルタル浮き補修の項目が含まれていない。(見積書の項目名に未記載なだけで実際は実施される?)
〇タイル補修
・すべての”大きい浮き”が対象。小さい浮きは対象外?
・張替は必要最小限。
〇シーリング
・雨掛かり部を重点的に。共通仕様はすべてのシーリング。
●保証の範囲の相違
〇外壁タイルの保証
・ブランコ工法B社:”打診検査部全体”の剥離が対象。
・それ以外の会社:”補修タイル部分”の剥離が対象。
●理事会の判断
・上記のようにブランコ工法B社の見積では、外壁の修繕対象の範囲が少なくなっていました。ブランコ作業による効率の悪さによるコストアップを避けるために修繕範囲がすくなくなっているのか、不要不急であるために除外したのかは判断がつきませんでした。
・外壁の補修箇所の第三者によるチェックができない、という点については、以下の面からあまり問題となりませんでした。
・小規模マンションで資金不足であったので、設計コンサルによる監査は実施しない。
・組合からの直接発注で管理会社の工事担当による検査チェックサポートはなし。
・理事メンバーは建築の素人なので、足場があってチェックしたとしても施工不良を発見するのは困難と思われる。
項目名 | 組立足場A社 | 組立足場B社 | ブランコA社 |
---|---|---|---|
紹介者 | 管理会社 | 理事 | 理事 |
共通仮設 | 185万 | 155万 | 75万 |
直接仮設 | 245万 | 190万 | 0 |
下地補修 | 35万 | 20万 | 55万 |
タイル補修 | 170万 | 150万 | 405万 |
シーリング | 130万 | 115万 | 205万 |
合計 | 765万 | 630万 | 740万 |
●理事会の判断
・ブランコ工法を採用することによって、共通・直接仮設の費用は大幅に削減できています。ただし、外壁の補修・シーリングはブランコ作業で人工単価が高くなったり作業性が悪くなるなどで大幅に高くなっています。
・組立足場と同一仕様だと総額では同程度または割高となりました。
・ブランコ工法に合った独自仕様で見積依頼をすればもう少し違った結果になっていたと思いますが、営業担当の方から独自仕様の提案についての売り込みがなかったので、ブランコ工法A社に対してはこの段階でお断りしました。
2)異なる仕様の見積比較事例(2022年、20戸)
●金額の比較
項目名 | 組立足場A社 | 組立足場B社 | ブランコB社 |
---|---|---|---|
紹介者 | 管理会社 | 理事 | 理事 |
共通仮設 | 185万 | 155万 | 45万 |
直接仮設 | 245万 | 190万 | 90万 |
下地補修 | 35万 | 20万 | 10万 |
タイル補修 | 170万 | 150万 | 125万 |
シーリング | 130万 | 115万 | 95万 |
合計 | 765万 | 630万 | 365万 |
●ブランコ工法B社の独自仕様の主な相違点
〇下地補修
・モルタル浮き補修の項目が含まれていない。(見積書の項目名に未記載なだけで実際は実施される?)
〇タイル補修
・すべての”大きい浮き”が対象。小さい浮きは対象外?
・張替は必要最小限。
〇シーリング
・雨掛かり部を重点的に。共通仕様はすべてのシーリング。
●保証の範囲の相違
〇外壁タイルの保証
・ブランコ工法B社:”打診検査部全体”の剥離が対象。
・それ以外の会社:”補修タイル部分”の剥離が対象。
●理事会の判断
・上記のようにブランコ工法B社の見積では、外壁の修繕対象の範囲が少なくなっていました。ブランコ作業による効率の悪さによるコストアップを避けるために修繕範囲がすくなくなっているのか、不要不急であるために除外したのかは判断がつきませんでした。
・外壁の補修箇所の第三者によるチェックができない、という点については、以下の面からあまり問題となりませんでした。
・小規模マンションで資金不足であったので、設計コンサルによる監査は実施しない。
・組合からの直接発注で管理会社の工事担当による検査チェックサポートはなし。
・理事メンバーは建築の素人なので、足場があってチェックしたとしても施工不良を発見するのは困難と思われる。
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