・管理業務主任者
・マンション管理士
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アスファルト防水
(1)アスファルト防水の概要
●アスファルトとは?
・原油を蒸留して製造する石油アスファルトと天然に存在する天然アスファルトがあり、日本では一般に石油アスファルトをアスファルトと呼んでいる。
・外観は暗褐色ないし黒色で、常温では固体、半固体、粘性の高い液体で、熱を加えると容易に溶解する性質を持つ。
●アスファルトルーフィングとは?
・有機天然繊維を主体とした原紙や合成繊維の布などにアスファルトをしみこませたもの
・砂の粒子などを付着させたものを砂付きルーフィングと呼ぶ。
●アスファルト防水
・防水専用のアスファルトを加熱・溶融させ防水層となるルーフィングを積層する。
・最も歴史があり信頼性の高い防水工法。
・加熱・溶融したアスファルトが、積層するルーフィングとの接着剤としての役目をはたし、独立した層としての防水層を形成し水の浸入を防ぐ。
・積層型なので接合部の信頼性が非常に高いのが特徴。
(2)アスファルト防水工法の種類
1)露出工法
・表層は、砂付きルーフィングであり、工場製作の彩色砂付きルーフィングの場合と現場で保護塗装(トップコート)を施す場合がある。
保護塗装によって紫外線から防水層を保護している
・下地部分の水蒸気圧で防水層が膨れてしまうことがある。
〇歩行
・夏は軟らかく、冬は硬くなり、ふくれ、しわ、波打ちなどが生じやすいので、メンテナンス等ための軽歩行には耐えられるが、ルーフバルコニーなどの日常的に歩行する場所には適さない。
〇断熱工法
・防水層の下に厚さ30mm程度の硬質ウレタンフォーム等の断熱材を敷き込む。
2)保護コンクリート押え工法
・防水層を形成した後、60~100mmの厚さでコンクリートやモルタルを表面に打設し防水層を保護する工法。
・コンクリートの熱伸縮を緩衝するため、縦・横3m程度の感覚で、幅2㎝程度の伸縮目地を設け、合成樹脂性目地材を入れる。
・耐久性が高く、30年経過しても漏水が発生していない事例もあるが、万一漏水した場合は、損傷箇所を目視で確認できないため、部分補修が行いづらく、全面改修せざるを得ない場合がというデメリットもある。
・目地材については適宜補修が必要。
〇歩行
・ルーフバルコニーや屋上利用部分に採用される。
〇断熱工法
・断熱材は防水層の下の場合と上野場合とがある。
3)改質アスファルト防水
・合成繊維不織布と改質アスファルトを合わせて作られたルーフィングシート(改質アスファルトルーフィングシート)を使用する。
・通常は1層。屋上にかかる重量を軽減できる。
・非歩行用。
・溶融したアスファルトの臭気や煙による影響が少ないため、改修で採用されることが多い。
〇工法の種類
・トーチ工法:トーチバーナーで加熱しながら張り付ける。
・自着工法:シートに接着性をもたせ自着させる。
・熱工法:溶融した改質アスファルトで接着する
●アスファルトとは?
・原油を蒸留して製造する石油アスファルトと天然に存在する天然アスファルトがあり、日本では一般に石油アスファルトをアスファルトと呼んでいる。
・外観は暗褐色ないし黒色で、常温では固体、半固体、粘性の高い液体で、熱を加えると容易に溶解する性質を持つ。
●アスファルトルーフィングとは?
・有機天然繊維を主体とした原紙や合成繊維の布などにアスファルトをしみこませたもの
・砂の粒子などを付着させたものを砂付きルーフィングと呼ぶ。
●アスファルト防水
・防水専用のアスファルトを加熱・溶融させ防水層となるルーフィングを積層する。
・最も歴史があり信頼性の高い防水工法。
・加熱・溶融したアスファルトが、積層するルーフィングとの接着剤としての役目をはたし、独立した層としての防水層を形成し水の浸入を防ぐ。
・積層型なので接合部の信頼性が非常に高いのが特徴。
(2)アスファルト防水工法の種類
1)露出工法
・表層は、砂付きルーフィングであり、工場製作の彩色砂付きルーフィングの場合と現場で保護塗装(トップコート)を施す場合がある。
保護塗装によって紫外線から防水層を保護している
・下地部分の水蒸気圧で防水層が膨れてしまうことがある。
〇歩行
・夏は軟らかく、冬は硬くなり、ふくれ、しわ、波打ちなどが生じやすいので、メンテナンス等ための軽歩行には耐えられるが、ルーフバルコニーなどの日常的に歩行する場所には適さない。
〇断熱工法
・防水層の下に厚さ30mm程度の硬質ウレタンフォーム等の断熱材を敷き込む。
2)保護コンクリート押え工法
・防水層を形成した後、60~100mmの厚さでコンクリートやモルタルを表面に打設し防水層を保護する工法。
・コンクリートの熱伸縮を緩衝するため、縦・横3m程度の感覚で、幅2㎝程度の伸縮目地を設け、合成樹脂性目地材を入れる。
・耐久性が高く、30年経過しても漏水が発生していない事例もあるが、万一漏水した場合は、損傷箇所を目視で確認できないため、部分補修が行いづらく、全面改修せざるを得ない場合がというデメリットもある。
・目地材については適宜補修が必要。
〇歩行
・ルーフバルコニーや屋上利用部分に採用される。
〇断熱工法
・断熱材は防水層の下の場合と上野場合とがある。
3)改質アスファルト防水
・合成繊維不織布と改質アスファルトを合わせて作られたルーフィングシート(改質アスファルトルーフィングシート)を使用する。
・通常は1層。屋上にかかる重量を軽減できる。
・非歩行用。
・溶融したアスファルトの臭気や煙による影響が少ないため、改修で採用されることが多い。
〇工法の種類
・トーチ工法:トーチバーナーで加熱しながら張り付ける。
・自着工法:シートに接着性をもたせ自着させる。
・熱工法:溶融した改質アスファルトで接着する
シート防水
(1)シート防水の概要
・工場で一定の厚さと幅に成形されたシート防水材を接着剤・固定金具などを用いて下地に固定し防水層を形成する。
・均質な防水層を形成。
品質管理された工場において、シート状に製造されているため、物性・寸法(厚さ・幅・長さ)などのばらつきが少なく、均質な防水層を形成する。
・1層のシートのため、工程が少なく、工期短縮が図れるほか、工程管理が容易になる。
・1層のため、シート接合部の接着性や耐久性が問題となる。
(2)シート材料の分類
1)ゴム系
・ゴム系のものは軟らかいため、非歩行用の部位に使用され、シルバー等のトップコートを塗る。
・シートの厚さ:1.2~2mm
●加硫ゴム系シート
・合成ゴム(EPDM、IIR)に補強剤(カーボンブラックなど)、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤などを加えて混練し、押出機又はカレンダーロールでシート状に成形(複合タイプは、基布などを積層)した後、加硫缶やロートキュアーで加熱処理して製造する。
●非加硫ゴム系シート
・原料ゴム(IIR、再生 IIR)に補強剤、老化防止剤などを加えて混練し、押出機又はカレンダーロールでシート状に成形(複合タイプは基布などを積層)した後、熟成槽で歪取り処理をする。
・シート防水層自体の収縮する力が弱く、浮きや接合部のズレなどが発生しにくい。
・ルーフィングシート相互の接着接合性が良好で一体化する。
・ルーフィングシート自体が柔軟で、複雑な形状の下地になじみ易い。
2)塩化ビニル樹脂(PVC)系
・塩化ビニル樹脂に、可塑剤、安定剤、着色剤を加え混練し、カレンダーロールや押出機でシート状に成形する。
・ルーフィングシート相互は熱融着あるいは溶剤溶着で接合でき、一体化する。
・表面強度があるので、軽歩行用として使用される。
・防水層は自己消火性を有しており、延焼しにくい。
・材料に着色されているのでトップコートは塗らない。
・シートの厚さ:通常2mm。
3)エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)系
・エチレン酢酸ビニル共重合樹脂にカーボンブラックを混合し、押出機を用いてシート状に成形した後、表裏面を起毛又は植毛加工して製造する。
