〇過去問
・管理業務主任者 H18問5、H19問10、H21問11、H28問6
・マンション管理士 H17問18、H18問16、H19問6、H21問16、H23問15,16、H24問17、H26問16、H28問17
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相続の承認及び放棄
●相続の承認又は放棄をすべき期間(915条)
・自己のために相続の開始があったことを”知ったとき”より3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続の承認または放棄の申述をしなければならない。(熟慮期間)
・熟慮期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することが”できる”。(届出をしたからといって、必ずしも伸長されるとは限らない。)
・熟慮期間中に何もしなければ単純承認したことになる。
※相続の開始を知って3ヵ月が経過したときには、原則として相続を放棄することはできないが、相続財産が全くないと信じたことに相当の理由があると認められる場合には、相続を放棄することができる(判例)。
●単純承認(920条)
・無限に被相続人の権利義務を承継する。
・相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされる。
・ただし、短期賃貸借(3年以下の建物賃貸借が該当)は、単純承認とはみなされない。
●限定承認(922条~924条)
・相続財産のうちで負債や遺贈(遺言によって、財産を相続人以外の者におくること)を弁済してもなお余りがあれば,それを相続するという留保を付ける。
・限定承認は,プラスがあった場合だけ相続をすることができるようになる。
・共同相続人全員が共同して行うときのみ可能。
・熟慮期間中に、”相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述”する必要がある。
●相続の承認及び放棄の撤回及び取消し(919条)
・相続の承認や放棄は、考慮期間内でも、これを撤回することができない。
・詐欺や強迫によって承認や放棄をしてしまった場合には、その旨を家庭裁判所に申述すれば、撤回することができる。
●相続の放棄(938条~939条)
・相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
・相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
・代襲相続は生じない。
●相続財産の管理(918条)
・相続人は、その”固有財産におけるのと同一の注意”をもって、相続財産を管理しなければいけない。
この”固有財産におけるのと同一の注意”というのは、”自己の財産におけると同一の注意義務”などと同じ意味。善管注意義務よりは軽い注意義務。
〇相続の放棄をした者による管理(940条)
・相続放棄をすれば、この注意義務もなくなるが、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまでは、”自己の財産におけるのと同一の注意”をもって、その財産の管理を継続しなければいけない。
・自己のために相続の開始があったことを”知ったとき”より3ヶ月以内に、家庭裁判所に相続の承認または放棄の申述をしなければならない。(熟慮期間)
・熟慮期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することが”できる”。(届出をしたからといって、必ずしも伸長されるとは限らない。)
・熟慮期間中に何もしなければ単純承認したことになる。
※相続の開始を知って3ヵ月が経過したときには、原則として相続を放棄することはできないが、相続財産が全くないと信じたことに相当の理由があると認められる場合には、相続を放棄することができる(判例)。
●単純承認(920条)
・無限に被相続人の権利義務を承継する。
・相続人が相続財産の全部又は一部を処分したときは、単純承認をしたものとみなされる。
・ただし、短期賃貸借(3年以下の建物賃貸借が該当)は、単純承認とはみなされない。
●限定承認(922条~924条)
・相続財産のうちで負債や遺贈(遺言によって、財産を相続人以外の者におくること)を弁済してもなお余りがあれば,それを相続するという留保を付ける。
・限定承認は,プラスがあった場合だけ相続をすることができるようになる。
・共同相続人全員が共同して行うときのみ可能。
・熟慮期間中に、”相続財産の目録を作成して家庭裁判所に提出し、限定承認をする旨を申述”する必要がある。
●相続の承認及び放棄の撤回及び取消し(919条)
・相続の承認や放棄は、考慮期間内でも、これを撤回することができない。
・詐欺や強迫によって承認や放棄をしてしまった場合には、その旨を家庭裁判所に申述すれば、撤回することができる。
●相続の放棄(938条~939条)
・相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
・相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初めから相続人とならなかったものとみなす。
・代襲相続は生じない。
●相続財産の管理(918条)
・相続人は、その”固有財産におけるのと同一の注意”をもって、相続財産を管理しなければいけない。
この”固有財産におけるのと同一の注意”というのは、”自己の財産におけると同一の注意義務”などと同じ意味。善管注意義務よりは軽い注意義務。
〇相続の放棄をした者による管理(940条)
・相続放棄をすれば、この注意義務もなくなるが、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまでは、”自己の財産におけるのと同一の注意”をもって、その財産の管理を継続しなければいけない。
相続人の有無が不明の場合
●相続財産の優先順位
・相続人→特別縁故者→国庫
●相続人が不明の場合(951条)
・相続人のあることが明らかでない場合、相続財産は法人となる。
・相続人のないことが明らかな場合も、本章が適用される。
→ここでは、相続財産に主体性を付与して”法人”とし、この法人が相続財産の管理・清算、相続人の探索を並行して行っていく。
・相続人が行方不明や生死不明の場合は、不在者の財産管理、失踪宣告の規定が適用される。
①特別縁故者に対する相続財産の分与(958条)
