断熱材、断熱性能、結露対策、断熱改修の概要

〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
建築用断熱材の概要
1)建築用断熱材に関係する用語
 
〇基材
・断熱材において,断熱性能を発揮するために不可欠な部分。
・繊維系断熱材では繊維状多孔材料部分,発泡プラスチック断熱材では発泡体部分などをいう。
 
〇外被材
・人造鉱物繊維断熱材の防湿,放射,保護,施工性の向上などを目的として基材の外部を覆うもの。
 
〇面材
・発泡プラスチック断熱材の基材の表面又は裏面に一体化されたシート状又はフィルム状の材料。
 
〇成形面材
・面材のうち,断熱材製造時に基材と一体となる基材成形上必要な面材。
 
〇スキン層
・発泡プラスチック断熱材の発泡時に断熱材の表面に成形される基材の樹脂層。
 
2)基材による区分
 
●人造鉱物繊維断熱材
①グラスウール断熱材
・ガラスを溶融し,製造した繊維をバインダを用いて成形したもの。
・必要に応じて外被材を用いる。
 
〇グラスウールの用途
・住宅の壁・天井・床・屋根の断熱材として広く用いられるほか、工場・体育館の断熱材としても用いられる。
・吸音材としても機械室の内装吸音用や防音室の素材として用いられている。
・空調ダクトや配管保温用などにも用いられる。
・不燃材料なので防火性にも優れている。
 
〇グラスウールの特徴
・断熱性能あたりのコストパフォーマンスに優れる。
・切断・曲げなど、自由に加工することができる。
・厚さ・サイズ・密度が豊富である。
・建築時の雨漏れ等の場合、水を含むと一時的に変形するが、その後乾燥すれば形状と体積はほぼ回復し、断熱性能・吸音性能は概ね低下することはない。
 
②ロックウール断熱材
・石灰及びけい酸を主成分とするスラグ及び鉱物を溶融し,製造した繊維をバインダを用いて成形したもの。
・必要に応じて外被材を用いる。
 
〇ロックウールの用途
・建築物などの断熱材や培地として広く用いられるほか、吸音材としても用いられている。
・耐火性にも優れていることから、アスベストの代替材として広く使われるようになった。
 
〇ロックウールの特徴
・微細な繊維の隙間に空気層を含んでいるため、優れた保温・断熱性能がある。
・鉱石を原料としているため優れた耐熱性を有している。
・軽量で柔軟性に富んでいるため、取り扱い、加工性に優れている。
・経年変化や劣化が少なく、耐久性に優れている。
・吹き付け用(湿式施工)と成型品(乾式施工)がある。成型品には施工を容易にするために、ビニール袋に包んだ製品も多い。
・700℃まで形状を維持できるだけの耐熱性能があり、400℃までのグラスウールよりも性能が良いが、ビニール袋やバインダーとして使用される接着剤のために火炎によって黒煙を発生する点はグラスウールと同様である。
・水に対してはグラスウールよりも非常に良好で撥水性があり吸湿性が低い。
・グラスウールには無いアルカリに対する耐薬品性がある。
・価格はグラスウールよりわずかに高価となる。
・吸音材としては、グラスウールより低い周波数までよく吸音し、特に400Hz以上では大きな吸音性がある。
 
●有機繊維断熱材
①インシュレーションファイバー断熱材
・主に木材などの植物繊維を成形した繊維板。
 
〇用途
・床・壁・天井・屋根などに施工でき、主に充填断熱工法に使用される。
 
〇特徴
・木質繊維なので、湿気を吸収・放出する機能があり、結露しにくい。
・吸音性にも優れる
 
●発泡プラスチック断熱材
 
・プラスチック系の素材に発泡剤(熱や化学反応で気泡を発生させて多孔質の素材を作る薬剤)を混ぜて、保温や断熱に使う建築材料。
・独立した微細な気泡が多数含まれているため熱伝導率が低い。
・工場で成形するタイプと建設現場で発泡して充てんするタイプがある。
 
①ビーズ法ポリスチレンフォーム断熱材
・ポリスチレン又はその共重合体に発泡剤,難燃剤(HBCDを含まない。)及び添加剤を加えた発泡性ビーズを型内発泡成形又は発泡成形したブロックから切り出したもの。
 
〇用途
・金型により成形するため、板や筒など自由な形に仕上げることができ、主に外張断熱工法に使用される。
 
〇特徴
・水や湿気に強く、軽量で緩衝性が高い。
 
②押出法ポリスチレンフォーム断熱材
・ポリスチレン又はその共重合体に発泡剤及び添加剤を溶融混合し,連続的に押出発泡成形したもの,又は押出発泡成形したブロックから切り出したもの。
・押出し成形で板状に発泡させたものでより一般的な製法。
 
〇用途
・軽量で堅く耐圧力があり、薄くても断熱性能が高いため、外張断熱工法に適している。
・形状維持性が高いのでコンクリート打込み工法に対応できる。
 
〇特徴
・水に強く、耐湿性があるため、基礎断熱にも適している。
・ビーズ法より断熱性、耐圧性、耐候性に優れ、透湿抵抗が大きいものが得られるが柔軟性に欠ける。
 
③硬質ウレタンフォーム断熱材
・ポリイソシアネート,ポリオール及び発泡剤を主剤として,発泡成形したもの,発泡成形したブロックから切り出したもの,又は成形面材の間で発泡させ一体化した成形面材付きのもの。
 
〇用途
・ボード状のものと、現場で直接吹き付けて施工する現場発泡品があり、充填、外張断熱の両方に使用できる。
 
〇特徴
・微細な気泡の集合体で、気泡には熱伝導率の極めて小さいガスが含まれ、優れた断熱性能を持つ。
・現場発泡品は、自己接着性を持つため、接着剤を使用しなくても多くの材料と自己接着し、複雑な形状の構造物に対しても隙間のない断熱層を作ることができる。
 
④ポリエチレンフォーム断熱材
・ポリエチレン又はその共重合体に発泡剤及び添加剤を混合して,発泡成形したもの。
 
〇用途
・他のボードより柔軟性が高く、隙間なく施工することができ、主に充填断熱工法に使用される。
 
〇特徴
・床や壁だけでなく、配管カバーなど断熱、防水と用途が多彩。
 
⑤フェノールフォーム断熱材
・レゾール樹脂,発泡剤及び硬化剤を主剤として,成形面材の間で発泡させ,サンドイッチ状に成形した成形面材付きのもの,又はレゾール樹脂,発泡剤及び硬化剤を主剤として,発泡成形した成形面材なしのもの。
 
〇用途
・主に外張断熱工法に使用される。
 
〇特徴
・断熱性能が高く、経年劣化が少ない。
・130℃までの使用に耐える耐熱性を持ち、炎が当たっても炭化するだけで延焼を防ぐことができ、防火性に優れている。煙や有毒ガスもほとんど発生しない
 
3)建材トップランナー制度の対象製品
 
●建材トップランナー制度とは
・さまざまな製品の省エネ化をはかるために、経済産業省および資源エネルギー庁が中心となり、製品ごとに性能レベルの基準を定めそれを満たすことを求める制度。
 
●対象となる断熱材
・断熱材として広く使われているロックウール、グラスウール、押出法ポリスチレンフォームの3種類。
断熱性能に関する用語
●熱伝達率
・熱伝達とは、熱が、空気から壁(材料)の表面へ、また逆に壁(材料)の表面から空気へ伝わることをいう。
・熱伝達率とは、熱の伝達のしやすを示す値で、一般に空気の動きが大きいと、大きな値となる。
・材料とそれに接する空気との間で熱の伝わりやすさを示す値。
・材料表面の空気の動きに影響される。
 
●熱伝導率
・”材料そのものがもつ熱の伝わりやすさ”を表した数値
・一般には、重くて冷たい感じの材料は、熱伝導率が大きくて、軽くて暖かい感じのするものは、熱伝導率が小さいといえる。
・熱伝導率は、一般に水分を含むと大きくなる。
・熱伝導率が大きいと、熱の損失も大きくなる。熱伝導率の小さい断熱材の方が熱の損失を軽減する効果がある。
 
●熱抵抗値(R値)
・断熱性能は、素材の厚さによって変化するが、熱抵抗値とはある素材と厚さが決まった場合の、熱の伝わりにくさを示す数値。
・材料の厚みを熱伝導率(材料固有の熱の伝わりやすさ)で割った数値で、数値が大きいほど断熱性が高い。
 
●熱貫流率(U値)
・外壁等の建物の各部位について熱の通過しやすさを示す値。
・熱貫流とは、床、壁、屋根などを通して、熱が逃げたり、逆に入ってきたりすることで、1つの方向からみた熱の貫流(とおり貫け)をいう。
・熱貫流率の大きい壁は熱を通しやすく、熱貫流率の小さい壁は保温性が高い。これは、空気から壁の表面に熱を伝える”熱伝達”と壁の内部で熱を移動させる”熱伝導”により決まる。
・外壁は、同じ厚さであれば熱貫流率が大きければ、室内と室外の温度の差が大きくなり、結露が発生する可能性が大きくなる。
 
