塗料の基礎知識

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
塗料の概要
1)塗料とは?
 
・対象物を保護・美装、または、独自な機能を付与するために、その表面に塗り付ける材料のこと。
・一般に液状で、溶剤の揮発・乾燥によって固化・密着し、表面に塗膜を形成して、対象物の美観を整え、保護する
・かつては有機溶剤で希釈するものが圧倒的に多かったが、最近では、環境・健康・利便性等に配慮して水で希釈できるタイプの塗料(水性塗料)の比率も増えてきている。加えて、溶媒を用いず、顕色成分と造膜成分とで成立させた塗料である、粉体塗料も登場している。
 
2)主成分
 
〇塗膜形成成分
・乾性油→油性塗料
・合成樹脂→合成樹脂塗料
・ニトロセルロース→ラッカー
 
〇添加剤
・レベリング剤(リターダー)、スリップ剤、可塑剤、増粘剤、乳化剤、乾燥剤、消泡剤など
 
〇溶剤
・流動性の調整
塗料の乾燥機構
●揮発乾燥(乾燥時間:1~2時間)
・塗膜中の溶剤が自然蒸発して、塗膜が硬化、乾燥するタイプ。
〇代表例
・アクリルラッカー
・塩化ビニル樹脂塗料
 
●融着乾燥(乾燥時間:1~3時間)
・塗膜中の溶剤や水分の蒸発とともに、分散されていた樹脂の粒子が接触、融着して、連続した塗膜となる。
〇代表例
・アクリルエマルション塗料
・NAD(非水分散形)塗料
 
●酸化乾燥(乾燥時間:16~24時間)
・塗膜中の溶剤が蒸発して、塗膜が大気中の酸素と重合反応し硬化、乾燥する。
〇代表例
・合成樹脂調合ペイント
・フタル酸樹脂エナメル
 
●重合乾燥(乾燥時間:5~24時間)
・触媒、硬化剤を混入することで樹脂が反応し、重合を伴い硬化する。
〇代表例
・ウレタン樹脂塗料
・エポキシ樹脂塗料
・シリコン樹脂塗料
 
●熱重合乾燥(乾燥時間:120~140℃で20~30分)
・加熱することで樹脂が反応し、重合を伴い硬化する。
〇代表例
・熱硬化アミノアルキッド樹脂塗料
・熱硬化アクリル樹脂塗料
 
●融解冷脚乾燥(乾燥時間:20~30分)
・加熱によって融解した塗膜が、冷却することで硬化する。
〇代表例
・トラフイックペイント
合成樹脂塗料の概要
●合成樹脂塗料とは?
 
・合成樹脂を主成分とした塗料。
・合成樹脂をアルコール,ベンゼンなど有機溶剤に溶かしてつくる。
・乾燥が早く,塗膜は日光や風雨によく耐え,酸,アルカリなどの薬品にも侵されることが少く,すぐれた性質をもつため,工業用,家庭用に広く用いられている。
 
1)合成樹脂調合ペイント
 
〇合成樹脂調合ペイントの概要
・着色顔料・体質顔料などを,主に長油性フタル酸樹脂ワニスで練り合わせて作った液状・自然乾燥性の塗料。
 
〇特長
・耐用年数:3~5年
・従来最も多用されてきた塗料。安価。
 
2)アクリル樹脂塗料
 
〇アクリル樹脂塗料の概要
・アクリル樹脂とは、アクリル酸やメタクリル酸誘導体、スチレンなどのモノマーを数種類共重合させて得られる樹脂の総称。現在では極めて多数のモノマーが供給されており、加えて樹脂の分子量についても幅広い選択が可能なため、設計の自由度が大きいことが特長。
 
〇特長
・耐用年数:5~8年
・油性ペイントより耐候性に優れ、色あせしにくい。
・安価で施工性が良く、幅広く使われているが、外部用塗料としては、長期間の耐久性に不安がある。
 
〇溶剤型アクリル塗料
・耐候性、耐水性、耐アルカリ性、耐油性にすぐれていることから、コンクリート生地の上塗りや床用塗料として用いられている。
 
〇アクリルエマルション塗料
・アクリルエマルションとは、アクリル酸エステルなどのモノマーを水中で乳化重合させたエマルションポリマーのこと。
・建築用の水系塗料としてよく使用されている。
 
3)ウレタン樹脂塗料
 
〇ウレタン樹脂塗料の概要
・主剤として複数の水酸基を持つ樹脂(ポリオール)と硬化剤としてのポリイソシアネートを組み合わせた塗料の総称で、使用するポリオールとポリイソシアネートの組み合わせ次第で、様々な特徴を示す。
・塗料としては、耐候性が求められる上塗りとしてよく用いられる。また、一液湿気硬化型の下塗りや低温硬化型塗料としても用いられる。
 
〇特長
・耐用年数:8~10年
・耐久性、耐候性、耐薬品性に優れ、多方面で使用されている。
・品質と価格のバランスが取れた塗料で、アクリル樹脂より、耐久性、耐水性、耐薬品性が高い汎用塗料。
 
〇アクリルウレタン樹脂塗料
・ウレタン樹脂塗料の中でも、アクリルポリオールを主剤とするものが現在の主流となっており、アクリルウレタン塗料と呼ぶ。
・硬化剤としては、無黄変性である脂肪族系のポリイソシアネートが使用され、耐候性、塗膜性能、仕上がり外観に優れている。
 
4)アクリルシリコン樹脂塗料
 
〇シリコーン樹脂塗料の概要
・シリコーン樹脂を塗料に用いる際は、通常アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂などにより変性させて使用される。
・常温乾燥型から焼付乾燥型まであり、耐熱性、耐候性に優れる。
 
〇特長
・耐用年数:10~15年
・フッ素樹脂に次ぐ高耐候性。
・耐汚染性、耐候性、耐熱性に優れ、ウレタン樹脂塗料よりも、更に高い耐久性がある。
・最近では、耐紫外線効果に優れたラジカル制御技術を組み込んだシリコン塗料も多くある。
・現在の塗り替え工事で、多く使われている塗料。
 
5)フッ素樹脂塗料
 
〇特長
・耐用年数:15~20年
・高耐候性で塗膜はガラス質に近く、汚れも付きにくい。
・高価なのが難点。

コメントを残す

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください