〇過去問
・管理業務主任者 H16問6、H18問6、H22問4、H23問11、H24問5、H29問5
・マンション管理士 H20問14、H25問13、H28問13
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保証債務の概要
1)保証債務の成立
〇保証契約
・保証債務は、債権者と保証人との保証契約により成立する。
・保証契約は、書面(電磁的記録を含む)でしなければ、その効力を生じない。
・保証契約の当事者は債権者と保証人で、主たる債務者は保証契約の当事者ではない。
〇保証委託契約
・主たる債務者と保証人との契約。
・主たる債務からの委託(依頼)があって保証人となるのが一般的だが、主たる債務者の委託のない保証や、主たる債務者の意思に反する保証も可能。
・保証委託契約が無効でも、保証債務の成立には影響を与えない。
●取り消すことができる債務の保証(449条)
・主債務者が未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人であることを、保証契約の当時知りながら保証人となった場合、主債務者の制限行為能力を理由に取り消されても保証債務は消滅せず、保証人は主債務者である制限行為能力者が負担したのと全く同じ債務を負担したものと推定される。
2)保証人となる資格(450条)
・特に制限はなく、誰でも保証契約を締結できる。
〇債務者に、保証人を立てる義務がある場合
・保証人は、行為能力者であり、かつ、弁済の資力を有する者、でなければならない。
3)保証債務の範囲(447条)
・保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
※一部保証の特約や上限額の設定は可能。
・保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を予定することができる。
4)主たる債務者について生じた事由の効力(457条)
・保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
①相殺の抗弁
・保証人は、主たる債務者が債権者に対して反対債権を有する場合、相殺を援用して、その限度において保証債務の履行を拒むことができる。
※保証人が反対債権を有していても、主たる債務者は相殺の援用をすることができない。
②取消権・解除権の行使
・主たる債務者が、債権者に対して取消権や解除権を有していても、保証人は取消や契約の解除をすることはできない。
→保証人は、取消権者・契約の当事者ではないため。
・ただし、主たる債務者が取消権や解除権の行使によって債務を免れる限度において、保証人は、債権者に対して、保証債務の履行を拒むことが出来る。
〇保証契約
・保証債務は、債権者と保証人との保証契約により成立する。
・保証契約は、書面(電磁的記録を含む)でしなければ、その効力を生じない。
・保証契約の当事者は債権者と保証人で、主たる債務者は保証契約の当事者ではない。
〇保証委託契約
・主たる債務者と保証人との契約。
・主たる債務からの委託(依頼)があって保証人となるのが一般的だが、主たる債務者の委託のない保証や、主たる債務者の意思に反する保証も可能。
・保証委託契約が無効でも、保証債務の成立には影響を与えない。
●取り消すことができる債務の保証(449条)
・主債務者が未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人であることを、保証契約の当時知りながら保証人となった場合、主債務者の制限行為能力を理由に取り消されても保証債務は消滅せず、保証人は主債務者である制限行為能力者が負担したのと全く同じ債務を負担したものと推定される。
2)保証人となる資格(450条)
・特に制限はなく、誰でも保証契約を締結できる。
〇債務者に、保証人を立てる義務がある場合
・保証人は、行為能力者であり、かつ、弁済の資力を有する者、でなければならない。
3)保証債務の範囲(447条)
・保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。
※一部保証の特約や上限額の設定は可能。
・保証人は、その保証債務についてのみ、違約金又は損害賠償の額を予定することができる。
4)主たる債務者について生じた事由の効力(457条)
・保証人は、主たる債務者が主張することができる抗弁をもって債権者に対抗することができる。
①相殺の抗弁
・保証人は、主たる債務者が債権者に対して反対債権を有する場合、相殺を援用して、その限度において保証債務の履行を拒むことができる。
※保証人が反対債権を有していても、主たる債務者は相殺の援用をすることができない。
②取消権・解除権の行使
