マンションのガス管の劣化、改修

マンションのガス管の劣化、改修に関する技術情報をまとめました。
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ガス管の種類、劣化要因
1)劣化要因
 
・ガスには配管に対する腐食性はなく、衝撃等の機械的損傷以外では、外面からの腐食が最も多い劣化要因。
・配管を内部から腐食させることはない。
・土中埋設管が最も厳しい腐食環境にあり、その次は屋外露出管で、屋内配管では漏水などに影響がない限りはほとんど腐食の心配はない。
・地中埋設管の腐食は、周囲の土や水分による自然腐食と地中の電位差や迷走電流により電食によるもので、周囲の土質や建物の状態により異なる。
 
2)ガス管の種類
 
①亜鉛メッキ鋼管(白ガス管)
・屋内露出分。
・昭和60年以前に多く使われていた亜鉛メッキ鋼管(白ガス管)の地中埋設配管は要注意。
→昭和50年代中頃まで土中埋設にも使用されていたが、現在では禁止されている。
・屋内では漏水等により恒常的に水に接していなければ、かなり長期耐久性が期待できる。
 
②硬質塩化ビニル被覆鋼管(カラー鋼管)
・露出・埋設部分。
・鋼管の外面を塩化ビニルで被覆、耐食性に優れる。
 
③ポリエチレン被覆鋼管(PLP鋼管、PLS鋼管)
・土中埋設部分。
・紫外線に弱いので、外部露出部分には使われない。
・鋼管の外面をポリエチレンで被覆、耐食性に優れる。
・被覆材による防食が施されているため、腐食はないものと考えられるが、工事中の損傷や植物の根により被覆材が傷つき、そこから腐食する場合もある。
 
④ポリエチレン管(PE管)
・土中埋設部分。
・ガス用のポリエチレン管、耐震・耐食性に優れる。
ガス管の点検、メンテナンス
・ガス事業法によりガス事業者は定期的な点検を行うように義務付けられ、通常3年に1回、ガス配管と取付機器のガス漏れ点検を行っている。
・ガス管の腐食が最も懸念されるのは、地中埋設配管部分であり、ガス漏れ事故の多くはこの部分から発生する。
→特に昭和60年以前に多く使われていた亜鉛めっき鋼管の地中埋設部分は要注意。
・調査方法としては、最も腐食が腐食が進んでいると考えられる部分、例えば地中の建物への飛び込み部分等を掘削し腐食状態を調べる。
・調査は、各地のガス会社が行っているので、事前に当該ガス会社に相談する。ガス会社では近隣の調査データ等である程度の予測もつけられる。
 
●ガス配管工事
・ガス事業者(ガス会社)以外の者が行うことを禁じている。
ガス管の改修
1)土中埋設管の更新
 
〇新築時の配管ルート
・一般的には、道路より地中を通ってそのまま建物内に入れている。
・外壁下のコンクリート部分のスリーブを通って、建物内の1階廊下床コンクリートの下に配管されている。
・1階各所のパイプスペースを上に登って各階に通じているが、この部分ではPS内に露出されている場合が多い。
 
〇露出による配管取替工事
・一般的にガス事業者から提案される配管取替工事は、新築時の配管ルートでは配管取替時に解体・掘削・埋戻し・復旧と費用がかさむため、既存の配管はそのままにして、別ルートで新規に配管を敷設し、建物の外壁や廊下天井部分に配管を露出させて金物(ブラケット)で取り付ける施工方法での提案が多く見受けられる。
・この方法は工事中のガス供給停止期間も短期で対応できるため、居住者への負担も軽く、最も経済的な施工法となるが、美観的にはあまり配慮されていない。、他の仕上改装工事に合わせ、天井や二重壁等の内部に隠すなど、見た目の工夫も検討すべき。
 特にエントランス廻りでは建物の美観を損ねるので、配慮が必要となる。
・露出配管とする場合には、配管カバーを設けたり、他の仕上改装工事に合わせ、天井や二重壁等の内部に隠す等の方策を検討する。
 
〇ポリエチレン管
・ポリエチレン被覆鋼管(PLP鋼管)が調査により防食レベルに達していない場合は、ポリエチレン管への取替を行うことが望ましい。
 
2)埋設管以外の改修
 
・経済性と強度から現在でも亜鉛メッキ鋼管が使用されているが、屋外露出の場合は、雨掛かり部分では耐食性に優れた硬質塩化ビニル被覆鋼管に取替える。
・近年は、耐久性や施工性に優れた配管用フレキ管に取り替えられている。
 
3)改修時の注意点
 
・ガス管はガス事業法の技術基準で、材料・工法等が細かく規定されており、価格もガス事業者により異なる場合がある。
→工事を行うガス事業者の調査・診断による検討を要する。

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