住生活基本法、住生活基本計画の概要

〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
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住生活基本法の概要
・国民の豊かな住生活の実現を図るため、住生活の安定の確保及び向上の促進に関する施策について、その基本理念、国等の責務、住生活基本計画の策定その他の基本となる事項について定める。
 
●基本理念
・”現在及び将来の国民の住生活の基盤である良質な住宅の供給”など基本理念を定める。
 
●責務
・国、地方公共団体、住宅関連事業者、居住者など関係者それぞれの責務を定める。
 
●基本的施策
・国、地方公共団体は、住生活の安定の確保及び向上の促進のために必要な施策を講ずる。
 
●住生活基本計画の策定
・住生活の安定の確保及び向上の促進に関するアウトカム目標の設定
・成果指標を位置づけ(耐震化率、バリアフリー化率、省エネ化率、住宅性能表示実施率など)
 
①全国計画
・施策の基本的方針
・全国的見地からの目標・施策
・政策評価の実施
②都道府県計画
・都道府県内における施策の基本的方針
・地域特性に応じた目標・施策
・公営住宅の供給目標
住生活基本計画(全国計画)(R3~R12年)の概要
(1)住生活をめぐる現状と課題
 
○世帯の状況
・子育て世帯数は減少。
・高齢者世帯数は増加しているが、今後は緩やかな増加となる見込み。
 
○住宅ストック
・旧耐震基準や省エネルギー基準未達成の住宅ストックが多くを占めている。
・既存住宅流通は横ばいで推移している。
 
○多様な住まい方、新しい住まい方
・働き方改革やコロナ禍を契機として、新しいライフスタイルや多様な住まい方への関心が高まってきている。
・テレワーク等を活用した地方、郊外での居住、二地域居住など複数地域での住まいを実践する動きが本格化している。
 
○災害と住まい
・近年、自然災害が頻発・激甚化。あらゆる関係者の協働による流域治水の推進等、防災・減災に向けた総合的な取組が進んでいる。
・住まいの選択にあたっては、災害時の安全性のほか、医療福祉施設等の整備や交通利便性等、周辺環境が重視されている。
 
(2)住生活の安定の確保・向上のための基本的な方針・目標、その達成のために必要な基本的な施策
 
【目標1】「新たな日常」やDXの進展等に対応した新しい住まい方の実現
 
●基本的な施策
・住宅内テレワークスペース等を確保し、職住一体・近接、在宅学習の環境整備。
・宅配ボックスの設置等による非接触型の環境整備の推進
・空き家等の既存住宅活用を重視し、賃貸住宅の提供や物件情報の提供等を進め、地方、郊外、複数地域での居住を推進
・住宅性能の確保、紛争処理体制の整備などの既存住宅市場の整備。
・計画的な修繕や持家の円滑な賃貸化など、子育て世帯等が安心して居住できる賃貸住宅市場の整備
 
【目標2】頻発・激甚化する災害新ステージにおける安全な住宅・住宅地の形成と被災者の住まいの確保
 
●基本的な施策
・不動産取引時における災害リスク情報の提供
・災害の危険性等地域の実情に応じて、安全な立地に誘導するとともに、既存住宅の移転を誘導
・住宅の耐風性等の向上、住宅・市街地の耐震性の向上
 
【目標3】子どもを産み育てやすい住まいの実現
 
●基本的な施策
・住宅の年収倍率の上昇等を踏まえ、時間に追われる若年世帯・子育て世帯の都心居住ニーズもかなえる住宅取得の推進
・駅近等の利便性重視の共働き・子育て世帯等に配慮し、利便性や規模等を総合的にとらえて住宅取得を推進。
・子どもの人数、生活状況等に応じた柔軟な住替えの推進
・民間賃貸住宅の計画的な維持修繕等により、良質で長期に使用できる民間賃貸住宅ストックの形成と賃貸住宅市場の整備
・防音性や省エネルギー性能、防犯性、保育・教育施設や医療施設等へのアクセスに優れた賃貸住宅の整備
 
●成果目標
・民間賃貸住宅のうち、一定の断熱性能を有し遮音対策が講じられた住宅の割合
 約1割(H30)→ 2割(R12)
 
【目標4】多様な世代が支え合い、高齢者等が健康で安心して暮らせるコミュニティの形成とまちづくり
 
●基本的な施策
・エレベーターの設置を含むバリアフリー性能やヒートショック対策等の観点を踏まえた良好な温熱環境を備えた住宅の整備、リフォームの促進
・三世代同居や近居、身体・生活状況に応じた円滑な住替え等を推進。
 
●成果目標
・高齢者の居住する住宅のうち、一定のバリアフリー性能及び断熱性能を有する住宅の割合
 17%(H30)→ 25%(R12)
 
【目標5】住宅確保要配慮者が安心して暮らせるセーフティネット機能の整備
 
●基本的な施策
・賃借人の死亡時に残置物を処理できるよう契約条項を普及啓発。
・多言語の入居手続に関する資料等を内容とするガイドライン等を周知
 
【目標6】脱炭素社会に向けた住宅循環システムの構築と良質な住宅ストックの形成
 
●基本的な施策
・基礎的な性能等が確保された既存住宅の情報が購入者に分かりやすく提示される仕組みの改善(安心R住宅、長期優良住宅)を行って購入物件の安心感を高める
・これらの性能が確保された既存住宅、紛争処理等の体制が確保された住宅、履歴等の整備された既存住宅等を重視して、既存住宅取得を推進
・既存住宅に関する瑕疵保険の充実や紛争処理体制の拡充等により、購入後の安心感を高めるための環境整備を推進
・長期優良住宅の維持保全計画の実施など、住宅の計画的な点検・修繕及び履歴情報の保存を推進
・耐震性・省エネルギー性能・バリアフリー性能等を向上させるリフォームや建替えによる、良好な温熱環境を備えた良質な住宅ストックへの更新
・マンションの適正管理や老朽化に関する基準の策定等により、マンション管理の適正化や長寿命化、再生の円滑化を推進
・住宅の省エネルギー基準の義務づけや省エネルギー性能表示に関する規制など更なる規制の強化
 
●成果目標
・既存住宅流通及びリフォームの市場規模
 12兆円(H30)→ 14兆円(R12)
・住宅性能に関する情報が明示された住宅の既存住宅流通に占める割合
 15%(R1)→ 50%(R12)
・認定長期優良住宅のストック数
 113万戸(R1)→ 約250万戸(R12)
 
【目標7】空き家の状況に応じた適切な管理・除却・利活用の一体的推進
 
●基本的な施策
・周辺の居住環境に悪影響を及ぼす管理不全空き家の除却等や特定空家等に係る対策の強化
・所有者不明空き家について、財産管理制度の活用等の取組を拡大
 
【目標8】居住者の利便性や豊かさを向上させる住生活産業の発展
 
●基本的な施策
・大工技能者等の担い手の確保・育成について、職業能力開発等とも連携して推進。
・住宅の維持管理において、センサーやドローン等を活用した住宅の遠隔化検査等の実施による生産性・安全性の向上

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