●熱損失係数(Q値)
[各部位の熱損失量] = [熱貫流率] × [面積]
[熱損失係数] = {[各部位の熱損失量の合計] + [換気の熱損失量]} / [延床面積]
・建物の内部と外気の温度を1度としたときに、建物内部から外界へ逃げる時間あたりの熱量を床面積で除した数値。
・外壁や天井・床などの各部位の熱の逃げる量(熱損失量)を計算し、各部位の熱損失量を合計したものを延床面積で割って算出するもの。
・その値が大きいほど断熱性能が低い。
・計算が複雑になるが、断熱性能を住宅全体で判断でき、熱貫流率や熱抵抗値では判断できない、各部位の断熱性能のバランスを把握することができる。
結露対策
1)結露の原因
 
・結露は、空気中の水蒸気が冷たいものに触れて水(水滴)になったもの。
 冬などで外の温度が低いと壁や窓の室内側の表面温度も外気の低い温度のせいで下がり、その壁や窓の室内側の表面に、結露ができる。
 マンションは気密性が高いので、室内で発生する水蒸気を外部に排出しないと、結露が発生しやすい構造になっている。換気が必要。
 
●表面結露と内部結露
・結露はガラス窓などの表面にできる表面結露と壁の内側にできる内部結露に分けることができる。
 
〇内部結露
・壁に断熱材を使用する場合、外気と室内の気温差が大きくなるため、壁の内部が結露することがある。
・断熱材や木材を痛める原因になることもあるため、施工の段階で丁寧な防湿処理をすることが必要。
・内部結露を防止するためには一般的には室内側に防湿層を設けて水蒸気が入りこまないようにする、また室外側には透湿層を設けて通気を保つことが基本的な対策だと言われている。
 ロックウール断熱材を施工するときには、住宅の室内側に連続した防湿層を設けることとされている。
 
2)結露対策
 
●換気
・機密性の高い部屋においては、換気を行わなければ、湿気を含む空気が外部に逃げることができないので、換気を行う必要がある。
 
●防湿層
・壁の内部で発生する結露を防止するため、室内からの水蒸気の流入を防止する部材。
・繊維系断熱材や連通孔を有する発泡プラスチック系断熱材(EPSは含まれない)を使用する場合に室内側の面に施工し、材料としてはポリエチレンフィルムがよく使われる。
・防湿層の役目は断熱層への漏気の侵入を防止するもので、防湿層を設けても、室内側に生じる表面結露を防げるとはいえない。
 
〇内断熱の場合の断熱仕様の壁の構成例
室内仕上げ材(ビニールクロス)
石膏ボード:室内仕上げ材の下地
防湿フィルム:グラスウールは水分を遮断する機能がないため設置。
断熱材(グラスウール):コンクリート躯体は外気の温度と近くなるため断熱
コンクリート躯体
外部仕上げ材(塗装)
 
・グラスウールは水分を遮断する性能が無いため、結露を防止するためには、断熱材のグラスウールの室内側に防湿フィルムを中間に配置し、水蒸気の供給を遮断する。
 
●外断熱工法
・建物の外壁を断熱材で覆うので、熱を伝えやすい熱的短絡部である熱橋(ヒートブリッジ)が形成されにくく、内断熱工法より結露発生のリスクは小さくなる。
※熱橋(ヒートブリッジ)
・熱を橋渡しすること。例えば、断熱材があっても、鉄材が断熱材を貫通していると、鉄材を伝わって熱が逃げていく。これがあると、そこから、夏は外から室内に熱が侵入しやすくなり、冬は逆に室内の熱が外に逃げて、その部分は、他の室内に比べて温度が低くなり、結露が生じやすくなる。
 
●低放射複層ガラス(Low-Eガラス)
・断熱性能に優れていて、結露などを減少させる。
※単板ガラスの厚さを2倍など厚くする
・断熱性能の改善はわずかしかなく、複数ガラスのように結露の量を減少させることはできない。
 
●その他関連情報
〇輻射式の暖房装置
・遠赤外線などの輻射によって人体や壁、カーテン、床、天井などの構造物も直接暖めるので結露対策として有効。
・エアコンやファンヒーターなどの温風暖房が室温だけを高くするのに対して、壁や床、人体の表面温度を高め、室内をむらなくあたためる。
 
〇窓にカーテンを設置
・窓自体の熱貫流率には影響を与えない。また、窓にカーテンを設置しても結露が減少するとはいえない。
外壁の断熱改修
1)外断熱のメリット
 
・直達日射による躯体の損傷を防止
・内外温度差によって発生する室内の結露を防止
・結露の防止は、カビや漏水の防止にとどまらず、寒冷地等では壁体内の結露水の凍結融解による躯体劣化を防止することにもつながる。
 
2)外壁の外断熱工法の種類
 
①断熱材ピンネット押え工法
・外壁面に断熱材(押出し発泡ポリスチレン系断熱材)を接着材+アンカーピン+ネットを利用して張り付け、ポリマーセメントモルタル左官材で押えて仕上げる工法。
・断熱性能は断熱材の材質や厚みにより決まる。
・コストは最も安価。
 
②GRC複合断熱パネル工法
・外壁面にGRC(ガラス繊維補強コンクリート)複合断熱パネルを接着剤とアンカーピンを併用して張り付ける工法。
・パネルの表面を塗装仕上げとする場合もある。
・断熱性能は断熱材の材質や厚みにより決まる。
・コストは①と③の中間程度。
 
③胴縁サイディング材仕上げ工法
・外壁面に胴縁を配して胴縁間に断熱材を置き、表面にサイディング材を張り空気層を設ける工法。
・一般的には、サイディング材は押出し成形セメント板等の不燃材とし、塗装仕上げとする。
・断熱性能は非常に高まるが、コストも比較的高額となる。
 
④その他
・外壁躯体に断熱材を貼り付け下地を形成した上に塗装やタイルで仕上げる湿式外断熱工法も用いられている。
 
〇注意点
・採用する方法は、断熱範囲、断熱材・下地材の種類と厚さ、端部の納まり、断熱性能、コスト等を総合的に検討して決める必要がある。
屋上の断熱改修
1)内断熱と外断熱
 
●内断熱のデメリット
・高経年マンションでは、コンクリートスラブ下に断熱材を打ち込むスラブ下断熱(内断熱)工法が一般的。
・防水層及びスラブが直達日射や外気の影響を受けるため、最上階住戸では夏は暑く、冬は寒いという室内環境となっている。
・スラブ躯体面の室内側に結露が発生する心配もある。
 
●外断熱のメリット
・近ごろのマンションでは、屋上スラブの外断熱防水が一般的。
・最上階住戸の断熱性能を向上。
・直達日射による屋上コンクリートスラブの温度伸縮を低減。
・結露による不具合から躯体を保護。
 
2)外断熱工法
 
①スラブ上断熱防水露出工法
・コンクリートスラブ上に断熱材を敷き込み、アスファルト露出防水で押え、砂付きルーフィング仕上げ又はシルバーコート仕上げとする工法。
・スラブに蓄熱せず、最上階住戸の温度変化や結露も減少するが、アスファルト露出防水は熱劣化の影響を受けやいため耐久性は大きくない。
・過重は減少し、漏水箇所が発見しやすく簡単に修繕できるが、断熱材を取替えることはできない。
 
②防水層断熱ブロック押え工法
・コンクリートスラブ上にアスファルト防水を施し、これに断熱材を敷き込み断熱コンクリートブロックで押える工法。
・スラブに蓄熱せず、最上階住戸の温度変化や結露も減少し耐久性に優れる。
・断熱ブロックは簡単に取り外しができ、漏水箇所が発見しやすく修繕も簡単にできる。
・ただし、①よりもコストは高くなり、積載荷重も増加することになる。
 
③防水層断熱コンクリート押え工法
・コンクリートスラブ上にアスファルト防水を施し、これに断熱材を敷き込み現場打設コンクリートで押える工法。
・一般的には、屋根面歩行用防水工法。
・コンクリートスラブは蓄熱せず、最上階住戸の温度変化や結露も減少し、耐久性にも優れるが、断熱ブロックのように簡単に取り外せないため修繕は面倒となる。
・コストも比較的高くなる。
・積載荷重は増加するので、既設部分に押えコンクリート層がある場合のみ、それを撤去すれば採用できる。
 
●注意点
・耐久性、修繕容易性、コスト、積載荷重増加の可能性等の点から最も適した工法を選択する必要があるが、構造的に積載荷重増加の可能性があれば、耐久性や修繕容易性に最も優れている②防水層断熱ブロック押え工法が望ましい工法であると考えられる。

コメントを残す

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください