排水設備要綱 排水管、間接排水、通気管

東京都下水道局の『東京都排水設備要綱(R2年3月版)』を読んで排水設備の設計・施工方法を勉強しました。参考になった点、要点等をメモ書きしました。
 
第3章:屋内排水設備-第2節:排水管、間接排水、通気管
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
排水管の種類、設計・施行の注意点
(1)排水管の種類
 
●器具排水管
・衛生器具に付属又は内蔵するトラップに接続する排水管で、トラップから他の排水管までの間の管をいう。
 
●排水横枝管
・1個以上の器具排水管からの排水を受けて、排水立て管又は排水横主管に導く排水管(水平又は水平と45度未満の角度で設ける管)をいう。
 
●排水立て管
・1本以上の排水横枝管からの排水を受けて、排水横主管に導く排水管(鉛直又は鉛直度以内の角度で設ける管)をいう。
・排水立て管は、雨水排水立て管や通気管と兼用することや接続をしてはならない。
 
●排水横主管
・建物内の排水を集めて、屋外排水設備に排除する横管をいう
 
●雨水立て管
・主として屋根に降った雨水を雨水横主管、屋外排水管などに導くための立て管をいう。
・雨水立て管には、衛生器具の器具排水管や各種の通気管を接続してはならない。
 
●ルーフドレン
・屋根面に降った雨水を雨水立て管に導くための器具であり、土砂やゴミを取り除くストレーナを付属する。
 
(2)排水管の配管における設計・施行の注意点
 
・排水管の屈曲点は、異形管又はその組合せにより行い、掃除口を設置する場合を除き、経路が行き止まりとなるような配管は行わない。
・排水枝管などが合流する場合は、必ず45度以内の鋭角とし、水平に近いこう配で合流させる。
・排水横主管及び横枝管にT字継手・ST継手・クロス継手を使用してはならない。
・排水横主管を排水立て管に接続する場合、排水立て管が45度以上の角度で平行移動する部分の上下60㎝以内に接続してはならない。
・必要に応じて取替時の仮配管スペースを考慮する。
・雨水排水立て管は、汚水排水立て管や通気管と兼用又は連結してはならない。
・建築物の壁面等を貫通して配管する場合は、当該貫通部分に配管スリーブを設ける等、管の損傷防止のために有効な措置を講ずる。
・管自体の伸縮その他の理由により当該管が損傷するおそれがある場合は、伸縮継手又は可撓継手を設ける等、損傷防止の措置を講ずる。
・管を支持又は固定する場合は、吊り金物又は防振ゴムを用いる等、地震その他の振動及び衝撃の緩和のための有効な措置を講じるものとする。
・ベランダ等に水栓を設置する場合の排水は、汚水系統へ接続させる。
間接排水
(1)間接排水とは
 
・間接排水とは、排水を一度、大気中で縁を切り、所要の排水口空間をとって、排水系統へ直結している水受け容器等に排水することをいう。
 
・飲料水・食物・食器等を使用又は取り扱う機器からの排水を排水管に直結して排出すると、排水管の詰まりなど異常が生じた場合、汚水が逆流し、飲料水・食物・食器等が直接汚染され、衛生上非常に危険な状態になることがある。
 このため、食物・食器を取り扱う機器からの排水や、飲料水を使用する機器からの排水は、間接排水とすること。
 
・間接排水は、適切な排水トラップを有し、かつ、トラップの封水が破れない措置を講じてある器具(ただし、手洗い・洗面・料理などの目的に使用されるものを除く。)・床排水口・漏斗・ホッパ等に排出させ、飲料水・食物・食器の汚染を防止すること。
 
(2)間接排水とする機器・装置
 
●サービス用機器
①冷蔵関係
・冷蔵庫・冷凍庫・ショーケース等の食品冷蔵・冷凍機器等
②厨房関係
・皮むき機・洗米機・蒸し器・製氷機・食器洗浄機等
③洗濯関係
・洗濯機・脱水機等
④水飲み器
・水飲み器・飲料用冷水機・給茶器等
 

●配管・装置の排水
①各種の貯水タンク・膨張タンク等のオーバーフロー及び排水
②上水・給湯及び飲料用冷水ポンプの排水
③排水口を有する露受け皿・水切りなどの排水
④上水・給湯及び飲料用冷水系統の水抜き
⑤消火栓・スプリンクラー系統等の水抜き
⑥逃し弁の排水
⑦圧縮機などの水ジャケットの排水
⑧冷凍庫・冷却塔及び冷媒・熱媒として水を使用する装置の排水
⑨空気調和用機器の排水
⑩上水用の水処理装置の排水
 
●蒸気系統・温水系統の排水
・ボイラ・熱交換器及び給湯用タンクからの排水・蒸気管のドリップ等の排水は間接排水とし、45℃未満に冷却した後、排水する。
 
(3)水受け容器
 
1)設置場所
・便所、洗面所、容易に接近できない場所及び換気のないところは避ける。
 
2)構造
①トラップを備え、排水がはねたりあふれたりしない形状、容量及び排水口径とする。
②排水口には、容易に取り外しのできるバスケット又はストレーナーを設ける。
③手洗い、洗面、料理等の目的に使用される器具は、水受け容器を兼ねてはならない。
 
