サッシ・ドア改修工事の概要

〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
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ドア・サッシの劣化症状
(1)ドアの劣化症状
 
●ドアの劣化
・腐食度、開閉のスムーズさ、施錠の確実さ、すき間等が問題となる。
 
●建物金具の劣化
・丁番、錠前、ドアチェック等の摩耗、変形等。
 
●注意点
・オートロックやオートドアは、電気設備と関連している。
・防火戸は、煙感知器と連動している。
 
(2)サッシの劣化症状
 
●サッシの形式、付属部品
・ほとんどがアルミ製。
・はめごろし窓、引違い窓、スベリ出し窓、片開き窓、ガラスルーパー窓等。
・建具金物として、戸車、引手、クレセント等がある。
 
●サッシの劣化症状
・開閉不良、がたつき、すき間風、台風時の雨水吹込み等があり、付属金物の摩耗、破損、劣化等が原因。
・ガラスの枠への留付けは、塩ビ製のビードが標準であるが、劣化して切れることが多いので留意する。
修繕工事の概要
1)ドアの修繕工事
 
●工事の概要
・住戸ドア(スチール製ドア・塩ビ鋼板製ドア)、パイプスペース・メーターボックスの扉の塗装塗替え・取替え工事。
 
●目的、注意点
・丁番やドアチェック、新聞受箱・受口、ドアスコープ、チェーンロック、ドアストッパー、気密(エアタイト)ゴム等の付属金物の取替えも行う。
・外壁修繕と同時に実施することが一般的。
・ドア及び付属金物の取替え時には、性能のグレードアップを検討する。
 
2)サッシの修繕工事
 
●工事の概要
・サッシ及び建具丁番、サッシ戸車、クレセント、ビート等の付属金物の取替え工事。
 
●目的、注意点
・最初の大規模修繕時にはアルミ面の汚れ落し、磨き・クリーニングによる点蝕防止、2回目の大規模修繕時には損耗した付属金物の取替え、3回目の大規模修繕時ではサッシ全体の取替え等を行うことが一般的。
・サッシ及び付属金物の取替え時には、性能のグレードアップを図る。
・共用廊下側の窓面格子や窓手すり、網戸、防犯雨戸、鎧戸などはサッシ取替えと同時期に取替える。
ドアの改良工事
1)住戸ドアの性能グレードアップ
 
●鋼製の住戸ドア
 
〇高経年マンションでは
・住戸ドアには、一枚の鋼板を折り曲げ加工したプレスドアで、錆止め塗装したものが多く使われてきた。
・錆止め塗装の鋼製ドアは計画的(4~6年周期)に塗替えを行う必要があるが、劣化が激しい場合には交換を検討する。
 
〇交換でグレードアップ
・気密・断熱性や遮音性に優れ、デザイン性のあるフラッシュドアへの交換を検討する。
・地震時に各住戸のスチール製玄関扉が開閉不能にならないよう、建物変形に追従する耐震ドアに取替えることも考えられる。
 
①脱着塗装、建具金物取替え工法
・既存扉を枠から取り外し、付属金物を全て新品に取替える工法。
・扉、枠は水研ぎ、エアスプレー塗装するが、工場で完全ケレンし焼付け塗装することが望まれる。
・他の方法に比べて最も低コストだが、扉の付属金具の性能向上に留まる。
 
②枠残し扉取替え工法
・既存枠のみを残し、新規扉及び金具は新品に取替える工法。
・相対的に低コストで、扉・金物の性能は向上するが、枠と建具の間の断熱・気密・遮音等の性能向上は望めない。
 
③差込み工法
・扉・付属金物を全面撤去し、既存枠のみを残し、新規枠を被せて扉・金物を取替える工法。。
・耐震・断熱・気密・遮音等の性能向上が期待できるが、開口寸法がやや狭まる。
・コストは中程度。
 
④全面撤去工法
・扉・付属金物を撤去し、枠も油圧特殊金具等で取り外し、全て取替える工法。
・耐震・断熱・気密・遮音等の全ての性能向上が期待できるが、高コストとなる。
 
⑤全撤去内法嵩上げ工法
・高経年マンションの玄関扉の内法高さは1m80㎝以下の低いものがある。
→扉上、梁下に小壁がある場合は、この壁を除去して内法高さを高くした上で全て取替えることも可能。
・コストは最も高くなる。
 
●塩ビ鋼板製ドア
・ドア枠のみ塗替えを行うが、フィルム裏の鉄部が錆びると、剥がして錆止めし、貼り替えることが不可能になるため、表面を定期的に清掃し、傷や凹みなどは修繕する必要がある。
・塩ビ鋼板のフィルム裏の鉄板が錆びてきたら、ドア全体の取替えによりグレードアップを図る必要がある。
 
2)住戸ドアの付属金物等のグレードアップ、ピッキング対策
 
●付属金物等のグレードアップ
・スチール製プレスドアをフラッシュドアに取替える際には、スチール製の丁番やドアチェック、新聞受箱・受口、ドアスコープ、チェーンロック、ドアストッパー等の付属金物もステンレス製品に取替え、耐久性や美装性を高める。
 
●住戸ドアの錠のピッキング対策
 
①デッドボルドが外部から見えない構造orガードプレートの設置
・住戸の玄関扉は破壊や施錠が困難なものとし、デッドボルド(かんぬき)が外部から見えない構造又はガードプレートを設置したものとする。
・1枚の玄関扉に2個の錠を取り付ける”1ドア2ロック方式”に改善することも効果的。
 
②ピッキングされにくい錠に交換
・錠シリンダーをCPマーク認定錠等の破壊解錠が困難な構造のものとし、主錠の他に補助錠を設置する。
・扉の隙間を塞ぐガードプレートを取り付ける。
 
※CPマーク
・CPマークとは、防犯性能の高い建物部品につけられるマークのこと。
・警察庁・国土交通省・経済産業省と民間関係団体で構成される「官民合同会議」が行う厳しい試験にパスし、住宅などの侵入に5分以上耐えられると評価された防犯性能の高い建物部品に与えられる。
 
③サムターンまわし対策
・サムターンまわしによる侵入を防止するためには、郵便受け口の内側に郵便受け箱をしっかり固定しておくことや、サムターンカバー(外部からサムターンに直接接触することができないように防護するためのカバー)を扉に取り付ける。
 
※サムターンまわし
・玄関扉の新聞受口から工具や手を入れて、扉の内側の開錠装置であるサムターンをまわし、扉を開けて侵入する方法
 
④カム送り解錠対策他
・カム送り解錠による侵入を防止するためには、リング状スペーサー等の錠シリンダーとドアの隙間を塞ぐ対策部品を取付けることが考えられる。
・その他、高齢化対策として、加齢に伴い握力が弱まりドアノブを回転させることが困難となることから、ドアノブをレバーハンドルに取替える。
 
※カム送り解錠
・特殊な道具を用いて、直接錠ケース内部に働きかけてデットボルト(かんぬき)を作動させ解錠する方法
 
3)パイプスペース・メーターボックス扉をグレードアップ
 
・パイプスペース扉、メーターボックス扉等はスチール製のものが多く、通常鉄部塗装によりメンテナンスされているが、枠周りや丁番等の付属金物類の傷みが先に来るので、ステンレス製のものに取替える。
・扉本体を取替える時にも耐久性に優れたステンレス製のものに取替える。
・パイプスペース扉が小さいと、配管の修理や取り替え時に囲いの壁まで壊さなければならない。
→壁ごと外せるパイプスペース扉が普及しており、こうしたものに取替えることが考えられる。
・パイプスペース内部の給排水管やガス管、電気幹線、テレビ共聴設備の同軸ケーブルなどを取替える際にパイプスペース扉も取替えることが望まれる。
サッシの改良工事
●目的
・気密性、遮音性の向上。
・バリアフリー性や防犯性を高める。
・付属金物も計画的に新品に取替えることが望まれる。
 
1)サッシ框の取外し、付属金物の交換
 
・アルミサッシでは、戸車、クレセント、ビード等の付属金物の損耗が激しく、建付や気密性の面で不具合が生じていることがある。
→付属金物の表面のアルミ皮膜の点検補修を行う一方で、必要に応じて取替えを行うことが望まれる。
・サッシ框を取り外したらアルミ表面の汚れを除去し、点蝕防止の研磨清掃材でクリーニングする。
・この際、複層ガラスや真空ガラスに取替え、断熱性や遮音性を高めることも可能。
 
2)サッシの交換
 
・下枠レールが損耗したらサッシ本体を取替える必要がある。
・ガラス面の結露と熱損失を低減させる複層ガラスや断熱サッシ、遮音性に優れた防音サッシ等への交換。
・サッシの二重化。
 
●かぶせ工法と撤去工法
〇かぶせ工法
・既存サッシ枠の上に新しいサッシ枠をかぶせる方法。
・工事が簡単で時間もかからず、ある程度安価で出来る。
・窓枠が既存の上にかぶるので枠自体が少し出っ張ってしまうことと、ガラス面が少し小さくなってしまうことなどのデメリットがある。
 
