UR賃貸住宅の工法の変遷(配管材料、建具)

※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。 ※参考 UR都市機構 ’ING REPORT 建
給水管
1)給水管(直管)
 
・1955~1968年:水道用亜鉛メッキ鋼管
・1969年~:水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管
・1984年~:水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管
・1989年~:樹脂管(さや管ヘッダー方式)
 
〇さや管ヘッダー方式
・ヘッダーを住戸内に設置し、そこからタコ足状に樹脂管を分配し、これにガイドとなるさや管を組合わせて水栓類に直接単独配管する方式。
・管の腐食の心配がないという利点のほかに、水栓類の同時使用による水圧変動が少ない、給水管の更新が容易である、現場での施工の手間が少ないなどが挙げられる。
 
2)給水管(継手)
 
・1955~1968年:水道用ねじ込み可鍛鋳鉄製管継手(亜鉛メッキ)
・1969~1975年:エポキシ塗装継手
・1976~1983年:樹脂コーティング継手
・1984~1990年:樹脂コーティング継手+管端コア
・1991年~:管端防食継手(VLP用)
・1984年~:管端防食継手(PLP用)
・1978年~:一般用ステンレス鋼管(一部)
 
〇継手の防食
・当初はエポキシ塗装を塗布させただけの継手を使用していたが、設置後10年程度経過すると赤さびが発生するようになった。
・そこで、接続部の管端をも防食する耐食性の優れたコア付き継手が開発された。
 
3)給水管(屋外、小口径)
 
・1955~1968年:水道用亜鉛メッキ鋼管
・1969~1975年:水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管(コールタール2回塗)
・1976~1983年:同上+防食テープ、アスファルトジュート巻きのうえ、アスファルトジュートプライマー塗
・1984年~:同上+ペトロラタム系防食テープ
・1984年~:水道用ポリエチレン粉体ライニング鋼管(PA・PB・PD)
・1980年~:水道用硬質塩化ビニル管(VP、HIVP)
・2004年~:ステンレス鋼管
 
4)給湯管
 
・1974年~:銅管
・1975年~:被覆銅管
・1978年~:ステンレス管
・1989年~:樹脂管(さや管ヘッダー方式)
 
5)消火管
 
・1955~1968年:水道用亜鉛メッキ鋼管
・1969年~:配管用炭素鋼鋼管(白菅)
・1989年~:消火用硬質塩化ビニル外面被覆鋼管(屋外)
・2004年~:ステンレス鋼管
・2019年~:ポリエチレン管
排水管
1)雑排水管
 
・1955~1979年:配管用炭素鋼鋼管(ドレネージ接合)
・1979~1999年:防食用塗覆鋼管(タールエポキシ塗装)(MD継手)
・2000年~:排水用ノンタールエポキシ塗装鋼管
・1955~1963年:排水用鉛管
・1965年~:排水用硬質塩化ビニル管(VP)
・2000年~:リサイクル発泡三層硬質塩化ビニル管(RF-VP)
・2004年~:耐火二層管(FDP)
 
〇MD継手(Mechanical Drainage:排水用可とう継手)
・施工の容易性が求められるようになり、従来のねじ接合にかわり、メカニカル接合の継手を使用し始めたが、当時、この接合方法は、排水管の接続方法としては好ましくないと考えられていた。また、熟練配管工の不足から配管施工の単純化が叫ばれ、高層建築の揺れに追従する可とう性のある配管工法が求められた。
・MD継手は、ロックリングとゴムパッキンにより水密性を確保するメカニカル形の排水用継手で、ねじ接合でないので肉厚が薄くならないなど、鋼管の耐久性向上が図れた。
 
2)汚水管
 
・1955~1972年:排水用鋳鉄管(鉛コーキング接合)
・1973年~:排水用鋳鉄管(鉛コーキング接合またはゴムリング接合)
・1979~1999年:防食用塗覆鋼管(タールエポキシ塗装)(MD継手)
・2000年~:排水用ノンタールエポキシ塗装鋼管
・1991年~:排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管
・1996年~:排水用鋳鉄管(差込形RJ管)
・2000年~:リサイクル発泡三層硬質塩化ビニル管(RF-VP)
・2004年~:耐火二層管(FDP)
ガス管
1)ガス管(屋内)
 
・1955~1972年:配管用炭素鋼鋼管
・1973年~:配管用炭素鋼鋼管+防食テープ(埋込部)
・1985年~:塩化ビニル外面被覆鋼管、ポリエチレン被覆鋼管(埋込部)
・1991年~:フレキシブル管(塩化ビニル被覆)
 
2)ガス管(屋外)
 
・1955~1972年:鋳鉄管(鉛コーキング接合)
・1973年~:鋳鉄管+ポリエチレン管
・1955~1972年:配管用炭素鋼鋼管
・1973年~:ポリエチレン被覆ライニング鋼管
建具
(1)概要
 
・玄関ドアは公団型スチールドアとして公団の規格品が使用された。
・外回り建具は木製であったため、漏水、ガタツキ等の性能面で問題を生じ、公団型スチールサッシの開発が進められた。
→その後、さらに性能向上のためアルミサッシが開発され、規格化されることとなった。
 
(2)建具の種類、変遷
 
1)玄関ドア
 
①プレスドア
・1955~1978年
・大量生産が可能で当時の建築基準法に適合する防火戸(鋼製ドア)の必要からプレス加工技術を利用したプレスドアが生産され採用された。
・1枚の鉄板を折り曲げて加工したドア。
 
②フラッシュドア
・1969~現在
・表面材を内・外2重として内部にグラスウール等の充填剤を充填したドア。
・遮音性能:TS-25等級以上、気密性能:30等級
イ)A型:扉・枠共に下地防錆塗装を施しており、現場で仕上塗装を行う。
ロ)B型:枠は下地防錆塗装を施してあり現場で仕上塗装、扉は工場で仕上が施されている。
 
2)窓サッシ
 
①アルミ製
・鋼製建具と比べ、気密性・水密性・遮音性が良く、開閉時の騒音も少ない。
・腐食しにくいため錆止め用の塗装などメンテナンスの必要がない優れた部材。
・近年では、複層ガラス、Low-eガラス、アルミ樹脂複合サッシ等、省エネ性能に優れた製品を採用している。
窓サッシの改良工事
1)鋼製窓建具のアルミ化
 
・概ね30年以上経過した外回り鋼製窓建具で劣化の著しいものをアルミ製建具に取替。
・足場を設置せずに住戸内部から施工。
・当初、既存の建具枠を撤去する「引抜工法」と、建具枠の上から改修用サッシをかぶせる撤去する「かぶせ方式」を採用していたが、工事による騒音や粉塵等を抑制するため、1995年から原則かぶせ方式としている。
・かぶせ方式には「カバー工法」「持ち出し工法」の2種類があり、いずれも1日の作業で完了できる。
 
①カバー工法
・既存建具の障子等を撤去し、枠だけ残してビス又は溶接で、新規建具を固定する工法。
・導入当初は、既存建具枠に新規建具を設置すると開口寸法は小さくなるという制約があったが、有効開口が大きく、掃き出し窓では改修前の床段差とほぼ変わらない新工法が開発され、2006年から幅広く採用している。
 
②ノンシール工法
・カバー工法の一種で、浴室、トイレ、洗面所等の比較的小型の窓に採用。
・新規建具と既存躯体の間を予め新規建具に取り付けられているタイト材(成形ゴムガスケット)でふさぐことで、カバー工法の外部側のシーリング材の充填を省略できたため、無足場で改修することができるメリットがある。
 
③持ち出し工法
・基本的にカバー工法と同様であるが、新規建具を外部に持ち出して取り付ける工法。
・カバー工法より開口寸法が大きくできるため、導入当初に多く採用された。
計画修繕
1)現在の計画修繕で実施している主な項目
 
〇手すり等鉄部塗装
・鋼製手すり等については概ね3年以上、外回り建具については概ね6年以上経過したもので、発錆や塗膜のはがれ等の著しいものを棟単位で全面塗装を行う。
 
2)これまでの計画的修繕で実施してきた主な項目
 
〇鋼製窓具のアルミ化
・ 概ね30年以上経過した外回りの鋼製窓建具で劣化の著しいものをアルミ製建具に取替

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