3)排水口空間
間接排水管の管径 排水口空間
・25mm以下    最小 50mm
・30~50mm    最小 100㎜
・65㎜以上    最小 150㎜
 
※各種の飲料用貯水等の間接排水管の排水口空間は、管径にかかわらず最小 150㎜ とする
通気管
(1)通気管の設置目的
 
・サイホン作用及びはね出し作用からトラップの封水を保護する。
・排水管内の流水を円滑にする。
・排水管内に空気を流通させて排水系統内の換気を行う。
 
(2)通気方式
 
1)各個通気方式
 
〇各個通気方式とは
・各器具からの各個通気管を立ち上げ、各々を通気横枝管に結び、その枝管の末端を通気立て管又は伸頂通気管に接続する方式。
・通気の機能を完全に果たすことを期待するためには、各個通気方式が最も望ましいが、経済性や施工性の点を考えた場合、すべてに適用はできない。
 
〇設置個所
・トラップ封水の保護や騒音防止、気圧の変動が大きくその影響を受けやすい超高層建物の器具群、又は同時使用率の高い一連の器具に対しては各個通気方式とする。
 特にP形トラップを有する器具やその器具の排水の下流側に大便器等の大量排水を一時に行う器具がある場合には、各個通気方式にしてトラップの自己サイホン作用を防止することが望ましい。
 
〇設置上の注意
・和風大便器や床排水金具のように、器具から直接下方に床を貫通して床下の排水横枝管に接続する場合、各個通気管は床下から取らざるを得ないので、排水管との接続点が動水こう配線以下となり好ましくない。
・洗面器や洋風壁掛大便器は、各個通気管を設けやすいが、背面にシャフトを設けるかブロック積にしてその中を配管し、壁面を痛めないようにすること。
 
2)ループ通気方式
 
〇ループ通気方式とは
・最も一般的な通気方式であり、最上階に設ける場合を除いて、排水横枝管の最上流の器具の下流側から通気管を立ち上げ、通気横枝管に連結し、その末端を通気立て管に接続する方式。
 
〇設置上の注意
・床埋込みの和風大便器を多く使用している日本の実情から、通気枝管を排水枝管から立上げる位置は常に床下であるが、その通気管を器具のあふれ縁より上へ立上げることなく、床下で横引配管をして通気立て管に接続することは好ましくない。
 なお、この場合でも通気横枝管の末端を器具あふれ縁から150mm以上立ち上げた点で通気立て管に接続する。
 
〇逃がし通気管
・多層階の建物に対して、最上階を除いた階に大便器が3個以上ある排水横枝管や、洗面器と床面に設置する器具が混在する排水横枝管に対しては、ループ通気管のほかに逃がし通気管をとるのがよい。
・逃がし通気管は、高層建物や器具数の多い建物で、立て管までの距離が長い場合、ループ通気の効果をより高める意味で採用される通気である。
・最上階を除く階で8個以上の大便器を受け持つ排水横枝管が排水立て管に接続する場合に、その最下流の器具排水管が結ばれる直後から逃がし通気管を立上げる。
・最上階ではそれより上方からの排水はないから、横枝管内に一時満流になるほどの排水が発生しても下流側の空気は通気立て管又は伸頂通気を通って大気中に容易に逃げることができる。
 また、上流側の負圧傾向の空気に対しては、通気横枝管を通じて入ってくる空気で速やかに補うことができるので、逃がし通気管を必要としない。
 
3)伸頂通気方式
 
〇伸頂通気方式とは
・最も単純な方式で、一部分が湿り通気管となる排水立て管と伸頂通気管だけで、高層建築においても各個通気やループ通気管をとらなくてもよい。これは伸頂通気管方式と呼ばれる。
・最も経済的な方式。
・通気管の役目としてトラップサイホン現象を防止することがあるが、排水管と兼用されても使用上何ら影響がなければ配管を単純化し節約することができる。
 
〇設置個所
・この方式はアパートやホテルの浴室器具群や住宅の一連の器具に対して設けるもので、伸頂通気をとる排水立て管の周囲に器具が隣接していることや、同時使用率が低い器具群を除いて、各器具は各々単独に排水立て管に結ばなければならない。
・湿り通気管は通気の目的のほか、排水管として用いられる部分の通気管である。
・近年になって実験と経験の結果、それが適正に用いられれば湿り通気は明らかに安全であるといわれている。固形物や脂肪分等を含まない比較的きれいな排水で、同じ排水管に結ばれる器具の同時使用率が高くない場合に用いられる。
 
〇設置上の注意
・排水立て管と器具排水管との距離は最大1.5mといわれ、特にトラップ封水の破れやすい洗面器、手洗い器に対して、1.5m以上ならば各個通気管とする。
・排水立て管に接続する器具の上下関係も、洗面器等を最上流にし、大便器の排水管を最下流にする。
 
(3)設置上の注意
 
・通気管末端の開口部を、その建築物又は近隣の建築物の出入口・窓・換気口・外気取入れ口等に近接して開口する場合には、臭気が拡散しないように配慮した位置とする。
・通気管末端の開口部は、出入口・窓その他開口部より、少なくとも600mm以上立ち上げる。
・上記の各種の開口部より600mm以上立ち上げられない場合には、それらの開口部より水平に3.0m以上離す。
・建築物の屋上が庭園・運動場・物干し場などに利用される場合には、通気管の末端は屋上の床仕上げ面より人間の高さ以上(約2m)、そのような用途に使用されない場合には、屋外の雨水等が通気管内に流入しないような高さ以上(約200mm)に、それぞれ立ち上げる。

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