防水層の劣化調査・診断

〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
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漏水調査の注意点
●直接の漏水原因箇所
・防水層立上り端部の周りから防水層内部に雨水が入り、コンクリートのひび割れ部から室内等に漏水することが最も多い。
 
●室内への漏水
・屋根防水層の周りからだけでなく、外壁やサッシ周りからの漏水の場合があり、また、室内の天井、壁、サッシ等の結露によることもあるので注意する。
防水層一般の調査箇所、劣化現象
1)調査箇所
 
●防水層の劣化度調査
イ)目視調査
・ひび割れ、破断、剥がれ、摩耗、ふくれ、波打ち等。
ロ)防水層内側での雨水たまりの有無
・防水層が膨れ、踏んでダブダブしている場合は中に水がたまっており、強く踏むと小さな穴等から水が噴き出すことがある。
ハ)補修跡の箇所数、補修方法等
二)防水材の物性試験(必要に応じて)
・現物を切断サンプリング、試験場において引張強度、伸び、針入度等の試験を行う。
 
●防水層立上り端部の劣化度調査
・端部での防水層の破断、口あき、剥がれ等調査
・端部押えアルミアングル、アルミ笠木等の破損、剥がれ調査
・端部シーリングの剥がれ、破断、劣化度調査
 
2)劣化現象
 
〇水溜まり
・スラブ、ルーフドレンの水勾配の不足によって起こる。
 
〇土砂の堆積
・ルーフドレン(雨水排水口)などに見られる。
 
〇雑草の繁茂
・保護コンクリートの目地から雑草が生える場合がある。
・根が成長すると防水層を破ってしまう。
アスファルト保護コンクリート防水
1)劣化現象、原因
 
・日射、風雨、衝撃等によって劣化する。
 
〇保護コンクリート層のひび割れ・欠け・せり上がり
・平面部・立上がり部
・日射により膨張し、せり上がる場合がある。
〇伸縮目地の跳ね・著しい浮き
・コンクリートが膨張し、目地材が跳ね上がってしまうことがある。
 
2)劣化の傾向、注意点
 
・アスファルト防水層だけでなく、押さえの層の破損やエフロレッセンス、伸縮目地の劣化(伸縮性の低下・損失・つぶれ)が生じる。
アスファルト露出防水
1)劣化現象、原因
 
・温度の変化による伸縮の繰返し、風雨等によって劣化する。
 
〇ひび割れ
・表層のひび割れか、貫通しているか?
〇はがれ
〇ふくれ
・全層のふくれか、それとも上層のみか?
〇表層の劣化(砂落ち、摩耗、変退色、白亜化)
・経年劣化で表層の保護砂が落ちて、シートの基材が白くなる場合がある。
〇接合部の剥離(耳浮き、口あき、シール浮き)
・アスファルトシートの重ね部で剥がれ、口あきが見られる場合がある。
・端末剥離、ルーフィング接合部
〇防水層端部の剥離(口あき、金物のあばれ)
・立上り部の露出防水層が押され、たわんでいる場合がある。
〇立上り入り隅部の浮き
〇破れ
・露出防水層が破れると、防水層裏側に雨水がまわってしまう。
 
2)劣化の傾向、注意点
 
・経年5年前後になると退色や摩耗が現れて、15年前後で局部的に重ね合わせの部分などに不具合が現れ、漏水につながっていく。
 
3)劣化の試験方法
 
●針入度試験
・シーリング材、屋上防水材等の硬度を測定。
 
〇測定方法
・試験対象の材料の一部をサンプリングし、試験機の針に一定の力を加えて、針の移動量により硬度を測定。
 
●軟化点試験
・アスファルトの軟化する温度から品質を判定。
 
〇測定方法
・サンプリングした試料を水の入った容器に入れる。
→試料の上に鋼球を置き容器を温める。
→試料が軟化し、鋼球が試料から落ちた温度を軟化点とし、試料の品質を判定
 
●引張強度試験
・アスファルト防水材の劣化度を測定。
 
〇測定方法
・防水材の一部をサンプリングし、試料を引張試験機により引張り、弾性(劣化度)を確認する。
①防水層のサンプル採取
・500×500㎜程度の大きさで採取。その部分の補修工事もあわせて行う。
②防水層サンプルを試験体サイズにカット
・アスファルト部分と基材(中に入っている繊維部分)を別々に用意
③アスファルト防水層の基材の引張試験
・基材がどれだけ強度を保っているか確認
④アスファルトの針入度試験
・アスファルトがどれだけ柔軟性を保持しているか確認
  ●折り曲げ試験
・改質アスファルトルーフィングシートの耐折り曲げ性を評価。
・改質アスファルトの加熱後の性能低下を判定。
 
〇測定方法
・加熱した試験片を180度に折り曲げて外面のき裂発生の有無を調べる。
シート防水
1)劣化現象、原因
 
・日射、風雨、鳥等によって劣化する。
 
〇ひび割れ
〇剥がれ
・防水層の破断、端末剥離
・防水層接合部の剥離
・立上がり隅角部の浮き
〇ふくれ
〇硬化、表面劣化
〇破れ
・カラスがつついて穴があいてしまうこともある。
〇しわ
・パラペット部分に注意。
〇チョーキング
 
2)劣化の傾向、注意点
 
・飛来物や鳥などにより、局部的な損傷を受けやすい。
・接合部の接着性に難点がある。
 
3)劣化の試験方法
 
〇現場試験
・垂直引張接着試験(下地との接着強さ)
・剥離接着試験
〇実験室試験
・引張試験(JIS A 6008)
・引裂試験(JIS A 6008)
・接合部のせん断接着試験
・接合部の水密試験
ウレタン塗膜防水
1)劣化現象、原因
 
・日射、風雨等によって劣化する。
 
〇ひび割れ
〇剥がれ
・防水層の破断、端末剥離
・防水層接合部の剥離
・立上がり隅角部の浮き
〇ふくれ
〇膜厚の減少
〇破れ
・防水層が破れると、防水層裏側に雨水がまわってしまう。
〇チョーキング、表面劣化
 
2)劣化の傾向、注意点
 
・塗膜防水は、防水層にトップコートを塗装するが、トップコートの消失は防水層に与える影響が大きい。
→防水層の劣化やトップコートの劣化状況の把握が重要。
 
3)劣化の試験方法
 
〇現場試験
・垂直引張接着試験(下地との接着強さ)
〇実験室試験
・引張試験(JIS A 6021)
・引裂試験(JIS A 6021)
・劣化度試験

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