競売手続き・先取特権による賃料差押え手続きの詳細

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認容判決等に基づく不動産強制競売の手続き
(1)必要書類
 
1)滞納区分所有者に対する競売申立て時の必要書類
 
①執行力ある判決正本
・管理費等請求訴訟の認容判決等
②送達証明書
③不動産登記事項証明書(発行後1ヵ月以内)
・物件が敷地権付区分所有建物である場合、敷地たる土地の登記事項証明書も必要
④公課証明書
・最新の公課及び評価の額が記載されているもの。
⑤資格証明書(マンション管理組合が申し立てる場合)
・管理規約写し
・管理組合の代表者(理事長等)が選任された総会の議案書及び議事録各写し(理事長等を理事会で決定した場合は、これに加え理事会議事録写し)
・代表者の資格証明書(現在の理事長等について他の理事2名が証明するもの。本文の書式を参照)
・(管理規約において、管理組合が競売申立て等をするために必要な授権がされていない場合)必要な授権を受けた旨の総会決議の議案書及び議事録各写し※
・(管理規約において、理事長等が管理組合を代表して競売申立て等をするために必要な授権がされていない場合)必要な授権を受けた旨の総会決議の議案書及び議事録各写し※
※管理規約で決議事項を理事会に委ねている場合は理事会議事録写し
⑥住民票
・債務者又は所有者が個人の場合には,1か月以内に発行されたものを提出。
 
2)滞納区分所有者の相続人に対する必要書類
 
・滞納区分所有者に対する管理費等請求訴訟の認容判決等が確定したが、競売手続き前に滞納区分所有者が亡くなっているときは、債務名義に表示された当事者以外の者を債務者とする債務者とする執行文は、その者に対し強制執行できることが明白であるとき、付与することができると規定しているので(民執27条2項)、その承継人である相続相手に戸籍等で相続人であることを証して、承継執行文付与の手続きを行わなければならない。
 
①承継執行文が付与された債務名義の正本
②各相続人に対する送達証明書
③不動産登記事項証明書
④公課証明書
⑤資格証明書
⑥各債務者たる相続人の住民票
 
(2)注意点
 
1)配当の順位
 
・管理費等請求訴訟の認容判決に基づく強制競売は、一般債権としての管理費等の支払請求権であり、担保付き債権、公債権に劣後する。
・不動産の買受可能価格で剰余の生じる見込みがないと判断されれば取り消されてしまう。
→取り消された場合は、競売手続きにかかった費用の回収はできないことになる。
・取り消されなかったとしても、配当の順位は、担保付債権、公債権に劣後し、他の一般債権とともに按分されることになる。
 
2)債務名義を取得しておくことのメリット
 
・管理費等の支払い請求権の時効は5年だが、債務名義を取得しておけば、時効は10年となる。
・不動産ばかりではなく、滞納区分所有者の預貯金、給与等の債権差押え、又は動産差押え等の方法により滞納管理費等を回収することができる。
 
(3)強制競売の申立て
 
1)申立書
 
書式:不動産強制競売申立書
 
●当事者目録
〇債務名義作成後に氏名(商号)や住所(本店所在地)に変更が生じた場合
・現在の氏名,住所等と債務名義上の氏名,住所等を併記し,戸籍謄本(抄本),住民票,商業登記事項証明書等の公文書でその同一性を証明する。
 
〇債務名義成立後に,債権者が当該債権を第三者に譲渡したり,債務者が死亡して相続が開始したりして,承継が生じた場合
・債務名義に承継執行文の付与を受け,債務名義上の当事者からの承継(相続)人であることを記載上明らかにする。

●請求債権目録
〇債務名義の表示
・請求債権が表示されている執行力ある債務名義を,債務名義作成機関名,事件番号,債務名義の種類で特定して記載する。
 
〇元金及び利息・損害金の表示
(例)
(1)元金 金○○○万円
(2)損害金
ただし,(1)の金員に対する令和○○年○○月○○日から支払済みまで年○パーセントの割合による遅延損害金
(3)督促手続費用 金○○○○円
 
●物件目録
・不動産競売の対象である不動産の表示の程度としては,対象不動産を特定して認識できる程度であることを要し,不動産登記事項証明書の表示のとおりに記載する
 
2)手数料等
 
●申立時の予納金
・執行官の現地調査、評価人の鑑定評価手数料等の費用を予め納付しなければならない。
・予納金    請求債権額
 80万円    2,000万円未満
 100万円    2,000~5,000万円
 150万円    5,000~1億円
 200万     1億円以上
 
●申立手数料
・請求債権1個につき 4,000円
 
●差押登記のための登録免許税
・国庫金納付書により納付(3万円以下なら収入印紙でも可)
・納付額は確定請求債権額の1000分の4
 
(4)現況調査
 
1)現況調査等に必要な書類(申立て時に提出)
 
不動産競売事件(担保不動産競売,強制競売,形式的競売)の申立てについて
 
a. 不動産登記事項証明書
b. 公課証明書
c. 公図写し(法務局の登記官による認証のあるもので,1か月以内に発行されたもの。縮小コピー不可。申立ての対象が建物のみの場合にも提出)
d. 建物図面(法務局の登記官による認証のあるもので,1か月以内に発行されたもの。縮小コピー不可。申立ての対象が土地のみの場合にも提出。備付けがない場合にはその旨の上申書)
e. 物件案内図(住宅地図等。物件に目印をしたもの)
f. 債務者又は所有者の商業登記事項証明書(法人の場合)
g. 債務者又は所有者の住民票(個人の場合)
h. 形式的競売の判決(審判)写し
i. 不動産競売の進行に関する照会書(対象物件が建物のみの場合には,「対象物件が建物のみの場合の競売事件に関する照会書」も提出),その他事件の進行に有益な資料
 
2)照会書の提出について
 
照会書の提出について
書式:不動産競売事件の進行に関する照会書
 
(5)競売開始決定正本の送達

・執行文付き債務名義と送達証明書を添付の上、強制競売申立をなすが、強制競売開始決定正本は改めて債務者へ送達されることになる。
・開始決定書が不送達となった場合は、債権者において、債務者の住所を調査することになる。
・調査の結果、債務者の住所地に居住していることが判明したときは、報告書とともに”書留郵便に対する送達の上申書”を裁判所へ提出することになる。
区分所有法59条の競売手続き
(1)競売申立までの手続きの流れ
 
①59条競売の手続きに入る旨の提案
・理事会において、法的手続きに入ることを決議したときは、次の総会に、59条競売の手続きに入る旨の議案を提案をする。
 
②弁明の機会
・理事会は、滞納区分所有者に対して弁明の機会を与える必要がある。
・弁明の機会を付与したことを立証するため配達証明付き内容証明郵便で通知することになる。
 
③総会の特別決議
 
④執行不能であるかの確認
・滞納区分所有者に対する債務名義を取得して、または、区分所有法7条に基づき、滞納区分所有者の動産、預貯金債権等に対して執行不能になる可能性が高いことを立証できるか確認する。
 
(2)不動産競売の種類、59条競売は形式的競売
 
1)強制競売
 
・不動産に対する強制執行としての強制競売。
・債権者が判決や公正証書などの債務名義に基づいて、債務者の所有する不動産を、裁判所を通して強制的に売却するための手続き。
 
2)担保不動産競売
 
・担保権の実行としての不動産競売等
 
①不動産担保権の実行
・抵当権や区分所有法7条の先取特権など不動産に設定された担保権の実行による競売。
 
②形式的競売
・債務の清算としての競売ではなく、遺産分割や共有物分割、破産手続き上の換価などで不動産を売却してお金に換える必要があるときに、競売の手続きをその手段として利用するもの。
 
