区分所有法 共用部分の権利関係

〇建物の区分所有等に関する法律:11~15,19条
〇過去問
・管理業務主任者 H13問31,35、H14問42、H15問34,37、H18問3、H19問5、H20問6、H22問1、H23問10,34,35、H24問36,38、H26問36、H27問33,35
・マンション管理士 H13問9,10,36、H14問1,28、H15問5、H16問1、H17問1、H18問4、H20問1,5,18,33、H21問4,5,7、H22問1,2,4、H23問2,25,32、H24問6、H26問1、H27問1,2,4,8、H28問1,5
 
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
共用部分の共有関係
●共用部分の共有関係
 
・共用部分は、区分所有者全員の共有に属する。
 
〇一部共用部分
・これを共用すべき区分所有者の共有に属する。
 
〇規約で別段の定めも可能
・”区分所有者全員”の共用部分を”一部区分所有者の共有”としたり、”一部共用部分”を”区分所有者全員の共有”とすることもできる。
 
〇共用部分の所有者
・27条1項(管理所有)の場合を除いて、区分所有者以外の者を共用部分の所有者と定めることはできない。
共用部分の共有持分(14条)
・専有部分の床面積の割合。
・規約で別段の定め可。
例)全戸が同じような間取りのマンションの場合、厳密に床面積で持分を決めず、各戸平等に持分を同じとしたりする例もある。
 
〇一部共用部分がある場合
・一部共用部分(附属の建物であるものを除く。)で床面積を有するものがあるときは、その一部共用部分の床面積は、これを共用すべき各区分所有者の専有部分の床面積の割合により配分して、それぞれその区分所有者の専有部分の床面積に算入する
 
〇共用部分以外の附属施設
・区分所有法に規定される”共用部分”ではないので、民法が適用され、当事者の合意がないときは相等しいものと推定される。
 
〇床面積の算出
・専有部分のうち内法計算による床面積の割合で算定。
・規約で別段の定めをすることができる。
※標準管理規約では壁心説。
共用部分の使用(13条)
・共用部分は、持分ではなく、用法に従って使用することができる。
→共用部分(エントランス、廊下、階段など)であれば、各共有者は、その持分の大小に関係なく、”用法に従って”全部使用できる。
・規約で別段の定めはできないので、各共有者のその用方に従った使用について、一定の制限をしたり、禁止したりすることはできない。
 
●法定共用部分の排他的使用
・バルコニーは専用使用権により、ピロティー内の駐車場・駐輪場などは使用契約により排他的使用権が設定される。
・規約で定めれば、区分所有者以外のものが排他的に利用することを定めることはできる。
→電気室を電力会社が利用するような場合。
・他に判例として、法定共用部分である屋上広告塔について、特定の者による専用使用権を認めたものもある。
共用部分の負担及び利益収取(19条)
〇”持分”に応じて負担
・共用部分の負担(管理費や修繕積立金、業務委託費の支払い等)及び利益は区分所有者が”その持分に応じて”負担する。
・区分所有者は、共用部分の設置又は保存の瑕疵により生じた損害賠償責任については、原則として共用部分の持分の割合に応じて責任を負うことになる。
例)管理会社に対する未払いの委託業務費等の場合、連帯して(全額の)弁済の責任を負うわけではなく、”その持分に応じて”負担する。
 
〇規約で別段の定めも可能
・共用部分から生ずる収益については、管理費に組み入れる旨の規約の定め。
・住居部分と店舗部分の区分所有者について、異なる管理費等の負担とする規約の定め。
・エレベーターのあるマンションにおいて、1階部分の区分所有者とそれ以外の区分所有者について、異なる管理費等の負担を内容とする規約の定め。
・現に居住する区分所有者と現に居住していない区分所有者について、管理組合の運営のための業務負担に応じ異なる管理費等の負担を内容とする規約の定め。(最判平成22年1月26日)
共用部分と専有部分の分離処分の禁止(15条)
・共有者は、この法律に別段の定め(管理所有、規約で持分の割合を変更)がある場合を除いて、その有する専有部分と分離して共用部分の持分を処分することができない。
・共有者の持分は、その有する専有部分の処分に従う。
・規約で別段の定めをすることはできない。
 
〇共有持分の分割請求の禁止
・共有物分割とは、ある不動産を2人以上で共有している場合において、その共有状態を解消する手続。
・区分所有建物にとって、廊下や階段など共用部分は建物の利用において不可欠なため、共用部分の共有では民法で規定する”分割請求”の規定がなく、認められない。

コメントを残す

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください