マンション建替え円滑化法 マンション建替事業

〇マンション建替え円滑化法(マンションの建替え等の円滑化に関する法律):5~101条
〇過去問
・管理業務主任者 H15問45、H16問45、H17問43、H19問44、H24問42、H27問42
・マンション管理士 H15問18、H16問19、H17問21、H18問19、H19問19、H20問19、H21問19、H22問19、H23問19、H24問19、H25問19、H26問19
 
 
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全体の流れ
●施行者(5,6,7,9,45,128条)
 
①組合(マンション建替え組合)
・組合は法人。設立登記は不要。
・定款および事業計画を定める。
 
②個人
・区分所有者又はその同意を得た者が、一人で、又は数人共同して施行。
イ)一人で施行:規準及び事業計画を定める。
ロ)数人共同して施行:規約及び事業計画を定める。
 
●組合施行の場合の流れ
 
①区分所有法による建替え決議
②マンション建替え組合の設立、認可(3/4以上の同意)
・定款および事業計画を作成
・建替え合意者の確定、合意者名簿作成、3/4以上の同意取得、同意書作成。
・組合設立の認可および公告
③権利変換を希望しない旨の申出等(56条)
・組合設立認可の公告の日から30日以内。
・権利変換を希望せず金銭の給付を希望。
→この金銭給付の申出が認められるのは、建替え決議には賛成したが、当初から資力等の理由で転出を希望し、建替えに参加する意思がなかった者、建替え決議後に参加の意思がなくなり、参加を希望しなくなった者、建替え決議後に組合設立自体や組合の事業計画・定款等に賛成しない者等が申し出て、建替事業から離脱する場合が想定される。
④設立総会の召集(28条)
・認可公告から30日以内
⑤建替え不参加者に対する売渡し請求(15条)
・組合設立の認可公告から2ヶ月以内で、建替え決議から1年以内。
・区分所有法63条で建替え決議参加者や買受指定者に認められた売渡し請求権を建替組合にも認めることで、事業の主体である建替組合が直接建替えに反対する区分所有者に対応し、この者を区分所有関係から離脱させ、以後の事業推進を円滑に行えるようにしている。
⑥権利変換手続き開始の登記(55条)
・組合設立認可の公告後、遅滞なく、区分所有権、敷地利用権などについて、権利変換手続開始の登記を申請しなければならない。
〇手続き開始登記後の制限
・区分所有権等を有する者は、これらの権利を処分するときは、国土交通省令で定めるところにより、施行者の承認を得なければならない。
⑦権利変換計画の議決(総会)
・権利変換計画の原案作成。
・組合員の議決権および持分割合の各4/5以上の賛成(特別多数議決)が必要。(57,30条)
・審査委員の過半数の同意取得(67条)
・関係権利者の同意取得(57条)
※関係権利者とは?
 ・施行マンションまたはその敷地について権利を有する者(組合員を除く)。
 ・隣接施行敷地について権利を有する者。
 ・借家権者、底地権者。
※区分所有権等以外の権利を有する者から同意を得られないとき(借家権を有する者は除く)
 同意を得られない理由及び同意を得られない者の権利に関し損害を与えないようにするための措置を記載した書面を添えて、認可を申請することができる。
⑧権利変換計画の認可申請と認可(規則32条)
・認可申請書とともに都道府県知事に提出。
⑨権利変換計画認可の公告と通知(68条)
・権利変換期日等を定款で定めた方法によって公告。
・関係権利者に関係事項を書面で通知。
・施行マンションの所在地の登記所に権利変換期日等を、”権利変換期日等通知書”にて通知しなければならない(69条)
⑩非賛成者への売渡し請求等(64条)
・権利変換計画についての総会の議決のあった日から2か月以内。
・当該議決に賛成しなかった組合員の側からも、同一期間内に、時価で買い取るべきことを請求することができる。
⑪補償金の支払い(75条)
・権利変換期日までに、権利変換非希望者等に補償金を支払わなければならない。
⑫権利変換期日後、敷地に関する権利の変換、登記
・権利変換後の土地に関する権利について必要な登記を申請。(74条)
・施行マンションの敷地利用権が消滅し、施行再建マンションの敷地利用権が与えられる。
・施行マンションは、施行者に帰属する。また、原則として、区分所有権以外の権利は消滅する。
・占有の継続、明渡しの通知(79、80条)
・担保権等の登記に係る権利は、権利変換期日以後は、施行再建マンションの区分所有権および敷地利用権に移行する。(73条)
⑬施行再建マンションの建築工事完了後、建物の権利取得、借家権の権利取得、登記
・建築工事が完了したときは、速やかに、その旨を、定款で定めた 方法によって公告するとともに、施行再建マンションに関し権利を取得する者(区分所有権および借家権を取得する者)に通知しなければならない(81条)。
・施行者(建替組合)は、施行再建マンションに関する権利について必要な登記(建物の表示登記、所有権保存の登記、担保権等の登記等)の申請(82条)。
⑭施行再建マンションの区分所有権の価額等確定(84条)
⑮清算(85条)
⑯解散(38条)
建替組合の設立
●定款の記載事項(7条)
①組合の名称:”マンション建替組合”を含める。
②施行マンションの名称、所在地
③マンション建替事業の範囲
④事務所の所在地
⑤参加組合員に関する事項
・参加組合員の氏名、名称、住所
・専有部分の概要、その概算額など。
⑥事業に要する経費の分担に関する事項
・参加組合員以外の組合員が負担する賦課金、参加組合員が負担する負担金、分担金など
⑦役員の定数、任期、職務の分担並びに選挙及び選任の方法に関する事項
・任期、役員の再任に係る制限など
⑧総会に関する事項
⑨総代会を設けるときは、総代及び総代会に関する事項
⑩事業年度
⑪公告の方法
・建替組合の事務所前の掲示板による掲示、特定の新聞紙上での公告など
・建替組合が行う公告には、権利変換の公告、建築工事完了の公告、書類の送付に代わる公告などがある。
⑫その他国土交通省令で定める事項
・審査委員に関する事項、会計に関する事項(規則1条)
 
●事業計画に定める事項(10条)
①施行マンションの状況
・規模、構造及び設備
・竣工年月日
・維持管理の状況
②その敷地の区域及びその住戸の状況
・敷地位置図、敷地区域図
・住戸の数、住戸の規模、構造及び設備、住戸の維持管理の状況
③施行再建マンションの設計の概要及びその敷地の区域
(各階平面図、2面以上の断面図(規則7条))
(敷地位置図、敷地区域図(規則8条))
④事業施行期間
⑤資金計画
⑥その他国土交通省令で定める事項
・施行再建マンションの附属施設の設計の概要
・施行再建マンションの敷地の設計の概要
 
●設立(9条)
・建替え決議の内容に”合意”をしたものとみなされた者(区分所有権等を買い受けた各買受指定者も含む)が、5人以上共同して、定款・事業計画を作成しなければならない。
・都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の認可を受けて組合を設立する。
・建替え合意者は、組合の設立について、建替え合意者および議決権の3/4以上の同意を得なければならない。
 
〇建替え合意者
・建替え決議に賛成した各区分所有者
・催告に対し建替えに参加する旨を回答した各区分所有者>
・買受指定者
※建替え決議に賛成しなかった者、催告に対して参加しない旨を回答した者であっても、その後に同意すれば参加できる。(賛成→不参加はNGだが、不参加→同意は可能)。
 
〇認可申請に必要な書類
・認可申請書、定款、事業計画と以下の添付書類
①認可申請者が、施行マンションの建替え合意者等であることを証する書類
②建替え合意者の3/4以上の同意を得たことを証する書類および建替え決議の内容を記載した書類
③一括建替え決議を経た場合は、一括建替え合意者の3/4以上の同意と各棟ごとの2/3以上の合意を得たことを証する書類および一括建替え決議の内容を記載した書類
④隣接施行敷地がある場合は、隣接施行敷地に建築物等が存しないことまたはその建築物等を除却、移転できることが確実であることを証する書類
 
●事業計画の縦覧(11条)
・都道府県知事等は、建替組合の設立の認可の申請があったときは、所在地の”市町村長”に、当該事業計画を2週間公衆の縦覧に供させなければならない。
 
