給排水設備で使われる弁の種類、特徴

参考資料:公共建築工事標準仕様書(機械設備工事編)
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
腐食防止関連
(1)ライニング弁
 
●ライニング弁とは
・弁の内面に樹脂やゴムなどをライニングして、金属が腐食するのを防ぐ弁
 
●ライニング弁の使用
・給水管に取付ける場合、接水部が鋳鉄製の弁はライニング弁とする。
・ライニング弁は、JIS B 2031(ねずみ鋳鉄弁)によるナイロン11 又はナイロン12 による加熱流動浸漬粉体ライニングを施したもので、塗膜は、ピンホール皆無のものとする。
 
〇ナイロンライニングバルブ
・流体に接する鋳鉄素地面をナイロンで被覆してあるため鋳鉄バルブからの赤水発生がない。
 
(2)管端防食ねじ込み形弁
 
・塩ビライニング鋼管及びポリ粉体鋼管に取付けるねじ込み式の弁は、JV 5(管端防食ねじ込み形弁)の給水用とする。
 
〇ねじ込み形バルブ
・バルブ接続端に配管をねじ込んで接続するバルブ・弁。
・接続端には、管用ねじのめねじが切ってあり、パイプの先端部分におねじを切った配管をねじ込んで接続する。
・バルブ接続端と配管端部に加工されているネジは一般にはテーパねじが使用されている。
・ねじ込み形バルブは、溶接作業が不要で、そのコストがかからないが、ねじによる接続のため、シール性に信頼がおけず、主に小口径・低圧・常温の配管系のバルブ・弁などに利用される。
逆止弁
●逆止弁とは?
・気体用や液体用の配管に取り付けておき、流体の背圧によって弁体が逆流を防止する形で作動する構造にした弁。
・危険防止または機能保持のため,流体を一方向にだけ自由に流して,逆流を阻止するための方向制御弁。
 
●揚水ポンプと逆止弁
〇揚水ポンプの吐出側に逆止弁を取り付ける理由
・逆止弁が無いとポンプが停止した瞬間に高置水槽までの配管内の水によって高い圧力がかかり、ポンプ等の故障が多くなる。
・揚水ポンプの羽が逆回転して揚水管の水が受水槽に戻ってしまう。
 
〇バイパス弁
・ポンプの停止時バイパス弁の止め弁を開いて、二次側の水抜きができる。
 
●逆止弁の選定
・全揚程が30mを超える場合は、衝撃吸収式とする。
・弁の呼び径65以上の場合は、バイパス弁内蔵形とする。
 
●逆止弁とウォーターハンマー
・高所に送られる配管ではポンプ停止とともに揚水圧力が無くなり、下に逆流。
→高さが高いほどこの逆流の力は強くなる。
→逆流により弁を閉じる通常の逆止弁では逆流とともに弁が急激に閉じるため逆止弁周辺の配管圧力が著しく高まる。
→ウォーターハンマが発生。弁も急激に閉じられるため弁が閉じた時の衝撃と音も大きくなる。
 
〇衝撃吸収式逆止弁
・配管内の圧力変動の原因である逆流を起こさない逆止弁で、スイング式より早いタイミングで弁を閉じる。ポンプ停止後、揚水力が弱まって水の流れが止まりかけた時にバネの力で弁を閉じるため、配管内の水は逆流を起こさずに停止し、ウォーターハンマは発生しない。
減圧弁、自動エア抜弁、吸排気弁
(1)減圧弁
 
・蒸気,空気,ガスなどの圧力が使用目的に対して高すぎるとき,これを減圧して減圧後の圧力を一定に保つための弁。
・減圧後の圧力が所定の値に保持されるように,死荷重,ばね,ダイヤフラムなどによって制御され,減圧側の圧力が小さくなると,これらの力により弁が開き,逆に減圧側の圧力が高くなると弁が閉じるように自動的に制御されて減圧側の圧力が一定に保たれる。
・構造は多種多様であるが,必ず高圧側に止め弁,低圧側には逃し弁または安全弁が設けられる。
 
●減圧弁とゾーニング
・高層建築物では、給水を1系統で行うと、下層階において給水圧力が過大になる。
→そのため中間水槽や減圧弁を用いて上下の系統わけを行う。これをゾーニングという。
・一般的にはホテル、住宅では0.3MPa、事務所・工場では0.5MPaを上限水圧とする。
 
(2)自動エア抜弁(空気抜弁)
 
・液体ラインに溜まる空気を自動的に排出するバルブ。
 
●使用目的
・給水、各種機器での空気混入による騒音の防止
・初期通水時の空気排出による、スムーズな給水や各種機器・装置の立上げと安定運転。
・空気(酸素)による配管材・機器の腐食防止。
・空気混入による、ウォータハンマ、水栓での水はね防止。
 
●使用場所
・給水配管などの頂部や配管中で空気の溜まる場所
・機器・装置・タンクなどの空気排出。
 
●構造・作動原理
・弁体がフロートにつながった構造となっており、空気が流入して水位が下がると、フロートも下がって弁が開き、水圧により空気を外部に排出する。
 空気の排出により水位が上昇すると、フロートも浮き上がり再び弁閉の状態に戻る。
 また、弁の入口側が負圧になると、空気抜弁内部の水位が下がるので、弁が開いて空気を導入する。
 
●官公庁仕様
・自動的に空気を排除する機能を有するフロート式とし、弁箱は青銅製又はステンレス鋼製、フロートはステンレス製又は合成樹脂製とし、最高仕様圧力に耐えるものとする。
なお、水道直結(直圧・増圧)給水の場合は、水道事業者の規定によるものとする。
 
(3)吸排気弁
 
・空気抜弁と同様の働きをするが、負圧発生時に働く吸気機能を強化したバルブで、負圧を速やかに解消することで給水先からの逆流を防止する。
 
●使用目的
・集合住宅やビルなどの立て配管頂部、特に増圧直結給水ラインの立て管頂部に使用することにより、断水などで負圧が発生した時に多量の空気を吸込み、負圧による逆流を防止する。
・従来、立て配管頂部には空気抜弁が設置されていたが、一時的な断水や事故の際に、給水配管内の圧力が低下すると、立て配管上部は負圧となり、建物内で逆流現象(逆サイホン作用)が発生する恐れがある。
 立て配管頂部には、負圧を解消できるだけの多量の空気を配管内に導入(逆流を防止)できる吸排気弁の設置が必要となる。空気抜弁でも空気を吸い込むが、吸気量が少ない為、逆流の防止はできない。
 
●使用場所
・集合住宅やビルなどの立て配管頂部。
・増圧直結給水ラインの立て配管頂部。
 
●構造・作動原理
・空気抜弁に吸気弁(吸気弁体・吸気ディスク)を付加した構造となっており通常時は、フロートが上下することで空気を排出する。
・弁の入口側が負圧になると、吸気弁体・フロートが下がり、吸気ディスクが開いて、多量の空気を吸込み、負圧を解消し、逆流を防止する。
 
●官公庁仕様
・正圧時に、自動的に空気を排除する機能を有するフロート式とし、負圧時に、弁体の開閉により自動的に多量の空気を吸入する機能を有するものとする。
・弁箱は青銅製(鉛除去表面処理又は鉛フリー)又はステンレス鋼製、フロートは合成樹脂製、弁体は青銅製(鉛除去表面処理又は鉛フリー)又は合成樹脂製とし、最高使用圧力に耐えるものとする。
なお、水道直結(直圧・増圧)給水の場合は、水道事業者の規定によるものとする。
ボールタップ、定水位弁
(1)ボールタップ
 
ボールタップとは、支持棒(シャフト)の先端にボールの浮き玉があり、水面の上下変動によるボールの変位が、レバー付け根の弁を開閉する給水設備。
 
●単式と複式
〇単式
・水洗便所のタンクのような満水時に給水を止めるだけの用途。
〇複式
・支点が2個ありテコの原理で止水するため、保持機能が大きくとれるものをいう。
・受水槽などの設備において減水時の警報・満水時の警報の2種類の役割を持たせた用途で使用される。
 
●波立ち防止機能
・ウォータハンマ・バイブレーション防止に効果を発揮する。
 
●官公庁仕様
・機器の付属品を除くボールタップは、要部を青銅製、ボールは、原則として、銅板ろう付け加工又はステンレス製とする。
 ただし、呼び径25以下で、耐熱性を必要としない所に使用するものは、ボールを樹脂製等の耐食性のあるものとしてもよい。
・呼び径20以下は単式又は複式とし、呼び径25以上は複式とする。
 
(2)定水位弁
 
●定水位弁とは
・一般的に貯水槽(受水槽)の水量を適量に保つ役割を持つバルブを指す。
 
●構造、仕組み
・主弁(本体)と副弁(ボールタップや電磁弁)により構成され、主弁は貯水槽の外部に、副弁は貯水槽の内部に設置されている。主弁が槽の外部にある為メンテナンスが容易であることから、広く利用されている。
・仕組みとしては、貯水槽内の水位が下がった場合、ボールタップが下り、これにより副弁が開き、副弁に連動して主弁が作動し、貯水槽へ給水する。
 水が一杯になり、ボールタップが上がり、副弁が停止すれば主弁も停止し、水位を一定に保つ。
 
〇電磁式、電極、電磁弁
・水槽内に電極を設置し、電気的に水位に変化を察知し、それにより電磁弁にて管路の開閉を行う。
 
〇用途
・貯水槽への給水管の管径がおよそ25mm以上の貯水槽には、ボールタップまたは電磁弁を副弁とした定水位弁が多く使用されている。
 マンション等の容量が多い貯水槽は水の流量が多い為、定水位弁を使用しないと部屋内の水圧低下や水圧の急激な変化によるウォーターハンマー発生の原因になってしまう。
 定水位弁はバルブ内にある調整弁の開閉が緩やかに作動する為、これらを防止することができる。
受水槽用の緊急遮断弁
●受水槽用の緊急遮断弁とは?
・主に受水槽出口側に設置され、大地震発生時に地震動を感知し、弁を閉止することにより、受水槽に非常用の生活用水を確保する目的で使用されるバルブ。
・阪神淡路大震災では、受水槽以降の配管の破損により、いざという時に確保されているはずの水が流出し、復旧までに生活用水の確保に苦労するということがあった。
 
●遮断弁の動作
・地震を感知する感震器が地震を感知すると、弁閉信号を出力して受水槽出口に取り付けた遮断弁を閉止して受水槽内の水を確実に確保する。
・感震器の動作値は、構造物の破損の恐れがある”震度5強(重力加速度200gal)”に設定されている。
 
●遮断弁の動力源
・遮断弁を閉止させる動力源は、電気モータ(電磁石)やスプリングの力などを利用している。
 
●遮断弁の種類
〇電気式
・感震器の信号でスイッチを入れ電気の力で閉止させる。
・平常時は遮断弁”開”の信号を出力しているが、感震器作動時は極性を切り替えて遮断弁を閉止する。
・感震器を内蔵する制御盤(電源&バッテリー内蔵)と電気信号で動く遮断弁を制御配線にて接続。
 
〇機械式
・感震器の信号の機械的な動きをそのまま利用して閉止させる。
・感震器が作動するとレリーズ機構を介して遮断弁のトリップ機構に作用し、弁が閉じる。
・感震器と遮断弁を直接連結。
 
●制御盤
・地震による停電に対応できるよう、バックアップ用のバッテリー、給水ポンプを停止するための接点や外部警報用の接点を内蔵している。
・遮断弁動作時には外部出力(電気接点)が付属され、この信号を利用してポンプの焼損の防止や、警報信号を発することができる。(電気式に於いては、バッテリーにより警報装置を働かせることができる)
 
●復旧方法
・地震発生後に”配管状況を確認して”手動リセットする遮断弁や、遠隔操作で遮断弁を自動リセットする種類がある。
 
〇手動復旧方式
・復旧(弁開)時に感震器をリセットした後に、緊急遮断弁以降の配管が破損していないか等の安全確認を人が行ってから弁開作動を行う。これにより電源復旧で自動的に弁開して、確保された水が流出してしまうことを防止できる。
 
〇電動緊急遮断弁
・制御盤内蔵の感震器をリセットして復旧(弁開)ボタンを押せば自動的に弁が開くため、復旧操作を行う前に配管に異常がないか十分チェックする必要がある。
 
●官公庁仕様
・地震感知器は、電子式又は機械式とし振動の加速度が2.0m/s2以上の場合に作動するものとする。
 また、人為的な振動を与えずに作動を試験できる点検装置、作動表示装置を備えるものとする。

コメントを残す

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください