中小規模のワンルームマンションでは資本金5,000万以下の施工業者で十分?

私は複数の中小規模の投資用ワンルームマンションを所有していて、過去に何度も大規模修繕工事の実施業者の選定に関わりました。そのうちのいくつかは理事として選定しました。
 
管理会社にすべてお任せにしていると2~3割高くなりがち、という話は知っていましたが、中小規模のワンルームマンションにおいては、世間一般の規模の大きなファミリーマンションとは違った注意点がいくつかあって、その点を考慮するかしないかで費用が大幅に変わってきます。
 
以下、私が経験した事例を紹介します。
 

 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。

複数のマンションでの事例比較から見えてくること
私が経験した4つの事例をまとめると以下になります。

事例No 事例1 事例2 事例3 事例4
戸数、階数 45戸、7階 35戸、4階 50戸、4階 30戸、7階
延床面積 850m2 700m2 1,350m2 950m2
実施時期 2012年 2014年 2020年 2021年
紹介者 理事 コンサル 管理会社 理事
コンサル有無 有り 有り 無し 無し
資本金 2,000万 2億 5,000万 1,000万
現場管理 巡回 常駐 巡回 巡回
工期 3ヵ月 3.5ヵ月 3ヵ月 3ヵ月
共通仮設費 45万 410万 55万 100万
足場費用 210万 440万 265万 235万
合計費用 1,180万 2,200万 1,200万 1,150万
諸経費割合 10% 20% 5% 4%

 
●資本金が高い施工会社だと高くなる?
 事例1と事例2では、事例2の方が規模の小さなマンションなのに費用が2倍近くになっています。
 
その当時はマンションの立地や形状などのマンション固有の特性などで事例2が高くなっているのかとあまり気にしていませんでした。
 
その後、事例3でも事例1と同様な金額で実施できたことから、事例2の業者選定に何か問題があったのでは?と疑問に思うようになりました。
 
セミナーの無料相談で専門家に相談してみると、中小規模のマンションで資本金が1億円以上のゼネコン的な業者に依頼すると高くなる、ということを教えてもらいました。
 
〇資本金が高い会社は共通仮設費、諸経費が高くなる?
・資本金が高い会社は、安全対策や施工対策を手厚く行う傾向があるのか、共通仮設費用が高くなる傾向があるようです。
・資本金が高い会社は、広告宣伝費や社内の間接費などの費用が多くかかるのか、諸経費の割合が高くなる傾向があるようです。
 
●コンサルを入れたのに倍近い金額?
 事例1と事例2では、どちらもコンサルを入れているのに、事例2では費用が倍近くになっています。
 
 今になって思えば、事例2でのコンサルは、規模の大きなファミリーマンションの事例をそのまま流用する形で、共通仕様の設計、業者選定を進めたのではないか?、と私は思っています。
 
〇中小規模のワンルームマンションなのに常駐管理?
・中小規模のワンルームマンションでは、規模の大きなファミリーマンションと比べて施工量が少なく、入居者対応も少ない為、常駐管理ではなく巡回管理でも可能かと思われます。
 
・事例2のコンサルは、規模の大きなファミリーマンションでの経験を基に、常駐管理で設計し、資本金の大きな会社を候補会社として紹介したため、他の事例と比べて金額が高くなってしまったようです。
 
●管理会社にお任せでは安くできることはある?
 管理会社にお任せだと2~3割高くなる、とよく聞きます。しかし、事例3では管理会社にお任せで、管理会社に相見積を実施してもらう形で選定しましたが、低い金額で実施できています。
 
この管理会社は工事施工の部門がなく、工事の元請けは行っていないようで、中立的な立場で相見積を実施してくれたようです。
 
工事の元請けを行わず、中立的な立場で業者選定サポートをしてくれる管理会社であれば、理事の負担が少なく、低価格で大規模修繕工事を実施できるかもしれません。

事例1:2012年、約45戸、コンサル有り
●概要
・実施時期:2012年
・マンション:4階建て、約45戸
・コンサル:有り
・工期:3ヵ月
・現場管理の方法:巡回管理
 
●相見積結果の概要

項目名 候補A 候補B 候補C
推薦者 前回実施 理事 管理会社
資本金 2,000万 2,000万 1,000万
前年度
実績件数
3件 15件 4件
建設業許可 一般 特定 一般
共通仮設 65 45 130
直接仮設 385 210 200
下地補修
タイル補修含む
185 200 200
シーリング 140 135 120
内外壁塗装 120 105 120
鉄部塗装 85 70 105
防水 300 255 320
雑工事 55 50 55
純工事費 1,335 1,070 1,250
諸経費 230 110 100
諸経費/純工事費 17% 10% 8%
合計 1,565 1,180 1,350

 
●選定の状況
・コンサルタント業務は、別契約で管理会社に依頼しました。
・管理会社に全面的にサポートはしてもらっていますが、理事会内に経験豊富な理事が複数人いたため、過剰な費用が発生しない形で適切に実施できたものと思われます。

事例2:2014年、約35戸、コンサル有り
●概要
・実施時期:2014年
・マンション:4階建て、約35戸
・コンサル:有り
・工期:3.5ヵ月
・現場管理の方法:常駐管理
 
●相見積結果の概要

項目名 管理会社 候補A 候補B 候補C 候補D
推薦者 コンサル コンサル コンサル コンサル
資本金 2億 1億 1億 1億
前年度
実績件数
46件 49件 74件 19件
共通仮設 305 410 395 460 425
直接仮設 660 440 460 425 470
下地補修 60 35 40 35 40
タイル補修 505 280 330 330 385
シーリング 205 145 155 160 160
内外壁塗装 185 110 105 95 105
鉄部塗装 120 70 80 75 75
防水 270 195 175 185 205
雑工事 180 150 135 150 170
純工事費 2,490 1,835 1,875 1,915 2,035
諸経費 355 370 365 410 480
諸経費/純工事費 14% 20% 20% 21% 24%
値引き -45 -5 -55 -5
合計 2,800 2,200 2,240 2,270 2,510

 
●選定の状況
・第三者専門家とコンサルタント契約をし、全面的にサポートしてもらいました。
・管理会社元請の見積金額(2,800万)と比べると2割ぐらい低価格で実施でき、一定の効果はあったと思いますが、他の事例と比べるとかなり割高となってしまいました。
・理事会内の理事に私も含めて詳しい人がおらず、コンサルにすべてお任せとしてしまったため、過剰スペックとなってしまったようです。
 理事会内にワンルームマンションでの選定経験のある人がいれば、巡回管理や資本金の小さな会社も候補に入れるなどして、コストカットもできたかと思います。
・資本金があまり少ないと、あまり推奨しない専門家もいますが、この事例の管理会社は、過去の取引実績を基に、資本金1,000万円の施工業者を推薦してくれました。

事例3:2020年、約50戸、コンサルなし
●概要
・実施時期:2020年
・マンション:4階建て、約50戸
・コンサル:なし
・工期:3ヵ月
・現場管理の方法:巡回管理
 
●相見積結果の概要

項目名 候補A 候補B 候補C
推薦者 管理会社 管理会社 管理会社
資本金 5,000万 5,000万 1,000万
建設業許可 特定 特定 一般
共通仮設 75 55 80
直接仮設 260 265 210
下地補修
タイル補修含む
205 155 275
シーリング 135 175 250
内外壁塗装 115 105 150
鉄部塗装 70 25 65
防水 430 365 115
雑工事 50 70
純工事費 1,340 1,215 1,145
諸経費 95 55 75
諸経費/純工事費 7% 5% 8%
合計 1,330 1,200 1,220

 
●選定の状況
・この事例の管理組合は、理事会がなくて管理会社が管理者となっています。
・管理会社が中立的な立場で、三社に相見積を実施し、その三社の中から総会での議決で決定しました。
・候補会社はいずれも資本金5,000万円以下の中小規模の施工会社ですが、管理会社との取引実績の豊富な会社のようで、知名度は低くても安心感はありました。

事例4:2021年、約30戸、コンサルなし
●概要
・実施時期:2021年
・マンション:7階建て、約30戸
・コンサル:なし
・工期:3ヵ月
・現場管理の方法:巡回管理
 
●相見積結果の概要

項目名 候補A 候補B 候補C 候補D 候補E
推薦者 第三者専門家 理事 理事 理事 理事
資本金 1億 1億 5,000万 5,000万 1,000万
建設業
許可
特定 特定 特定 特定 一般
共通仮設 390 355 110 180 100
直接仮設 330 355 285 300 235
下地補修
タイル補修含む
255 295 310 200 210
シーリング 130 135 120 55 95
内外壁塗装 150 165 185 110 85
鉄部塗装 50 55 35 30 45
防水 355 370 390 320 290
雑工事 35 35 30 35 40
純工事費 1,695 1,765 1,465 1,230 1,100
諸経費 420 410 225 190 40
諸経費/純工事費 25% 23% 15% 15% 4%
値引き -20 -40
合計 2,115 2,175 1,690 1,400 1,100

 
●選定の状況
・上記の3つの事例を踏まえ、この規模であれば巡回管理でも問題ないと思い、巡回管理で見積を依頼しました。
・資本金が1億円以上の会社は、共通仮設や諸経費が高くなる傾向があることが分かっていたため、資本金が低い会社も候補として見積依頼しました。
・自社の職人によって施工する会社は中間マージンを削減でき、費用を削減できると考え、自社施工をアピールする施工会社を候補に入れました。
・資本金1,000万の自社施工を売りにする施工会社の見積価格が大幅に低く、この会社に依頼しました。

コメントを残す

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください