建築基準法の概要

〇建築基準法:1,2条、建築基準法施行令:1,2条
〇過去問
・管理業務主任者 H13問16、H14問17、H16問17,20、H17問18、H18問17、H19問17,18,25、H20問17,21、H21問17、H23問17、H24問18、H25問17、H26問17,22、H27問18、H28問17、H29問17
・マンション管理士 H13問45、H15問21、H25問39
 
 
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建築基準法の概要
1)建築基準法の全体構造
 
〇総則
・用語の定義
・法の適用除外
・建築確認、完了検査
・違反建築物に対する措置
〇単体規定:全国一律に規定
・衛生・防火等を規制
・個々の建築物の安全、衛生等の確保が目的
〇集団規定:都市計画域・準都市計画区域に適用
・道路の規制
・用途の規制
・容積率・建ぺい率の規制
・建築物の高さの規制(斜線制限、日影規制等)
・防火・準防火地域の規制
〇建築協定
・地域住民全員の合意で、法の基準を超える基準を協定
 
2)目的、手続き関係等
 
●建築基準法の目的(法1条)
・この法律は、建築物の”敷地”、構造、設備及び用途に関する”最低の”基準を定めて、国民の”生命”、健康及び財産の保護を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的とする。
 
〇対象
・建築物の敷地、構造、設備及び用途
〇”最低の基準”
・国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。
 
●建築確認(6条)
・都市計画区域等の内外を問わず100m2を超える特殊建築物は必要。
・大規模の修繕・模様替
 
●定期検査の報告義務(12条)
・共同住宅においては3年間隔
 
3)単体規定(建築物の安全性確保)
 
●敷地(衛生・安全の確保)
・仕様規定:雨水排水溝、盛土等
 
●構造(地震等による倒壊の防止)
・仕様規定:構造部材、壁量等
・性能規定:限界耐力計算等
 
●防火・避難(火災からの人命の確保)
・仕様規定:耐火構造、避難階段等
・性能規定:耐火設計法、避難安全検証法等
 
●一般構造・設備(衛生・安全の確保)
・仕様規定:採光、階段、給排水設備等
 
4)集団規定(健全なまちづくり)
 
●接道規制(避難・消防等の経路確保)
・敷地と道路の関係
 
●用途規制(土地利用の混乱の防止)
・用途地域毎の建築制限
 
●形態規制(市街地の環境の維持)
・容積率、斜線制限等
建築基準法の用語 建築、設計
●建築物(法2条1号)
・土地に定着する+工作物
①屋根+柱 or 屋根+壁
②上記①に附属する門or塀
③観覧のための工作物(屋根はなくても)
④地下or高架の工作物内に設ける事務所等その他これらに類する施設
・上記①~④に設けられる”建築設備”も含む。
 
●特殊建築物(法2条2号)
・下記のような用途の特性を持つ建築物。
①不特定又は多数の者の用に供する
②火災発生のおそれ又は火災荷重が大きい
③周囲に及ぼす公害その他の影響が大きい等
・マンションは、共同住宅として、特殊建築物に該当。
 
●建築設備(法2条3号)
・建築物と一体となって、建築物の効用を全うするための設備。
・建築設備は、”建築物”に含まれる。
・動力に着しているのは、電気設備、ガス設備。
・機能に着目しているのは、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針。
 
●大規模の修繕(法2条14号)
・建築物の主要構造部の一種以上について行う過半の修繕。
・主要構造部:”壁、柱、床、はり、屋根又は階段”。
・その主要構造部の”一種以上について行う過半の修繕”なので、過半の修繕に該当するかどうかは、主要構造部の種類区分ごとに判断される。
 柱と壁の修繕が行われた場合に、どちらも過半の修繕に至らない場合は、大規模の修繕に該当しないが、どちらか一方が過半の修繕になれば、”大規模の修繕”に該当。
・”修繕”は、既存の建物の部分に対して、おおむね同様の形状、寸法、材料により、当初の価値を回復する工事のこと。
 
●大規模の模様替(法2条15号)
・模様替は、既存の建物に対して同様の形状、寸法の工事という点では修繕と同じだが、材料や構造種別は異なるようにする。
例)木造の柱を鉄骨造の柱としたり、土塗りの壁をコンクリートブロック造の壁としたり、茅葺きの屋根を亜鉛鉄板葺きの屋根としたりするような場合。
・修繕のように当初の価値を回復するというより、当初の価値の低下を防ぐことを目的とする。
 
●設計図書(法2条12号)
・建築物、その敷地又は一定の工作物に関する工事用の図面及び仕様書をいう。
 
●設計(法2条10号)
・その者の責任において設計図書を作成することをいう。
 
●工事監理
・その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認することをいう。
 
●建築主(法2条16号)
・建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者。
・建築基準法では、建築当時確認申請を提出した申請者のことで、現在の家屋所有者と同一では無い場合がある。
 
●設計者(法2条17号)
・その者の責任において、設計図書を作成した者。
・その建物を建築主から依頼を受け計画し、建築するにあたって必要な申請及び工事監理(図面の通りに現場が進行しているか)をチェックする人または事務所がなる。ここでいう監理は現場監督とは違い、設計図書に対しての監理を行う立場にある。
 
●工事施工者(法2条18号)
・建築物、その敷地若しくは第88条第1項から第3項までに規定する工作物に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らこれらの工事をする者。
 
●耐水材料(令1条4号)
・れんが、石、人造石、コンクリート、アスファルト、陶磁器、ガラスその他これらに類する耐水性の建築材料をいう。
建築基準法の用語 構造
●主要構造部(法2条5号)
・壁、柱、床、はり、屋根又は階段。
・建築物の構造上重要でない間仕切壁、間柱、付け柱、揚げ床、最下階の床、回り舞台の床、小ばり、ひさし、局部的な小階段、屋外階段その他これらに類する建築物の部分は除く。
・延焼の防止等の防火上の観点から規制を加える必要のある建築物の部位を主要構造部として規定している。
・防火上観点から定められているので、外壁や主要な間仕切り壁について構造耐力上重要でないものであっても、防火上の観点から主要構造部とされている場合がある。
 居室や避難施設である廊下との区画を構成する間仕切り壁は、主要構造部に該当することになる。
・基礎は地盤の中にあるので、火災の際に燃えるということはないので含まれていない。
・階段が含まれているのは、避難非難の際に重要な役割を果たすから。
 
●構造耐力上主要な部分(令1条3号)
・基礎、基礎ぐい、壁、柱、小屋組、土台、斜材(筋かい、方づえ、火打材その他これらに類するもの)、床版、屋根版又は横架材(はり、けたその他これらに類するもの)で、建築物の自重若しくは積載荷重、積雪荷重、風圧、土圧若しくは水圧又は地震その他の震動若しくは衝撃を支えるものをいう。
建築基準法の用語 敷地
●敷地(令1条1号)
・一の建築物又は用途上不可分の関係にある2以上の建築物のある一団の土地。
 
●敷地面積(令2条1号)
・敷地の水平投影面積によるが、特定行政庁が指定する幅員4m未満の道路の中心線から水平距離で2m後退した線までの部分は、敷地面積に算入しない。
・道がその中心線からの水平距離2m未満でがけ地、川、線路敷地その他これらに類するものに沿う場合においては、当該がけ地等の道の側の境界線及びその境界線から道の側に水平距離4mの線をその道路の境界線とみなし、この道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、敷地面積に算入しない。
建築基準法の用語 階数、高さ
●建築物の階数(令2条1項8号)
・建築物の一部が吹抜きとなっている場合その他建築物の部分によって階数を異にする場合においては、これらの階数のうち”最大”なものによる。
・階数とは、昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の1/8以下のものは、当該建築物の階数に算入しない。
 
●地盤面、水平面(令2条2項)
・建築面積、建築物の高さ、軒の高さを算定する際の地盤面とは、建築物が周囲の地面と接する位置の平均の高さにおける水平面をいい、その接する位置の高低差が”3m”を超える場合においては、その高低差”3m”以内ごとの平均の高さにおける水平面をいう。
防火・避難規定の概要
・建築基準法では、建築物の防火に関する規制を定め、消防法とも相まって、建築物の火災から人命、財産の保護を図っている。
 
〇建築基準法
・主に火災発生時における在館者の避難安全の確保や建築物の火災による倒壊等の周囲への危険防止、市街地火災対策などの複眼的な観点から、講ずべき措置を規定。
 
〇消防法
・おもに防火管理、消防設備(自動火災報知設備等の警報設備、誘導灯等の避難設備、スプリンクラー等の消火設備等)、消防活動などについて定めている。
 
1)頻繁な出火を防止するための規制
 
・火気使用室の内装からの着火防止
 
①内装材料の制限(法35条の2)
・火熱、煙の発生
→内装に用いる材料に係る制限
 
2)在館者の避難安全を確保するための規制
 
・火災の拡大防止による通常の避難安全の確保
・在館者が逃げ遅れた際の救助活動の確保
 
①用途(不特定多数の人が集まる建築物等)に応じた主要構造部の制限(法27条)
・火災が発生した場合、在館者が避難中に倒壊せず、安全に避難できる建築物。
→壁、柱、床、はり、階段に係る制限
→耐火建築物、準耐火建築物など
 
②防火区画の設置(法36条)
・火熱、煙の拡大
→区画(壁・床・防火設備)の設置
 
③内装材料の制限(法35条の2)
・避難経路のリスク(迅速な避難困難)
→内装に用いる材料に係る制限
 
④避難施設等の設置(法35条)
・避難経路のリスク(迅速な避難困難)
→階段、排煙設備、非常用照明等の設置
 
⑤消防活動の支援(法34、35条)
・消防活動のリスク(内部への進入困難)
→消防活動のための設備等の設置
 
3)周囲への危険を防止するための規制
 
・倒壊、大量の輻射・火の粉による周囲への加害防止
 
①規模(大規模の木造建築物等)に応じた主要構造部の制限(法21条)
・火災が発生した場合、消火終了まで倒壊しない建築物
→壁、柱、床、はり、屋根に係る制限
→準耐火建築物など
 
②消防活動の支援(法34,35条)
・消防活動のリスク(内部への進入困難)
→消防活動のための設備等の設置
 
4)市街地など建築物密集地域での火災対策ための規制
 
・建築物が密集していることによる火災の拡大を防がなくてはならない地域での規制。
・市街地での周囲からの受害防止及び加害(隣棟への延焼)防止
 
①立地(建築物密集地域、防火・準防火地域)に応じた主要構造部の制限(法61、62条)
・火熱による倒壊(避難中の倒壊)
→壁、柱、床、はり、屋根に係る制限
→耐火建築物、準耐火建築物など
 
②外殻に対する制限(法22条~25,63,64条)
・火熱による倒壊(避難中の倒壊)
→屋根、一定の外壁、軒裏に係る制限
・火の粉による延焼
→屋根、一定の外壁、軒裏に係る制限

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