給水装置設計・施工基準(給水装置編)水の安全・衛生対策(逆流、水撃、凍結等)

東京都水道局の『給水装置設計・施工基準(給水装置編)(R3年10月版)』を読んで給水装置の設計・施工方法を勉強しました。参考になった点、要点等をメモ書きしました。
 
17. 水の安全・衛生対策
17.2. 汚染防止
17.3. 逆流防止
17.6. 破壊防止
17.7. 排気措置
17.8. 凍結防止
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
汚染防止
・行き止まり配管等停滞水が生じる恐れのある構造となっていないこと。
ただし、構造上やむをえず停滞水が生じる場合には、末端部に排水機構が設置されて いること。
逆流防止
1)逆流防止性能or負圧破壊機能を有する給水用具の設置
 
・水が逆流するおそれのある場所においては、逆流防止性能又は負圧破壊機能を有する給水用具を水の逆流を防止することができる適切な位置(バキュームブレーカにあっては、水受容器の越流面の上方150㎜以上の位置)に設置すること。
 
〇バキュームブレーカ
・逆サイホン作用により、給水管内に生じる真空部分へ、自動的に空気を補充し、管末の異物の逆流を防止する器具。
 
〇洗浄弁
・大便器洗浄弁と小便器洗浄弁がありハンドル操作で止水している弁体を機械的に傾斜させることにより吐水し、給水中の水圧差により一定時間内に弁体を止水位置にもどす機構をもっているもので、便器の洗浄に使用するものである。
・大便器洗浄弁には、逆流防止のためバキュームブレーカ(真空破壊装置)を備えていなければならない。
 
2)吐水口空間
 
・受水タンク等、容器へ給水する場合は落し込み方式とし、給水器具の取付状況等は、次による。
 
①給水器具の吐水口と越流面との間隔等は以下のとおりとしなければならない。
呼び径   近接壁-吐水口水平距離 越流面-吐水口垂直距離
13mm以下   25mm以上        25mm以上
13~20mm   40mm以上        40mm以上
20~25mm   50mm以上        50mm以上
※浴槽に給水する給水装置において、算定された越流面から吐水口の最下端までの垂直距離が50㎜未満の場合にあっては、当該距離は50㎜以上とする。
吐水口空間
 
②吐水口空間は、ボールタップ付ロータンクのように給水用具の内部で確保されていてもよい。
 
③受水タンクにおいて、越流管(オーバーフロー管)を設置する場合の越流管の口径は、その受水タンクに落し込む給水管の呼び径の1.4倍以上とする。
 
●ボールタップ
・フロートの上下によって自動的に弁を開閉する構造になっており、水洗便所のロータンクや、受水タンクに給水する器具。
 
ア)一般形ボールタップ
・弁部の構造によって単式と複式に区分され、さらにタンクヘの給水方式によりそれぞれ横形、縦形の2形式がある。
 
イ)副弁付定水位弁
・主弁に小口径ボールタップを副弁として組合せ取り付けるもので、副弁の開閉により主弁内に生じる圧力差によって開閉が円滑に行えること、高所に設置しても主弁先の管路を開放状態にできることなどのため、低位置にある受水タンクヘの給水や、ウォータハンマを緩和する場合に適する。
・この器具には、副弁として電磁弁を組み合わせて使用するものがある。
水撃防止
・水栓その他水撃作用を生じるおそれのある給水用具は、水撃限界性能を有するものを用いるか、その上流側に近接して水撃防止器具を設置すること等により適切な水撃防止のための措置を講じること。
 
●水撃作用を生じるおそれがある給水栓等
・次に示すような開閉時間が短い給水栓等は、過大な水撃作用を生じるおそれがある。
ア)レバーハンドル式(ワンタッチ)給水栓
イ)ボールタップ
ウ)電磁弁
エ)洗浄弁
オ)元止め式瞬間湯沸かし器
 
