ワンルームマンションにおける工事費の総戸数・階数の影響

ワンルームマンション投資における物件選定において、総戸数が少ないマンションは一戸当たりの修繕費用の負担が重くなる傾向があるためあまり推奨されていません。
 
さらに、戸数が少ないうえに階数が高い、いわゆるペンシルマンションの場合は、階数が高くなることによる工事費用増大も加わってしまいます。
 
マンションの修繕費用において、総戸数と階数が定量的にどのような影響を与えるのか、マンションライフサイクルシミュレーションの算定解説書(2024年4月版)を基にまとめてみました。
 
※参考資料
マンションライフサイクルシミュレーションの算定解説書(2024年4月版)
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直接仮設工事費
(1)工事の内容
 
・大規模修繕工事において仮設足場の貸借料及び設置に係る費用。
 
●価格変動の要因
・平均専有面積:必要となる足場面積の違いによる価格差
・建物形状:必要となる足場面積の違いによる価格差
・戸数:材料の調達・運搬コスト、または施工の効率化による影響(スケールメリット)
・階数:必要となる足場面積の違いによる価格差
・工事範囲:工事範囲の違いによる価格差(全面・一部)
 
(2)算定式
 
〇直接仮設工事費=工事項目毎の工事費単価[円/戸数]×戸数×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)
 
〇工事単価(円/戸)= ①平均専有面積に応じた算出額 + ②戸数に応じた算出額 + ③階数に応じた算出額 + ④固定額 +⑤規模に応じた補正値
 
1)平均専有面積に応じた算出額
 
・平均専有面積が大きいマンションでは、同戸数のマンションと比較した場合に、建物の規模が大きくなり、外壁の面積も増えるため、戸あたりの足場面積が増加し、工事費も併せて増加する。
 
〇平均専有面積が30㎡以下の場合
・80,460円
 
2)戸数に応じた算出額
 
・戸数の増加に伴い、建物が大きくなることから必要となる足場面積が増加。
・一方で、戸あたりの工事費単価で見た場合には、スケールメリットにより、工事費は減少。
 
〇戸数が50戸以下の場合
・算出式=-1,052 × 戸数
〇戸数が50戸超、100戸以下
・算出式=-1,052 × (戸数 – 50)^0.5 -52,600
〇戸数が100戸超
・算出式=-1,052 × ((戸数 – 100)^0.5)^0.5 -60,039
 
3)階数に応じた算出額
 
・階数の増加により、外壁面積が大きくなるため、その分足場面積が増加。
・機材費や人員コストが大きくなることから、工事費は増加。
 
〇15階以下の場合の算出式
・算出式=8,925 × 階数
 
4)固定額
 
・直接仮設工事費の固定額:21,305
 
5)規模に応じた補正値
 
・100戸~200戸:1/1.21
・200戸以上:1/1.48
 
(3)試算例
 
1)戸数との関連(階数は5で一定とする)単位:万円
 
戸数20戸40戸60戸90戸120戸150戸
全体費用3095146689651,0271,275
戸当り費用15.412.811.110.78.68.5
 
2)階数との関連(戸数は50で一定とする)単位:万円
 
階数456789101112131415
全体費用5225776326877427978529079621,0171,0721,127
戸当り費用10.411.512.613.714.815.917.018.119.220.321.422.5
共通仮設工事費
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・現場事務所や資材置場、仮囲い等の設置に係る費用。
・作業者用の仮設トイレの設置や発生材の処分、各種申請に必要な費用。
 
(2)算定式
 
・共通仮設工事は、同時に実施する工事の規模が大きいほどその費用は増加するため、本算出式では、同時に実施する工事の費用総額(共通仮設工事費を除く)を工事規模とみなし、以下のとおり算出。
 
〇共通仮設工事費(円)= ①工事実施年の総工事費(円) × ②戸数に応じた係数
 
①工事実施年の総工事費
・仮設工事と同時に実施する各工事費の総額(他の工事費用の算出後に算出)。
 
②戸数に応じた係数
・工事規模が大きくなると、共通仮設工事費も増加するが、一方で、スケールメリットにより総工事費に対する割合は低くなる。
・本算出式では、機構融資データに基づき、マンションの戸数に応じて以下の通りに係数を設定
・40戸以下:0.092
・40戸超、80戸以下:0.067
・80戸超:0.051
 