・湿潤下地に施工でき、工期の短縮がはかれる。
・防水層と保護層が一体となるので、保護層が薄く仕上がる。
・シートに直にモルタル仕上げ、タイル仕上げができる。
4)熱可塑性エラストマー(TPE)系
・熱可塑性エラストマー(主としてポリオレフィン系)に安定剤、着色剤などを加えて混練し、押出機又はカレンダーロールで成形したシートに、基布などを積層して製造する。
・一般に複合タイプで使用される。
・シートの物性変化が少なく、また、長期の屋外暴露にも寸法安定性に優れている。
・ハロゲン、可塑剤類を含まないので、物性変化が少なく環境汚染や人体への影響が少ない。
(3)下地に固定する工法の分類
〇接着工法
・防水シートを接着剤を用いて下地に張り付ける工法
〇密着工法
・防水シートをポリマーセメントペーストを用いて下地に張り付ける工法
〇機械的固定工法
・固定金具を用いて防水シートを下地に固定する工法
・工場で一定の厚さと幅に成形されたシート防水材を接着剤・固定金具などを用いて下地に固定し防水層を形成する。
・均質な防水層を形成。
品質管理された工場において、シート状に製造されているため、物性・寸法(厚さ・幅・長さ)などのばらつきが少なく、均質な防水層を形成する。
・1層のシートのため、工程が少なく、工期短縮が図れるほか、工程管理が容易になる。
・1層のため、シート接合部の接着性や耐久性が問題となる。
(2)シート材料の分類
1)ゴム系
・ゴム系のものは軟らかいため、非歩行用の部位に使用され、シルバー等のトップコートを塗る。
・シートの厚さ:1.2~2mm
●加硫ゴム系シート
・合成ゴム(EPDM、IIR)に補強剤(カーボンブラックなど)、軟化剤、加硫剤、加硫促進剤などを加えて混練し、押出機又はカレンダーロールでシート状に成形(複合タイプは、基布などを積層)した後、加硫缶やロートキュアーで加熱処理して製造する。
●非加硫ゴム系シート
・原料ゴム(IIR、再生 IIR)に補強剤、老化防止剤などを加えて混練し、押出機又はカレンダーロールでシート状に成形(複合タイプは基布などを積層)した後、熟成槽で歪取り処理をする。
・シート防水層自体の収縮する力が弱く、浮きや接合部のズレなどが発生しにくい。
・ルーフィングシート相互の接着接合性が良好で一体化する。
・ルーフィングシート自体が柔軟で、複雑な形状の下地になじみ易い。
2)塩化ビニル樹脂(PVC)系
・塩化ビニル樹脂に、可塑剤、安定剤、着色剤を加え混練し、カレンダーロールや押出機でシート状に成形する。
・ルーフィングシート相互は熱融着あるいは溶剤溶着で接合でき、一体化する。
・表面強度があるので、軽歩行用として使用される。
・防水層は自己消火性を有しており、延焼しにくい。
・材料に着色されているのでトップコートは塗らない。
・シートの厚さ:通常2mm。
3)エチレン酢酸ビニル樹脂(EVA)系
・エチレン酢酸ビニル共重合樹脂にカーボンブラックを混合し、押出機を用いてシート状に成形した後、表裏面を起毛又は植毛加工して製造する。
・湿潤下地に施工でき、工期の短縮がはかれる。
・防水層と保護層が一体となるので、保護層が薄く仕上がる。
・シートに直にモルタル仕上げ、タイル仕上げができる。
4)熱可塑性エラストマー(TPE)系
・熱可塑性エラストマー(主としてポリオレフィン系)に安定剤、着色剤などを加えて混練し、押出機又はカレンダーロールで成形したシートに、基布などを積層して製造する。
・一般に複合タイプで使用される。
・シートの物性変化が少なく、また、長期の屋外暴露にも寸法安定性に優れている。
・ハロゲン、可塑剤類を含まないので、物性変化が少なく環境汚染や人体への影響が少ない。
(3)下地に固定する工法の分類
〇接着工法
・防水シートを接着剤を用いて下地に張り付ける工法
〇密着工法
・防水シートをポリマーセメントペーストを用いて下地に張り付ける工法
〇機械的固定工法
・固定金具を用いて防水シートを下地に固定する工法
塗膜防水
(1)塗膜防水の概要
・液状の樹脂・合成ゴムなどをハケやヘラ、ローラーなどで下地に塗布するか、あるいは吹付機により施工して成膜・硬化させ、シームレスな防水層を形成する工法。
・液状の防水材を塗り重ね、表面にトップコートを塗る。
・塗膜防水と言えばウレタンFRPを指すことが多く、工法、価格面も含め、ウレタン防水の需要が多い。
●塗膜防水の特徴
・液状材料のため、複雑な形状にも納まりやすく、ジョイントがない。
・凹凸部でも膜厚を均一にできる。
・塗り重ねができて塗膜厚さを自由に設定できる。
・下地のひび割れなどの変形に追従しにくいことや、下地面に高い平滑度が要求されるなどのデメリットもある。
・他の防水に比べ多少コストがかかるのがデメリット。(次期改修時にはコストダウンできる)
●施工個所
・施工が容易なことからバルコニーや廊下の床、排水溝、屋根パラペット、庇等に施工される。
・屋上については、突出物の多い改修工事の際に、施工が容易のため採用されることが多い。
・開放廊下や屋外階段の床防水改修工事の際、通行制限の時間を短縮するため、超速硬化型ウレタン塗膜防水(吹付工法、実質3時間程度で歩行可)を採用することが多い。
(2)塗膜防水材料の種類
○ウレタン系
・液状のウレタン樹脂などの高分子材料を下地に塗布し、防水層を形成する工法。
・紫外線からの保護や滑り防止などの目的に応じて専用の保護塗料(トップコート)を塗布して仕上げる工法
○FRP系
・ポリエステル樹脂を塗布した上にガラスマットを貼り、その上から防水用ポリエステル樹脂を含浸・硬化させ、さらにポリエステル樹脂を塗布して防水層を構成する。
・ウレタンゴム系防水層の上にFRP系防水層を積層する複合工法もある。
・露出仕上げで表面の歩行が可能。
・非常に硬く、下地への接着力が強いため下地の動きに追従できない欠点もある。
○ゴムアスファルト系
・高濃度のゴムアスファルトエマルションを専用硬化剤により反応硬化させた塗膜防水材であり、そこに改質アスファルト系シートを組み合わせ、信頼性の高い積層タイプの複合防水を形成した後、コンクリートやモルタルを表面に打設し、防水層を保護する工法。
・ゴムアスファルト系は土木関連用途が多くなっている。
○アクリルゴム系
・液状のアクリル樹脂などの高分子材料を下地に塗布し、防水層を形成する工法。
・紫外線からの保護や滑り防止などの目的に応じて専用の保護塗料(トップコート)を塗布して仕上げる。
・主成分は高級アクリル酸エステルであり、防水層の伸び性能は良好で下地の動きに追従できる。
・外壁防水として用いられることが多い。
○ポリマーセメント系
・水性樹脂エマルジョンと無機紛体を混合したものを下地に塗布し防水層を形成する工法。
・液状の樹脂・合成ゴムなどをハケやヘラ、ローラーなどで下地に塗布するか、あるいは吹付機により施工して成膜・硬化させ、シームレスな防水層を形成する工法。
・液状の防水材を塗り重ね、表面にトップコートを塗る。
・塗膜防水と言えばウレタンFRPを指すことが多く、工法、価格面も含め、ウレタン防水の需要が多い。
●塗膜防水の特徴
・液状材料のため、複雑な形状にも納まりやすく、ジョイントがない。
・凹凸部でも膜厚を均一にできる。
・塗り重ねができて塗膜厚さを自由に設定できる。
・下地のひび割れなどの変形に追従しにくいことや、下地面に高い平滑度が要求されるなどのデメリットもある。
・他の防水に比べ多少コストがかかるのがデメリット。(次期改修時にはコストダウンできる)
●施工個所
・施工が容易なことからバルコニーや廊下の床、排水溝、屋根パラペット、庇等に施工される。
・屋上については、突出物の多い改修工事の際に、施工が容易のため採用されることが多い。
・開放廊下や屋外階段の床防水改修工事の際、通行制限の時間を短縮するため、超速硬化型ウレタン塗膜防水(吹付工法、実質3時間程度で歩行可)を採用することが多い。
(2)塗膜防水材料の種類
○ウレタン系
・液状のウレタン樹脂などの高分子材料を下地に塗布し、防水層を形成する工法。
・紫外線からの保護や滑り防止などの目的に応じて専用の保護塗料(トップコート)を塗布して仕上げる工法
○FRP系
・ポリエステル樹脂を塗布した上にガラスマットを貼り、その上から防水用ポリエステル樹脂を含浸・硬化させ、さらにポリエステル樹脂を塗布して防水層を構成する。
・ウレタンゴム系防水層の上にFRP系防水層を積層する複合工法もある。
・露出仕上げで表面の歩行が可能。
・非常に硬く、下地への接着力が強いため下地の動きに追従できない欠点もある。
○ゴムアスファルト系
・高濃度のゴムアスファルトエマルションを専用硬化剤により反応硬化させた塗膜防水材であり、そこに改質アスファルト系シートを組み合わせ、信頼性の高い積層タイプの複合防水を形成した後、コンクリートやモルタルを表面に打設し、防水層を保護する工法。
・ゴムアスファルト系は土木関連用途が多くなっている。
○アクリルゴム系
・液状のアクリル樹脂などの高分子材料を下地に塗布し、防水層を形成する工法。
・紫外線からの保護や滑り防止などの目的に応じて専用の保護塗料(トップコート)を塗布して仕上げる。
・主成分は高級アクリル酸エステルであり、防水層の伸び性能は良好で下地の動きに追従できる。
・外壁防水として用いられることが多い。
○ポリマーセメント系
・水性樹脂エマルジョンと無機紛体を混合したものを下地に塗布し防水層を形成する工法。