・相続人が存在しない場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることが”できる”。
・当然に特別縁故者に帰属するわけではない。
②他の共有者への移転(255条)
・他の共有者に帰属する。
③国庫に帰属(959条)
・特別縁故者がいないか審判の申立てが却下されたなどにより相続財産が特別縁故者に移転しない場合、共有持分なら他の共有者に帰属し(第255条)、単独所有なら国庫に帰属する。
〇相続人の生死が不明
・利害関係人から家庭裁判所に対して、失踪宣告を請求
→失踪宣告によって、死亡したものと同じ扱いがされ、相続手続を進めることができるようになる。
〇相続財産の管理人の選任(952条)
・相続人の有無が不明の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
●包括受遺者(990条)
・遺言によって無償で財産を他人に残すことを遺贈といい、遺贈によって財産を受ける者を受遺者という。
・遺贈は、相続財産を特定することなく、その全部または一部を特定の者に贈与することができ、これを包括遺贈という。
・”包括受遺者”とは、上記のように遺言者の財産の全部または一部の包括遺贈を受ける者のことをいう。
・包括受遺者は、他に相続人や他の包括受遺者がいる場合には、それらの者と同一の権利義務を有し、共同相続することになる。
・相続人→特別縁故者→国庫
●相続人が不明の場合(951条)
・相続人のあることが明らかでない場合、相続財産は法人となる。
・相続人のないことが明らかな場合も、本章が適用される。
→ここでは、相続財産に主体性を付与して”法人”とし、この法人が相続財産の管理・清算、相続人の探索を並行して行っていく。
・相続人が行方不明や生死不明の場合は、不在者の財産管理、失踪宣告の規定が適用される。
①特別縁故者に対する相続財産の分与(958条)
・相続人が存在しない場合において、相当と認めるときは、家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と特別の縁故があった者の請求によって、これらの者に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を与えることが”できる”。
・当然に特別縁故者に帰属するわけではない。
②他の共有者への移転(255条)
・他の共有者に帰属する。
③国庫に帰属(959条)
・特別縁故者がいないか審判の申立てが却下されたなどにより相続財産が特別縁故者に移転しない場合、共有持分なら他の共有者に帰属し(第255条)、単独所有なら国庫に帰属する。
〇相続人の生死が不明
・利害関係人から家庭裁判所に対して、失踪宣告を請求
→失踪宣告によって、死亡したものと同じ扱いがされ、相続手続を進めることができるようになる。
〇相続財産の管理人の選任(952条)
・相続人の有無が不明の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
●包括受遺者(990条)
・遺言によって無償で財産を他人に残すことを遺贈といい、遺贈によって財産を受ける者を受遺者という。
・遺贈は、相続財産を特定することなく、その全部または一部を特定の者に贈与することができ、これを包括遺贈という。
・”包括受遺者”とは、上記のように遺言者の財産の全部または一部の包括遺贈を受ける者のことをいう。
・包括受遺者は、他に相続人や他の包括受遺者がいる場合には、それらの者と同一の権利義務を有し、共同相続することになる。
配偶者居住権
1)配偶者居住権
●配偶者居住権の成立
・被相続人の配偶者は、被相続人の遺言により、または、遺産分割の方法の1つとして、相続開始時に居住していた被相続人所有の建物の全部について、無償で使用・収益をする権利(配偶者居住権)を取得できる。
・居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
・配偶者居住権は、家庭裁判所の審判によっても取得される。
〇制度の背景
・配偶者が、遺産分割により居住建物の所有権を取得する場合、相続財産の状況によっては、他の預貯金などの財産を取得することができずに、必要な生活費が不足しかねない、という事態が生じえる。
→居住建物の所有権はともかく、居住権を取得して、居住建物への居住を継続しながら、預貯金など他の財産も取得できるようにした。
〇配偶者居住権が成立しない場合
・配偶者は、法律婚に限る。
→内縁の配偶者には配偶者居住権は成立しない。
・被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合は、配偶者居住権は生じない。
●配偶者居住権の存続期間・登記等
・配偶者居住権は、原則として、配偶者の終身(または一定の期間)存続する。
・居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負い、配偶者が自己の居住権を登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
●配偶者による使用及び収益(1032条)
・配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
・配偶者居住権は、譲渡することができない。
・配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
2)配偶者短期居住権(1037条)
・配偶者は、相続開始時に被相続人の建物に無償で居住していた場合には、次の①②の期間、居住建物取得者に対し、居住建物について、引き続き、無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を取得する。
①居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合
・遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6ヵ月を経過する日のいずれか遅い日
②上記以外の場合
・居住建物取得者は、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができ、その申入れの日から6ヶ月を経過する日までの間
●配偶者居住権の成立
・被相続人の配偶者は、被相続人の遺言により、または、遺産分割の方法の1つとして、相続開始時に居住していた被相続人所有の建物の全部について、無償で使用・収益をする権利(配偶者居住権)を取得できる。
・居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
・配偶者居住権は、家庭裁判所の審判によっても取得される。
〇制度の背景
・配偶者が、遺産分割により居住建物の所有権を取得する場合、相続財産の状況によっては、他の預貯金などの財産を取得することができずに、必要な生活費が不足しかねない、という事態が生じえる。
→居住建物の所有権はともかく、居住権を取得して、居住建物への居住を継続しながら、預貯金など他の財産も取得できるようにした。
〇配偶者居住権が成立しない場合
・配偶者は、法律婚に限る。
→内縁の配偶者には配偶者居住権は成立しない。
・被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共有していた場合は、配偶者居住権は生じない。
●配偶者居住権の存続期間・登記等
・配偶者居住権は、原則として、配偶者の終身(または一定の期間)存続する。
・居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負い、配偶者が自己の居住権を登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
●配偶者による使用及び収益(1032条)
・配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、これを居住の用に供することを妨げない。
・配偶者居住権は、譲渡することができない。
・配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
2)配偶者短期居住権(1037条)
・配偶者は、相続開始時に被相続人の建物に無償で居住していた場合には、次の①②の期間、居住建物取得者に対し、居住建物について、引き続き、無償で使用する権利(配偶者短期居住権)を取得する。
①居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合
・遺産分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から6ヵ月を経過する日のいずれか遅い日
②上記以外の場合
・居住建物取得者は、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができ、その申入れの日から6ヶ月を経過する日までの間
遺留分
1)遺留分とは
・遺留分とは、特定の相続人に保障されている相続財産の一定の割合をいい、被相続人の贈与・遺贈などの処分によっても奪うことはできないものをいう。
・配偶者等に一定の財産を確保するよう配慮されている。
2)遺留分権利者
・配偶者、直系卑属(胎児、代襲相続人も含む)、直系尊属
・兄弟姉妹には、遺留分はない。
3)遺留分の割合
①直系尊属のみが相続人の場合:相続財産の1/3
②上記①以外の相続人の場合:相続財産の1/2
4)遺留分侵害の請求
・遺留分を侵害する遺贈または贈与の結果、遺留分権利者が確保できる遺留分に満たないときには、遺留分権利者は、受遺者または受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
・遺留分侵害請求は、必ずしも裁判上の請求による必要はない。
〇遺留分侵害請求の対象となる贈与
・遺留分額の算定の基礎となる財産には、生前に贈与された一定の財産が含まれる。ただし、算入される贈与財産は、原則として、相続開始前の1年間にされたものに限られる。
※1年より前にされた贈与でも、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合には、算入される。
〇遺留分侵害額請求権の期間の制限(1048条)
・遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。
5)遺留分の放棄(1049条)
・”相続の開始前”における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
※遺留分を放棄した場合、その相続人は遺留分権利者ではなくなるが、相続人としての地位を失うわけではない。
・共同相続人の1人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。
・遺留分とは、特定の相続人に保障されている相続財産の一定の割合をいい、被相続人の贈与・遺贈などの処分によっても奪うことはできないものをいう。
・配偶者等に一定の財産を確保するよう配慮されている。
2)遺留分権利者
・配偶者、直系卑属(胎児、代襲相続人も含む)、直系尊属
・兄弟姉妹には、遺留分はない。
3)遺留分の割合
①直系尊属のみが相続人の場合:相続財産の1/3
②上記①以外の相続人の場合:相続財産の1/2
4)遺留分侵害の請求
・遺留分を侵害する遺贈または贈与の結果、遺留分権利者が確保できる遺留分に満たないときには、遺留分権利者は、受遺者または受贈者に対して、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができる。
・遺留分侵害請求は、必ずしも裁判上の請求による必要はない。
〇遺留分侵害請求の対象となる贈与
・遺留分額の算定の基礎となる財産には、生前に贈与された一定の財産が含まれる。ただし、算入される贈与財産は、原則として、相続開始前の1年間にされたものに限られる。
※1年より前にされた贈与でも、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知っていた場合には、算入される。
〇遺留分侵害額請求権の期間の制限(1048条)
・遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から10年を経過したときも、同様とする。
5)遺留分の放棄(1049条)
・”相続の開始前”における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
※遺留分を放棄した場合、その相続人は遺留分権利者ではなくなるが、相続人としての地位を失うわけではない。
・共同相続人の1人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。