・主たる債務者が、債権者に対して取消権や解除権を有していても、保証人は取消や契約の解除をすることはできない。
→保証人は、取消権者・契約の当事者ではないため。
・ただし、主たる債務者が取消権や解除権の行使によって債務を免れる限度において、保証人は、債権者に対して、保証債務の履行を拒むことが出来る。
保証債務の性質
1)付従性
・原則として、主たる債務者に生じた事由の効力は、保証人に及ぶ。
一方、保証人に生じた事由の効力は、主たる債務者に及ばない。
例)主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の更新は、保証人に対しても、その効力を生じる。
〇時効利益放棄との関係
・主たる債務が時効で消滅した場合には、主たる債務者が時効利益を援用するかどうかに関わらず、保証人は、主たる債務の時効消滅を援用し、保証債務の消滅を主張することができる。
2)随伴性
・主たる債務が債権譲渡などにより他に移転した場合は、保証債務も移転する。
3)補充性
・保証人は、主たる債務者が債務を履行しない場合にはじめて、その債務を履行するという、主たる債務に対して補充的、二次的な責任を負う。
①催告の抗弁権(452条)
・まず主たる債務者に請求せよ、と主張できる権利。
・ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明のときは行使できない。
②検索の抗弁権(453条)
・まず主たる債務者の財産を執行せよ、と主張できる権利。
・ただし、保証人は、主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明する必要がある。
・原則として、主たる債務者に生じた事由の効力は、保証人に及ぶ。
一方、保証人に生じた事由の効力は、主たる債務者に及ばない。
例)主たる債務者に対する履行の請求その他の事由による時効の更新は、保証人に対しても、その効力を生じる。
〇時効利益放棄との関係
・主たる債務が時効で消滅した場合には、主たる債務者が時効利益を援用するかどうかに関わらず、保証人は、主たる債務の時効消滅を援用し、保証債務の消滅を主張することができる。
2)随伴性
・主たる債務が債権譲渡などにより他に移転した場合は、保証債務も移転する。
3)補充性
・保証人は、主たる債務者が債務を履行しない場合にはじめて、その債務を履行するという、主たる債務に対して補充的、二次的な責任を負う。
①催告の抗弁権(452条)
・まず主たる債務者に請求せよ、と主張できる権利。
・ただし、主たる債務者が破産手続開始の決定を受けたとき、又は行方不明のときは行使できない。
②検索の抗弁権(453条)
・まず主たる債務者の財産を執行せよ、と主張できる権利。
・ただし、保証人は、主たる債務者に弁済をする資力があり、かつ、執行が容易であることを証明する必要がある。
保証人の求償権
・主たる債務者に代わって弁済をしたときは、その保証人は、主たる債務者に対して求償権を有する。
1)委託を受けた保証人の事前の求償権(460条)
〇考え方
・委託を受けた保証人の場合は、保証人が債権者と保証契約を締結することの委任と考えることができる。
→委任契約の場合、受任者(この場合、保証人)には費用前払請求権がある
→委任契約と同じような事前の求償権の行使を認めると不都合が生じるので、本条で事前の求償権を行使できる場合の特則規定をおいている。
①主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき
→このような状況では、債権者は保証人に弁済を期待している思われる。
→債権者が、保証人に保証債務の履行を要求してくることが予想されるので、保証人は事前の求償権を行使することができる。
(ただし、主たる債務者は破産手続開始の決定を受けているので、保証人が破産債権者として権利を行使することになる。)
②債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
・債務が弁済期にあるときは、保証人に履行の請求が来る可能性が高くなるので、事前の求償権を行使できる。
・保証人は、保証契約締結時の弁済期を基準に、その時の主たる債務者の一般財産を考えて保証契約を締結する。しかし、債権者が主たる債務者に期限を猶予するということは、当初の弁済期には弁済できない状態になっており、主たる債務者の信用が悪化している可能性が高い。
③過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき
2)求償の範囲
①委託を受けた保証人
・弁済の日以後の法定利息、必須費用、損害賠償
・受任者の費用償還請求権と同様。
〇弁済期前の弁済の場合
・主債務者が弁済の当時(債務消滅行為の時点)、利益を受けた限度
・主債務者の債務消滅行為時点の相殺債権は保証人へ。
・”債務の消滅”の当時利益を受けた限度であるが、弁済の日以後の法定利息、必須費用、損害賠償は含まれる。
②委託を受けない保証人
・主債務者が弁済の当時(債務消滅行為の時点)、利益を受けた限度
・主債務者の債務消滅行為時点の相殺債権は保証人へ。
・”債務の消滅”の当時利益を受けた限度なので、弁済の日以後の法定利息、必須費用、損害賠償は含まれない。
③意思に反する保証人
・主債務者が現に(保証人からの求償の時点)利益を受ける範囲内に限られる。(現存利益)
・この場合は、さらに求償の範囲が狭くなって、主たる債務者が”求償”を受けた当時利益を受けている限度においてのみ求償できるにすぎない。
・弁済後から求償までの間に取得した相殺債権も保証人へ。
1)委託を受けた保証人の事前の求償権(460条)
〇考え方
・委託を受けた保証人の場合は、保証人が債権者と保証契約を締結することの委任と考えることができる。
→委任契約の場合、受任者(この場合、保証人)には費用前払請求権がある
→委任契約と同じような事前の求償権の行使を認めると不都合が生じるので、本条で事前の求償権を行使できる場合の特則規定をおいている。
①主たる債務者が破産手続開始の決定を受け、かつ、債権者がその破産財団の配当に加入しないとき
→このような状況では、債権者は保証人に弁済を期待している思われる。
→債権者が、保証人に保証債務の履行を要求してくることが予想されるので、保証人は事前の求償権を行使することができる。
(ただし、主たる債務者は破産手続開始の決定を受けているので、保証人が破産債権者として権利を行使することになる。)
②債務が弁済期にあるとき。ただし、保証契約の後に債権者が主たる債務者に許与した期限は、保証人に対抗することができない。
・債務が弁済期にあるときは、保証人に履行の請求が来る可能性が高くなるので、事前の求償権を行使できる。
・保証人は、保証契約締結時の弁済期を基準に、その時の主たる債務者の一般財産を考えて保証契約を締結する。しかし、債権者が主たる債務者に期限を猶予するということは、当初の弁済期には弁済できない状態になっており、主たる債務者の信用が悪化している可能性が高い。
③過失なく債権者に弁済をすべき旨の裁判の言渡しを受けたとき
2)求償の範囲
①委託を受けた保証人
・弁済の日以後の法定利息、必須費用、損害賠償
・受任者の費用償還請求権と同様。
〇弁済期前の弁済の場合
・主債務者が弁済の当時(債務消滅行為の時点)、利益を受けた限度
・主債務者の債務消滅行為時点の相殺債権は保証人へ。
・”債務の消滅”の当時利益を受けた限度であるが、弁済の日以後の法定利息、必須費用、損害賠償は含まれる。
②委託を受けない保証人
・主債務者が弁済の当時(債務消滅行為の時点)、利益を受けた限度
・主債務者の債務消滅行為時点の相殺債権は保証人へ。
・”債務の消滅”の当時利益を受けた限度なので、弁済の日以後の法定利息、必須費用、損害賠償は含まれない。
③意思に反する保証人
・主債務者が現に(保証人からの求償の時点)利益を受ける範囲内に限られる。(現存利益)
・この場合は、さらに求償の範囲が狭くなって、主たる債務者が”求償”を受けた当時利益を受けている限度においてのみ求償できるにすぎない。
・弁済後から求償までの間に取得した相殺債権も保証人へ。
共同保証
1)共同保証と分別の利益(456条)
・同一の主たる債務について複数の保証人がつくことを共同保証という。
・この場合は、保証債務が複数あるということで、分割債権・分割債務の原則が適用され、各人が主たる債務を人数分で割った債務額を保証する形になる。”分別の利益”
2)共同保証人間の求償権(465条)
①主たる債務が不可分、連帯の特約がある場合
・保証人が数人いるときは、保証債務は頭割りになるのが原則(456条)だが、借地権などのように主債務が性質上分割できないとき、または各保証人が全額を弁済するという特約をしている場合において(分別の利益がない状態の場合)、ある1人の保証人が、全額か自分の負担部分を超えて弁済したときは、連帯債務の規定と同様に、他の保証人に求償することができる。
②連帯していない場合
・保証人が数人いても連帯していないとき(分別の利益がある状態の場合)は、各保証人は頭割りの保証債務しか負担しないことになるから、保証人の1人が全額または自分の負担部分を超えて弁済しても、主債務者に対して民法462条の委託を受けない保証人の求償権の範囲内でしか、求償はできない。
・同一の主たる債務について複数の保証人がつくことを共同保証という。
・この場合は、保証債務が複数あるということで、分割債権・分割債務の原則が適用され、各人が主たる債務を人数分で割った債務額を保証する形になる。”分別の利益”
2)共同保証人間の求償権(465条)
①主たる債務が不可分、連帯の特約がある場合
・保証人が数人いるときは、保証債務は頭割りになるのが原則(456条)だが、借地権などのように主債務が性質上分割できないとき、または各保証人が全額を弁済するという特約をしている場合において(分別の利益がない状態の場合)、ある1人の保証人が、全額か自分の負担部分を超えて弁済したときは、連帯債務の規定と同様に、他の保証人に求償することができる。
②連帯していない場合
・保証人が数人いても連帯していないとき(分別の利益がある状態の場合)は、各保証人は頭割りの保証債務しか負担しないことになるから、保証人の1人が全額または自分の負担部分を超えて弁済しても、主債務者に対して民法462条の委託を受けない保証人の求償権の範囲内でしか、求償はできない。
連帯保証
1)連帯保証とは
・保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負担。
・債権者は、連帯保証人に対して債権全額の請求をすることができる。連帯保証人が複数いる場合も同様。
2)普通保証との違い
①補充性がない
・連帯保証人は、催告の抗弁と検索の抗弁ができない。
②分別の利益がない
・共同保証の場合でも、債権者は、全連帯保証人に全額請求できる。
3)連帯保証人について生じた事由の効力(458条)
・連帯保証人について生じた事由が主たる債務者に対して効力を及ぼすかについては、連帯債務の規定が準用される。
・更改(438条)
・相殺(439条1項)
・混同(440条)
・相対的効力の原則(441条)
・連帯保証人について生じた事由は、連帯債務の規定が準用されるので、連帯債務で絶対効とされているものは主たる債務者に対して効力を生じるが、連帯債務において”負担部分”についてのみ絶対効が生じるものは、主たる債務に対して効力を生じない。
→連帯保証人は負担部分はゼロ。連帯保証人は、最終的に負担を負う必要はないので、連帯債務の規定が準用されるといっても、連帯債務の負担部分を前提とする規定は適用されない。
・保証人が主たる債務者と連帯して保証債務を負担。
・債権者は、連帯保証人に対して債権全額の請求をすることができる。連帯保証人が複数いる場合も同様。
2)普通保証との違い
①補充性がない
・連帯保証人は、催告の抗弁と検索の抗弁ができない。
②分別の利益がない
・共同保証の場合でも、債権者は、全連帯保証人に全額請求できる。
3)連帯保証人について生じた事由の効力(458条)
・連帯保証人について生じた事由が主たる債務者に対して効力を及ぼすかについては、連帯債務の規定が準用される。
・更改(438条)
・相殺(439条1項)
・混同(440条)
・相対的効力の原則(441条)
・連帯保証人について生じた事由は、連帯債務の規定が準用されるので、連帯債務で絶対効とされているものは主たる債務者に対して効力を生じるが、連帯債務において”負担部分”についてのみ絶対効が生じるものは、主たる債務に対して効力を生じない。
→連帯保証人は負担部分はゼロ。連帯保証人は、最終的に負担を負う必要はないので、連帯債務の規定が準用されるといっても、連帯債務の負担部分を前提とする規定は適用されない。
個人根保証契約
〇根保証
・継続的な取引から発生する不特定の債務を担保する保証。
〇個人根保証契約
・一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって、保証人が個人であるものをいう。
・不動産の賃貸借にあたり個人が賃貸人と保証契約が締結する場合など。
・書面または電磁的記録により契約しなければ効力を生じない。
・極度額を定めなければ効力を生じない。
〇保証の範囲
・主たる債務の元本、主たる債務に関する利息・違約金・損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金や損害賠償の額について及ぶ。
・個人根保証の場合、保証人は、上記範囲に係る極度額を限度として保証債務を履行する責任を負う。
・継続的な取引から発生する不特定の債務を担保する保証。
〇個人根保証契約
・一定の範囲に属する不特定の債務を主たる債務とする保証契約であって、保証人が個人であるものをいう。
・不動産の賃貸借にあたり個人が賃貸人と保証契約が締結する場合など。
・書面または電磁的記録により契約しなければ効力を生じない。
・極度額を定めなければ効力を生じない。
〇保証の範囲
・主たる債務の元本、主たる債務に関する利息・違約金・損害賠償その他その債務に従たる全てのもの及びその保証債務について約定された違約金や損害賠償の額について及ぶ。
・個人根保証の場合、保証人は、上記範囲に係る極度額を限度として保証債務を履行する責任を負う。