区分所有法 管理者の権利、義務

〇建物の区分所有等に関する法律:25,26,28,29,43条
〇過去問
・管理業務主任者 H13問32、H14問33、H15問40、H16問33,34、H17問34、H18問2,32,33,37、H20問36、H22問3,37、H23問30,34、H24問1、H25問38、H26問37、H27問1,33、H28問5,33,37、H29問37
・マンション管理士 H13問7,8,28,32,33、H14問2,15,16、H15問4、H16問4,5,8、H17問3、H18問31、H19問2,5、H20問4,5,9、H21問3,4,8,9,15、H22問6、H23問2,3,5,8,12,25、H24問5,7、H25問2,5、H26問4,6,25、H27問2,3,6、H28問2,4、H29問4,8
 
 
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管理者の選任、解任(25条)
●管理者の選任
 
・規約に別段の定めがない限り集会決議で管理者を選任することができる。
→管理者の選任は義務ではなく、任意。
 管理者の数については、区分所有法上制限はないので、複数選任することができる。
 資格の制限はなく、自然人のみならず、法人を選任することもできる。
 規約に定めを置けば、集会の決議によらず理事会で行うことができる。
 
※標準管理規約
・理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する。
・理事長、副理事長及び会計担当理事は、理事のうちから、理事会で選任する
 
●管理者の解任
 
・集会の決議
・管理者に不正な行為等の事情があるときは、各区分所有者は裁判所へ解任請求をすることができる。
管理者の職務(26条)
●管理者の権利・義務
 
・管理者は、共用部分並びに建物の敷地・附属施設(区分所有者の共有に属する場合)を保存し、集会の決議を実行し、規約で定めた行為をする権利を有し、義務を負う。
 
〇保存行為、規約・集会決議は不要
・管理者は、保存行為は集会の決議又は規約の定めがなくてもできるが、変更行為は行うことはできない。
→管理事務室の破損個所の小修繕は、契約をし、その費用の支払をすること等は可能。
※”屋上防水の全面改修工事”の請負契約は、保存行為の範囲を越えるので、締結することはできない。
 
●委任
 
・区分所有法および規約に定めるもののほか、管理者の権利義務は、民法の委任に関する規定に従う。
 
〇委任と善管注意義務違反
・管理者には、善管注意義務があり、その注意義務に違反した場合、債務不履行等の法的な責任を問われる(民法644条、415条)。
※委任契約は管理組合(団体)と管理者との間にあると考えられ、管理者は、管理組合(区分所有者全員)に対して損害賠償義務を負う。
 この場合受任者は、自己がその事務につき委任の本旨に従って履行したことを証明しない限り、債務不履行責任を負う。
 
●事務の報告(43条)
 
・集会において、毎年1回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない。
 
●代理
 
・管理者は、その職務に関し、区分所有者を代理する。
→管理者が行う職務の範囲であれば、代理行為となり、その責任(効果)は区分所有者の全員だけに及ぶ。管理者は不法行為でなければ、責任がない。
・上記代理は、個々の区分所有者の代理を行うものではない。
※管理者の代理について制限を加えることができるが、この制限は善意の第三者に対抗することができない。
 
〇損害賠償金の請求及び受領
・共用部分等について生じた損害賠償金及び不当利得による返還金の請求及び受領について、区分所有者を代理する。
※請求において集会の決議は不要。
※専有部分に発生した損害については、当然には代理権はない。
※損害賠償を請求することができるのは管理者であり、管理組合は、当然にはその名において損害賠償を請求することができない。
 集会において指定された区分所有者でも、区分所有者全員を代理して、損害賠償を請求することができない。
 
●区分所有者の責任等(29条)
 
・管理者がその職務の範囲内において第三者との間にした行為につき区分所有者がその責めに任ずべき割合は、共用部分の持分割合と同一の割合とする。
 
●法人ではない管理組合の管理者の利益相反
 
・A管理組合の管理者が勤務しているB業者に工事を請け負わせることは利益相反行為に当たる可能性はあるが、法人ではない管理組合の管理者と管理組合との利益相反行為に関する規定は区分所有法にはない。
→民法の自己契約が問題となるが、Aの管理者とBは別人格と言える。また、集会の決議があれば、管理者は集会の決議の実行として、Bと請負契約を締結することはできる。
訴訟追行権(26条4,5項)
・管理者は、規約または集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告または被告となって訴訟を追行することができる。
 
・管理者による訴訟追行は、区分所有者の代理人として行うものではなく、区分所有者のために管理者自身の名において行うことになる。
 
・”規約”により原告又は被告となったときは、遅滞なく、区分所有者にその旨を通知しなければいけない。
※集会の決議による場合は不要。

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