携帯電話基地局設置に関する管理組合の対応

管理組合で携帯電話基地局設置の提案を受け、設置するかどうか検討した事があります。
理事会内で意見が分かれ結局導入は見送りになりました。検討ポイントをまとめました。
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
提案事例
(1)2014年、Y社アンテナの提案事例
 
・賃料:3.5万/月
・契約期間:10年(自動更新、途中解約不可
・アンテナ設置タイプ:自立架台タイプ
 
(2)2023年、S社アンテナの提案事例
 
・賃料:3万/月
・契約期間:5年(自動更新、途中解約不可
・アンテナ設置タイプ:自立架台タイプ
・総重量:約150~650kg
重量と構造上の安全性
・竣工図などを使って設備重量に対し、構造上問題ないかどうか初期検討した上で提案。
・安全面について、建築士の強度検討実施後に設置する。
・総会時には構造提案書を管理組合に提出する。
人体への影響
●提案業者の説明
 ・電磁波での人体への影響は確認されていない。
 ・医学的に証明された事例は一切ない。
 ・国の定める防護基準を遵守して各通信業者は運営しているので問題ない。
携帯電話基地局と わたしたちの暮らし – 電波利用ホームページ(PDF)
 
●懸念点
・理事会内で意見が分かれました。男性より女性の方が気にする人が多い印象です。
・他の管理組合では、最上階の入居者から電磁波に対する不安から撤去して欲しいとの要望があった事例もある。
収益事業に対する納税
●税務申告が必要
・法人税、法人住民税、法人事業税を納税する必要がある。
収益事情の判定
 
〇申告した場合の実質収入の計算例
①収入=(月額賃料+月額電気料金)×12ヶ月
②費用=①の電気代金+税理士による税務申告書作成費用
③税金等 110,100円(初年度以外)
 ア)法人住民税均等割り 70,000円
 イ)法人税 (①-②)×15%
 ウ)法人住民税法人税割 イ)×17.3%
 エ)法人事業税 (①-②)×6%
実質収入=①-②-③
 
●税務申告のコスト、手間
・税務申告書類の作成は管理会社の管理委託契約の対象外。
・税務申告にかかる理事の負担が大きく、税理士に依頼した場合は費用を要する
防水層への影響
(1)アンテナ設置後のトラブル事例
 
・架台とアンテナの重みで防水層に負担をかける。
・アンテナ設置後に建物躯体部分にクラックが入り、雨漏りした事例ある。
・アンテナの架台が密着しているため、雨水が流れず、プール状に雨水が滞留して事例がある。
 
(2)アンテナ設置後、防水層施工時のデメリット
 
・架台が防水層に密着していて、架台の下の防水層を防水しない場合、防水の保証がでなくなってしまう。
・架台の下の部分を防水施工する場合、携帯電話会社(メンテナンス会社)に連絡して、アンテナ設備を一時的に浮かしてもらう等の作業が必要になる。
 事前に装置や配線をロープで養生したり、ジャッキアップで浮かす。
 
(3)アンテナ撤去時の対応事例
 
・躯体アンカーボルトを撤去した後、ビス穴は樹脂モルタルで補修し塗装。
・躯体の中に水が入ることはないが、万が一雨水の浸入等の施行上のトラブルに関しては撤去後2年間は保証。

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