防水層のメンテナンス、防水層のトップコート

アスファルト防水、シート防水、ウレタン防水等の防水層のメンテナンス方法、アスファルト防水とウレタン防水のトップコートについてまとめました。
 
 
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アスファルト防水
1)保護層のある場合
 
●押えコンクリート、保護モルタル
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・平面及び立上り部の押えコンクリートまたは保護モルタルのひび割れ、浮き、盛り上がり及び損傷の有無。
→幅1.0㎜以上のひび割れが認められる場合、樹脂モルタルで補修あるいは樹脂注入等の補修を行う。
 
●伸縮目地材
〇点検回数:2回/年
〇点検・保守の内容
・劣化及び損傷の有無
→著しい損傷が認められる場合は、目地材を除去し、シーリング材を充填する。
 
●砂利押え
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・砂利の偏りの有無を点検し、偏りが軽微な場合は手直しを行う。
→著しい損傷が認められる場合には、敷き均しを行う。
 
●排水状態、堆積物、雑草
〇点検回数:2回/年
〇点検・保守の内容
・排水状態の良否を点検。
・堆積物、ゴミの有無を点検し、認められた場合には取り除く。
・植物の繁茂の有無を点検し、認められた場合には取り除く。
 
2)露出防水
 
●防水層
〇点検回数:2回/年
〇点検・保守の内容
・ひび割れ、破断及び口あきの有無を点検
→専門工事店による補修が必要。
・ふくれの有無を点検
→専門工事店による補修が必要。大きなふくれは切開して補修。
・立上り部の口あき、ズレの有無、押え金物の取付け状況の良否を点検。
→専門工事店による補修が必要。取付状態が不良な場合には、付け直しを行う。
 
●保護塗料
〇点検回数:2回/年
〇点検・保守の内容
・変退色、チョーキングの有無を点検。
→シルバー塗料に関しては3~5年ごとに有償で再塗装を行う。
 
●砂付きルーフィング
〇点検回数:2回/年
〇点検・保守の内容
・砂落ちの有無を点検し、砂落ちが著しいときは清掃する。
 
●排水状態、堆積物、雑草
〇点検回数:2回/年
〇点検・保守の内容
・排水状態の良否を点検。
・堆積物、ゴミの有無を点検し、認められた場合には取り除く。
・植物の繁茂の有無を点検し、認められた場合には取り除く。
 
3)パラペット、金属笠木、コンクリート笠木
 
●コンクリート、モルタル
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・コンクリート又はモルタルのひび割れ、浮き及び剥落等の有無を点検。
→ひび割れ、剥離、浮きの認められる場合は、樹脂モルタル、樹脂注入等で補修。
 
●金属笠木
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・変形、錆、腐食の有無及び取付状態の良否を点検。
→著しい錆や塗装の剥がれが認められる場合には再塗装。
 
●シーリング
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・ひび割れ、変形、破損及び劣化の有無を点検。
→損傷の著しい場合は、シーリングの打替えを行う。
 
4)ルーフドレン、樋、排水溝
 
●排水状態、堆積物
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・排水状態の良否を点検。
→堆積物又はゴミが認められた場合には取り除く。
 
●破損・錆、腐食
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・破損・錆、腐食の有無を点検。
→著しい破損及び腐食が認められた場合には、手直し等適切な処置を行う。
 
●結露、漏水
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・結露・漏水の有無を点検。
→結露、漏水及び管の詰まりが認められた場合には、必要な処置を行う。
 
5)手摺、タラップ、丸環
 
●取付状態、変形・錆・腐食
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・取付状態の良否、変形・錆・腐蝕の有無を点検。
→錆等は除去後、再塗装あるいは雨水が進入する恐れのある場合には、取り換える。
 
●設備基礎等の廻り
〇点検回数:1回/年
〇点検・保守の内容
・防水層に破断、口あき等の有無を点検。
→破断、口あきが認められた場合には、補修等適切な措置を行う。
塩ビ床シート防水
1)注意点
 
・汚れは、時間と共に落ちにくくなるので、できるだけ早いうちに落とす。
→汚れの堆積が進むと強い変色の原因になるので要注意。
・砂粒などによる損傷を避けるために、建物の入口に大きめの防塵マットを敷き外から砂を持ち込まないように配慮する。
 
2)日常メンテナンス
 
〇ゴミ、砂等
・ゴミ、砂等は床材表面に傷をつけることになるので、ホウキ、掃除機等で取り除く。
〇ひどい汚れ
・汚れがひどいところは、固く絞ったモップなどで水拭きする。
・床面に付着したヒールマーク(靴跡)などの汚れで落ちにくい場合には、中性クリーナーを使用してハンドパットで擦り取り、仕上げに水を含ませた布(ウエス)で拭き取る。
・中性クリーナーで除去できない汚れは、エタノールを染み込ませた布で汚れを擦り取る。
・汚れ落としにシンナーは使用しない。表面の変色などの原因となる。
〇水溜りのできやすい箇所
・水溜りのできやすい箇所は滑りやすくなると同時に、汚染もしやすくなる。
・水溜まりがあると、太陽光が床シートの劣化を早める。
・水溜まりは、こまめに取り除く。
 
3)定期メンテナンス
 
〇自動洗浄機を使用する場合
・自動洗浄機に白または赤パッドを装備して清掃作業を行なう。
パットは軽度の汚れは白パット、中度の汚れは赤パットを使用する。
・荒い目のパットを使用するとコーティング層が摩耗する可能性があるので要注意。
・クリーナーが床に残らないように仕上げに水拭きする。
・汚染物の上に布を置き、クリーナー希釈液またはアルコールを滴下し、数分間放置してから除去するとよく落ちる。
・自動洗浄機が入らないコーナー部や壁際などは水をつけ、固く絞ったモップなどで床面を拭く。
 
4)汚染対策
 
●摩擦・キズによる汚染
・外から持ち込まれた砂粒などにより、床材表面が摩耗し、傷付き、その凹凸部に汚染物質が付着する。
〇対策
・洗浄剤を用いて、ポリッシャーまたはブラシ等で汚れを取り除く。
・強度な傷の場合は元通りに復帰することが困難となるので、防塵マットなどを設置して外からの砂の持ち込みを防ぎ、日常のメンテナンスを十分に行なう。
 
●ヒールマーク汚染
・ゴム製の靴のかかとで床材表面をこすった際にゴムの一部がこすり取られ、床材表面に付着し、汚染する。
・付着したまま放置しておくとゴム汚染となる。
・カーボンの混合が多かったり、加硫の不十分な靴底に発生しやすい。
〇対策
・洗浄剤を用いて、ポリッシャーまたはブラシ等で取り除く。
 
●ゴム汚染
・台車、脚立等の足がゴム製品の場合、含まれている成分(加硫助剤・プロセス油)が床材表面に付着・浸透し、太陽光や蛍光灯の光によって発色して、褐色に汚染することがある。
・靴のゴム底によるゴム汚染の場合は、動線状の汚染となる。
〇対策
・脚立等の足には床材と接触しないよう、あて板などを敷いて保護する。
・汚染した場合は、汚染部分の床材を張りかえる以外に方法はない。
ウレタン防水
1)防水層のメンテナンス
 
・防水層は紫外線の影響により劣化進行する。
・早めの対策により経済的に防水層を維持することができる。
 
2)定期的な点検・メンテナンス
 
①定期的にドレンを清掃(2回以上/年)
・飛来した砂塵や枯葉がドレンに詰まってプール状になることがあるが、この状態で放置すると防水層の劣化を促進させてしまう。
 
②定期的に防水層の状態を確認(1回以上/年)
・防水層に破断が生じていないか。
・防水層の端末が剥がれていないか。
・防水層にフクレが生じていないか。
・シーリングの口開きが生じていないか。
・トップコートが消失していないか。
 
3)防水層の劣化の仕方と劣化度
 
①劣化度1
・トップコートの表面が紫外線劣化により白亜化。
・防水層の保護塗料であるトップコートがその機能を発揮することで、トップコート表面が粉化する現象。
・劣化の初期症状といえるが、ひび割れもしくは磨耗にてウレタン層が露出するまでは防水機能に大きな影響はない。
 
②劣化度2
・表面のトップコートに微細な亀裂が発生。
・防水層の劣化が急激に進行するシグナルともいえる時期。
・この段階でのメンテナンスは、トップコート塗替えによる延命処置も行え、最も経済的な改修である「オーバーレイ改修(塗重ね改修)」も行える。
 
③劣化度3
・亀裂幅が拡がり亀裂の数も増加。
・ウレタン層が露出し、防水層の劣化が急激に進行する時期。
・この段階でのメンテナンスは、トップコート塗替えによる延命処置も行え、最も経済的な改修である「オーバーレイ改修(塗重ね改修)」も行える。
 
④劣化度4
・トップコートが磨耗してウレタン層が露出。
・ウレタン層が露出し、防水層の劣化が急激に進行する時期。
・この段階でのメンテナンスは、トップコート塗替えによる延命処置も行え、最も経済的な改修である「オーバーレイ改修(塗重ね改修)」も行える。
 
⑤劣化度5
・トップコートが消失し、ウレタン層の紫外線劣化が進行してクレーター状に。
・ウレタン層が露出し、防水層の劣化が急激に進行する時期。
・この段階でのメンテナンスは、トップコート塗替えによる延命処置も行え、最も経済的な改修である「オーバーレイ改修(塗重ね改修)」も行える。
 
⑥劣化度6
・ウレタン層が消失し、通気緩衝シートが露出。
・この症状が床面積の高割合を占めるとオーバーレイ改修が不可能。
・機械的固定工法あるいは既存防水撤去後に改修することになる。
アスファルト防水のトップコート
1)改質アスファルトシート防水、常温粘着工法の工程例
 
●密着工法、単層防水
 
①プライマー塗り
②粘着層付改質アスファルトシート(露出単層防水用,3.0mm以上)
③仕上塗料塗り
 
2)仕上塗料の概要
 
・仕上げ塗料は、砂付ストレッチルーフィングの上に塗布するもので、防水層の美観と保護を目的とする。
・従来からシルバー塗料が使用されてきたが、最近は化粧性を重視してエマルション系のカラー塗料も多く使用されている。
・シルバー塗料には、アスファルトや合成樹脂を有機溶剤に溶解したものを展色剤とするものとアクリル樹脂系のエマルションを展色剤とするものがある。
・カラー塗料は、アクリル樹脂のエマルションを展色剤とし、これに顔料・充填剤を配合したものである。
 
●メンテンナンス
・変退色、チョーキングの有無を点検。
→シルバー塗料に関しては3~5年ごとに有償で再塗装を行う。
 
3)高反射塗料
 
・従来は、防水保護塗料は主に紫外線から防水層を保護する目的で使用されていた。
 ↓
・外断熱工法の普及
→断熱材上の防水層は、断熱材で侵入を遮られた日射の熱量をすべて受け止めることになるため、特に夏場、高温となり劣化の進行が速くなる。
 ↓
・高反射・遮熱機能の必要性が高まる。
 
●高反射塗料の機能
・高反射塗料は、防水層表面に塗布することで太陽光を反射して防水層の温度上昇を抑制し、熱による防水層劣化を抑制する。
 
4)田島ルーフィングの製品例(SPファインカラー)
 
●高反射塗料 SPシリーズの特長
・防水層の表面に塗布することで、高反射・遮熱機能を発揮し、防水層の温度上昇を大幅に抑制する。
・アスファルト系防水材料専用に開発した塗料で、対象下地との相性、特に付着性が優れている。
・エマルションタイプなので、施工中の有機溶剤揮発による火災や中毒の心配がない。
・バラエティ豊かな色調。
 
●SPファインカラー
・アクリル樹脂を主成分とするエマルション系塗料。
・日射反射率50%以上の高反射塗料
・防水層の温度上昇を抑制し劣化を軽減する効果がある。
 
●メンテンナンス
・保護塗料は経年によりひび割れや減耗を生じる。
→これらの現象は防水性能に支障を及ぼすものでないが、保護塗料は定期的な塗り替えを推奨する。
ウレタン防水のトップコート
1)ウレタン防水、通気緩衝工法の工程例
 
①接着剤塗り、通気緩衝シート張り、脱気装置取り付け
②ウレタンゴム系塗膜防水材塗り
③ウレタンゴム系塗膜防水材塗り
④仕上塗料塗り
 
2)仕上塗料の概要
 
●保護仕上材の役割
・ウレタン防水層は非常に紫外線に弱い。
・仕上塗料は、防水層を紫外線から保護する重要な役割を担うとともに、デザイン、仕上げ、用途の自由度を高める。
 
●塗替え
・一般的なトップコートは、3~5年ごとに防水層の保護を目的としたトップコートの再塗装が必要。
・フッ素トップは高性能のため耐用年数が10年もつ場合がある。
 
●保護仕上材の白亜化(チョーキング)
・トップコートの表面が紫外線劣化により白亜化。
・防水層の保護塗料であるトップコートがその機能を発揮することで、トップコート表面が粉化する現象。
・劣化の初期症状といえるが、ひび割れもしくは磨耗にてウレタン層が露出するまでは防水機能に大きな影響はない。
 
3)サラセーヌの製品例(サラセーヌTフッ素)
 
〇サラセーヌT
・アクリルウレタン系
・ある物件の事例では、施工から4年経過した時点で、肉眼では確認しにくいクラックが発生し、膜厚が半分程度に薄くなっていた。
→原則として5年ごとに塗替えが必要。
 
〇サラセーヌTフッ素
・フッ素樹脂系
・ある物件の事例では、施工から7年経過した時点でも、わずかな劣化が始まっているが、表面クラックや膜厚減少などの大きな劣化は見られなかった。
→10年間塗替不要。
 
●サラセーヌTフッ素の特長
・フッ素樹脂の基本的な特性である優れた耐候性により、建物で一番過酷な条件にさらされるウレタン防水層をしっかり保護し、長期にわたって劣化を防ぐ。
・”Tフッ素シリーズ”は、層間プライマーを使用して塗り重ね改修ができる。

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