〇権利者からの事業計画に対する意見書
・施行マンションまたはその敷地(隣接施行敷地含む)に権利を有する者は、縦覧期間満了から2週間を経過する日までに、都道府県知事に意見書を提出することができる
 
●認可の基準(12条)
①申請手続が法令に違反するものでないこと。
②定款又は事業計画の決定手続・内容が法令に違反するものでないこと。
③隣接施行敷地に建築物その他の工作物が存しないこと又はこれに存する建築物その他の工作物を除却し、若しくは移転することができることが”確実”であること。(同意は要求されていない)
④施行マンションの住戸の数が、5戸以上であること(規則13条)。
⑤施行マンションの住戸の規模、構造及び設備の状況にかんがみ、その建替えを行うことが、マンションにおける良好な居住環境の確保のために必要であること。
⑥施行再建マンションの住戸の数が、5戸以上であること(規則14条)。
⑦施行再建マンションの住戸の規模、構造および設備の基準が下記の基準に適合するものであること。(規則15条)
・各戸が床面積が50m2(単身居住用は25m2)以上であること。ただし、居住すべき者の年齢、所得その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる住戸にあっては、当該住戸の床面積を30m2以上とすることができる。
・耐火構造の住宅または準耐火構造の住宅であること。
・各戸が台所、水洗便所、収納設備、洗面設備及び浴室を備えたものであること。
・前項第一号の規定にかかわらず、住宅事情の実態により必要があると認められる場合においては、施行再建マンションの住戸の規模の基準を、各戸の床面積が50m2(単身居住用は25m2)以下で都道府県知事等が定める面積以上であることとすることができる。 ⑧事業施行期間が適切なものであること。
⑨当該マンション建替事業を遂行するために必要な経済的基礎及びこれを的確に遂行するために必要なその他の能力が十分であること。
⑩その他基本方針に照らして適切なものであること。
 
●組合の設立(13、14条)
・都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の認可を受けて組合設立。
→これにより法人格を取得。
・組合員その他の第三者に対抗するためには、設立の認可公告がなければならないが、法人の設立登記をする必要はない。
→第三者に対する対抗要件は、登記ではなく、公告。
 
●建替組合設立総会(28条5項)
・認可公告から30日以内。理事と監事を選任。
・招集しない場合は罰則規定(20万円以下の過料)があるほか、都道府県知事は、権利変換期日前に限り建替組合設立の認可を取り消すことができる。
 
〇理事長の氏名等の届出及び公告(25条)
・理事長が選任されたときは、所在地の市町村長を経由して都道府県知事に届けなければならず、その届出を受けた都道府県知事は、遅滞なく理事長の氏名および住所を公告しなければならない。
・建替組合は、この公告があるまでは理事長の代表権をもって組合員以外の第三者に対抗できない。
 
●組合の解散(38条)
・次の事由により解散する
①設立についての認可の取消し
②総会の議決(権利変換期日前に限り可能)
③事業の完成又はその完成の不能
・借入金があるときは、解散について債権者の同意を得なければならない。
・建替組合の解散は、所在地の市町村長を経由して都道府県知事の認可が必要。
 
〇清算人(39条)
・組合が解散したときは、理事がその清算人となる。ただし、総会で他の者を選任したときは、この限りでない。
建替組合の運営
●組合員(16,17条)
・建替え合意者等全員が当然に組合員となる。(建替組合の設立に合意したか否かにかかわらず)
・マンション建替事業に参加することを希望し、かつ、それに必要な資力及び信用を有する者であって、定款で定められたものは、参加組合員として、組合の組合員となる。
 
●役員(20条)
・役員として、理事3人以上及び監事2人以上を置く。任期は3年以内。
・理事長一人を置き、理事の互選によりこれを定める。
・特別の事情があるときは、組合員以外の者のうちから総会で選任することができる。
 
〇収賄
・建替組合の役員について収賄罪が定められている。
・役員に対して賄賂を供与、申込み、約束した者も同じく処罰される。
 
●総会の決議事項(27条)
・定款の変更
・事業計画の変更
・借入金の借入れ及びその方法並びに借入金の利率及び償還方法
・経費の収支予算
・予算をもって定めるものを除くほか、組合の負担となるべき契約
・賦課金の額及び賦課徴収の方法
・権利変換計画及びその変更
・円滑化法第94条1項の管理規約(施行再建マンション等の管理規約)
・組合の解散
・その他定款で定める事項
・役員の選挙および選任(21条1項)
・審査委員の選任(21,37条)
 
●特別の議決(30条)
○3/4以上で議決する必要がある事項(30条1項、令13条)
・組合員の議決権および持分割合(床面積の割合)の3/4
①定款の変更で重要な事項
・施行マンションの変更
・参加組合員に関する事項の変更
・事業に要する経費の分担に関する事項の変更
・総代会の新設または廃止
②事業計画の変更で重要な事項
・施行再建マンションの敷地の区域の変更
③円滑化法94条1項の管理規約
④建替組合の解散
 
○4/5以上で議決する必要がある事項(30条3項)
・組合員の議決権および持分割合(床面積の割合)の4/5
①権利変換計画およびその変更
 
●総会(28,29条)
・理事長は、毎事業年度一回通常総会を招集しなければならない。
 
〇成立要件
・総組合員の半数以上の出席。
 
〇普通決議
・”出席者”の議決権の過半数。
 
〇議長
・議長は総会で選任。
・議長は審議の公平を図るため普通決議については決議に加わることができない。
・特別決議には加わることができる(29条3項)。
・普通決議において可否同数の場合は、議長の決するところによる(29条1項)。
 
●総代会(31,32条)
・組合員の数が50人を超える組合は、総会に代わってその権限を行わせるために総代会を設けることができる。
・総代会は、総代をもって組織するものとする。
・総代は、定款で定めるところにより、組合員が組合員(法人にあっては、その役員)のうちから選挙する。
・総代の任期は、3年を超えない範囲内において定款で定める。
 
〇総代の定数
・組合員の総数の1/10を下らない範囲内において定款で定める。
・ただし、組合員の総数が200人を超える組合にあっては、20人以上であることをもって足りる。
 
〇権限
・総代会は総会に代わって建替組合の重要な事項の意思決定を行う機関であり、総代会が総会に代わって行う権限は、役員の選挙または選任と特別議決を要する事項以外の全ての事項(31条3項)。
 
●議決権(33条)
・組合員は、定款で特別の定めがある場合を除き、各1個の議決権および選挙権を有する。※専有面積の割合ではない。
・議決権および選挙権の行使は、自ら直接行使するのが原則であるが、組合員は、書面または代理人によりその権利を行使することもできる。
※総代の場合は、書面による権利行使は可能だが、代理人による権利行使は不可。
・代理人は、同時に5人以上の組合員を代理することができない。
 
●審査委員(37条)
・審査委員3人以上を置く。
・審査委員は、土地及び建物の権利関係又は評価について特別の知識経験を有し、かつ、専門的中立的立場で公正な判断をすることができる者のうちから総会で選任する。
・一般的には、弁護士や不動産鑑定士等。
 
〇権限
①権利変換計画の決定、変更(軽微な変更を除く)についての同意(67条)
・権利保護の観点から、権利変換計画の内容の適正さを第三者的な立場からチェックするため、審査委員の過半数の同意が必要とされている。
②施行者(建替組合等)が行う借家条件の裁定についての同意(83条2項)
 
●建替組合の運営費
・賦課金:建替事業に要する経費として参加組合員以外の組合員から徴収。
・分担金:参加組合員から徴収。
・負担金:参加組合員へ譲渡する保留床の対価。
 
○賦課金(35条)
・建替組合は、その事業に要する経費に充てるため、参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課金として徴収することができる。
・組合員の有する施行マンション(権利変換期日以後においては、施行再建マンション)の専有部分の位置、床面積等を考慮して公平に定めなければならない。
・組合員は、賦課金の納付について、相殺をもって組合に対抗することができない。
・実際の徴収に際しては、定款に位置づけた上で管理費の徴収額等を参考にしながら決めることが想定される。
 
○負担金(36条)
・参加組合員は、権利変換計画の定めるところに従い取得することとなる施行再建マンションの区分所有権等の価額に相当する額の負担金を建替組合に納付しなければならない。
・負担金の納付期限、分割して納付する場合における分割の回数、各納付期限および各納付期限ごとの納付金額その他の負担金の納付に関する事項が定款に定められる(規則20条1項)。
・一般的には、建替組合と参加組合員は別途負担金契約等を締結し、清算等の詳細事項を定めている。
 
○分担金(36条)
・参加組合員以外の組合員が負担する賦課金と同様の概念で、参加組合員以外の組合員が賦課金を納付する場合においては、参加組合員は建替事業に要する経費に充てるための分担金を建替組合に納付しなければならない。
・分担金の額は、負担金の額および賦課金の額と均衡を失しないように定め、分担金の納付方法は、賦課金の賦課徴収の方法の例による(規則20条3項)。
権利変換手続等
●権利変換計画の内容(58条)
・権利変換計画およびその変更は4/5以上で議決する。
・以下の⑬⑭より、施行マンションの敷地であった土地の一部を、施行再建マンションの敷地とせず公募により売却することもできる。
 
①施行再建マンションの配置設計
②施行再建マンションへの権利変換を受ける区分所有者等の氏名・住所
③権利変換の対象となる従前の区分所有権等並びにその価額
④権利変換後の区分所有権等の明細およびその価額の概算額
⑤従前の区分所有権等についての抵当権者の氏名・住所並びにその権利
⑥前号に掲げる者が施行再建マンションの区分所有権等の上に有することになる権利
⑦施行再建マンションについて借家権を与えられることになるものの氏名・住所
⑧前号に掲げる者に借家権が与えられることになる施行再建マンションの部分
⑨施行者が施行再建マンションの部分を賃貸する場合における標準家賃の概算額および家賃以外の借家条件の概要(権利変換計画には借家条件は定められず、建築工事の完了の日までに当事者間で協議して定めることとされている(83条))
⑩施行再建マンションに関する権利等を有する者で、建替え円滑化法の規定により、権利変換期日において当該権利を失い、かつ、当該権利に対応して、施行再建マンションに関する権利等を与えられないもの(権利変換を希望しない区分所有者、借家権の取得を希望しない借家権者等)の氏名・住所、失われる施行マンションに関する権利等並びにその価額
⑪隣接施行敷地の所有権または借地権を有する者で、円滑化法の規定により、権利変換期日において当該権利を失い、または当該権利の上に敷地利用権が設定されることになるものの氏名・住所、その権利並びにその価額または減価額
⑫参加組合員に与えられる施行再建マンションの区分所有権等の明細並びにその参加組合員の氏名・住所
⑬第四号および前号に掲げるもののほか、施行再建マンションの区分所有権等の明細、その他の帰属およびその処分の方法
⑭施行マンションの敷地であった土地で施行再建マンションの敷地とならない土地(保留敷地)の所有権又は借地権の明細、その帰属及びその処分の方法
⑮補償金の支払または清算金の徴収に係る利子またはその決定方法
⑯権利変換期日、施行マンションの明渡しの予定時期及び工事完了の予定時期
⑰その他国土交通省令で定める事項(補償金の支払期日および支払方法、施行再建マンションの共用部分の共有持分)
 
〇区分所有権及び敷地利用権等(62条)
・権利変換計画においては、施行再建マンションの区分所有権等が与えられるように定められるもの以外の施行再建マンションの区分所有権等並びに保留敷地の所有権又は借地権は、施行者に帰属するように定めなければならない。
 
●占有の継続、明渡しの通知
 
〇占有の継続(79条)
・施行マンションを占有していた者は、権利変換期日においてその権限を失うが、建替組合が占有者に対して通知する施行マンションの明渡し期限までは、建替え前の用法に従って占有を継続することができる。
 
〇施行マンション等の明渡し(80条)
・建替組合は、権利変換後マンション建替事業に係る工事のため必要があるときは、施行マンションを占有している者に対し、明渡しを求めることができる。
・明渡しの請求があった者は、明渡し期限までに、建替組合に明渡さなければならない。
・明渡しは、権利変換期日後工事の工程を勘案して、必要に応じて随時求めることができるが、占有者にとっては時間的な余裕が必要であるので、明渡しを完了すべき期限は、請求した日の翌日から起算して30日を経過した後の日(すなわち31日目以降)でなければならない。
 
●施行者による管理規約の設定(94条)
・建替組合は、都道府県知事の認可を受けて、管理・使用に関する区分所有者相互間の事項につき、管理規約を定めることができ、この管理規約は区分所有法の規約とみなされる。
・管理規約を定めようとするときは、あらかじめ、”縦覧の開始日”、”場所および時間”を定款で定めた方法によって公告するとともに、施行再建マンションの区分所有権を有する者または有することとなる者にこれらの事項を通知し、当該管理規約を2週間公衆の縦覧に供さなければならない(令23条1項)。
・施行再建マンションの区分所有権者は縦覧期間内に、管理規約について建替組合に意見書を提出することができ、建替組合は都道府県知事に管理規約の認可を申請するときに意見書の要旨を提出しなければならない(令23条2項、24条)。
 
●保留床および保留敷地の処分(89条)
・建替組合が取得した施行再建マンションの区分所有権等(いわゆる保留床)または保留敷地に関する権利は、原則として公募により選定された者に譲渡しなければならない。
・建替組合は権利変換期日において保留床および保留敷地に関する権利を取得するため、権利変換期日後であればいつでも処分できる(建築工事完了の公告後でなくてもよい)。
 
●施行再建マンションの区分所有権等の価額等の確定(84条)
・建替組合は、建替事業の工事が完了したときは、速やかに、当該事業に要した費用の額を確定するとともに、施行再建マンションの区分所有権等を取得した者または借家権を取得した者ごとに、施行再建マンションの区分所有権等の価額または建替組合が賃貸する施行再建マンションの部分の家賃の額を確定し、これらの者にその額を通知しなければならない。
 
〇施行再建マンションの区分所有権の価額
・権利変換計画で算定した施行再建マンションの区分所有権の価額の概算額と同様の方法で、”費用の按分額”を算定し、この”費用の按分額”と”基準日における市場価額”の間で確定する(令22条1項、規則45条)。
 
〇施行再建マンションの敷地利用権の価額
・権利変換計画で算定した施行再建マンションの敷地利用権の価額の概算額と同様の方法で算定し、”当該敷地利用権の見込額”で確定する(令22条2項)。
 
〇施行再建マンションの部分の家賃の額
・権利変換計画で算定した施行再建マンションの標準家賃の月額から、借家権者が施行マンションについて有していた借家権の価額を当該借家権の残存期間、近隣の同類型の借家の取引慣行等を総合的に比較考量して、建替組合が定める期間で毎月均等に償却するものとして算定した償却額を控除して補正し確定する(令22条3項、規則46条)。
 
●清算
 
〇差額の清算(85条)
・確定した施行再建マンションの区分所有権等の価額と建替え前の施行マンションの区分所有権等の価額との間に差額がある時は、建替組合は、その差額に相当する金額を徴収し、または交付しなければならない。
・この清算は、権利変換計画に定められた建替え前後の資産額の差額の清算と、権利変換計画の作成段階で概算額で定めた建替え後の資産額がその後の建築工事費用の変動等により上下した場合のその差額の清算という、2つの意味がある。
 
〇先取特権若しくは抵当権、供託(86条)
・清算金を交付しなければならない場合は、建替組合は抵当権者等から供託しなくてもよい旨の申出があったときを除き、交付清算金を供託しなければならず、抵当権者等は供託された清算金に物上代位できるので注意する必要がある。
 
〇清算金徴収の先取特権(88条)
・建替組合は清算金を徴収する権利を保全するため、施行再建マンションの区分所有権の上に不動産工事の先取特権を有するものとされる。
・工事完了後、施行再建マンションに関する必要な登記において清算金の予定額を登記することによって、予定額の範囲内について保全される。
 
●関係簿書の備付け(95条)
・組合員名簿は、建替組合の事務所に備え付け、閲覧に供さなければならない

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