マンションのシーリングの概要、劣化・調査診断

マンションのシーリングの概要、劣化・調査診断に関する技術情報をまとめました。
 
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シーリング材の概要
●概要
 
・マンションのシーリング材は、建物の外壁を構成するコンクリート・モルタル・ガラス・サッシ・パネルなどの各種部材間(目地)に防水性・気密性を確保する目的で使用されている。
 
●定形シーリング材と不定形シーリング材
 
・定形シーリング材
合成ゴム(シリコーンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴムなど)を押出成形などであらかじめ、ひも状などに成形して目地(部材のすき問)にはめ込むガスケットのことをいう。主にガラスの保持・固定に使用。
 
・不定形シーリング材
ペースト状の材料で施工時に専用のガンを使って目地に充填後、硬化してゴム状になるものをいう。
 
・一般的にはシーリング材と言えば、不定形シーリング材を意味することが多い。
 
●シーリング材の材料
 
・シリコーン系(オルガノポリシロキサン)、変性シリコーン系(シリル基を末端に持つポリエーテル)、ポリウレタン系などの樹脂が使われている。
 
・事前にすべての成分を混合してある”成分型(1液性)”のものと、2液以上が押し出した時に混ざる”多成分型(2液性など)”がある。
 
各材料の特徴
 
●シーリングとコーキングの違い
 
・通称では、あらかじめ形が決まっているものをシーリング材(シーリング)と呼び、チューブ容器に入っていて専用の押出し機であるコーキングガンで施工する樹脂性の物をコーキング材(コーキング)という事が多い。
 
○シーリング材
・JISでは、”構造体の目地、間げき(隙)部分に充てん(填)して防水性、気密性などの機能を発揮させる材料”と規定。
・表面も中も硬化するが、弾力性があり被接着材料に追従する。
 
○コーキング材
・コーキング材はシーリング材の一種。
・JISでは、”展色材(天然樹脂、合成樹脂、アルキド樹脂など)と鉱物質充てん(填)剤(炭酸カルシウムなど)を混合して製造したペースト状のシーリング材。相対変位の小さな目地のシールに使用される。鉱物質充てん剤として、石綿は、現在使用が禁止されている”と規定。
・表面は皮膜を形成し、中は不乾性で硬化しない。
シーリングの劣化
●概要
 
・シーリング材は、気温や温度の変化、建物の向きや立地条件によって、紫外線による劣化が発生する。
・シーリング部とその周辺部の経年劣化によって、ひび割れ・破断・剥離等が生じて、防水・気密性が損なわれる。
・退色や汚染などによって外観も悪くなる。
・既存の目地の寸法が小さい場合には、シーリング材が劣化しやすい。
・シーリングは3年から5年を過ぎたあたりから劣化が始まる。
・保証は基本的に5年で耐用年数は10年ほど。
・築後12年位になると油分が抜けてシール自体が硬化し、目地の伸縮に対応出来なくなってひび割れや隙間が発生し易くなる。そのまま放置するとシールの剥離や破断に至り、目地の内部に雨水が侵入して躯体のひび割れを通過し、やがて室内への漏水に繋がる可能性がある。
・外壁目地の役割は強度の弱い部分を守るため、動きを逃がして建物を守る事にあるので、シーリングが劣化し、動きを逃がす事が出来なくなると建物の弱い部分が顕著化し、建物劣化の進行が早まって行く。
 
●劣化現象
 
〇しわ、ひび割れ
・紫外線により伸び縮みする。
 
〇痩せ
・シーリングの分量が少なくなる。
 
〇軟化
・シーリングがベタベタ柔らかくなる。
 
●シール上の塗材ひび割れ
 
・外壁目地の役割は強度の弱い部分を守るため、動きを逃がして建物を守る事にあるので、シーリング材には動きの挙動に対して追従する柔軟性が必要とされ、弾性に富んだものとなっているが、表面の塗材は汚れ防止も含めある程度硬度のあるものとなっている。
・シーリング材と塗材の弾性率が相違により、ある限界を超えた場合には塗材のひび割れや剥離が発生してしまう。
 
●ブリード現象とノンブリードシーリング材
 
○ブリード現象
・シーリング材に含まれる可塑剤がシーリング材の上に塗装された塗膜側に移行する事により塗膜表面を軟化させて、そこに空気中の塵埃等が付着して起こる汚れ。
 
○ノンブリードシーリング材
・ウレタン系”のシーリング材では、可塑剤を含まない”ノンブリード”タイプのものもある。
・ノンブリードタイプのものであっても長期に渡る変化に関しては検証しきれているとは限らないので、シーリング材と塗材の相性を事前に確認する必要がある。
・相性については、汚染性以外にも付着性についても考慮する必要がある。
シーリングの改修

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