給水装置設計・施工基準(給水装置編)湯沸器、逆流防止装置

東京都水道局の『給水装置設計・施工基準(給水装置編)(R3年10月版)』を読んで給水装置の設計・施工方法を勉強しました。参考になった点、要点等をメモ書きしました。
 
18.1. 湯沸器の取扱
18.11. 逆流防止装置等の取付け
 
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湯沸器の取扱
(1)湯沸器の概要
 
●湯沸器とは
・ガス、電気及び石油系統の燃料又は太陽熱を熱源として水を加熱し、これを湯として供給する器具の総称。
・瞬間湯沸器、貯湯湯沸器、太陽熱温水器などに分類される。
 
●湯沸器の種類と特徴
 
①瞬間湯沸器
・器内の給水管路の一部に当たる吸熱コイル管で熱交換を行い、通過水を加熱給湯する湯沸器。
・給湯配管をして使用する先止式と湯沸器から直接使用する元止式とがある。
・瞬間湯沸器は、給湯側を開にした場合に生じる一次側と二次側との水圧差により作動する。
 
②貯蔵湯沸器(従来は、貯湯湯沸器開放形と呼称されていた)
・ボールタップを備えた器体内の容器に貯水した水を、一定温度に加熱して給湯する器具で。
 
③貯湯湯沸器
・水道に直結された器体内の水を加熱給湯する湯沸器。
・この器具は「ボイラー及び圧力容器安全規則」の規制を受けるため、減圧弁、安全弁を備え、器体内に所定以上の圧力が生じない構造にするほか、一定湯温以上の上昇をおさえるサーモスタット、湯温及び器体の過熱防止装置などの安全機構を内蔵しているか、又は配管時にそれらの安全機構を取り付けなければ使用出来ない。
・暖房機能と給湯機能を合わせもつものもあるが、暖房部分については、水道と分離するため、器体と一体となったボールタップ付小型受水タンク以下に接続した構造となっている。
 
(2)湯沸器の取扱い
 
1)使用する弁類の特徴
 
●減圧弁
・一次側の水圧を受けて弁が作動し、二次側の水圧を一定以下に下げる機能を持った弁。
・高層建築物等の下層部導水装置に必要以上の圧力がかからないようにする場合、あるいは貯湯湯沸器にかかる水圧を一定以下に押さえる場合などに設置する。
 
●安全弁
・弁体にかかる水圧が一定以上になった場合、弁が作動してその水圧を自動的に下げる機能をもった弁。
・貯湯湯沸器や瞬間湯沸器(先止式)の水温上昇による内圧上昇を防止する場合などに設置する。
 
●ミキシングバルブ
・器内に内蔵している給水側及び給湯側の止水部を1個のハンドル操作でかみ合わせ作動を行い、湯及び水を混合し、所要温度の湯を吐出する弁。
・構造として、ハンドル式とサーモスタット式がある。
①ハンドル式
・給湯圧力と給水圧力に変化がない場合に適している。
②サーモスタット式
・給湯圧力と給水圧力に変化がある場合に適している。
 
2)設置上の取扱い
 
・先止め式瞬間湯沸器及び貯湯湯沸器を除き、特殊器具の下流側に、特殊器具を経由しない当該給水装置の給水管(器具)を連結してはならない。
・原則として、給湯配管と給水配管の連結は、湯水混合水栓又はミキシングバルブを使用して行う。
・止水器具(又は減圧弁、逆止弁)から湯沸器までの給水管及び湯沸器から給水栓までの給湯管は、耐熱、耐食などを考慮して選定する。
 なお、ステンレス鋼管は熱膨張による伸縮が大きいので壁、ハンガなどに固定せず、軽く保持する。
・管路に生じる熱膨張に対する措置を施す。
・給湯暖房併用の湯沸器には暖房配管用のシスターンが内蔵されていないものがある。この製品には、製品本体又はその梱包箱等に取付け上の注意書(「暖房用補給水はシスターン以下とすること。」)が表示されているので、この表示内容を厳守して取り付ける。
 
3)減圧弁、安全弁の設置
 
・貯湯湯沸器には、減圧弁、安全弁などの安全機構が内蔵されていないものがあり、これらの製品には本体又はその梱包箱等に取付上の注意書(「本体に接続して減圧弁、安全弁を必ず取り付けること。」)があるので、この表示内容を厳守して取り付ける。
 
ア)安全弁に設けるオーバーフロー管は逆流を防止する構造とし、かつ、安全弁の故障による漏水を容易に発見できる位置に配管する。
イ)減圧弁以下で給水管を支分する場合は、給水管分岐点の下流側に逆止弁を設置する。
逆流防止装置等の設置
(1)逆流防止装置等の設置
 
・特殊器具の取付箇所の上流側には、止水用器具を近接して取り付ける。
・特殊器具に逆流防止装置がない場合は、器具に近接してその上流側に逆止弁を取り付ける。
・先止式湯沸器の本体に安全弁(過圧安全装置)が取り付けられていないものは、下流側に安全弁を別途取り付けるか、あるいは、上流側に甲止水栓(落としこま)又は甲止水栓タイプの逆止弁を水平に取り付ける(このタイプ以外のものを設置してはならない)。
・バス用吐水口及び固定式シャワーヘッドには逆流防止機能をもつ止水器具(ミキシングバルブ等)を取り付ける。
・ふろ追いだき循環回路に直結する構造の場合、湯沸器内のバキュームブレーカの位置が浴槽のあふれ縁より上方30㎝以上になるようにする
 
(2)逆止弁
 
・逆止弁は、弁体が流水の背圧によって自動的に閉止し、逆流を防止するもの。
・リフト式、スイング式及、ダイヤフラム式及びばね式がある。
 
1)リフト式
・弁体が弁箱又はふたに設けられたガイドによって、弁座と垂直に作動する構造の逆止弁。
・機能を保持するため水平に取り付ける。
 
2)スイング式
・ピンを支点とするアーム状の弁体が、弁座に対して孤状運動を行う構造のもの。
 
3)ダイヤフラム式逆止弁
・流れの方向により、ダイヤフラムがコーンの内側にまくれたり、密着したりする構造のもの。
・このほか、弁部がボール式のものや、弁体にスプリングが内蔵されている(ばね式逆止弁)ものなどがある。
・逆止弁は摩擦等により故障が生じやすいので、取付け後は機能保持のため、十分な管理が必要。
 
4)単式逆止弁
・ばねの力で、弁体を弁座に押しつける構造。
・ほとんどのものが、弁体、弁座、ばね等がカートリッジ化され、弁箱と分離できるので、交換及び保守が容易。
 
5)複式逆止弁
・ばねの力で、弁体を弁座に押し付ける構造の逆止弁を2個直列に配置した構造で、単式逆止弁の逆流防止機能をより高めたもの。
・単式逆止弁と同様に、ほとんどの製品が、カートリッジ化されている。
 
6)減圧式逆流防止器
・ばねの力で、弁体を弁座に押し付ける構造の逆止弁を直列に2個配置し、かつ、その間に中間室を設けた構造で、1次側と中間室の間には、ダイヤフラムとそれに連動する逃し弁が設けてある。
・減圧式逆流防止器の前後で逆圧が生じても、逆止弁の逆流防止機能により逆流は生じない。
・通常の使用状態では、1次側の水圧は中間室の水圧より高く、ダイヤフラムがばねに押し勝って、逃し弁を閉じるため、漏水することはない。
 1次側の水圧が低くなり、かつ第1逆止弁にごみがはさまり閉止しない場合、あるいは2次側の水圧が高くなり、かつ第2逆止弁にごみがはさまり閉止しない場合など、1次側の水圧と中間室の水圧が均衡したときには、ばねがダイヤフラムに押し勝って、逃し弁を開けることにより中間室又は2次側の水を、外部に排出する。
 つまり、逆圧が発生し、更に逆止弁が故障しても2次側の水が1次側に逆流することを防止できるもので、吐水口空間に次ぐ逆流防止機能を有している。
・なお、減圧式逆流防止器は、設置後、配管から外すことなく、試験用コックにより機能の確認ができ、また、内部の清掃・点検、部品の取替が可能な構造になっている。

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