エレベーターの構造、制御器、安全装置の規定

〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 
 
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
構造上主要な部分の規定(令129条の4)
1)エレベーターのかご及び主要な支持部分の構造
 
〇主要な支持部分とは
・エレベーターのかご及びかごを支え、又は吊る構造上主要な部分。
 
●腐食or腐朽、摩損or疲労破壊
・かご及び主要な支持部分のうち、腐食or腐朽のおそれのあるものにあつては、腐食or腐朽しにくい材料を用いるか、又は有効なさび止めor防腐のための措置を講じたものであること。
・主要な支持部分のうち、摩損or疲労破壊を生ずるおそれのあるものにあつては、2以上の部分で構成され、かつ、それぞれが独立してかごを支え、又は吊ることができるものであること。
 
2)地震対策(3項)
 
①かご及び釣合おもりがガイドレールから外れることを防止する措置(3号)
②ロープが滑車から外れることを防止する措置(4号)
③釣合おもりが脱落することを防止する措置(5号)
④かご及び主要な支持部分の耐震計算(6号)
・国土交通大臣が定める基準(平成25年国土交通省告示1047号)に従つた構造計算により地震その他の震動に対して構造耐力上安全であることが確かめられたものであること。
かごの構造の規定(令129条の6)
〇衝撃に対して安全な構造(1号)
・各部は、かご内の人or物による衝撃に対して安全なものとして国土交通大臣が定めた構造方法(平成20年国土交通省告示1455号)を用いるものとすること。
・かごの床面で50ルクス以上の照度を確保することができる照明装置を設けること。
・かごの天井の高さは2m以上とすること。
 
〇難燃材料(2号)
・構造上軽微な部分を除き、難燃材料で造り、又は覆うこと。
・ただし、地階or3階以上の階に居室を有さない建築物に設けるエレベーターのかごその他防火上支障のないものとして国土交通大臣が定める(平成12年建設省告示1416号)エレベーターのかごにあつては、この限りでない。
 
〇かご外の物に触れない構造の壁、囲い、出入口の戸(3号)
・引き戸であるかごの出入口の戸を閉じたときの各種すきま:8mm以下。
・上げ戸、下げ戸、上下戸であるかごの出入口の戸の場合:9.5㎜以下。
 
〇非常救出口(4号)
・非常の場合においてかご内の人を安全にかご外に救出することができる開口部をかごの天井部に設けること。
 
〇掲示(5号)
・用途、積載量、最大定員(一人当たりの体重を65kgとして計算した定員)を明示した標識をかご内の見やすい場所に掲示すること。
 
※積載荷重(令129条の5)
・かごの積載荷重は、当該エレベーターの実況に応じて定めなければならない。
・かごの床面積が大きくなるほど、単位面積当たりの積載荷重が”大きい”値になるよう定められている。
昇降路の構造の規定(令129条の7)
〇昇降路の壁、囲い、出入口の戸(1号)
・昇降路外の人or物が、かごor釣合おもりに触れるおそれのないものとして国土交通大臣が定める基準(平成20年国土交通省告示1454号)に適合する壁or囲い及び出入口(非常口を含む)の戸を設けること。
・引き戸である昇降路の出入口の戸を閉じたときの各種すきま:6mm以下。
・上げ戸、下げ戸、上下戸である昇降路の出入口の戸の場合:9.5㎜以下。
 
〇難燃材料(2号)
・構造上軽微な部分を除き、昇降路の壁or囲い及び出入口の戸は、難燃材料で造り、又は覆うこと。
・ただし、地階or3階以上の階に居室を有さない建築物に設けるエレベーターの昇降路その他防火上支障のないものとして国土交通大臣が定める(平成12年建設省告示1416号)エレベーターの昇降路にあつては、この限りでない。
 
〇昇降路内への落下防止(3号)
・昇降路の出入口の戸には、かごがその戸の位置に停止していない場合において昇降路外の人or物の昇降路内への落下を防止することができるものとして国土交通大臣が定める基準(平成20年国土交通省告示1447号)に適合する施錠装置を設けること。
・施錠装置は、昇降路の出入口の戸が閉じた場合に、当該戸を自動的かつ機械的に施錠するものであること。
・施錠装置は、かごが昇降路の出入口の戸の位置に停止していない場合においては、かぎを用いずに当該戸を開こうとした場合においても施錠された状態を保持する力が減少しないものであること。
 
〇かごとの水平距離(4号)
・出入口の床先とかごの床先との水平距離は、4cm以下とし、乗用エレベーターにあっては、かごの床先と昇降路壁との水平距離は12.5cm以下とすること。
 
〇突出物(5号)
・昇降路内には、次のいずれかに該当するものを除き、突出物を設けないこと。
イ)基準に適合したレールブラケット又は横架材
ロ)129条の2の5第1項3号ただし書の配管設備で同条の規定に適合するもの
ハ)イ又はロに掲げるもののほか、係合装置その他のエレベーターの構造上昇降路内に設けることがやむを得ないものであつて、地震時においても主索、電線その他のものの機能に支障が生じないように必要な措置が講じられたもの。
※昇降路内には、原則として突出物や配管設備等を設けることはできないが、昇降機に必要な配管設備や光ファイバーや光ファイバーケーブル等で、安全上支障がないとして一定の要件を満たすものは設けることができる。
機械室(令129条の9)
・換気上有効な開口部又は換気設備を設けること。
・施錠装置を有する鋼製の戸を設けること。
 
駆動装置及び制御器の規定(令129条の8)
・地震その他の震動によつて転倒し又は移動するおそれがないもの。
・荷重の変動によりかごの停止位置が著しく移動しない。
・かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じた後、かごを昇降させる
・エレベーターの保守点検を安全に行うために必要な制御
 
1)ロープ式エレベーター
 
①電磁ブレーキ(平成12年建設省告示1429号第一第1号)
・かごに積載荷重の1.25倍の荷重が加わった場合においても、かごの位置が著しく変動しない装置。
 
②床合せ補正装置(平成12年建設省告示1429号第一第1号)
・乗客乗り降り時の荷重変動に伴う主索の伸び縮みによる床位置変動を補正する装置。
 
③調節装置(戸開走行防止装置)(平成12年建設省告示1429号第一第2,3号)
・かご及び昇降路の出入口の戸が全て閉じた状態でなければ、かごの運転回路が動作しないような装置。
 
④保守用運転装置(かご内、かご上停止スイッチ)(平成12年建設省告示1429号第一第4号)
・エレベーターの保守時、休止時及び緊急時において、電動機の動力を切ることができる装置。
 
⑤駆動装置・制御器が地震の震動により転倒又は移動しないようにする措置(令129条の8)
 
2)油圧式エレベーター
 
・かごの停止時における自然降下を調整するための床合せ補正装置を設けること。
・圧力配管には、有効な圧力計を設けること。
・1)の③④に定める構造とすること。
エレベーターの安全装置の規定(令129条の10)
1)制動装置の構造の基準(2項)
 
・かごが昇降路の頂部or底部に衝突するおそれがある場合に、自動的かつ段階的に作動し、これにより、かごに生ずる垂直方向の加速度が9.8m毎秒毎秒を、水平方向の加速度が5.0m毎秒毎秒を超えることなく安全にかごを制止させることができるものであること。
・保守点検をかごの上に人が乗り行うエレベーターにあつては、点検を行う者が昇降路の頂部とかごの間に挟まれることのないよう自動的にかごを制止させることができるものであること。
 
2)戸開走行保護装置(3項1号)
 
●戸開走行保護装置とは
・駆動装置又は制御器に故障が生じ、かごの停止位置が著しく移動した場合や、かご及び昇降路のすべての出入口の戸が閉じる前にかごが昇降した場合に、自動的にかごを制止し、人の挟まれを防ぐ装置。
※平成20年の建築基準法令の改正より義務化(施行は平成21年9月)
 
●戸開走行保護装置の機能
※常時作動型二重系ブレーキの場合
 
①二重系ブレーキ
・主たるブレーキと機械的に独立させた補助ブレーキを設ける。
 
②戸開走行検出装置
・ドアの開閉状況を検出するかご戸・乗り場戸スイッチに加え、かごが乗場から一程距離以上移動した場合に感知する特定距離感知装置を設けることにより、戸開走行を検出する。
 
③通常制御プログラムから独立した安全制御プログラム
・通常制御プログラムが故障しても、安全にエレベーターを制御して停止させることができる。
 
3)地震時管制運転装置(3項2号、平成20年国土交通省告示1536号)
 
・地震時の閉じ込めの防止策の一つ。平成21年9月28日より施行。
・地震その他の衝撃により生じた加速度を検知し、自動的にかごを昇降路の出入口の戸の位置に停止後、かご戸及び乗場戸を開き、乗客の安全を確保するための装置。
・検知装置により、地震時の初期微動(P波)を検知
→制御盤から”かごを最寄階まで走行→かごを最寄階で停止→かご戸及び乗場戸を開放”の指令
・加速度の検知後直ちに、その旨をかご内の見やすい場所に表示することができるものであること。
・地震時等管制運転装置には、予備電源を設けること。
 
4)非常用連絡装置(3項3号)
 
・停電等の非常の場合においてかご内からかご外に連絡することができる装置。
・かご内閉込め時等における外部への連絡のための装置。
・閉込め時にインターホンボタンによる管理人又は保守管理会社等の呼び出し。
・テールコードによって外部と接続。
・停電時においても連絡・通話が可能なよう、バッテリー電源を設けている。
 
5)過荷重検知装置(3項4号イ)
 
・定格積載量の1.1倍を超えた荷重が作用した場合において警報を発し、かつ、出入口の戸の閉鎖を自動的に制止する装置。
 
6)停電灯(3項4号ロ)
 
・停電発生時において、外部連絡装置の位置等のかご内の状況が分かるようにする照明装置。床面で1ルクス以上の照度。
・商用電源からの電力供給が止まると同時に、かご上に設けられたバッテリー電源からの電力が供給される。
 
7)調速機(2項、平成12年建設省告示1423号第二第2号及び第4号)
 
・定格速度に相当する速度の1.3倍及び1.4倍を検知して所定の動作を行う装置。
・かごの速度が異常に増大した場合において定格速度の1.3倍を超えないうちに動力を自動的に切る。
 
8)制動装置(電磁ブレーキ)(2項、平成12年建設省告示1423号第二第3号)
 
・かごの速度が定格速度に相当する速度の1.3倍を超えないうちに動力が切れたときに惰性による原動機の回転を自動的に制止する装置。
 
9)制動装置(調速機+非常止め装置)(2項、平成12年建設省告示1423号第二第4号)
 
・かごの降下する速度が上記7)に掲げる装置が作動する速度を超えた場合、定格速度に相当する速度の1.4倍を超えないうちにかごの降下を自動的に制止する装置。
 
10)制動装置(リミットスイッチ+電磁ブレーキ)(2項、平成12年建設省告示1423号第二第5号)
 
・かご又は釣合おもりが昇降路の底部に衝突しそうになった場合において、これに衝突しないうちにかごの昇降を自動的に制御し、及び制止する装置。
 
11)制動装置(緩衝器)(2項、平成12年建設省告示1423号第二第6号)
 
・かご又はつり合いおもりが昇降路の底部に衝突した場合に衝撃を和らげるための装置。
・ただし、かごの定格速度が30m以下で、かごの降下する毎分の速度が定格速度に相当する速度の1.4倍を超えないうちにかごの降下を自動的に制止する装置を設けたエレベーターにあっては、適当な緩衝材又は緩衝器とすることができる。
 
12)巻胴式エレベーターの安全装置
 
・主索が緩んだ場合において動力を自動的に切る装置。
 
13)油圧式エレベーターの安全装置
 
①直接式油圧エレベーター
 
〇対象のエレベーター
・かごを主索or鎖を用いることなく油圧により直接動かすエレベーター
 
〇安全装置
・かごの上昇時に油圧が異常に増大した場合において、作動圧力(ポンプからの吐出圧力をいう)が常用圧力(積載荷重を作用させて定格速度で上昇中の作動圧力をいう)の1.5倍を超えないようにする装置
・動力が切れた場合に油圧ジャッキ内の油の逆流によるかごの降下を自動的に制止する装置
・油温を5~60℃に保つための装置
・プランジャーのシリンダーからの離脱を防止するための装置
・電動機の空転を防止するための装置
・上記11)の制動装置(緩衝器)
 
②間接式油圧エレベーター
 
〇対象のエレベーター
・かごを主索or鎖でつり、その主索or鎖を油圧で動かすエレベーター
 
〇安全装置
・上記10)の制動装置(リミットスイッチ+電磁ブレーキ)
・上記①の安全装置。
・上記9)の制動装置(調速機+非常止め装置)又はかごの定格速度が45m以下のエレベーターにあっては主索が切れた場合においてかごの降下を自動的に静止する装置
・主索又は鎖が緩んだ場合において動力を自動的に切る装置
・主索又は鎖が伸びた場合において、プランジャーの行過ぎを防止する装置。ただし、プランジャーの余裕ストロークにより安全上支障ないものにあっては、この限りでない。

コメントを残す

Your email address will not be published.

You may use these HTML tags and attributes: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <s> <strike> <strong>

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください