- 1.共同住宅特例基準とは
- 2.118号通知:昭和36年(1961)8月
- 3.49号通知、190号通知(運用通知):昭和50年(1975)
- 4.170号通知:昭和61年(1986)
- 5.220号通知:平成7年(1995年)
- 6.特定共同住宅省令への移行
- 7.各年代ごとの自火報設置基準
- 8.インターホンシステムと消防設備との関連性
共同住宅特例基準とは
●共同住宅が属するグループ
・消防法令上は共同住宅は”5項ロ”で、旅館・ホテル等”5項イ”と類似の特性を有するグループに属している。
→消防用設備等の技術基準は、基本的には、旅館・ホテル等とほぼ同様の火災危険性を前提として定められている。
●共同住宅と旅館・ホテル等との相違
・共同住宅は、居住者が避難経路を熟知していることを期待できるため、延焼防止性能が高く、廊下・階段やバルコニーによる避難ルートが確保されていれば、旅館・ホテル等ほど大きな役割を要求する必要はないと考えられる。
・自動火災報知設備や屋内消火栓設備などについては、訓練や維持管理などで難しい面がある。
●共同住宅特例基準とは
・共同住宅においては、同等の防火安全性が確保されると考えられる建築的手段(耐火構造の床・壁・バルコニー・常時外気に開放された開口部など)が確保されるのであれば、そちらに重点を置いた防火安全手法をとるほうが、総合的な防火安全性能はむしろ高くなると考えられる。
・上記考え方に基づき、消防法では、本則で旅館・ホテル等に類似した規制を課した上で、予防課長通知で一定の基準を示し、この基準をクリアしたものについては、本則と異なる緩和基準を適用しても差し支えないこととしてきた。
〇本則ではなく”予防課長通知”で基準が示されてきた理由
・本則が消防用設備等の種類ごとに規定されている (防火対象物の用途ごとに規定されていない)ため、特定の用途について横断的に特別の規定を置くことは難しかった
・共同住宅の構造や設計についてはバリエーションが多様かつ複雑過ぎて、本則の中では表現しきれなかった。
↓
“予防課長通知”で 特例基準を示し、消防長等が当該基準に基づき個々の共同住宅の構造や設計を審査し、政今第32条を適用して本則の水準を緩和するという、やや変則的な手法がとられてきた。
●共同住宅特例基準が定期的に改正されてきた理由
・共同住宅特例基準は、共同住宅の構造や設計による防火安全性能を、消防用設備等の設置の要否や設置方法等に反映させたものなので、共同住宅の大規模化、高層化、多様化、住戸の大型化、他用途との複合化などが進むと、特例基準と現状とが大きく乖離してくるため、ほぼ10年ごとに見直しと改正が行われてきた。
・消防法令上は共同住宅は”5項ロ”で、旅館・ホテル等”5項イ”と類似の特性を有するグループに属している。
→消防用設備等の技術基準は、基本的には、旅館・ホテル等とほぼ同様の火災危険性を前提として定められている。
●共同住宅と旅館・ホテル等との相違
・共同住宅は、居住者が避難経路を熟知していることを期待できるため、延焼防止性能が高く、廊下・階段やバルコニーによる避難ルートが確保されていれば、旅館・ホテル等ほど大きな役割を要求する必要はないと考えられる。
・自動火災報知設備や屋内消火栓設備などについては、訓練や維持管理などで難しい面がある。
●共同住宅特例基準とは
・共同住宅においては、同等の防火安全性が確保されると考えられる建築的手段(耐火構造の床・壁・バルコニー・常時外気に開放された開口部など)が確保されるのであれば、そちらに重点を置いた防火安全手法をとるほうが、総合的な防火安全性能はむしろ高くなると考えられる。
・上記考え方に基づき、消防法では、本則で旅館・ホテル等に類似した規制を課した上で、予防課長通知で一定の基準を示し、この基準をクリアしたものについては、本則と異なる緩和基準を適用しても差し支えないこととしてきた。
〇本則ではなく”予防課長通知”で基準が示されてきた理由
・本則が消防用設備等の種類ごとに規定されている (防火対象物の用途ごとに規定されていない)ため、特定の用途について横断的に特別の規定を置くことは難しかった
・共同住宅の構造や設計についてはバリエーションが多様かつ複雑過ぎて、本則の中では表現しきれなかった。
↓
“予防課長通知”で 特例基準を示し、消防長等が当該基準に基づき個々の共同住宅の構造や設計を審査し、政今第32条を適用して本則の水準を緩和するという、やや変則的な手法がとられてきた。
●共同住宅特例基準が定期的に改正されてきた理由
・共同住宅特例基準は、共同住宅の構造や設計による防火安全性能を、消防用設備等の設置の要否や設置方法等に反映させたものなので、共同住宅の大規模化、高層化、多様化、住戸の大型化、他用途との複合化などが進むと、特例基準と現状とが大きく乖離してくるため、ほぼ10年ごとに見直しと改正が行われてきた。
118号通知:昭和36年(1961)8月
●通知の内容
・以下の適用条件を満たした共同住宅については、戸建て住宅と変わらないと考えて消火器、屋内消火栓、自動火災報知設備、非常警報設備、避難器具等の設置を免除。
〇適用条件
・住戸間区画を耐火構造とすること
・共用部分との間の開口部面積を制限(4㎡以下)すること
・当該開口部には甲種防火戸を設置(開放廊下に面していれば不要)すること
・共用部分を不燃化すること
・3階以上の階にある住戸の床面積を制限(70㎡以下)すること
●前提・背景
・公営住宅等、当時の耐火構造共同住宅のほとんどが、4~5階建てで住戸面積も30~50㎡程度であり、設計のバリエーションも少ない、という状況を前提として作られていた。
・共同住宅の水準がこの程度であって、この基準で設計すると、防火安全性が確保され、消防用設備等の設置・維持のコストも低減できた。
●課題
・高層共同住宅の出現が想定されておらず、上記条件を満足すれば、消防用設備等を全く設置せずに高層共同住宅を建設することが可能になってしまう。
・当時は平均住戸規模が小さかったため、”二方向避難”という概念がなかった。
※住戸規模が小さいと火災の発見も容易で玄関一つしか避難路がなくても、安全な共用廊下に脱出することも困難ではなかった。
・以下の適用条件を満たした共同住宅については、戸建て住宅と変わらないと考えて消火器、屋内消火栓、自動火災報知設備、非常警報設備、避難器具等の設置を免除。
〇適用条件
・住戸間区画を耐火構造とすること
・共用部分との間の開口部面積を制限(4㎡以下)すること
・当該開口部には甲種防火戸を設置(開放廊下に面していれば不要)すること
・共用部分を不燃化すること
・3階以上の階にある住戸の床面積を制限(70㎡以下)すること
●前提・背景
・公営住宅等、当時の耐火構造共同住宅のほとんどが、4~5階建てで住戸面積も30~50㎡程度であり、設計のバリエーションも少ない、という状況を前提として作られていた。
・共同住宅の水準がこの程度であって、この基準で設計すると、防火安全性が確保され、消防用設備等の設置・維持のコストも低減できた。
●課題
・高層共同住宅の出現が想定されておらず、上記条件を満足すれば、消防用設備等を全く設置せずに高層共同住宅を建設することが可能になってしまう。
・当時は平均住戸規模が小さかったため、”二方向避難”という概念がなかった。
※住戸規模が小さいと火災の発見も容易で玄関一つしか避難路がなくても、安全な共用廊下に脱出することも困難ではなかった。
49号通知、190号通知(運用通知):昭和50年(1975)
●背景
・118号通知の時代は、二方向避難や避難路の開放性については配慮されておらず区画性能にのみ重点を置いた基準となっていたが、消防用設備等の設置免除要件が区画性能だけでなく避難性能にも配慮したものとなった。
●通知の概要
・主に高層部分においては自動火災報知設備を設置し,低層部分には自動火災報知設備の設置を免除し火災感知器を設置しない非常警報設備を設置することなどで足りるとされた。
・以下の適用条件を満たす”二方向避難・開放型住戸等”であれば、消火器具(10階以下の部分)、屋内消火栓設備、自動火災報知設備(10階以下の部分)等の設置が免除
〇主な適用条件
・主要構造部が耐火構造、住戸等間が開口部のない耐火構造の床or壁で区画
・3階以上の階にある住戸の床面積制限を100㎡(従来は70㎡)以下
・”二方向避難”。バルコニーを避難路として位置づけ、二方向避難及び避難路の開放性についての考え方を整理。
・住戸等の詳細な区画性能の規定。住戸と共用部分の間の開口部の面積を原則2㎡以下(”二方向避難・開放型住戸等”の場合は4㎡以下)とする。
●通知が共同住宅の形状に与えた影響
・住棟全体に連続したバルコニー
・連続バルコニーの隣戸との境界に設置する”容易に破壊できる仕切板”
・二戸ずつ連続したバルコニー
・外気に開放された廊下と防風スクリーンや階段
・118号通知の時代は、二方向避難や避難路の開放性については配慮されておらず区画性能にのみ重点を置いた基準となっていたが、消防用設備等の設置免除要件が区画性能だけでなく避難性能にも配慮したものとなった。
●通知の概要
・主に高層部分においては自動火災報知設備を設置し,低層部分には自動火災報知設備の設置を免除し火災感知器を設置しない非常警報設備を設置することなどで足りるとされた。
・以下の適用条件を満たす”二方向避難・開放型住戸等”であれば、消火器具(10階以下の部分)、屋内消火栓設備、自動火災報知設備(10階以下の部分)等の設置が免除
〇主な適用条件
・主要構造部が耐火構造、住戸等間が開口部のない耐火構造の床or壁で区画
・3階以上の階にある住戸の床面積制限を100㎡(従来は70㎡)以下
・”二方向避難”。バルコニーを避難路として位置づけ、二方向避難及び避難路の開放性についての考え方を整理。
・住戸等の詳細な区画性能の規定。住戸と共用部分の間の開口部の面積を原則2㎡以下(”二方向避難・開放型住戸等”の場合は4㎡以下)とする。
●通知が共同住宅の形状に与えた影響
・住棟全体に連続したバルコニー
・連続バルコニーの隣戸との境界に設置する”容易に破壊できる仕切板”
・二戸ずつ連続したバルコニー
・外気に開放された廊下と防風スクリーンや階段
170号通知:昭和61年(1986)
●背景
〇49号通知の課題
①片廊下型共同住宅の開放廊下に面する開口部の面積制限の緩和
・住戸面積の増大に伴い共用廊下に面して2居室確保しようとすると、開口部の面積制限と建基法の居室の採光面積制限とがバッティング。
②主たる出入り口の常時閉鎖式甲種防火戸の緩和
・デザインの多様化、車椅子のための引き戸設置の要請などから、網入りガラスなど乙種防火戸を用いることは出来ないかとの意見が強かった。
③3階以上の階にある住戸の床面積制限(100㎡以下)、100㎡区画の緩和
・住戸面積が100㎡を超えるようになると、住戸を100㎡以下ごとに区画する無粋な鉄製の防火戸が住戸内に設置される例が増えていた。
④光庭に面する開口部の制限の緩和
〇海外の事例における火災報知設備等の設置の効果
・火災発生時の死者の発生率がアメリカ・カナダ・イギリスなどと比べて高くなっていたが、その原因として煙感知器の設置が義務付けされていない点が推察された。
●通知の概要
・49号通知の課題の解決と住宅用火災警報設備の設置促進を図ることを企図。
・住環境が向上し,さらなる住戸の大規模化,構造・形態の多様化により特例基準を適用できる建築構造の幅を広げた。
・すべての住戸が二方向避難・開放型住戸であり、各住戸に住戸用自火報が設置されていれば、49号通知の4つの課題に係る制限を大幅に緩和する一方、それらの条件のいずれかを満たさないものについては原則として49号通知の適用範囲として残すこととされた。
●49号通知と170号通知の併用
①高級指向はホームセキュリティシステム(住戸用自火報を含む)を設置し、170号通知適用
・49号通知の4つの課題が、住戸規模が大きいか、ファサードに凝り内部の設備を充実して差別化を図ろうとする高級マンション指向の共同住宅に主として見られるものであり、そのような共同住宅には火災センサーを含む”ホームセキュリティ”のシステムが設置されることが多かった。
②低価格指向は49号通知を適用
・住戸規模が比較的小さく庶民的な共同住宅を安価に建設しようとするなら49号通知の適用を受ければよい。
●住戸用自火報とホームセキュリティ
〇通常の自動火災報知設備
・火災の発生を出来るだけ早く他の部分にいる人達に知らせ、関係者に初期消火、消防への通報、避難誘導などの自衛消防活動を開始させるとともに、一般の人達に避難(準備)行動を開始させることを意図して設けられている。
〇共同住宅の場合に求められる対応
・防火区画に高い性能を持たせ、安全な避難路が確保された共同住宅については、”住戸内で発生した火災の情報をできるだけ早く他の住戸に伝える”という役割の比重は比較的小さくて済む。
・広い住戸の場合は、むしろ、住戸内で火災が発生したことをその住戸内の住人に知らせることに力点を置くべきだと考えられる。
・昭和50年代の半ば(1980年頃)くらいから、火災センサー、ガス漏れセンサー、防犯センサー、風呂の満水センサーなどの各種情報システムとドアホンの機能などをドッキングした住宅(住戸)内情報システムが、”ホームセキュリティ”システムとして一般化し、新築のマンション等に普通に設置されるようになっていた。
〇住戸用自火報
・共同住宅の区画性能や避難性能、階数などに応じて火災警報の伝達範囲や警報音の鳴動範囲等を整理することにより、”ホームセキュリティシステム”を”自動火災報知設備”の体系の中に位置づけたものであった。
〇49号通知の課題
①片廊下型共同住宅の開放廊下に面する開口部の面積制限の緩和
・住戸面積の増大に伴い共用廊下に面して2居室確保しようとすると、開口部の面積制限と建基法の居室の採光面積制限とがバッティング。
②主たる出入り口の常時閉鎖式甲種防火戸の緩和
・デザインの多様化、車椅子のための引き戸設置の要請などから、網入りガラスなど乙種防火戸を用いることは出来ないかとの意見が強かった。
③3階以上の階にある住戸の床面積制限(100㎡以下)、100㎡区画の緩和
・住戸面積が100㎡を超えるようになると、住戸を100㎡以下ごとに区画する無粋な鉄製の防火戸が住戸内に設置される例が増えていた。
④光庭に面する開口部の制限の緩和
〇海外の事例における火災報知設備等の設置の効果
・火災発生時の死者の発生率がアメリカ・カナダ・イギリスなどと比べて高くなっていたが、その原因として煙感知器の設置が義務付けされていない点が推察された。
●通知の概要
・49号通知の課題の解決と住宅用火災警報設備の設置促進を図ることを企図。
・住環境が向上し,さらなる住戸の大規模化,構造・形態の多様化により特例基準を適用できる建築構造の幅を広げた。
・すべての住戸が二方向避難・開放型住戸であり、各住戸に住戸用自火報が設置されていれば、49号通知の4つの課題に係る制限を大幅に緩和する一方、それらの条件のいずれかを満たさないものについては原則として49号通知の適用範囲として残すこととされた。
●49号通知と170号通知の併用
①高級指向はホームセキュリティシステム(住戸用自火報を含む)を設置し、170号通知適用
・49号通知の4つの課題が、住戸規模が大きいか、ファサードに凝り内部の設備を充実して差別化を図ろうとする高級マンション指向の共同住宅に主として見られるものであり、そのような共同住宅には火災センサーを含む”ホームセキュリティ”のシステムが設置されることが多かった。
②低価格指向は49号通知を適用
・住戸規模が比較的小さく庶民的な共同住宅を安価に建設しようとするなら49号通知の適用を受ければよい。
●住戸用自火報とホームセキュリティ
〇通常の自動火災報知設備
・火災の発生を出来るだけ早く他の部分にいる人達に知らせ、関係者に初期消火、消防への通報、避難誘導などの自衛消防活動を開始させるとともに、一般の人達に避難(準備)行動を開始させることを意図して設けられている。
〇共同住宅の場合に求められる対応
・防火区画に高い性能を持たせ、安全な避難路が確保された共同住宅については、”住戸内で発生した火災の情報をできるだけ早く他の住戸に伝える”という役割の比重は比較的小さくて済む。
・広い住戸の場合は、むしろ、住戸内で火災が発生したことをその住戸内の住人に知らせることに力点を置くべきだと考えられる。
・昭和50年代の半ば(1980年頃)くらいから、火災センサー、ガス漏れセンサー、防犯センサー、風呂の満水センサーなどの各種情報システムとドアホンの機能などをドッキングした住宅(住戸)内情報システムが、”ホームセキュリティ”システムとして一般化し、新築のマンション等に普通に設置されるようになっていた。
〇住戸用自火報
・共同住宅の区画性能や避難性能、階数などに応じて火災警報の伝達範囲や警報音の鳴動範囲等を整理することにより、”ホームセキュリティシステム”を”自動火災報知設備”の体系の中に位置づけたものであった。
220号通知:平成7年(1995年)
●背景
〇住宅用火災警報器の設置等の住宅防火対策を強力に推進
・共同住宅特例基準により自動火災報知設備の設置を免除していることは矛盾しているのではないか?
〇高層共同住宅が急増
・消則13条1項(現2項)に基づきスプリンクラー設備の設置を免除するのは危険ではないか?
●通知の概要
①49号通知と170号通知を一本化し、一つの基準として整理し直した
②火災の早期発見と初期消火に係る、自動火災報知設備、消火器及びスプリンクラー設備については”設置”を原則とし、”設置免除”は例外とした。
③スプリンクラー設備については、本通知により、二方向避難・開放型住戸で内装制限がなされている場合に限り、設置免除を認めることとした。
④住戸内感知器の戸外からの遠隔試験への対応
・プライベート空間であることや女性の社会進出などで住戸内不在が目立ち始め法定点検の実施状況が悪化していた。
・住戸の外に設置されたドアホン(遠隔試験機能付中継器)に外部試験器を接続し作動点検が行える擬似発報方式が法令上認められた。
●特例基準の採用状況
・220号通知では、②のように、自動火災報知設備、消火器及びスプリンクラー設備については”設置”を原則とし”設置免除”は例外とされたため、設計・施工者の立場から見ると、共同住宅特例基準に従って共同住宅を造ることのコストメリットが少なくなってしまった。
その結果、かつて共同住宅の大部分を占めていた特例基準適用住宅は相当少なくなり、スプリンクラー設備の設置免除を意図した高層共同住宅を中心に適用されるようになった。
〇住宅用火災警報器の設置等の住宅防火対策を強力に推進
・共同住宅特例基準により自動火災報知設備の設置を免除していることは矛盾しているのではないか?
〇高層共同住宅が急増
・消則13条1項(現2項)に基づきスプリンクラー設備の設置を免除するのは危険ではないか?
●通知の概要
①49号通知と170号通知を一本化し、一つの基準として整理し直した
②火災の早期発見と初期消火に係る、自動火災報知設備、消火器及びスプリンクラー設備については”設置”を原則とし、”設置免除”は例外とした。
③スプリンクラー設備については、本通知により、二方向避難・開放型住戸で内装制限がなされている場合に限り、設置免除を認めることとした。
④住戸内感知器の戸外からの遠隔試験への対応
・プライベート空間であることや女性の社会進出などで住戸内不在が目立ち始め法定点検の実施状況が悪化していた。
・住戸の外に設置されたドアホン(遠隔試験機能付中継器)に外部試験器を接続し作動点検が行える擬似発報方式が法令上認められた。
●特例基準の採用状況
・220号通知では、②のように、自動火災報知設備、消火器及びスプリンクラー設備については”設置”を原則とし”設置免除”は例外とされたため、設計・施工者の立場から見ると、共同住宅特例基準に従って共同住宅を造ることのコストメリットが少なくなってしまった。
その結果、かつて共同住宅の大部分を占めていた特例基準適用住宅は相当少なくなり、スプリンクラー設備の設置免除を意図した高層共同住宅を中心に適用されるようになった。
特定共同住宅省令への移行
1)共同住宅特例基準(課長通知+消防法施行令32条」による対応の問題点
※消防法施行令32条
この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。
①消防機関ごとに基準の相違、負担
・消防機関によっては、共同住宅特例基準に比べて、緩和の条件を厳しくしたり、緩和の程度を少なくしたりしている場合があった。
・消防機関における審査の負担が大きく非効率的
・製造業者や建築業者に経済的負担を負わせる可能性がある
②行政手続法施行と改正地方自治法の施行による行政の透明化等の流れの中で、通知行政が制限された
・国から都道府県や市町村に対して発する通知は制限されることになり、課長通知等に基づく基準については、原則的には政令や省令として定めるべきものとされた。
③検査・点検
・設置時の検査、点検・報告義務、消防設備士の対象工事などに消防法令の規定が適用されない
2)性能規定の導入
●従来の”仕様書規定”から”性能規定”への流れ
〇仕様書規定
・材料、寸法等を仕様書的に規定
〇性能規定
・法令にその規制の法目的である”性能”を明確に規定しておき、その性能を満たすための技術的な方法論については規制を受ける側の選択に委ねる
●性能規定の導入
・消防法第17条に第3項を新設して、通常の消防用設備年に代えて総務大臣が同等の”性能”を有すると認める特殊消防用設備等を使用できることとするとともに第1項に政令以下の規定(政令29条の4)に性能規定を導入していくための布石となる”消火、避難その他の消防活動のために必要とされる性能”という概念を導入した。
※政令29条の4
“通常用いられる消防用設備等”に代えて、総務街令で定めるところにより消防長等が同等以上の防火安全性能を有すると認める”消防の用に供する設備等”を用いることができる、とされている。
〇共同住宅特例基準と性能規定(政令29条の4)との相違
・共同住宅特例基準:一定の構造、設計を有する共同住宅等に消防用設備等の設置を免除するもの
・性能規定(政令29条の4):一定の構造、設計を有する共同住宅等に、”通常用いられる消防用設備等」に代えて、「共同住宅用スプリンクラー設備」、「共同住宅用自動火災報知設備」、「住戸用自動火災報知設備」、「共同住宅用非常警報設備」等の設置を認めることが出来るとする規定。
3)総務省令40号(平成17年、性能規定)の概要
基本的に220号通知の考え方を踏襲しつつ、「必要とされる防火安全性能」という概念に基づいて整理。
①「特定共同住宅等」の定義
・火災発生又は延焼のおそれが少ないものとして、その位置、構造及び設備について消防庁長官が定める基準に適合する共同住宅等
②4つの構造類型(二方向避難型、開放型、二方向避難・開放型、その他)に区分
③「必要とされる”防火安全性能”を有する消防の用に供する設備等」の定義
・特定共同住宅等の4つの構造類型ごとに3つの防火安全性能(初期拡大抑制性能、避難安全支援性能及び消防活動支援性能)ごとに、「通常用いられる消防用設備等」に代えて設置することができる「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」が定められた。
〇消防法第9条の2 住宅用防災機器(住警器)の設置義務化(2004年)との関連
イ)住戸用自火報設備の設置が義務化
・220号特例通知では非常警報設備のみ設置で可とされ、住戸内に感知器が設置されない建築構造(二方向避難型等の低層共同住宅)について、今回設置が義務となった。
ロ)延べ面積500m2未満で自動火災報知設備のつかない共同住宅でも必須に
※消防法施行令32条
この節の規定は、消防用設備等について、消防長又は消防署長が、防火対象物の位置、構造又は設備の状況から判断して、この節の規定による消防用設備等の基準によらなくとも、火災の発生又は延焼のおそれが著しく少なく、かつ、火災等の災害による被害を最少限度に止めることができると認めるときにおいては、適用しない。
①消防機関ごとに基準の相違、負担
・消防機関によっては、共同住宅特例基準に比べて、緩和の条件を厳しくしたり、緩和の程度を少なくしたりしている場合があった。
・消防機関における審査の負担が大きく非効率的
・製造業者や建築業者に経済的負担を負わせる可能性がある
②行政手続法施行と改正地方自治法の施行による行政の透明化等の流れの中で、通知行政が制限された
・国から都道府県や市町村に対して発する通知は制限されることになり、課長通知等に基づく基準については、原則的には政令や省令として定めるべきものとされた。
③検査・点検
・設置時の検査、点検・報告義務、消防設備士の対象工事などに消防法令の規定が適用されない
2)性能規定の導入
●従来の”仕様書規定”から”性能規定”への流れ
〇仕様書規定
・材料、寸法等を仕様書的に規定
〇性能規定
・法令にその規制の法目的である”性能”を明確に規定しておき、その性能を満たすための技術的な方法論については規制を受ける側の選択に委ねる
●性能規定の導入
・消防法第17条に第3項を新設して、通常の消防用設備年に代えて総務大臣が同等の”性能”を有すると認める特殊消防用設備等を使用できることとするとともに第1項に政令以下の規定(政令29条の4)に性能規定を導入していくための布石となる”消火、避難その他の消防活動のために必要とされる性能”という概念を導入した。
※政令29条の4
“通常用いられる消防用設備等”に代えて、総務街令で定めるところにより消防長等が同等以上の防火安全性能を有すると認める”消防の用に供する設備等”を用いることができる、とされている。
〇共同住宅特例基準と性能規定(政令29条の4)との相違
・共同住宅特例基準:一定の構造、設計を有する共同住宅等に消防用設備等の設置を免除するもの
・性能規定(政令29条の4):一定の構造、設計を有する共同住宅等に、”通常用いられる消防用設備等」に代えて、「共同住宅用スプリンクラー設備」、「共同住宅用自動火災報知設備」、「住戸用自動火災報知設備」、「共同住宅用非常警報設備」等の設置を認めることが出来るとする規定。
3)総務省令40号(平成17年、性能規定)の概要
基本的に220号通知の考え方を踏襲しつつ、「必要とされる防火安全性能」という概念に基づいて整理。
①「特定共同住宅等」の定義
・火災発生又は延焼のおそれが少ないものとして、その位置、構造及び設備について消防庁長官が定める基準に適合する共同住宅等
②4つの構造類型(二方向避難型、開放型、二方向避難・開放型、その他)に区分
③「必要とされる”防火安全性能”を有する消防の用に供する設備等」の定義
・特定共同住宅等の4つの構造類型ごとに3つの防火安全性能(初期拡大抑制性能、避難安全支援性能及び消防活動支援性能)ごとに、「通常用いられる消防用設備等」に代えて設置することができる「必要とされる防火安全性能を有する消防の用に供する設備等」が定められた。
〇消防法第9条の2 住宅用防災機器(住警器)の設置義務化(2004年)との関連
イ)住戸用自火報設備の設置が義務化
・220号特例通知では非常警報設備のみ設置で可とされ、住戸内に感知器が設置されない建築構造(二方向避難型等の低層共同住宅)について、今回設置が義務となった。
ロ)延べ面積500m2未満で自動火災報知設備のつかない共同住宅でも必須に
各年代ごとの自火報設置基準
(1)消防法本則での基準
●自動火災報知設備(令21条)
・延べ面積 500m2以上に必要
●非常警報設備(令24条)
・収容人員50人以上に必要
(2)共同住宅特例基準、特定共同住宅設備省令適用による緩和
1)1975年(昭和50年)~:49号通知
●開口部面積の条件
・住戸等と共用部分との間の開口部(窓・出入口等)の合計が4m2以下で1つの開口部が2m2以下であるもの。
①二方向避難・開放型
・10階以下:自火報の設置免除。
②二方向避難・非開放型等
・6階以下:自火報の設置免除。
③上記以外の部分
・11階以上:自火報設置
・10階以下:住戸内の感知器設置は免除。
2)1986年(昭和61年)~:170号通知と49号通知の併用
【170号通知】
●開口部面積の条件
・特になし
①二方向避難・開放型
・10階以下:住戸用自火報設置すれば、自火報の設置免除
・11階以上:住戸用自火報設置すれば、住戸以外の部分に自火報設置
②上記以外
・本則で規定された自火報設置が必要。
3)1996年(平成8年)~:220号通知
①二方向避難・開放型
・11階以上:共同住宅用自火報
・6~10階:住戸用自火報+共同住宅用非常警報
・5階以下:イ)開口部面積4m2超;6~10階と同様
ロ)開口部面積4m2以下:共同住宅用非常警報のみでも可
②二方向避難・非開放型等、開放型(非二方向避難)
・6階以上:共同住宅用自火報
・3~5階:住戸用自火報+共同住宅用非常警報
4)2007年(平成19年)~:平成17年総務省令40号
①二方向避難・開放型
・11階以上:共同住宅用自火報
・10階以下:住戸用自火報+共同住宅用非常警報
②二方向避難・非開放型等、開放型(非二方向避難)
・6階以上:共同住宅用自火報
・5階以下:住戸用自火報+共同住宅用非常警報
●自動火災報知設備(令21条)
・延べ面積 500m2以上に必要
●非常警報設備(令24条)
・収容人員50人以上に必要
(2)共同住宅特例基準、特定共同住宅設備省令適用による緩和
1)1975年(昭和50年)~:49号通知
●開口部面積の条件
・住戸等と共用部分との間の開口部(窓・出入口等)の合計が4m2以下で1つの開口部が2m2以下であるもの。
①二方向避難・開放型
・10階以下:自火報の設置免除。
②二方向避難・非開放型等
・6階以下:自火報の設置免除。
③上記以外の部分
・11階以上:自火報設置
・10階以下:住戸内の感知器設置は免除。
2)1986年(昭和61年)~:170号通知と49号通知の併用
【170号通知】
●開口部面積の条件
・特になし
①二方向避難・開放型
・10階以下:住戸用自火報設置すれば、自火報の設置免除
・11階以上:住戸用自火報設置すれば、住戸以外の部分に自火報設置
②上記以外
・本則で規定された自火報設置が必要。
3)1996年(平成8年)~:220号通知
①二方向避難・開放型
・11階以上:共同住宅用自火報
・6~10階:住戸用自火報+共同住宅用非常警報
・5階以下:イ)開口部面積4m2超;6~10階と同様
ロ)開口部面積4m2以下:共同住宅用非常警報のみでも可
②二方向避難・非開放型等、開放型(非二方向避難)
・6階以上:共同住宅用自火報
・3~5階:住戸用自火報+共同住宅用非常警報
4)2007年(平成19年)~:平成17年総務省令40号
①二方向避難・開放型
・11階以上:共同住宅用自火報
・10階以下:住戸用自火報+共同住宅用非常警報
②二方向避難・非開放型等、開放型(非二方向避難)
・6階以上:共同住宅用自火報
・5階以下:住戸用自火報+共同住宅用非常警報
インターホンシステムと消防設備との関連性
(1)インターホンシステムが消防用設備に移行した経緯
1)戸別チャイムからセキュリティインターホンへ
〇戸別チャイム:~1980年代前半
・戸建て住宅と同様に住戸ごとに戸別のチャイムやインターホンが設けられ、機能は確認通話程度に限られていた。
〇セキュリティインターホン:1980年代前半
・来訪者とのインターホン機能だけでなく、マンション全住戸の火災、ガス漏れ、非常警報等のセキュリティ警報を管理人室で集中監視するシステムが導入。
2)消防用設備への移行
・セキュリティインターホンの普及と有効性を鑑み、国は住宅火災の防止のためセキュリティインターホン設備を消防用設備として認定(住戸用自火報設備)。
・住戸用自火報設備をマンションに導入することで屋内消火栓等の消防設備が緩和され、建築コストや維持メンテナンスコスト削減が可能となった。
・現在では、マンションのインターホン改修は住戸用自火報を用いた改修が基本となっている。
(2)消防設備としてのインターホンシステムの設置、改修時の注意点
1)導入時
・消防設備として設置されているインターホンシステムは、その仕組みを含めて建築確認申請がなされている。これにより、他の消防設備(屋内消火栓設備・非常警報設備等)が免除されている場合があり、竣工時には、消防立ち会い検査にて基準どおり機器が設置されているか、その機能に不備がないか等をチェックした後、引き渡される。
2)改修時
・インターホン設備の改修時には、消防認定の設備を使用しなければならず、1住戸でも個人で認定品以外の機器を取り付けてしまうと、マンション全体が消防法に違反することにもなる。
(3)消防設備としてのインターホンシステムの機能の例
・住戸内火災感知器が警報鳴動した際、住戸内インターホン親機と玄関子機が警報鳴動し周囲に感知器発報を知らせる
・住戸内火災感知器が警報鳴動した際、上記に加え、出火階・直上階でインターホン親機が警報鳴動し周囲に感知器発報を知らせる
・玄関子機からの遠隔試験により、住戸内火災感知器の点検ができる
(消防点検時に不在住戸の感知器点検が可能。ただし、目視の確認は居住者にて必要)
1)戸別チャイムからセキュリティインターホンへ
〇戸別チャイム:~1980年代前半
・戸建て住宅と同様に住戸ごとに戸別のチャイムやインターホンが設けられ、機能は確認通話程度に限られていた。
〇セキュリティインターホン:1980年代前半
・来訪者とのインターホン機能だけでなく、マンション全住戸の火災、ガス漏れ、非常警報等のセキュリティ警報を管理人室で集中監視するシステムが導入。
2)消防用設備への移行
・セキュリティインターホンの普及と有効性を鑑み、国は住宅火災の防止のためセキュリティインターホン設備を消防用設備として認定(住戸用自火報設備)。
・住戸用自火報設備をマンションに導入することで屋内消火栓等の消防設備が緩和され、建築コストや維持メンテナンスコスト削減が可能となった。
・現在では、マンションのインターホン改修は住戸用自火報を用いた改修が基本となっている。
(2)消防設備としてのインターホンシステムの設置、改修時の注意点
1)導入時
・消防設備として設置されているインターホンシステムは、その仕組みを含めて建築確認申請がなされている。これにより、他の消防設備(屋内消火栓設備・非常警報設備等)が免除されている場合があり、竣工時には、消防立ち会い検査にて基準どおり機器が設置されているか、その機能に不備がないか等をチェックした後、引き渡される。
2)改修時
・インターホン設備の改修時には、消防認定の設備を使用しなければならず、1住戸でも個人で認定品以外の機器を取り付けてしまうと、マンション全体が消防法に違反することにもなる。
(3)消防設備としてのインターホンシステムの機能の例
・住戸内火災感知器が警報鳴動した際、住戸内インターホン親機と玄関子機が警報鳴動し周囲に感知器発報を知らせる
・住戸内火災感知器が警報鳴動した際、上記に加え、出火階・直上階でインターホン親機が警報鳴動し周囲に感知器発報を知らせる
・玄関子機からの遠隔試験により、住戸内火災感知器の点検ができる
(消防点検時に不在住戸の感知器点検が可能。ただし、目視の確認は居住者にて必要)