マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針

●マンション管理適正化法3条(基本方針)
・国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(「基本方針」)を定めなければならない。
・基本方針は、住生活基本法に規定する全国計画との調和が保たれたものでなければならない。
・国土交通大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
 
※マンションの管理の適正化に関する指針
“マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針”の策定に伴い、マンションの管理の適正化に関する指針は2022年3月31日をもって廃止。
 
〇過去問
・管理業務主任者 H14問47、H15問47、H16問47、H17問46、H19問46、H20問46、H21問46、H24問46、H25問46
・マンション管理士 H13問50、H14問48、H16問46、H28問50、H29問46
 
 
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基本的な事項
1)国の役割
 
●目標・目的
・マンションの管理水準の維持向上
・管理状況が市場において評価される環境整備を図る。
 
●必要な背策
・マンション管理士制度及びマンション管理業の登録制度の適切な運用を図る。
・マンションの実態調査の実施
・「マンション標準管理規約」及び各種ガイドライン・マニュアルの策定や適時適切な見直しとその周知
・マンションの管理の適正化の推進に係る財政上の措置
・リバースモーゲージの活用等による大規模修繕等のための資金調達手段の確保
・マンション管理士等の専門家の育成等によって、管理組合や地方公共団体のマンションの管理の適正化及びその推進に係る取組を支援
・マンションの長寿命化に係る先進的な事例の収集・普及等に取り組む
・管理組合等からの求めに応じ、マンション管理適正化推進センターと連携しながら、必要な情報提供等に努める。
 
2)地方公共団体の役割
 
・区域内のマンションの実態把握を進める。
・マンション管理適正化推進計画を作成し、施策の方向性等を明らかにして管理計画認定制度を適切に運用することで、マンションの管理水準の維持向上と管理状況が市場において評価される環境整備を図っていくことが望ましい。
・マンションに係る相談体制の充実を図るとともに、管理組合等からの求めに応じ、必要な情報提供等に努める。
・管理が適正に行われていないマンションに対しては、マンション管理適正化指針等に即し、必要に応じて助言、指導等を行うとともに、専門家を派遣するなど能動的に関与していく。
目標の設定に関する事項
●国における目標の設定事項
・住生活基本計画(全国計画)において、25年以上の長期修繕計画に基づき修繕積立金を設定している管理組合の割合。
 
●地方公共団体における目標の設定事項
・区域内のマンションの状況を把握し、地域の実情に応じた適切な目標を設定することが望ましい。
マンション管理適正化指針
●全体の注意点
 
・”理事会”については言及されていない。
→主に”管理組合の管理者等”を対象。
・集会は、管理組合の最高意思決定機関
・管理規約は、マンション管理の最高自治規範
 
(1)管理の適正化の基本的方向
 
・専門的な知識を必要とすることが多いため、問題に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の支援を得ながら、主体性をもって適切な対応をするよう心がけることが重要。
・外部の専門家が、管理者等又は役員に就任することも考えられるが、区分所有者等が当該管理者等又は役員の選任や業務の監視等を適正に行うとともに、監視・監督の強化のための措置等を講じることが重要。
 
(2)管理組合が留意すべき基本的事項
 
①管理組合の運営
②管理規約
・管理費等の滞納など管理規約又は使用細則等に違反する行為があった場合、管理組合の管理者等は、その是正のため、必要な勧告、指示等を行うとともに、法令等に則り、少額訴訟等その是正又は排除を求める法的措置をとることが重要。
③共用部分の範囲及び管理費用の明確化
・共用部分の範囲及び管理費用を明確にし、トラブルの未然防止を図ることが重要である。
・特に、専有部分と共用部分の区分、専用使用部分と共用部分の管理及び駐車場の使用等に関してトラブルが生じることが多いことから、適正な利用と公平な負担が確保されるよう、各部分の範囲及びこれに対するマンションの区分所有者等の負担を明確に定めておくことが重要。
④管理組合の経理
・管理費及び修繕積立金等を帳簿上も明確に区分して経理を行い、適正に管理する必要がある。
⑤長期修繕計画の策定及び見直し等
・”長期修繕計画作成ガイドライン”を参考に、必要に応じ、マンション管理士等専門的知識を有する者の意見を求め、また、あらかじめ建物診断等を行って、その計画を適切なものとするよう配慮する必要がある。
・維持修繕を円滑かつ適切に実施するため、設計に関する図書等を保管することが重要。
・建築後相当の年数を経たマンションにおいては、長期修繕計画の検討を行う際には、必要に応じ、建替え等についても視野に入れて検討することが望ましい。
⑥発注等の適正化
・管理業務の委託や工事の発注等については、利益相反等に注意。
・外部の専門家が管理組合の管理者等又は役員に就任する場合においては、マンションの区分所有者等から信頼されるような発注等に係るルールの整備が必要。
⑦良好な居住環境の維持及び向上
・自治会及び町内会等は、管理組合と異なり、各居住者が各自の判断で加入するものであることに留意するとともに、特に管理費の使途については、マンションの管理と自治会活動の範囲・相互関係を整理し、管理費と自治会費の徴収、支出を分けて適切に運用することが必要。
・適切な峻別や、代行徴収に係る負担の整理が行われるのであれば、自治会費の徴収を代行することや、防災や美化などのマンションの管理業務を自治会が行う活動と連携して行うことも差し支えない。
※コミュニティ形成
・マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい。
⑧その他配慮すべき事項
・組合員名簿や居住者名簿の管理方法等、個人情報の取り扱いにあたっては、個人情報の保護に関する法律による個人情報取扱事業者としての義務を負うことに十分に留意する必要がある。
 
