マンション共有部の設備についてのメモ

マンション共有部の設備に関する情報をメモ書きしています。
 
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給水方式
(1)給水方式の種類
 
1)貯水槽方式
 
・貯水槽と呼ばれるタンクにいったん水を蓄えてから各戸に給水。
 
・貯水槽、高置水槽の定期的な清掃、点検、水質検査が必要。
 
・貯水槽、高置水槽の外面の保護塗装や付帯機器類(ボールタップや定水位弁等)の交換が定期的に必要。
 
・水槽本体の取替えは、屋外に設置の場合20~30年、屋内の場合は30~40年が目安。
 
①高置水槽方式
 
・貯水槽に蓄えられた水を揚水ポンプでマンションの屋上等に設置された高置水槽に送り、高置水槽から重力を利用して各戸に給水。
 
・停電の場合、高置水槽に残っている分まで利用できる。
 
②ポンプ圧送方式
 
・貯水槽に蓄えられた水を圧送ポンプ(加圧ポンプ、圧力ポンプともいう)で直接各戸へ給水。
 
2)水道直結方式
 
・貯水槽を設けず、水道本管から各戸に直接給水。
 
・水道本管から新鮮な水が直接給水される。
 
・給水ポンプは東京都では年1回の法定点検が義務付け。5~7年でオーバーホール(分解整備)、10~15年で交換が目安。
 
①増圧直結方式
 
・水道本管からの水を増圧ポンプの圧力で各戸に直接給水。
 
・各水道事業者、地域で設置が可能な場所と不可能な場所がある。
 
・停電の場合、低層階では水道本管からの水圧で水が出るが中高層階では断水。
 
・給水ポンプは東京都では年1回の法定点検が義務付け。5~7年でオーバーホール(分解整備)、10~15年で交換が目安。
 
②直圧直結方式
 
・水道本管から直接給水する方式。通常は地上3階まで。
 
・停電があっても断水せず水が利用できる。
給水配管
●配管内面の腐食問題
 
・40年ほど前まではさびやすい給水配管材が使用されていて”赤水”が多く発生していた。
 
・1975年頃までに建設されたマンションでは「水道用亜鉛めっき鋼管」という材質。
 
鋼管の内側に亜鉛めっきが施されているだけだったのっで15~20年ほどで配管内面が激しく腐食してしまい、赤水や漏水の原因となっていた。
 
・上記の腐食を解消するために使用されるようになったのが「硬質塩化ビニルライニング鋼管」。
 
鋼管の内部に硬質塩化ビニル管が挿入されたもので、現在最も多く使用されている。
 
●継手の腐食問題
 
・1985年以前は、「樹脂コーティング継手」という樹脂を内面に塗布したものが使用。
 
管端の鉄露出部分や鋼管ねじ部分がさびやすいという弱点。
 
・管端の鉄露出部分に「コア」と呼ばれる樹脂製の部品を挿入する工法が開発。
 
・1990年以降は継手本体にコアを内蔵「管端防食継手」が誕生。
 
●新しい管材
 
・共用部では2000年頃から、より耐久性の高いステンレス管を採用する例が増える。
 
・専有部では、1990年頃から樹脂製の「架橋ポリエチレン管」や「ポリブテン管」が用いられるようになった。
 
●給水管の更新の目安
 
・水道用亜鉛めっき鋼管:15~20年
・水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管
 防食継手未使用:15~20年
 管端コア+継手使用:20~25年
 管端防食継手使用:25~30年
・ステンレス鋼管:30年以降に補修
 (配管を接続する継手にゴムパッキンが使用)

●配管の劣化調査方法
 
・破壊検査、抜管調査
配管の一部を切り取って調査。
 
・非破壊検査
配管を現状のまま内視鏡、X線発生装置、超音波肉厚測定器を使って調査
排水設備
●排水の経路
 
・マンションの排水には、トイレからの”汚水”、屋上やバルコニーからの”雨水”、それ以外で洗面所、洗濯機、浴室、キッチンなどからの”雑排水”がある。
 
・雨水は生活排水である汚水や雑排水と別系統で排水。
 
・汚水と雑排水は、一つの排水立て管にまとめて排水する合流式と別々の管で排水する分流式がある。さらに、詰まりやすいキッチンの雑排水だけ別系統とする場合もある。
 
●排水トラップ
 
・排水トラップは、排水管の途中にあり、水をためた封水により経路をふさぐことで、排水管からの悪臭や害虫の侵入を防ぐ役割がある。
 
・長期不在の際には封水切れに注意する。
 
●通気設備
 
・通気設備によって、排水管内に空気を流通させて水を円滑に流したり、排水管内外の気圧差を調整してトラップ内の封水を保ったりしている。
 
・マンションでは主に、伸頂通気方式、特殊継手システムが主流。
 
伸頂通気方式は、排水立て管の頂部の管径をそのまま延長して管内の空気を大気中に開放する。
 
特殊継手システムは、特殊継手を取り付けられていてスムーズに排水できる。
 
●配管材料
 
・排水管の種類と利用年代
 
亜鉛メッキ鋼管            ~1980年代
排水用硬質塩化ビニルライニング鋼管  1980年代~
排水用タールエポキシ塗装鋼管     1970年代~
排水用鋳鉄管             1950年代~
硬質ポリ塩化ビニル管         1960年代~
排水・通気用耐火二層管        1970年代~
 
・1980年頃までに建てられたマンションは亜鉛めっき鋼管を使っている場合があるので、注意が必要。耐熱性には優れているが、酸性の排水に弱く、腐食が起こりやすい。
避雷設備
・避雷針で雷を受け、安全かつ速やかに雷電流を大地に放電する事で建物を雷から保護する仕組み。
 
・高さ20mを超える建築物には原則として義務付け。(建築基準法第33条)
 
・避雷設備は、「受電部」と「避雷導線」、「接地極」から構成される。
 
「受電部」:避雷針・棟上げ導体など落雷を受け止める。
「避雷導線」:構造体の鉄筋・鉄骨を代用する場合もある。
「接地極」:雷電流を大地に逃がす
 
・定期的な検査が必要。
 
・避雷針があっても付近に落雷があった場合は瞬間的に高電圧や過電流が発生し、建物内の機器が故障してしまうこともある。
エレベーターの定期点検、エレベーターの種類
(1)エレベータの定期点検
 
1)法廷点検、定期点検
 
・建築基準法で年1回の定期検査が義務付けられている。
ロープの磨耗チェック、さびや異音の有無、各種機器の作動状況の確認などを行う。
 
・1~3ヶ月に1回程度、保守点検を行うのが一般的。
 
2)メンテナンス契約
 
・フルメンテナンス契約(FM)
月々の点検保守料は割高だが、ほとんどの部品交換や修理費用が含まれる。
 
・パーツ・オイル・グリス契約(POG)
月々の点検保守料は割安だが、一部の消耗品やオイル等以外の部品交換や修理はその都度別途費用を負担する必要がある。
 
3)エレベーターの寿命
 
・エレベーターの税法上の法廷償却耐用年数は17年だた、定期的な点検と修繕を実施すれば20~25年程度は使用できる。
 
・2009年9月に法令が改正され、戸開走行保護装置(ブレーキの二重化)や地震時等管理運転装置の設置が義務付けられた。(既設のエレベーターは不適用)
 