●要注意箇所
・次のような場所においては、水撃圧が増幅されるおそれがあるので、特に注意が必要。
 
ア)管内の常用圧力が著しく高いところ
イ)水温が高いところ
ウ)曲折が多い配管部分
エ)管内流速が大きいところ
 
●対策
・水撃作用を生じるおそれのある場合は、発生防止措置や吸収措置を施すこと。
 
〇直結給水の場合
・減圧弁、定流量弁等を設置し給水圧又は流速を下げる。
・水撃防止器具を上流側に設置する。
 
〇受水タンクに給水する場合
・タンク手前に設置したバルブの開度による流量調整又は水撃防止器具を設置する。
・一般形ボールタップを設置している場合は、弁の開閉が緩やかな副弁付定水位弁への切替え又は波立ち防止用遮閉板等の波立ち防止の措置を行う。
・受水タンクを地下に設置し、管内流速が著しく速くなるおそれのある場合は副受水タンクを設置する。
・満水面(止水面)の波立ち防止の措置を行う。
停滞空気の防止
・給水装置に停滞空気が生じると通水や適正な計量を阻害し、ウォータハンマ発生の原因となるおそれがあるので、停滞空気を発生させないための措置を講じること。
 
①空気の停滞が生じるおそれのある凸形状配管をさける。
②水路の上越し等でやむを得ず空気の停滞が生じるおそれのある配管となる場合は、停滞空気が発生しやすい箇所に、空気弁・吸排気弁などの、停滞空気を排除する装置を設置する。
 
〇空気弁
・フロートの作用により、管内に停滞した空気を自動的に排出する機能をもつ。
空気弁
凍結防止(保温、仕上)
・屋外で気温が著しく低下しやすい場所その他凍結のおそれのある場所にあっては、耐寒性能を有する給水装置を設置するか、又は断熱材で被覆すること等により適切な凍結防止のための措置を講じる。
 
1)対象工事、対象箇所
 
●対象工事
・給水装置、受水タンク以下装置の新設及び改造工事
 
●対策箇所
〇給水管
・屋外露出配管、壁中配管及び受水タンク以下装置の配管
ただし、断熱材を施してある壁中配管の給水管は除く。
 
〇メータ
・メータます内に設置するもの:全部
・屋外パイプスペースに設置するもの:メータ室の扉に通気口(換気ガラリ)があるもの。
 
2)使用材料
 
●給水管
・管の外面を直接覆う保温材を使用する。
 
●メータ
〇メータます内に設置するもの
・保温材付きメータますを使用する。
〇屋外パイプスペースに設置するもの
・メータを直接覆うメータカバーを使用する。
 
3)使用材料の厚さ
 
●給水管
・屋外露出部:15㎜以上
・壁中配管、受注タンク以下装置の配管:10mm以上
 
●メータ
・直結:20mm以上
・受水タンク以下装置:15mm以上
 
4)使用材料の材質
 
・以下のもの又はこれらと同等以上の材質、保温効果を有するものを使用する。
ア)発泡ポリエチレン
イ)ポリエチレンとスチロ-ルを共重合し発泡させたもの
ウ)硬質ウレタン
・給水管用保温材については、他にグラスウール等一般に市販されているものでもよい。
 
5)施工方法
 
●給水管
〇施行手順
ア)管の外面を保温材で保護する。
イ)保温材の外面をテープで被覆する。
 
〇施工上の注意
・テープ巻は、保温材を圧縮しないよう施工する。
・テープ巻は、テープ幅の1/2以上重ね合わせて二重巻とし、下から上に沿って巻き上げ、雨水等の侵入を防ぐよう施工する。
・保温材の端部は、外部より湿気等が入らぬよう処理する。
・建物に沿う給水管は、支持バンド又は支持金等で1mから2mまでの間隔で固定し、振動やたわみ等から保護する。
 
●メータ
〇メータます内に設置するもの
・保温材付きメータますを使用する。
 
〇屋外パイプスペースに設置するもの
・各メーカーの施工手順に従い、密閉機能を損なわないように施工する。
・メータ引換等の支障にならないように空間を確保する。

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