債権譲渡、債務引受

〇民法:466~472条の4
〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
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債権譲渡
1)債権譲渡とは(466条)
 
・ある債権を第三者(譲受人)に移転させることを内容とした
“債権者(譲渡人)と第三者(譲受人)間の契約”を、債権譲渡という。
 
●債権譲渡事由の原則
・債権の譲渡契約は、当事者(債権者と第三者)の合意のみで成立する。
・債務者の承諾は必要ない。
 
2)債権譲渡制限の特約
 
・債権者と債務者は、特約で債権譲渡を禁止または制限することも可能。
 
●債権譲渡制限特約に違反して譲渡された場合の原則
・当事者(債権者と債務者)間:無効、譲受人との関係:有効
 
●債務者の保護
〇債務者保護の条件
・譲受人が譲渡制限特約の存在について、悪意または重大過失。
〇債務者の対抗手段
・譲受人に対する履行の拒否
・譲渡人への弁済・相殺等事由で対抗することができる。
※弁済・相殺等による対抗は、譲渡時ではなく、履行の催促時。
・債務者から譲渡人への弁済も可能。
 
●(悪意または重過失の)譲受人の対応
・債務者→譲渡人→譲受人、の順に履行される。
・債務者が履行しない場合、譲渡人への履行を催告し、その期間内に履行がないときは、上記債務者の対抗手段が失われる。
・譲渡人が破産したした場合は、譲受人は債務者に供託させることができる。
 
3)将来債権の譲渡(466条の6)
 
●将来債権の譲渡
・債権の譲渡は、その意思表示の時に現に発生していることを要しない。
・譲受人は、上記債権を、将来発生した時に、当然に取得する。
 
●譲渡制限特約の適用
イ)将来債権の譲渡(譲渡人→譲受人)→譲渡制限特約(譲渡人:債務者)→債権譲渡の対抗要件具備(譲受人:債務者)
・譲受人は、譲渡制限特約について悪意とみなされ、債務者の利益が保護される。
ロ)将来債権の譲渡(譲渡人→譲受人)→債権譲渡の対抗要件具備(譲受人:債務者)→譲渡制限特約(譲渡人:債務者
・債務者は、譲渡制限特約を譲受人に対抗できない。
→譲受人の利益が保護される。
債権譲渡の対抗要件
1)譲受人の債務者に対する対抗要件
 
・債権譲渡があったとき、債務者は、譲渡人と譲受人のどちらに弁済すべきかが、問題となる。
〇譲受人が債務者に”自分が債権者である”と主張するには
・以下のいずれかが必要。
①譲渡人から債務者への通知
②債務者の承諾。
※承諾は、譲渡人と譲受人のどちらに対して行ってもよい。
 
2)債務者以外の第三者に対する対抗要件
 
・債権の二重譲渡があった場合、債務者はどの譲受人に弁済すべきかが、問題となる。
〇譲受人が、債務者以外の第三者に対して”自分が債権者である”と主張するには
・上記①②の通知または承諾を、確定日付のある証書によってなされなければならない。
 
〇確定日付のある証書の例
・内容証明郵便、公正証書など。
・差押命令も同様に扱われる。
 
●双方の通知に確定日付がある場合
・先に到達させた方が優先
〇同時に到達した場合
・双方とも債務者に請求できる。
・債務者はどちらかに支払えばよい。
債権譲渡における債務者の抗弁・相殺
1)債権譲渡における債務者の抗弁(468条)
 
・債務者は、対抗要件具備時までに譲渡人に対して生じた事由をもって譲受人に対抗することができる。
 
〇対抗できる事項の例
・債権が取消・解除などによって消滅したこと。
・債権の全部または一部が弁済・時効の完成などにより消滅したこと。
・同時履行の抗弁
 
2)債権譲渡における債務者の相殺権(469条)
 
・債務者は、対抗要件具備時より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができる。
 
〇対抗要件具備後に取得した譲渡人に対する債権の場合
・以下の場合は、上記と同様に譲受人に対抗できる。
①対抗要件具備時より前の原因に基づいて生じた債権
②上記①のほか、譲受人の取得した債権の発生原因である契約に基づいて生じた債権
債務引受
1)併存的債務引受(470条)
 
・債権者をAとして、原債務者Bだけでなく、新債務者Cも債務を負い、Bの債務とCの債務が併存するもの。
・保証のような人的担保としての機能があるとされ、一種の連帯債務とも考えられる。
・債権者と引受人との間で、このような引受けを契約するのに際し、債務者の意思に反してもできると解されている。それは、引受人がまるで保証人となるのと同じと言える。
 
●契約方法
①債権者と引受人との契約
②債務者と引受人との契約(第三者のためにする契約)
・この場合は、債権者が引受人となる者に対して承諾をした時に、その効力を生ずる。
 
2)免責的債務引受(472条)
 
・従前の債務者が法律関係から離脱し、引受人が新しい債務者となる。
 
●契約方法
①債権者、債務者および引受人の三者による契約
②債権者と引受人との契約
・債権者が債務者に対してその契約をした旨を通知した時に、その効力を生ずる。
③債務者と引受人との契約
・債権者が引受人となる者に対して承諾をすることことが必要。
 
●担保の移転(472条の4)
・債権者は、従前の債務者が免れる債務について設定されていた抵当権などの担保権を、引受人が負担する債務に移転することができる。
・ただし、従前の物上保証人や従前の保証人など引受人以外の者が設定した場合には、その承諾を得なければならない。
※保証債務の場合は、その保証人の書面(または電磁的記録)による承諾がなければ、その効力を生じない。
・担保権の移転は、あらかじめ又は同時に引受人に対してする意思表示によってしなければならない。

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