(2)エレベーターの種類
 
1)油圧式
 
・油圧シリンダー内プランジャー(上下する部分)を油圧ジャッキで上げ下げしてかごを動かす。
 
・構造上、低層の建物で採用されているケースがほとんど。
 
・ロープ式よりスピードが遅く、消費電力が多くなりがち。
 
・現在、油圧式は製造を中止しているメーカーもある。
 
2)ロープ式
 
・長いロープの一方の端に人が乗るかご、もう一方の端におもりが付いている。最上部の巻上機をロープが通ることでかごが上下する。
 
・機械室があるタイプとないタイプがあり、機械室なしのタイプは1998年に登場した比較的新しいもの。
テレビ共聴設備
●マンションのテレビ共聴設備の方式
 
○アンテナ方式
 
・建物の屋上に設置したアンテナで電波を受信し、それを信号に変換して視聴する方式。
 
・アンテナで直接受けた電波が信号に変換され、同軸ケーブルを通じて増幅器や分配器などを経由し、各家庭のテレビ端子に信号が届く。
 
○ケーブルテレビ方式
 
・ケーブルテレビ会社のアンテナで電波を受信し、ケーブルテレビ網を通じて各家庭に届ける。
 
・マンションでケーブルテレビの信号を受け取るためには、最寄の電柱に敷設された分岐機からケーブルを引き込み、落雷などによる異常電圧から周辺機器を保護するための保安器を設置する必要がある。
 
・近隣に高層の建築物が建っても電波障害の心配がない点や強風や大雪などの悪天候によりテレビの映りが悪くなることがない点がメリット。
 
・月額の利用料金がかかる。
 
●メンテナンス
 
○アンテナ方式
 
・年に1度は定期点検することが推奨される。
 
・アンテナや増幅器の寿命は概ね10~15年。
 
○ケーブルテレビ方式
 
・保安器まではケーブルテレビ会社の所有物なのが一般的なので、保安器まで起きた不具合は、通常ケーブルテレビ会社が負担する。
 
保安器から先の機器に不具合が生じた場合は管理組合が負担する。
インターホン設備
●インターホン設備のタイプ
 
○集合玄関型
・オートロックマンションで、エントランスに”集合玄関機”が設置され、各部屋の親機から遠隔でオートロックを解錠できる。
・各住戸、エントランス、管理室などがネットワーク化され、一つのシステムになっている。
 
○住戸単独型
・オートロック機能がないタイプ。
・各住戸の前に設置した玄関子機と住戸内の親機で構成され、住戸単位で設備が完結している。
 
●インターホン設備の変遷
 
①フルキー式(~1985年頃)
・エントランスの”集合玄関機”には、それぞれの部屋に一つずつボタンが用意されていた。
 
②テンキー式(1981年頃~)
・テンキーで部屋番号を押して呼び出す。
 
③モニター付き(1990年頃~)
 
④ハンズフリー(2003年頃~)
 
●最新機能
 
・液晶機能の大型化(7型など)
・録画機能。来訪者の映像を自動的に録画。
・各種警報機器との連動。
 
●寿命、不具合
 
・インターホンの取替えの目安は約15年。
この前後に”呼び出し音が鳴らない”、”ガサガサと音がする”、”勝手に呼び出し音が鳴る”などの不具合が増え始める。
 
●交換工事
 
・住戸50戸程度の場合の工事期間は1週間程度。
・セキュリティのためエントランスのオートロック工事が最初に行なわれる。オートロック工事が行われれば、工事期間中でもオートロック機能は利用できる。
・共用部分の工事が終わったら各部屋の工事を入居者立会いのもの順次行う。
エレベーターの改修
●改修における注意点
 
・日常的なメンテナンスとともに劣化状況の診断・補修、性能向上に対応した改修を行う必要がある。
 
・補修する際には、機器の性能向上の動向を踏まえ、必要とする機能や性能を取り込んでグレードアップを図る。
 
・それ以前に設置されたエレベーターについて全撤去、準撤去等の確認申請が必要な改修を行う場合、現行法に適合することが求められる。
 
・安全性向上のため、耐震対策、戸開走行保護装置等の付加を検討する。
※建築基準法施行令の一部を改正する政令の概要(平成21年9月28日施行)
 
・戸開走行保護装置の設置義務付け
エレベーターの駆動装置や制御器に故障が生じたときに自動的にかごを制止する安全装置の設置を義務付け。
 
・地震時等管制運転装置の設置義務付け
地震時等による揺れを検知して、自動的にかごを昇降路の出入口の戸の位置に停止させ、戸を開くなどの安全装置の設置を義務付け。
 
●改修方法
 
①全撤去
・構成するすべての設備、機器類を撤去し、新規品に交換する。
・制御盤、モーター、巻上機、調速機、主ロープ、つり合いおもり、かごレール、非常停止装置、緩衝機、かご室、かご戸、三方枠、のりば戸など
 
②準撤去
・三方枠やガイドレールなど継続して利用できる機器を残して、乗り場の扉、枠、かご等の更新を行う。
・制御盤、モーター、巻上機、調速機、主ロープ、非常停止装置、緩衝機、かご室、かご戸、のりば戸など
 
③制御部を入れ替え
・機械室機器など制御に関する機器を入れ替える。
・制御盤、モーター、巻上機、調速機、主ロープ、かご戸など
宅配ボックス
●宅配ボックスの種類
 
○機械式
・各ロッカーにダイヤルがボタンがついているタイプ。
・配達員が荷物をロッカーに入れ、暗証番号をセットし、暗証番号を記載した紙を配達先の部屋の郵便受けに投函する。
・電気が不要なので、電源工事が不要。
 
○コンピューター式
・液晶画面があり、画面や音声案内に従って操作するタイプ。
・各入居者に通知されている暗証番号や磁気カードを使って荷物を取り出す。
・マンション内で管理するタイプと宅配ボックス会社通信回線を介してオンラインで管理するタイプがある。
・電気を使うので電源工事が必要。
 
●メリット、デメリット
 
○機械式
・導入費用が安く、ランニングコストがかからない。
・暗証番号が記載された紙を紛失した場合等の場合、荷物をすぐに取り出せない。
・ポストに入れた暗証番号が書かれた紙が抜き取られ、荷物が盗まれるリスクがある。
 
○コンピューター式
・導入費用が高く、保守管理料などのランニングコストがかかる。
・オンラインで管理されているタイプは、使用状況が監視されているので、荷物が長期間置きっぱなしになるのを防止できる。
防犯カメラ
●防犯カメラの種類
 
○ボックス型
・四角い形状で先端にレンズを備えるタイプ。
・多くの人の出入りをチェックする用途に向いている。
・広角レンズや望遠レンズに切り替えることで撮影する範囲や距離を調整できる。
・典型的なカメラの形状をしていて、監視されているという心理が働き、犯罪を抑止する効果を見込める。
 
○バレット型
・屋外への設置を想定。マンションの周辺を監視する用途に向く。
・防水機能のほか、季節による温度変化に対する耐久性を備える。
 
○ドーム型
・半球型のケースにカメラが収納されたタイプ。
・カメラがケースに隠れているため、監視されているという心理的な圧迫感を取り除けるほか、カメラの向いている方向が判断しにくく、不審者の行動を牽制することができる。
 
○全方位型
・360度の視野角を持つタイプ。
 
○PTZ型
・カメラの向きを自由に切り替えられる。
 
○ダミー型
・防犯カメラの形状でありながら、映像を記録しない。
 
●記録した映像の保存期間
 
・保存期間は、管理組合などが定める使用細則に準じる。一般的に一ヶ月と言われている。
・映像の品質やレコーダーの性能によっては1週間だったり、さらに長期間の保存も可能。
・レコーダーに保存された映像は、決められた期間を過ぎると古い記録から順に上書きされる。
 
●新しい機能
 
○赤外線機能
・外灯がない暗い場所でも人の動きなどを把握できる。
 
○人の動きを検知して録画
・人の動きなどを検知したときだけ自動的に録画を開始する。
 
○警備会社と連携
・異常を検知したときに自動的に警備会社に連絡する。
 
●設置費用
 
・カメラの映像を確認・記録したりするには、レコーダーやモニターなどの周辺機器も必要。
・カメラの映像を伝送するケーブルの施設費用。
・初期費用と故障時の駆けつけなどをセットにしたリース、レンタルもある。
 
●設置場所
 
・エントランス、エレベーター、駐車場、駐輪場、通用口に設置するケースが多い。
 
●メンテナンス、寿命
 
・防犯カメラの耐久年数は一般的に5~6年と言われている。
・レコーダーも含め、定期的なメンテナンスが必要。

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