〇撤去工法
・既存サッシを枠ごと外す方法。
・完全に新品に交換できるので出っ張りなどもなくスッキリ収まる。
・サッシ枠廻りのコンクリートも一部壊したりするため、埃が出る、産廃が大量に出る、部屋内の木枠も交換する必要がある、などのデメリットがある。
 
●交換方法
・以下の①~③の工法については、共用部分の変更工事となるため、管理組合における承認が必要。
→全戸一斉に取替えを行うことが望まれる。
・④の内付け工法については、専有部分の工事であるため、各自での取り付けが可能。
・③サッシ撤去工法によりサッシを取替える場合には、バリアフリー化の観点からノンレール完全フラットサッシに取替えることや、防犯性を高めるために防犯サッシ(2枚以上のガラスの間に樹脂中間膜を挟み破壊しにくい構造としたもの)に取替えることも考えられる。
 
①外付け二重サッシ工法
・既存サッシの外側・抱え部に新規サッシを取付け、二重サッシ化する工法。
・比較的安いコストで可能。
・外壁の外断熱工事を行う場合には、この外付け二重サッシ工法を採用することが、細部の納まり等の点から適していると考えられる。
 
②持出しかぶせ工法
・既存サッシの枠に新規枠を被せ、既存サッシは枠だけ残し撤去する工法。
・窓間口寸法が狭くなり、内法高さが低くなる。
 
③サッシ撤去工法
・既存サッシを撤去し、同一位置に新規サッシを新設する工法。
・間口寸法は狭めずに取替えが可能で、断熱サッシ等に取替えし、サッシの性能を高める。
・全面撤去のためコストは相対的に高くなる。
 
④内付け二重サッシ工法
・既存サッシの内側に内付きインナーサッシを新規に取付け、二重サッシ化する工法。
・比較的安いコストで可能だが、内側サッシは専有物となるため、各戸発注により費用も各戸負担となるのが一般的。
・外側の既存サッシを撤去する場合は管理組合の同意が必要となる。
 
3)窓面格子・窓手すり・網戸の取替えと雨戸(鎧戸)の追加・増設
 
・共用廊下側の窓面格子、窓手すり、網戸、防犯雨戸、鎧戸等はサッシ取替え時に一緒に取替えることが望まれる。
・大地震時などの非常時には開放廊下の窓からも避難ができるように、共用廊下側の窓面格子を住戸内側から開けられるタイプの非常時脱出機能付き面格子とすることや、開閉型ルーバーガラリのものに取替えることが考えられる。
・サッシ付の網戸は、日常は各住戸での個別管理となるが、サッシ取替え時にはサッシと一体で取替えることになる。
・既存サッシの外側に防犯と断熱を兼ねた雨戸(鎧戸)やルーバー型シャッターを取付けることも可能。
 
●ノンシール工法
・古い窓枠の上に新しい窓枠を取付ける工法で、主に便所や浴室などの比較的小型のサッシ(すべり出し窓、内倒し窓)に採用される。
・室内から工事が可能で、外部からのシール(防水)工事を必要としないのでノンシール工法という名称がつけられた。
・等圧原理を応用した、省メンテナンスの工法。
→補助部材と既存スチール枠とが、タイル材によって気密壁をつくり、漏水を防ぐ。また、万一の場合、水の浸入やスチール枠の漏水も、たて枠か、たて枠補助部材をつたって外部に排水するので、躯体を傷めず安心。
 
4)住戸窓の防犯対策を行う
 
・住戸の窓で侵入が想定されるものは、錠付クレセントや補助錠を設置し、窓ガラスの材質を破壊が困難な構造のものとする。
例)ガラス内面に防犯フィルムを貼る、サッシを防犯ガラスとする。
ガラスの種類とその性能
1)通常のガラス
 
●フロートガラス
・金属を融解した上に融解したガラスを薄く浮かべることで製造した板状のガラス。
・厚さが均一で表面が極めて平坦なガラスを製造することができ、窓ガラスの多くはフロートガラス。
・フロート板ガラスは、熱の通しやすさに関しては、断熱効果が大きい複層ガラスより劣っている。
 