(3)形式的競売の申立の手続き
 
1)不動産競売申立書
 
形式的競売申立書(申立書,当事者目録,物件目録)の書式
 
※注
競売請求を認容する判決が確定した日から6ケ月を経過したときは、競売申立てはできない。
 
〇文頭の記載内容
・申立人は、○○地方裁判所令和○○年(ワ)第○○○号区分所有権等競売請求事件の確定判決に基づき、物件目録記載の不動産に対する競売を求める。
 
〇添付書面
①区分所有権等競売請求事件の判決謄本
②判決確定証明書
③不動産登記事項証明書
④公課証明書
⑤評価証明書
⑥住民票
⑦資格証明書
 
2)当事者目録
 
・債権者,債務者及び所有者は,原則として,不動産の登記記録に記載されているとおりに記載する。
・住所の移転等があるときは,不動産の登記記録上の住所等と現在の住所等を併記し,住民票等の公文書でその同一性を証明する。
 
3)物件目録
 
・登記事項等証明書のとおりに記載
 
(4)配当要求
 
・59条競売は、滞納区分所有者を排除するための手続きであり、滞納管理費等の回収を図ることを目的としていない。
・売却代金から手続き費用を控除し、配当を受けるべき債権者に配当金等を交付したのちに残額がある場合には、その残額については債務者兼所有者に交付されることになる。
→59条競売申立だけでは、滞納管理費等の回収はできず、区分所有法7条に基づく先取特権を有する債権者として配当要求しなければならない。
 
配当要求書の書式(マンション管理組合用)
区分所有法7条の先取特権の概要
(1)先取特権と債務名義の比較
 
〇先取特権
・債務名義(判決等)による強制競売と異なり、先取特権に基づく担保不動産競売申立てにより、滞納管理費等についての区分所有権から優先して弁済を受けることでできることになる。
・訴訟を経ないので、滞納管理費等について全て書面で立証する必要がある。例えば管理費が何度か改訂されていると、その全てを立証することになり煩雑な作業を強いられることになる。
・原則として動産執行を先行させなければならない。
 
〇債務名義
・判決等で債務名義を取得した場合は、当該区分所有権以外の財産に対しても強制執行をすることができる。
・判決前でも訴訟の過程で、和解の申出を受け入れ、任意の支払を期待でき、また、不履行があれば和解調書に基づく強制執行が可能になる。
・確定判決を取得しておくと、時効を10年に延長することができる。
 
(2)担保権の実行の順序
 
・差押えの対象は、まず動産で、それで回収できないときは不動産、の順序となる。
・賃貸している場合は、その賃料債権を差押えを物上代位権に基づき先行させることになる。賃貸している場合は、当該物件に債務者が居住していないことであり動産執行は不可能で、直ちに、担保権実行として債権差押え手続きに入ることができる。また、不動産競売手続きに入ることもできる。
 
(3)費用請求の範囲
 
1)訴訟等の場合
 
・債務名義を取得して強制執行手続きを行う場合、請求訴訟と執行手続きと二段階に手続きを踏むことになる。
・訴訟費用等についての回収は、本訴に関しては訴訟費用確定処分申立てを要する。
 
※訴訟費用額の確定手続(民訴71条)
・訴訟費用の負担の額は、その負担の裁判が執行力を生じた後に、申立てにより、第一審裁判所の裁判所書記官が定める。
 
●訴訟費用確定処分申立
・申立時には、費用計算書を添付することになる。
・計算書に計算する主な費用
 イ)訴え提起手数料
 ロ)書類の送付・送達費用
 ハ)期日への出頭日当(3,950円/日)
 ニ)期日への出頭旅費
 ホ)書類の作成及び提出費用(1,500円~)
 へ)官庁等からの書類交付費用(法人の場合の登記事項証明書など)
・仮に申立てたとしても3~4万円程度にしかならないため、手間が多い割に見合わないとして申立てない場合が多い。
 
2)担保権実行の場合
 
・先取特権に基づく担保権実行申立ての際の申立印紙、作成費用、差押え正本送達費用、資格証明書交付手数料、送達証明書申請手数料、執行文付与申立手数料等については、債務名義による強制執行手続きと同様。
・法的処置についての規約があれば、弁護士報酬を法的措置費用として担保権・非担保債権・請求債権目録に掲載することが可能。
先取特権による不動産競売手続き
(1)申立の前提
 
・先取特権による不動産競売執行については、まず動産でなければならない。
・動産で回収できないときに不動産競売の申立をなすことになる。
 
(2)執行着手前の準備
 
・総会において、滞納債務者を特定(部屋番号だけではなく、専有部分を明確にしておくなど、不動産競売の物件目録に記載する専有部分と一致させるために、集会時において特定しておく)し、この債務者に対し、先取特権の行使を行う旨の決議をなしておく。
・滞納中の損害金及び違約金としての法的措置費用についても決議し、債務者に対して督促通知を出してあるかを総会議事録、内容証明郵便、配達証明書で確認しておく。
 
(3)担保不動産競売申立の手続き
 
1)担保不動産競売申立書
 
〇文頭の記載内容
・債権者は、債務者兼所有者に対し、別紙請求債権目録記載の債権を有するが、債務者兼所有者がその支払をなさないので、別紙担保権目録記載の先取特権に基づき、別紙物件目録記載の不動産の担保不動産競売を求める。
 なお、当該不動産には債務者兼所有者の家財道具しかないので、動産執行の不実行は明らかである。
 
〇添付書面
・先取特権に基づく担保不動産競売では、債務名義に基づく不動産競売とは異なり、担保権の存在を証する文書が提出されたときに限り開始されるので、裁判所に対して担保権が存在することを立証しなければならない。また、不動産担保権の実行の開始決定がされたときは、裁判所書記官は、開始決定の送達に際し、申立において提出された文書目録及びその担保権の存在を証する文書の写しを相手方に送達することになる。
 
①区分建物登記事項証明書
②規約、使用細則
③総会報告書
・滞納区分所有者が管理費等の滞納をなしていることを総会に報告し、滞納の事実につき滞納区分所有者を含む組合員へ告知した旨を立証する。
④臨時総会報告書
・滞納区分所有者に対して最後通告をなし法的手段を選択する旨を決議したことを立証する。
⑤内容証明郵便、配達証明書
・滞納区分所有者に催促をしたことを立証する。
⑥法的措置費用の領収書写し
・法的措置費用として、受託した弁護士等が受領した報酬額を立証する。
⑦総会提案書、総会議事録、理事会議事録
・現理事長を選任したことを立証する。
⑧理事長の資格証明書
⑨公課証明書
⑩陳述書または報告書
・動産執行の不実行が明らかであることを示す書面。
・当該専有部分が、区分所有者自ら使用しているのか、または第三者に賃貸しているのかの使用状況、区分所有者のの職業や生活状況、請求債権の等の具体的事情から、建物に備え付けられた動産に対する担保権の実行では請求債権額に足りないことが具体的に記載。
 
2)当事者目録
 
・債権者,債務者及び所有者は,原則として,不動産の登記記録に記載されているとおりに記載する。
・住所の移転等があるときは,不動産の登記記録上の住所等と現在の住所等を併記し,住民票等の公文書でその同一性を証明する。
 
3)担保権,被担保債権,請求債権目録
 
●担保権
・担保権の存在を根拠づけるための規約及びその条項並びに滞納が発生した時期及びその期間、滞納管理費等の内容(管理費・修繕積立金・遅延損害金・法的措置費用等)が担保権の内容であることを表示する。
 
〇記載例
・区分所有法7条1項に基づく、債権者の債務者兼所有者に対する別紙物件目録記載の不動産の規約に基づく管理費等について、債務者兼所有者の区分所有権のうえに有する先取特権
 
●被担保債権,請求債権目録
・被担保債権の内容について、滞納管理費元本、遅延損害金、法的措置費用、執行費用の各々の内訳金額を表示し、全額を請求する場合は請求債権を兼ねることになる。
・元本及び損害賠償の支払期については、別紙計算書を添付し詳細を明らかにする。
・法的措置費用については、その根拠としての規約条項を示して、その明細書を添付することになる。
 
〇記載例
1.管理費 金・・・円
 ただし、債権者が規約第〇条に基づき債務者に対する令和・・・月分から令和・・・月分までの月当たり〇〇円の管理費(別紙計算書記載のとおり)
2.修繕積立金
 管理費と同様
3.遅延損害金 金・・・円
 ただし、別紙”未払管理費等一覧表”の各月の小計金額に対する各支払期限の翌日から申立日に至るまで、規約〇条に基づく年〇%の割合による遅延損害金(別紙記載のとおり)
4.違約金 金・・・円
 ただし、規約〇条に基づく法的措置費用としての弁護士報酬等(別紙計算書記載のとおり)
5.執行費用 金・・・円
 内訳
  申立手数料
  差押送達費用
  申立作成及び提出費用
以上合計 金・・・円
 
●物件目録
・登記事項等証明書のとおりに記載
 
●別紙 法的措置費用明細書の記載例
合計金 ・・・円
内訳
1.金 ・・・円(訴訟準備)
 規約〇〇条による弁護士に対する法的措置費用
  弁護士報酬 金・・・円
  消費税   金・・・円
2.金 ・・・円(競売申立関連)
 規約〇〇条による弁護士に対する法的措置費用
  弁護士報酬 金・・・円
  消費税   金・・・円
 
●別紙計算書 記載例
 滞納月分    滞納年月日     滞納額
 令和2年1月分  令和2年1月1日より  8,000円
 令和2年2月分  令和2年2月1日より  8,000円
 
(4)無剰余取消し
 
・区分所有法7条の先取特権は、特定の不動産を目的とする先取特権であるため、優先権の順位及び効力については、一般債権者に対抗することはできるが、登記された担保権のついた債権や公的債権には劣後するため、管理費等請求訴訟の認容判決等に基づく強制競売と同様に剰余を生じない場合には、手続きが取り消される場合がある。
 
(5)配当要求
 
・競売開始決定に係る差押の効力が生じた場合においては、裁判所書記官は、物件明細書の作成までの手続きに要する期間を考慮して、配当要求の終期を定めることになっている。
・配当要求をする際、改めて、担保権の存在を証する文書を提出することになる。
 
配当要求書の書式(マンション管理組合用)
先取特権による賃料債権差押え手続き
(1)債権執行の前提
 
・先取特権による債権執行については、まず動産でなければならないが、賃貸借している場合は、当該不動産に区分所有者が占有していないことは明らかであり、建物に備え付けられた区分所有者の動産はないことになるので、その賃料債権の差押えを物上代位権に基づき先行させることになる。
 
(2)執行着手前の準備
 
・総会において、滞納債務者を特定(部屋番号だけではなく、専有部分を明確にしておくなど、債権差押の差押債権目録に記載する専有部分と一致させるために、集会時において特定しておく)し、この債務者に対し、先取特権の行使を行う旨の決議をなしておく。
・滞納中の損害金及び違約金としての法的措置費用についても決議し、債務者に対して督促通知を出してあるかを総会議事録、内容証明郵便、配達証明書で確認しておく。
 
(3)債権差押命令申立の手続き
 
1)債権差押命令申立書
 
〇文頭の記載内容
・債権者は、債務者に対し、別紙請求債権目録記載の債権を有するが、債務者がその支払をなさないので、別紙担保権目録記載の先取特権(物上代位)に基づき、債務者の第三債務者に対して有する別紙差押債権目録記載の債権の差押命令を求める。
 なお、別紙差押債権目録記載の区分建物の専有部分には、債務者兼所有者の動産は存在しない。
 
〇添付書面
・先取特権に基づく債権差押えでは、債務名義に基づく債権差押えとは異なり、担保権の存在を証する文書が提出されたときに限り開始されるので、裁判所に対して担保権が存在することを立証しなければならない。そのため、少額訴訟と同様の証拠を提出することになる。
①区分建物登記事項証明書
②規約、使用細則
③総会報告書
・滞納区分所有者が管理費等の滞納をなしていることを総会に報告し、滞納の事実につき滞納区分所有者を含む組合員へ告知した旨を立証する。
④臨時総会報告書
・滞納区分所有者に対して最後通告をなし法的手段を選択する旨を決議したことを立証する。
⑤内容証明郵便、配達証明書
・滞納区分所有者に催促をしたことを立証する。
⑥法的措置費用の領収書写し
・法的措置費用として、受託した弁護士等が受領した報酬額を立証する。
⑦総会提案書、総会議事録、理事会議事録
・現理事長を選任したことを立証する。
⑧戸籍謄本等、相続放棄等の申述がない旨の証明書、相続人等の住民票
・滞納区分所有者に相続が発生しているとき、相続人等が当該債務を承継していることを立証する。
⑨商業登記事項証明書(管理組合法人の場合)
・代表理事の資格を立証する。
⑩滞納区分所有者の住民票
・滞納区分所有者の不動産登記事項証明書に記載されている住所から移転していること及び現在の住所を立証する。
・登記事項証明書上の滞納区分所有者の住所について、除かれた住民票が取得できないときは、その同一性を立証するため、不動産登記法上の所有登記名義人変更登記の際の添付資料以上のものを要求されることになる。
⑪理事長の資格証明書
 
2)当事者目録
 
・債権者,債務者及び所有者は,原則として,不動産の登記記録に記載されているとおりに記載する。
・住所の移転等があるときは,不動産の登記記録上の住所等と現在の住所等を併記し,住民票等の公文書でその同一性を証明する。
 
3)担保権,被担保債権,請求債権目録
 
●担保権
・担保権の存在を根拠づけるための規約及びその条項並びに滞納が発生した時期及びその期間、滞納管理費等の内容(管理費・修繕積立金・遅延損害金・法的措置費用等)が担保権の内容であることを表示する。
 
〇記載例
・別紙差押債権目録記載の区分所有建物の専有部分につき、下記記載の規約等に基づく管理費等の先取特権(物上代位)
 
●被担保債権,請求債権目録
・被担保債権の内容について、滞納管理費元本、遅延損害金、法的措置費用、執行費用の各々の内訳金額を表示し、全額を請求する場合は請求債権を兼ねることになる。
・元本及び損害賠償の支払期については、別紙計算書を添付し詳細を明らかにする。
・法的措置費用については、その根拠としての規約条項を示して、その明細書を添付することになる。
 
〇記載例
1.管理費 金・・・円
 ただし、債権者が規約第〇条に基づき債務者に対する令和・・・月分から令和・・・月分までの月当たり〇〇円の管理費
2.修繕積立金
 管理費と同様
3.遅延損害金 金・・・円
 ただし、別紙”未払管理費等一覧表”の各月の小計金額に対する各支払期限の翌日から申立日に至るまで、規約〇条に基づく年〇%の割合による遅延損害金
4.違約金 金・・・円
 ただし、規約〇条に基づく法的措置費用としての弁護士報酬等
5.執行費用 金・・・円
 内訳
  申立手数料
  差押送達費用
  申立作成及び提出費用
以上合計 金・・・円
 
●差押債権目録
・債務者が当該区分所有建物を第三債務者に賃貸し、その賃料債権を明らかにし、賃料債権のうち差押命令送達日以降支払期日の到来する分から差押債権に満つるまでの金額を明らかにする。
・賃貸物件である区分所有権の表示については、一棟の建物の表示を登記事項証明書記載の通りに表示し、敷地権については、表示する必要はない。
 
〇管理費及び共益費相当分
・一般の記載例において”含まない”とされていることがあるが、債権者において管理費及び共益費相当額までも取立てしまったら、債権者の方で管理費及び共益費を管理組合又は所有者宛代位払をせざるを得ないため、その煩わしさと責任を負うことを避けるためと思われる。
 ただし、管理組合が債権者であるので、仮に債務者が賃借人に対して管理費及び共益費を含んだ賃料請求をしているのであれば、債務者はその取り立てた管理費及び共益費さえ管理組合に滞納していることになるため、”含む”と表示している事例もある。

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