(3)試算例
 
・総工事費を戸当り70万とする。
総戸数1420406080100120150
総工事費9801,4002,8004,2005,6007,0008,40010,500
共通仮設90129258281375357428536
共通仮設/戸6.46.46.44.74.73.63.63.6
屋上防水工事費
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・屋根やルーフバルコニーの防水層の補修等を想定した費用。
・工法については、ウレタン塗膜防水やアスファルト防水、シート防水などの種類がある。
・屋根、屋上、塔屋、ルーフバルコニーの防水層の補修等
・庇、笠木等の防水層の補修等
 
●価格変動の要因
・建築面積:材料の調達・運搬コスト、施工の効率化による影響(スケールメリット)
・建物形状・屋根形状:雁行・セットバックなどの屋根形状、陸屋根・傾斜屋根などの屋根形状
・劣化状況:劣化の程度による補修レベルの違い
・既存防水層の撤去の有無:撤去有り、無し
・工事範囲:工事範囲の違いによる価格差(全面・一部)
・工法:工法、使用材料の違いによる価格差
 
(2)算定式
 
※工法について
・ウレタン塗膜防水やアスファルト防水、シート防水などの種類があるが、各工法をまとめた平均的な工事費を算出しているので、工法の価格差は反映していない。
 
※築年数
・築年数については、劣化の程度を推測するだけでなく、細かな仕様が分からない工事費目の仕様の違い(建設当時の仕様のトレンド)による価格差なども一定にシミュレーション結果に反映させるために採用している。
 
〇推定修繕工事費=工事費単価[円/㎡]×建築面積×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)
 
〇工事単価(円/㎡)= ①建築面積に応じた比例額 + ②築年数別の加算額 + ③固定額
 
①建築面積に応じた比例額
・建築面積が大きい場合、施工面積が大きくなるため、修繕工事の規模も大きくなるが、建築面積1㎡あたりの単価で見た場合には、材料の調達・運搬コスト、または施工の効率化による影響(スケールメリット)により、面積が大きくなるほど工事費は減少する。
 
イ)建築面積が1,000㎡以下の場合
算出式 = -5 × 建築面積 + 3,586
ロ)建築面積が1,000㎡超、2,000㎡以下の場合
算出式 = -1 × 建築面積
 
②築年数別の加算額
・屋根防水工事では、下地の撤去や全面補修といった大規模な補修と一部のみの補修を交互に実施することを想定している。これを踏まえ、算出式では、機構の融資データに基づき築年数に応じて加算額に差を設けている。
 
〇築年数毎の加算額
・0~18年:0
・19~30年:-751
・31~42年:-1,161
 
③固定額
・8,102
 
(3)試算例
 
※築年数はすべて18年以下とする。
 
1)階数が同じ4階でも戸数が異なる場合
 
①戸数24戸(平均専有面積:26m2)、建築面積:200m2
②戸数39戸(平均専有面積:26m2)、建築面積:380m2
 
             条件①   条件②
戸数           24戸     39戸
階数           4       4
建築面積(200m2)     200     380
工事単価(円/m2)     10,688   9,788
屋上防水工事費(万円)  263     458
戸当り工事費(万円)   11.0     11.7
 
2)戸数が同じ25戸でも階数が異なる場合
 
①階数:9、建築面積:125m2
・戸数25戸(平均専有面積:28m2)
、 ②階数:4、建築面積:240m2
・戸数25戸(平均専有面積:26.5m2)
 
             条件①   条件②
戸数           25戸     25戸
階数            9      4
建築面積(200m2)     125     240
工事単価(円/m2)     11,063   10,488
屋上防水工事費(万円)  170     310
戸当り工事費(万円)   6.8     12.4
 
3)戸数が同じ150戸でも階数が異なる場合
 
①戸数150戸(平均専有面積:27.2m2)、階数:5、建築面積:1,350m2
②戸数150戸(平均専有面積:21.6m2)、階数:10、建築面積:510m2
 
             条件①   条件②
戸数           150戸    150戸
階数            5      10
建築面積(200m2)     1,350    510
工事単価(円/m2)     6,752   9,138
屋上防水工事費(万円)  1,122    574
戸当り工事費(万円)    7.5    3.8
床防水工事費
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・開放廊下や外階段、バルコニーの床の防水層の補修等を想定した費用。
・補修の工法ついては、ウレタン塗膜防水やシート防水などの種類があるが、シミュレーションにおいては、各工法をまとめた平均的な工事費を算出する。
 
●価格変動の要因
・平均専有面積:工事箇所・範囲の違いによる価格差(廊下長・バルコニー数や広さ)
・戸数:材料の調達・運搬コスト、施工の効率化による影響(スケールメリット)
・階数:工事箇所の違いによる価格差(廊下数・バルコニー数)
・劣化状況:劣化の程度による補修レベルの違い
・既存防水層の撤去の有無:撤去有り、無し
・工事範囲:工事範囲の違いによる価格差(全面・一部)
・工法:工法、使用材料の違いによる価格差
・廊下型形式:工事範囲(防水範囲)の違いによる価格差
 
(2)算定式
 
※築年数
・築年数については、劣化の程度を推測するだけでなく、細かな仕様が分からない工事費目の仕様の違い(建設当時の仕様のトレンド)による価格差なども一定にシミュレーション結果に反映させるために採用している。
 
●推定修繕工事費=工事項目毎の工事費単価[円/戸数]×戸数×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)
 
●工事費単価(円/戸)={ ①平均専有面積に応じた算出額+ ②戸数に応じた算出額+ ③階数に応じた算出額+ ④築年数別の加算額+ ⑤固定額 }× ⑥廊下型形式別の補正値
 
①平均専有面積に応じた算出額
・平均専有面積が大きいマンションでは、同戸数のマンションと比較した場合に、建物の規模が大きくなり、廊下長やバルコニーの数や面積が増加し、施工箇所が多くなるため、1戸あたりの施工面積が増加し、工事費も併せて増加する。
 
〇平均専有面積が30㎡以下の場合
・28,230
 
②戸数に応じた算出額
・戸数の増加に伴い、床防水工事の施工面積が増加する。
・戸あたりの工事費単価で見た場合には、スケールメリットにより、工事費は減少する。
 
〇50戸以下の場合
・算出式=-104 × 戸数
〇戸数が50戸超、100戸以下
・算出式=-104 × (戸数 – 50)^0.5 -5,200
〇戸数が100戸超
・算出式=-104 × ((戸数 – 100)^0.5)^0.5 -5,935
 
③階数に応じた算出額
・階数の増加により、階段の高さが大きくなるため、その分施工面積が増加する。
・機材費や人員コストが大きくなることから、工事費は増加する。
 
〇30階以下の場合
・算出式=1,157 × 階数
 
④築年数別の加算額
・床防水工事では、劣化状況に応じて部分的な補修を実施し、一定期間毎に下地の補修等を含む入念な補修を想定している。
・算出式では、機構の融資データに基づき築年数に応じて加算額に差を設けている。
 
〇築年数毎の加算額
・0~18年:0
・19~30年:-15,292
・31~42年:-22,808
 
⑤固定額
・64,210
 
⑥廊下型形式別の補正値
・床防水面積(開放廊下、外階段及びバルコニーの床面積)は、廊下型形式により異なる。
・算出式では、一般的なマンションフロアのモデルプランを想定した廊下型形式毎の床防水面積の比率を、補正値として乗じる。
 
〇廊下型形式毎の補正値
・片廊下型:1
・中廊下型:0.6
・階段室型:0.9
 
(3)試算例
 
※築年数はすべて18年以下とする。
※廊下型形式は片廊下型とする。
 
1)戸数との関連(階数は5で一定とする)単位:万円
 
戸数20戸40戸60戸90戸120戸150戸
工事単価9.69.49.39.29.29.2
全体費用2374636851,0231,3601,699
戸当り費用11.811.611.411.411.311.3
 
2)階数との関連(戸数は50で一定とする)単位:万円
 
階数456789101112131415
工事単価9.29.39.49.59.69.89.910.010.110.210.310.5
全体費用565573580587594601608615622630637644
戸当り費用11.311.511.611.711.912.012.212.312.412.612.712.9
外壁塗装等工事費用(タイル張りの場合)
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・外壁の下地補修や塗装、シーリング等の工事を想定した費用。
・外壁の仕様により、工事内容が異なることから、シミュレーションにおいては、外壁の仕様が”タイル張り”と”塗り仕上げ(タイル張り以外の仕様)”の場合で、算出式を分けている。
 
〇主な内容
・コンクリート補修工事
・外壁(壁)塗装工事
・軒天塗装工事
・タイル張補修工事
・シーリング(コーキング)工事等
 
●価格変動の要因
・平均専有面積:工事範囲の違いによる価格差(外壁面積)
・戸数:材料の調達・運搬コスト、または施工の効率化による影響(スケールメリット)
・建物形状・屋根形状:雁行・セットバックなどの屋根形状、陸屋根・傾斜屋根などの屋根形状
・階数:工事範囲の違いによる価格差(外壁面積)
・劣化状況:劣化の程度による補修レベルの違い
・工法:工法、使用材料の違いによる価格差
 
(2)算定式
 
※築年数
・築年数については、劣化の程度を推測するだけでなく、細かな仕様が分からない工事費目の仕様の違い(建設当時の仕様のトレンド)による価格差なども一定にシミュレーション結果に反映させるために採用している。
 
●推定修繕工事費=工事項目毎の工事費単価[円/戸数]×戸数×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)
 
●工事費単価(円/戸)={ ①平均専有面積に応じた算出額+ ②戸数に応じた算出額+ ③階数に応じた算出額+ ④築年数別の加算額+ ⑤固定額 }× ⑥規模に応じた補正値
 
①平均専有面積に応じた算出額
・平均専有面積が大きいマンションでは、同戸数のマンションと比較した場合に、建物の規模が大きくなり、外壁の面積も増えるため、1戸あたりの施工面積が増加し、工事費も併せて増加する。
 
〇平均専有面積が30㎡以下の場合
・117,870
 
②戸数に応じた算出額
・戸数の増加に伴い、施工面積が増加するため、戸あたりの工事費単価で見た場合には、スケールメリットにより、工事費は減少する。
 
〇20戸以下の場合
・算出式=-15,779 × 戸数 + 287,153
〇20戸超で50戸以下の場合
・算出式=-1,702 × 戸数
〇戸数が50戸超、100戸以下
・算出式=-1,702 × (戸数 – 50)^0.5 -85,100
〇戸数が100戸超
・算出式=-1,702 × ((戸数 – 100)^0.5)^0.5 -97,135
 
③階数に応じた算出額
・階数の増加により、外壁面積が大きくなるため、その分施工面積が増加。
・機材費や人員コストが大きくなることから、工事費は増加。
 
〇10階以下の場合
・算出式=15,348 × 階数 + 430,830
〇10階超で15階以下の場合
・算出式=47,972 × 階数
 
④築年数別の加算額
・機構融資データでは、第1回目の大規模修繕工事(一般的に竣工後12年~15年に実施)で予防的工事を含む大規模な補修が実施され、以降は、劣化が見られる箇所のみの補修(築年数が古くなると、劣化箇所は増加)が実施されている実態があることから、算出式にもその実態を反映している。
 
〇築年数毎の加算額
・0~18年:0
・19~30年:-70,663
・31~42年:-67,206
 
⑤固定額
・-318,680
 
⑥規模に応じた補正値
・100戸以上:1/1.45
 
(3)試算例
 
※築年数はすべて18年以下とする。
 
1)戸数との関連(階数は5で一定とする)単位:万円
 
戸数20戸40戸60戸90戸120戸150戸
工事単価27.8323.8721.6321.0914.2114.14
全体費用6851,1751,5982,3372,0992,612
戸当り費用34.329.426.626.017.517.4
 
2)階数との関連(戸数は50で一定とする)単位:万円
 
階数456789101112131415
工事単価20.622.223.725.226.828.329.824.229.033.838.643.4
全体費用1,2701,3641,4591,5531,6481,7421,8371,4881,7842,0792,3742,669
戸当り費用25.427.329.231.133.034.836.729.835.741.647.553.4
外壁塗装等工事費用(塗り仕上げ等の場合)
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・外壁の下地補修や塗装、シーリング等の工事を想定した費用。
・外壁の仕様により、工事内容が異なることから、シミュレーションにおいては、外壁の仕様が”タイル張り”と”塗り仕上げ(タイル張り以外の仕様)”の場合で、算出式を分けている。
 
〇主な内容
・コンクリート補修工事
・外壁(壁)塗装工事
・軒天塗装工事
・タイル張補修工事
・シーリング(コーキング)工事等
 
●価格変動の要因
・平均専有面積:工事範囲の違いによる価格差(外壁面積)
・戸数:材料の調達・運搬コスト、または施工の効率化による影響(スケールメリット)
・建物形状・屋根形状:雁行・セットバックなどの屋根形状、陸屋根・傾斜屋根などの屋根形状
・階数:工事範囲の違いによる価格差(外壁面積)
・劣化状況:劣化の程度による補修レベルの違い
・工法:工法、使用材料の違いによる価格差
 
(2)算定式
 
※築年数
・築年数については、劣化の程度を推測するだけでなく、細かな仕様が分からない工事費目の仕様の違い(建設当時の仕様のトレンド)による価格差なども一定にシミュレーション結果に反映させるために採用している。
 
●推定修繕工事費=工事項目毎の工事費単価[円/戸数]×戸数×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)
 
●工事費単価(円/戸)={ ①平均専有面積に応じた算出額+ ②戸数に応じた算出額+ ③階数に応じた算出額+ ④築年数別の加算額+ ⑤固定額 }× ⑥規模に応じた補正値
 
①平均専有面積に応じた算出額
・平均専有面積が大きいマンションでは、同戸数のマンションと比較した場合に、建物の規模が大きくなり、外壁の面積も増えるため、1戸あたりの施工面積が増加し、工事費も併せて増加する。
 
〇平均専有面積が30㎡以下の場合
・97,890
 
②戸数に応じた算出額
・戸数の増加に伴い、施工面積が増加するため、戸あたりの工事費単価で見た場合には、スケールメリットにより、工事費は減少する。
 
〇30戸以下の場合
・算出式=-6,132 × 戸数 + 173,504
〇30戸超で50戸以下の場合
・算出式=-1,136 × 戸数
〇戸数が50戸超、100戸以下
・算出式=-1,136 × (戸数 – 50)^0.5 -56,800
〇戸数が100戸超
・算出式=-1,136 × ((戸数 – 100)^0.5)^0.5 -64,833
 
③階数に応じた算出額
・階数の増加により、外壁面積が大きくなるため、その分施工面積が増加。
・機材費や人員コストが大きくなることから、工事費は増加。
 
〇15階以下の場合
・算出式=9,185 × 階数
 
④築年数別の加算額
・機構融資データでは、第1回目の大規模修繕工事(一般的に竣工後12年~15年に実施)で予防的工事を含む大規模な補修が実施され、以降は、劣化が見られる箇所のみの補修(築年数が古くなると、劣化箇所は増加)が実施されている実態があることから、算出式にもその実態を反映している。
 
〇築年数毎の加算額
・0~18年:0
・19~30年:-181,388
・31~42年:-159,949
 
⑤固定額
・232,678
 
⑥規模に応じた補正値
・100戸以上:1/1.52
 
(3)試算例
 
※築年数はすべて18年以下とする。
 
1)戸数との関連(階数は5で一定とする)単位:万円
 
戸数20戸40戸60戸90戸120戸150戸
工事単価42.7433.1131.6131.2520.3520.31
全体費用1,0521,6302,3353,4633,0663,750
戸当り費用52.640.838.938.525.025.0
 
2)階数との関連(戸数は50で一定とする)単位:万円
 
階数456789101112131415
工事単価31.132.032.933.834.735.636.637.538.439.340.241.2
全体費用1,9111,9682,0242,0812,1372,1942,2512,3072,3642,4202,4772,533
戸当り費用38.239.440.541.642.743.945.046.147.348.449.550.7
鉄部塗装等工事費用
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・マンション共用部の手すりや玄関扉等の塗装工事を想定した費用。
 
〇主な内容
・住宅玄関ドア、バルコニー手すり等の共用部の鉄部の塗装
・アルミ製のサッシ、面格子等の共用部の非鉄部の塗装
・屋外鉄骨階段の塗装
 
●価格変動の要因
・平均専有面積:工事範囲の違いによる価格差(外壁面積)
・戸数:材料の調達・運搬コスト、または施工の効率化による影響(スケールメリット)
・階数:工事範囲の違いによる価格差(手すりの箇所や金物の数等)
・劣化状況:劣化の程度による補修レベルの違い
・工事範囲:工事範囲の違いによる価格差(全面・一部)
・工法:工法、使用材料の違いによる価格差
 
(2)算定式
 
※築年数
・築年数については、劣化の程度を推測するだけでなく、細かな仕様が分からない工事費目の仕様の違い(建設当時の仕様のトレンド)による価格差なども一定にシミュレーション結果に反映させるために採用している。
 
●推定修繕工事費=工事項目毎の工事費単価[円/戸数]×戸数×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)
 
●工事費単価(円/戸)= ①平均専有面積に応じた算出額+ ②戸数に応じた算出額+ ③階数に応じた算出額+ ④築年数別の加算額+ ⑤固定額
 
①平均専有面積に応じた算出額
・平均専有面積が大きいマンションでは、同戸数のマンションと比較した場合に、建物の規模が大きくなり、手すり等の長さやサッシ等の施工箇所が多くなるため、1戸あたりの施工面積が増加し、工事費も併せて増加する。
 
〇平均専有面積が40㎡以下の場合
・19,760
 
②戸数に応じた算出額
・戸数の増加に伴い、鉄部塗装等工事の施工面積が増加するため、戸あたりの工事費単価で見た場合には、スケールメリットにより、工事費は減少する。
 
〇50戸以下の場合
・算出式=-138 × 戸数
〇戸数が50戸超、100戸以下
・算出式=-138 × (戸数 – 50)^0.5 -6,900
〇戸数が100戸超
・算出式=-138 × ((戸数 – 100)^0.5)^0.5 -7,875
 
③階数に応じた算出額
・階数の増加により、必要となる手すり箇所が増える等、施工面積が増加するため、併せて工事費も増加。
 
〇15階以下の場合
・算出式=1,632 × 階数
 
④築年数別の加算額
・鉄部塗装等工事では、劣化状況に応じて部分的に施工することが一般的。
・各所の塗装面は、状況によって劣化状況はさまざまだが、一様に築年数の経過に応じて劣化箇所が増えることが予想される。
 
〇築年数毎の加算額
・0~9年:15,804
・10~15年:1,756 × 築年数
・16~21年:1,756 × 築年数 +2,877
・22~27年:1,756 × 築年数 -4,977
・27~33年:1,756 × 築年数 -4,657
・34~39年:1,756 × 築年数 -9.115
 
⑤固定額
・-26,246
 
(3)試算例
 
※築年数はすべて9年以下とする。
 
1)戸数との関連(階数は5で一定とする)単位:万円
 
戸数20戸40戸60戸90戸120戸150戸
工事単価1.471.201.010.970.930.92
全体費用365975108138171
戸当り費用1.81.51.21.21.11.1
 
2)階数との関連(戸数は50で一定とする)単位:万円
 
階数456789101112131415
工事単価0.891.061.221.381.551.711.872.042.202.362.532.69
全体費用5565758595105115125135145156166
戸当り費用1.11.31.51.71.92.12.32.52.72.93.13.3
建具・金物等工事費用
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・マンション共用部の手すりや玄関扉、サッシ等の点検や補修、取替工事等を想定した費用。
 
〇主な内容
・建具(住宅玄関ドア、窓サッシ、面格子等)の調整、取替
・金物類(集合郵便受、掲示板、宅配ロッカー等)の取替
・開放廊下・階段、バルコニーの手すりの取替
 
●価格変動の要因
・平均専有面積:工事範囲の違いによる価格差(廊下手すり長さ、バルコニー手すり長)
・戸数:材料の調達・運搬コスト、または施工の効率化による影響(スケールメリット)
・階数:工事範囲の違いによる価格差(廊下手すり長、バルコニー手すり長)
・劣化状況:劣化の程度による補修レベルの違い(補修・取替)
・工事範囲:工事範囲の違いによる価格差(全面・一部)
・工法:工法、使用材料の違いによる価格差
 
(2)算定式
 
※築年数
・築年数については、劣化の程度を推測するだけでなく、細かな仕様が分からない工事費目の仕様の違い(建設当時の仕様のトレンド)による価格差なども一定にシミュレーション結果に反映させるために採用している。
 
●推定修繕工事費=工事項目毎の工事費単価[円/戸数]×戸数×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)

●工事費単価(円/戸)= ①平均専有面積に応じた算出額+ ②戸数に応じた算出額+ ③階数に応じた算出額+ ④築年数別の加算額+ ⑤固定額
 
①平均専有面積に応じた算出額
・平均専有面積が大きいマンションでは、同戸数のマンションと比較した場合に、建物の規模が大きくなり、手すり等の長さやサッシ等の施工箇所が多くなるため、1戸あたりの施工面積が増加し、工事費も併せて増加する。
 
〇平均専有面積が60㎡以下の場合
・120,660
 
②戸数に応じた算出額
・戸数の増加に伴い、建具・金物等工事の施工箇所や施工面積が増加する。戸あたりの工事費単価で見た場合には、スケールメリットよりも、施工箇所や施工面積の増加による費用増加の効果が強く反映されるため、工事費が増加する。
 
〇50戸以下の場合
・算出式=577 × 戸数
〇戸数が50戸超、100戸以下
・算出式=577 × (戸数 – 50)^0.5 +28,550
〇戸数が100戸超
・算出式=577 × ((戸数 – 100)^0.5)^0.5 +32,930
 
③階数に応じた算出額
・階数の増加により、建具・金物等の施工箇所・施工面積が増えるため、併せて工事費も増加。
 
〇15階以下の場合
・算出式=2,965 × 階数
 
④築年数別の加算額
・建物・金物等工事では、劣化状況に応じて部分的な調整や取替を実施することを想定し、12~15年周期で工事を実施するものとしている。
・機構融資データでは、3回目の周期(築年数が31~42年)及び4回目の周期において、手すりの交換やサッシの交換等が発生し、算出額が高くなる実態があることから、算出式にもその実態を反映している。
 
〇築年数毎の加算額
・0~18年:100,890
・19~30年:5,605 × 築年数 -19,064
・31~42年:5,605 × 築年数 +54,352
・43~54年:5,605 × 築年数 +28,500
 
⑤固定額
・-201,122
 
(3)試算例
 
※築年数はすべて9年以下とする。
 
1)戸数との関連(階数は5で一定とする)単位:万円
 
戸数20戸40戸60戸90戸120戸150戸
工事単価4.685.836.566.756.946.97
全体費用1152874857471,0251,287
戸当り費用5.87.28.18.38.58.6
 
2)階数との関連(戸数は50で一定とする)単位:万円
 
階数456789101112131415
工事単価6.116.416.717.007.307.607.898.198.498.789.089.38
全体費用376395413431449468486504522541559577
戸当り費用7.57.98.38.69.09.49.710.110.410.811.211.5
給水管取替等の費用
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・屋内共用給水管等の交換を想定した費用。
 
(2)算定式
 
●推定修繕工事費=工事項目毎の工事費単価[円/戸数]×戸数×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)
 
修繕工事費単価(円/戸)= ①平均専有面積に応じた算出額+ ②戸数に応じた算出額+ ③固定額+ ④貯水槽設備に係る算出額+ ⑤貯水槽設備に係る固定額
 
①平均専有面積に応じた算出額
・平均専有面積が大きいマンションでは、同戸数のマンションと比較した場合に、建物の規模が大きくなり、管の長さや設備機器の補修箇所が増加することから、修繕工事費用が増加。
 
〇30m2以下の場合
78,390
 
②戸数に応じた算出額
・戸数の増加に伴い、建物が大きくなることから管の長さや設備機器の補修箇所が増加しするが、戸あたりの工事費単価で見た場合には、スケールメリットにより、工事費は減少。
 
〇50戸以下の場合
・算出式=-1,298 × 戸数
〇戸数が50戸超、100戸以下
・算出式=-1,298 × (戸数 – 50)^0.5 -64,900
〇戸数が100戸超
・算出式=-1,298 × ((戸数 – 100)^0.5)^0.5 -74,078
 
③固定額
335,841
 
④貯水槽設備に係る算出額
・戸数の増加に伴い、建物が大きくなることから貯水層の規模が増加する。
・戸あたりの工事費単価で見た場合には、スケールメリットによりも、施工箇所の増加による費用増加の効果が強く反映されるため、工事費が増加する。
 
〇50戸以下の場合
・算出式=231 × 戸数
〇戸数が50戸超、100戸以下
・算出式=231 × (戸数 – 50)^0.5 +11,550
〇戸数が100戸超
・算出式=231 × ((戸数 – 100)^0.5)^0.5 +13,183
 
⑤貯水槽設備に係る固定額
78,156
 
(3)試算例
 
1)戸数との関連(貯水槽なしの場合)単位:万円
 
戸数20戸40戸60戸90戸120戸150戸
工事単価38.8336.2334.5234.1133.7433.67
全体費用9561,7842,5503,7804,9856,218
戸当り費用47.844.642.542.041.541.5
 
2)戸数との関連(貯水槽ありの場合)単位:万円
 
戸数20戸40戸60戸90戸120戸150戸
工事単価47.1044.9743.5743.2342.4242.37
全体費用1,1602,2153,2184,7906,2677,823
戸当り費用58.055.453.653.252.252.2
排水管取替等の費用
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・屋内共用雑排水管、汚水管、雨水管の交換を想定した費用。
 
(2)算定式
 
●推定修繕工事費=工事項目毎の工事費単価[円/戸数]×戸数×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)
 
修繕工事費単価(円/戸)= ①平均専有面積に応じた算出額+ ②戸数に応じた算出額+ ③固定額
 
①平均専有面積に応じた算出額
・平均専有面積が大きいマンションでは、同戸数のマンションと比較した場合に、建物の規模が大きくなり、管の長さや設備機器の補修箇所が増加することから、修繕工事費用が増加。
 
〇30m2以下の場合
51,090
 
②戸数に応じた算出額
・戸数の増加に伴い、建物が大きくなることから管の長さや設備機器の補修箇所が増加するが、戸あたりの工事費単価で見た場合には、スケールメリットにより、工事費は減少。
 
〇50戸以下の場合
・算出式=-1,374 × 戸数
〇戸数が50戸超、100戸以下
・算出式=-1,374 × (戸数 – 50)^0.5 -68,700
〇戸数が100戸超
・算出式=-1,374 × ((戸数 – 100)^0.5)^0.5 -78,416
 
③固定額
485,571
 
(3)試算例
 
戸数20戸40戸60戸90戸120戸150戸
工事単価50.9248.1746.3645.9345.5345.46
全体費用1,2542,3723,4245,0896,7278,395
戸当り費用62.759.357.156.556.156.0
エレベーター設備の取替費用
(1)工事の内容
 
●工事の内容
・エレベーターの扉やかご、全構成機器の取替を想定した費用。
 
(2)算定式
 
●推定修繕工事費=工事項目毎の工事費単価[円/台数]×台数×物価係数×地域係数
 東京の地域係数:1.114(2024年版)
 物価係数:1.1051(2024年度)
 
修繕工事費単価(円/台)=①階数に応じた算出額+ ②固定額
 
①階数に応じた算出額
・階数の増加に伴い、設備規模が増加し、補修箇所も増加する。
 
〇30階以下の場合
・算出式=178,355 × 階数
 
②固定額
7,003,526
 
(3)試算例

・エレベータ台数:1台
・戸数:50戸
 
階数456789101112131415
工事単価772790807825843861879897914932950968
全体費用9509729941,0161,0381,0601,0821,1041,1261,1481,1701,192
戸当り費用19.019.419.920.320.821.221.622.122.523.023.423.8

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