2)安全性を高めたガラス
 
●強化ガラス
・通常のガラスは、高い弾性率、剛性率をもちながら透明で有用な素材であるが、脆いため衝撃を受けると割れてしまうという致命的な欠点が存在する。
→ガラスが容易に割れないようにするために、表面を圧縮して破壊に対する抵抗性を高めている。
→割れにくく、万一割れた場合にもガラス全面が粒状になる。
・強化ガラスの製法は、板ガラスを約700度まで加熱した後、ガラス表面に空気を吹きつけ、均一に急冷し、表面に圧縮層を持たせる。
・同じ厚さのフロート板ガラスに比べると3~5倍の強度を持ち、耐風圧強度は高い。
※安全性はあるが、防犯ガラスと同等の防犯性能があるとはいえない。
 
●合わせガラス
・複数の板ガラスの間に樹脂などの中間膜を挟み、接着したガラス。
・対貫通性・耐衝撃性に優れ、また割れた際の飛散も起きにくいため、自動車のフロントガラスや路線バスの前面行先表示器ガラス、情報機器のモニター用ガラス、防犯ガラスとして用いられる。
・樹脂膜の力で、割れてもガラスの破片が飛び散らない。
・一般的なガラスよりも安全性能が格段に向上している。
 
3)防火性を高めたガラス
 
●網入りガラス
・ガラスの中にワイヤー(網)が入ったガラスのことで、火災時にガラス破片の飛散防止を目的とした防火設備用のガラス
・網入りガラスは、建設省告示で規定される防火設備用のガラスとして、防火地域などの建築物などの窓に利用されている。
※防犯性能は、フロート板ガラスと同様期待できない。
 
4)防犯性を高めたガラス
 
●防犯ガラス
・2枚のガラスの間に強靭で厚い中間膜や特殊な板(ポリカーボネード板)をはさみこんでいる。
・ドライバーによる”こじ破り”、バールなどによる”打ち破り”に高い抵抗力を発揮する。
 
※平成12年建設省告示1360号”防火設備の構造方法を定める件”
・これまで使用可能であった網入りガラスに加えて、防火上有効に炎を遮ることができることが確認された耐熱強化ガラス、耐熱結晶化ガラスなどの透明な防火ガラスについても、告示に定める一般的な仕様として位置づけることとしている。
・断熱性に配慮し、上述の防火ガラスと一定の低放射ガラス(Low-Eガラス)との組み合わせによる複層ガラスを使用することも可能としている。
 
5)断熱性を高めたガラス

●複層ガラス
・スペーサーと呼ばれる金属部材で、3㎜程度の2枚のガラスの間に6㎜程度の中空層を持たせたガラス。
・2枚のガラスの間に薄く空気層を挟み込むことによって断熱性能が向上し、結露などを減少させる。
・スペーサーを用いて保たれた中空層には、水を含まない乾燥空気やアルゴンガスを封入してある。
 
●低放射複層ガラス(Low-Eガラス)
・中空層側のガラス面に特殊な金属膜をコーティングしたもの。
・低放射性能を持つ銀・酸化スズなどの特殊金属膜を中空層のガラス面にコーティングしたもので、ガラス表面の熱放射率を下げて、熱の移動を抑制している。
・暑い地域で窓に直接日射があるなら太陽熱の侵入を防ぐ”遮熱低放射複層ガラス”を、また寒冷地であれば室内の暖房の熱を外に逃がさない”断熱(遮断)低放射複層ガラス”を使うのが基本。
①室内側の空気層側のガラスに特殊金属膜をコーティングするもの(断熱タイプ)
・屋外からくる太陽熱を通過させながらも室内の熱を鏡のように反射するので、一旦取り入れた熱を外に逃がさない。
・金属膜を室内側のガラスにコーティングした場合、侵入した日射熱を外部に放射しにくいので、暖房効果を高める。
②屋外側の空気層側のガラスに特殊金属膜をコーティングするもの(遮熱タイプ)
・夏には太陽光を大幅に(約50%以上)カットし、室内の冷房効果を高め、冬は、特殊金属膜が室内の熱を外へ逃がさない。
・金属膜を室外側のガラスにコーティングした場合、断熱性能の向上とともに、日射遮蔽効果が冷房効果を高める。
・一般の複層ガラスや単板ガラスより熱貫流率が小さいので、断熱性が高く、外気の冷たさも伝わりにくいので、結露が発生しにくくなる。
 
●真空ガラス
・2枚の板ガラスの間を真空層とすることで断熱効果を高めながらも厚さを薄くできる。
・Low-Eガラスを使用しているため日射遮蔽性能も併せ持つ。
・真空ガラスは、厚さ0.2mmの真空層でも十分な断熱性能があるため、アタッチメントが不要で、ガラス面積を減少せずに取付けが可能。

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