(3)マンションの区分所有者等が留意すべき事項
 
・マンションを購入しようとする者は、マンションの管理の重要性を十分認識し、売買契約だけでなく、管理規約、使用細則、管理委託契約、長期修繕計画等管理に関する事項に十分に留意することが重要。
 
(4)管理委託に関する基本的事項
 
・マンション管理業者の業務に関して問題が生じた場合には、当該マンション管理業者にその解決を求めるとともに、必要に応じ、マンション管理業者の所属する団体にその解決を求める等の措置を講じる必要がある。
建替え等の措置に向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項
・区分所有者等の連絡先等を把握しておき、必要に応じて外部の専門家を活用しつつ、適切に集会を開催して検討を重ね、長期修繕計画において建替え等の時期を明記しておくこと等が重要である。
啓発及び知識の普及に関する基本的な事項
●国
・法及びマンション管理適正化指針の内容の周知。
・「マンション標準管理規約」や各種ガイドライン・マニュアルの策定や適時適切な見直しとその周知を行っていく必要がある。
・国、地方公共団体、マンション管理適正化推進センター、マンション管理士、NPO法人等の関係者が相互に連携をとり、管理組合等の相談に応じられるネットワークを整備することが重要。
 
●地方公共団体
・セミナーの開催やマンションに係る相談体制の充実を図るよう努める必要。
 
●マンション管理適正化推進センター
・関係機関及び関係団体との連携を密にし、管理組合等に対する積極的な情報提供を行う。
 
●国、地方公共団体、関係機関等
・管理計画認定制度の周知等を通じて、これから管理組合の一員たる区分所有者等としてマンションの管理に携わることとなるマンションを購入しようとする者に対しても、マンションの管理の重要性を認識させるように取り組むことも重要。
マンション管理適正化推進計画の策定に関する基本的な事項
その他マンションの管理の適正化の推進に関する重要事項
①マンション管理士制度の一層の普及促進
 
②管理計画認定制度の適切な運用
・国においては、既存マンションが対象となる管理計画認定制度に加え、マンションの適切な管理を担保するためには分譲時点から適切な管理を確保することが重要であることから、新築分譲マンションを対象とした管理計画を予備的に認定する仕組みについても、マンション管理適正化推進センターと連携しながら、必要な施策を講じていく必要がある。
 
③都道府県と市町村との連携
・法において、都道府県は町村の区域内に係るマンション管理適正化推進行政事務を行うこととされているが、市区町村と連携を図り、必要に応じて市区の区域内を含めて施策を講じていくことが重要である。
 
④修繕等が適切に行われていないマンションに対する措置
・修繕等が適切に行われなかった結果、老朽化したマンションがそのまま放置すれば著しく保安上危険となり、又は著しく衛生上有害な状態となる恐れがあると認められるに至ったなどの場合には、建築基準法に基づき、特定行政庁である地方公共団体が改善の命令等の強制力を伴う措置を講じることも考えられる。
 
⑤修繕工事及び設計コンサルタントの業務の適正化
・国は、管理組合に対する様々な工事発注の方法の周知や修繕工事の実態に関する情報発信、関係機関とも連携した相談体制の強化等を通じて、マンションの修繕工事や設計コンサルタントの業務の適正化が図られるよう、必要な取組を行う必要がある。
 
⑥ICT化の推進
・国は、WEB会議システム等を活用した合意形成の効率化や、ドローンを活用した外壁の現況調査等、モデル的な取組に対して支援することにより、ICTを活用したマンションの管理の適正化を推進していく必要がある。

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