マンションの給水方式の変更

マンションにおける給水方式の変更に関する情報をまとめました。  
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給水システムの変遷
①1960年(昭和35年)~
・郊外団地型:高架水槽棟
・1棟型:高置水槽
 
②1970年(昭和45年)~
・従来の高置水槽方式のほかに加圧給水方式(圧送方式)が普及してくるが、小規模のマンションでは圧力タンク方式が主流、一部団地型マンションではポンプ圧送方式も採用され始めた。
 
③1980年(昭和55年)~
・80年代に入り圧送ポンプが本格的に採用されはじめる。
 可変運転が可能なポンプ圧で直接給水する方式。
 
④1990年(平成2年)~
・98年頃より直結増圧方式が出始める。
・90年代に入り、住戸内配管に”さや管ヘッダー工法”を水廻りに採り入れらるようになった。
給水方式の種類、特徴
1)直結給水方式
 
・道路内の水道本管から水道管の水圧により直接供給する方式。
・低層マンションでは利用できる。
〇メリット
・受水槽・高置水槽等が不要で清掃・点検及び維持管理費用がかからない。
・スペースを有効利用できる。
・直接的に新鮮な水が供給される。
・停電時でも断水にならない。
〇デメリット
・高台で圧力が低いところや夏季の使用水量が多い時期は水圧低下が起こる場合がある。
・水道本管断水時には供給ができない。
 
2)直結増圧給水方式
 
・増圧給水ポンプにより水道管の水圧に加圧し、水道本管から直接供給する方式。
・1日最大使用水量が50m3以下で10階程度までであればマンションでも利用できる。
〇メリット
・受水槽・高置水槽等が不要で清掃・点検及び維持管理費用がかからない。
・スペースを有効利用できる。
・直接的に新鮮な水が供給される
〇デメリット
・増圧給水ポンプの清掃・点検及び維持管理費用が必要。
・停電時には上層階で断水が生じる。
 
3)高置水槽給水方式
 
・水道本管からの水をいったん受水槽に貯めポンプにより高置水槽に送り揚げた上で各戸に給水する方式。
〇メリット
・停電になった場合でも、高置水槽に貯められた水を利用することができる。
〇デメリット
・受水槽・高置水槽等の清掃・点検及び維持管理が必要
・受水槽・高置水槽等の設置スペースが必要。
 
4)加圧給水方式
 
・水道本管からの水をいったん受水槽に貯め、高置水槽を設ける代わりに加圧ポンプにより圧送給水する方式。
〇メリット
・災害時等に断水になった場合でも受水槽に貯められた水を利用することができる。
・高置水槽が不要であり、外観・美観上よく、積載荷重の軽減を図ることができる。
〇デメリット
・受水槽の清掃・点検及び維持管理が必要
・停電時にはポンプ等が停止するため給水できない。
専有部の給水・給湯配管
1)先分岐方式
 
・水道メータや給湯機等の上流側から下流側に向けて、太い配管から各水栓ごとに配管を細い配管に分岐させていく。
〇使用管種
・銅管、ステンレス鋼管、ライニング鋼管、、塩ビ管
〇管径決定
・先分岐のため、配管各区間毎の設計が必要であり、金属管の場合は流速の制約がある。
・流速が小さいため、必要に応じて空気溜まり対策を考慮する。
〇配管経路、施工性
・他配管や構造物との取合いや曲がり部・接合部に制約が多い。
・継手接合部が多く、熟練した接合技術を必要とするものが多い。
〇補修・更新性
・隠蔽部での接合が多く、腐食や接合不良等による漏水等のトラブル発生要因が多い。
・隠蔽部でのトラブル発生時の処置も煩雑になる(床や内装等の解体・復旧工事、トラブル発生箇所、原因の調査・特定)。
〇施工費
・使用管種、設計条件にもよるが、さや管ヘッダー式配管工法に比べて施工費用は安い。
〇湯待ち時間
・使用関連系統の管路の保有水量が多く湯待ち時間が長くなりやすい。
〇同時使用の湯量安定性
・管径を大きめにしておかないと他水栓の影響を受けやすい。
〇熱伸縮対策
・給湯配管では、配管条件(直線配管長さ、曲がり部や接合部などの固定状態等)により熱伸縮対策が必要。
 
2)さや管ヘッダー方式
 
・ヘッダーを住戸内に設置して、そのヘッダーから管をたこ足状に分岐して、各給水・給湯栓ごとにそれぞれ単独で接続する方式。
・接続部がヘッダーと給水栓など末端器具との接続部分だけであり、その間は接続部がないため隠蔽部での漏水の危険性が少ない。
〇ヘッダーの設置位置
・通常は、床面より高い位置で、日常の点検や接続部からの漏水などの異常発生時の発見が容易にできるような場所に設置するのが良い。
〇使用管種
・架橋ポリエチレン管、ポリブテン管
〇管径決定
・単独系統の為、設計が簡略で、流速も比較的大きく取れ、管径も小さくできる。
・流速が大きく取れるため、通常は空気溜まり対策は不要。
〇配管経路、施工性
・長尺のフレキ管のため配管経路の設定は自由度が大きい。
・接合部はヘッダー部と水栓部だけであり、現場施工は容易。但し、融着接合は施工管理を十分に行う必要がある。
〇補修・更新性
・隠蔽部での接合がないため、トラブル発生の要因は少ない。
・トラブル発生時や配管更新の場合も、床や内装に関係なく配管替えが容易にできる。
〇施工費
・先分岐方式に比べて施工費は高い。
〇湯待ち時間
・小径管の単独系統のため管路の保有水量が少なく湯待ち時間が短い。
〇同時使用の湯量安定性
・単独系統の為、湯量は安定して得られる。
〇熱伸縮対策
・通常は特別な熱伸縮対策は不要。
 
3)ループ方式
 
・給湯器具や給湯栓を、直列に連結しあい、配管全体をループ状にする配管方式。
・温水暖房配管等では一般的に用いられるが、住戸内給湯配管での採用例は少ない。
直結方式への変更
(1)給水方式変更の検討
 
〇直結方式への変更
・高経年マンションでは、高置水槽給水方式が一般的だが、受水槽・高置水槽の劣化を契機に、給水システムを受水槽・高置水槽を必要としない水道本管直結給水方式や直結増圧給水方式に変更することが考えられる。
※受水槽は非常時の防災用水槽に転用することもある。
 
〇加圧給水方式への変更
・災害時等に断水になった場合に受水槽の水を利用できるメリットを重視し、高置水槽を必要としない加圧給水(ポンプ圧送)方式への変更も考えられる。
 
〇増圧改修
・高層マンションでは、上階において水圧や水量の不足が生じることがあるため、増圧改修を行うことが考えられる。
・高置水槽方式の場合、上階部分を別系統としてブースターポンプ等により増圧する。
・既存配管が十分に増圧に耐え得るものであること、パイプスペース、屋上回りに配管の盛り替えを行うスペースがあることが施工条件となる。
 
(2)直結方式への変更
 
1)直結方式へ変更するメリット
 
〇飲料水の品質
・直接的に新鮮な水が供給される。
 
〇受水槽の定期清掃・点検費用が不要
・小規模マンションで増圧ポンプを設置する場合は、増圧ポンプの法定点検費用と同程度となる場合もあるので要注意。
※受水槽の清掃費用は受水槽のサイズに応じて高くなるが、増圧ポンプの法定点検費用はポンプのスペックが上がっても台数が同じであれば費用は同等のため。
 
〇電気代の削減
・受水槽方式では貯水槽で一度水圧を大気圧にしてしまうのに対し、直結増圧方式の場合は水道管の水圧を利用し、水圧が足りないときにだけ補助的に増圧ポンプの電気エネルギーを利用するので電気代の節約になる。
 
〇停電時の水利用
・停電時は、受水槽方式は受水槽内の水のみ利用可能だが、直結増圧方式の場合は、低層階は引き続き利用できる。
 
〇受水槽の交換費用
・先々の受水槽交換費用が不要となる。
・地下ピットに受水槽が置かれている場合は、屋外に設置されている場合と比較して交換費用が高くなり、直結方式に変更する費用より高くなる場合が多い。
 
2)直結方式への変更の時期
 
・既存の給水ポンプ(加圧ポンプ、揚水ポンプ)の取替の時期、受水槽の取替の時期を考慮して、給水ポンプや受水槽が交換時期となる前に変更の検討を行う。
 
・給水ポンプの取替目安:14~18年
・受水槽の取替目安:26~30年
※貯水槽が地下ピット内に設置されている場合は、紫外線による劣化が少ないので、一般的に寿命はもっと長くなる。
 
3)増圧ポンプが必要か検討
 
・一般的には、低層階の場合は増圧ポンプを使わなくても各部屋に給水可能で、その地域の水圧によって、増圧ポンプが不要な階数が異なる。
・水道局にそのマンションの地域水圧を確認し、その水圧で建物最上階の末端給水栓まで増圧ポンプなしで給水可能か水理計算を行う。
 
〇東京都の場合
①直圧給水方式(増圧ポンプ不要)
・建物階高制限:3階まで。
②増圧直結給水方式(増圧ポンプ必要)
・建物階高制限:なし。水理計算上可能な範囲
③特例直圧給水方式(増圧ポンプ不要)
・現状の配水管の水圧で、建物の4階以上へ直接給水できる場合に、増圧給水設備の設置を留保し、特例として直圧で給水する方式
・建物階高制限:なし。水理計算上可能な範囲
 
4)直結方式への変更工事の注意点
 
●引込管の増径が必要となる場合がある
〇引込管とは
・道路の下にある水道局の本管からマンション敷地境界付近にある親メーターまでの配管のこと。
 
〇増径が必要な場合
・一般的に配管の口径は、配管内を流れる水量に応じて決められるが、水量が少なければ口径は小さく、水量が大きければ口径を大きくする。
・受水槽方式の場合は、受水槽に水を貯めておき、水の使用量が多い朝夕のピーク時には貯まった水を使うため、引込管を流れる毎分あたりの水量は少なくてすみ、引込管の口径も小さくてすむ。
・一方、直結増圧方式の場合、タンクに貯めないので、朝夕のピーク時には、引込管を流れる水が受水槽方式の場合より多くなる。
→直結増圧方式にする場合、現状よりも引込管の口径を太くする必要があるのか、調査が必要とる。
 高経年マンションでは、竣工当初より、世帯あたりの人数が減っていることが多く、使用水量も竣工当初からは少なくなっていることが多いため、引込管の増径が必要ない場合も多い。
 
〇引込管増径工事
・引込管を増径する場合、道路工事も必要となるが、東京都では令和4年時点では東京都が負担で実施できる。
 
●配管の耐圧試験結果によっては、給水管の更新工事も必要
・直結増圧化に伴い、増圧ポンプより先の配管内の水圧が高くなり、それとともに、経年劣化等で水圧に耐え切れずに、配管が漏水事故を起こすリスクも高まる。
→直結増圧化を行う前には、配管の耐圧試験を受ける必要がある。
・耐圧試験で不合格だった場合、増圧ポンプから先、パイプシャフト内の水道メーターまでの配管の更新が必要となる。
・特に、パイプシャフト内の水道メーターまわりの配管は、異種金属接合で腐食しやすく、市町村によっては、直結増圧化に伴い、水道メーターまわりをメーターユニットに配管しなおすことを義務化している場合もある。
 
●メーターバイパスユニットの設置
・水道メーターは8年に1度取替えるが、直結方式の場合、親メーター取替えの際、受水槽がないため、全戸断水となってしまう。
→これを避けるため、行政によっては直結化する際には親メーターに、メーターバイパスユニットの設置を義務付けている。
 メータバイパスユニットがあると、メータ引換時にはバイパス側を通水させ、断水を回避できる。
 
●吸排気弁の設置
・立上り管の最頂部に、吸排気弁等を設置する。
・必要に応じて、配管上で空気の溜まりやすい位置にも、吸排気弁等を設置する。
直結増圧方式への変更、施工(東京都の場合)
※参考 東京都水道局 指定給水装置工事事業者工事施行要領
※参考 東京都水道局 給水装置設計・施工基準(給水装置編)
 
(1)増圧直結給水の手続き
 
1)改造工事の設計審査及び工事検査
 
●設計審査
・工事着手前に設置しようとする給水装置の構造、使用材料及び施行方法が水道法施行令第6条及び都の施工基準に適合していることを確認するために行う。
〇提出書類
・「指定給水装置工事事業者設計審査申込書」及び設計図
・「貯水槽水道設置・変更・廃止届」
・「給水装置不使用兼撤去届」
・「三階までの例外・特例直圧給水・増圧給水設備設置条件承諾書」
・「増圧給水設備等(設置・変更・廃止)状況調査表」
・入館方法の報告
 
●工事検査
ⅰ)指定事業者の自主検査
・給水装置工事主任技術者は給水装置工事完了後、次により自主検査を行い、工事の適否を確認しなければならない。
 
①工事完成図(都に提出予定のもの)により、次の事項を確認すること。
ア 管の延長
イ 管の埋設深度
ウ 管の接合方法
エ 分岐、屈曲、径落し箇所及び工法
オ 逆流防止機器の設置状況、吐水口空間の確保及び器具の取付方法
カ メータ設置基準及びメータますの設置状況
キ クロスコネクションがないこと
ク 給水管防護方法
ケ 「給水装置設計・施工基準25 設計図及び完成図の作成方法」により、完成図が正しく作成されていること
②給水装置の構造及び材質
・政令第6条及び都施工基準に適合していることを確認すること。
③耐圧検査
・「給水装置設計・施工基準23 耐圧試験」により、耐圧検査を行い、漏水及び変形、破壊その他の異常がないことを確認すること。
④水質の確認
・「給水装置設計・施工基準12.5.2 給水装置工事完成時の水質確認」により、残留塩素測定等による水質の確認を行うこと。
⑤通水確認
・誤配管(クロス配管)の防止、吐水状況及びメータの逆取付がないことを通水により確認を行うこと。
 
ⅱ)指定給水装置工事事業者工事検査
・給水条例第6 条第2 項第2 号の規定に基づき、指定事業者が施行する給水装置工事が完了したときに、都が行う検査であり、工事場所を所管する取扱事業所へ申し込む。
〇提出書類
・「指定給水装置工事事業者工事検査申込書」
・「完成図」
 
2)既設配管を使用する場合の取扱い
 
・給水条例第32 条の3 の規定に基づき、あらかじめ当該配管材料の耐圧及び水質を確認する。
①耐圧の確認
・配管及び器具について、あらかじめ耐圧試験(試験水圧0.75MPa)を行い、漏水のないことを確認し、設計審査申込書に水圧試験実施日を赤書きで記入すること。
②水質の確認
・都が別に定める方法により水質試験(又は浸出性能試験)を行い、その結果書の写しを提示し、設計審査申込書に水質検査実施月日を赤書きで記入すること。
 
3)増圧給水設備設置者に対する指導
 
・増圧直結給水方式では、直圧方式の給水装置と異なりポンプ等の機器を使用して給水するため、機械部分等の故障により逆流の危険及び正常な各戸への給水が損なわれるおそれがある。
 そこで、1年以内ごとに1回以上点検を行う義務(給水条例施行規程第8 条の2)があることを設置者等へ理解させ、増圧直結給水方式における事故防止を図るため、「増圧給水設備以下の給水装置維持管理」を設備の設置者に手渡し、管理上の注意事項を周知する。
 
4)メータの設置されている既設の受水タンク以下装置を改造し、増圧給水設備以下で使用する場合
 
・この場合は、既設の受水タンク以下装置のメータ撤去手続と合わせて増圧給水設備以下の給水装置のメータ新設の手続が必要となる。
①受水タンク以下装置のメータ撤去の手続
〇提出書類
・「受水タンク以下装置メータ撤去承認申請書」
・「設計図」
・「受水タンク以下装置メータ撤去調書」
②増圧給水設備以下の給水装置のメータ新設の手続
〇提出書類
・「増圧給水設備以下メータ設置(新設)承認申請書」
・「増圧給水設備設置条件承諾書」
・「設計図」
・「指定給水装置工事事業者設計審査申込書 兼、増圧給水設備以下給水装置メータ設置(新設)調書」
・「入館方法の報告」
 
5)直結切替増径工事に関する取扱い
 
・貯水槽水道方式から直結給水方式への切替えに伴う給水管増径工事の申込みが所有者等からされ、事業の対象になるものについて、直結切替増径工事を都の負担により施行する。
・都が負担する、直結切替増径工事の取扱いは次による。
 
〇対象となる工事及び施行範囲
・貯水槽給水方式から直結給水方式へ変更する場合の改造工事において、指定事業者の流量計算結果により、給水管の増径工事が必要と判断されたもの。
・都が施行する直結切替増径工事の範囲は、原則として申込みのあった建物の前面道路に布設されている配水小管分岐部からメータまでとする。
 
〇申込方法
①提出書類及び記入方法
ア 「直結切替増径工事条件承諾書兼工事申込書」
イ 「委任状」
ウ 「給水管口径(増径)の選定基準となる流量計算書」
 
(2)増圧給水設備
 
1)増圧給水設備とは
 
・増圧給水設備は、増圧ポンプ、逆流防止用機器及び制御装置等で構成されたもので、日水協規格適合品(呼び径20~75 ㎜の製品)とする。
 
2)増圧給水設備の製品例
 
●増圧給水設備の主要構造
ア)増圧ポンプユニット
・増圧ポンプ、制御装置等で構成
イ)逆流防止用機器
 
●増圧給水設備の基本条件
・増圧設備下流側の水が配水管側に逆流しない構造であるように、逆流防止機器を増圧ポンプユニットの上流側(吸込み口)に近接して接続する。ただし、吸込み圧力が十分確保できない場合は、逆流防止機器を吐出側(吐出口)に近接して接続できる。
・増圧給水設備の吸込み側圧力を検出できるように、逆流防止機器の上流に圧力検出用機器を設置する。ただし、逆流防止機器を増圧ポンプユニットの吐出側に設置した場合には、同ポンプユニットの上流側(吸込み口)に圧力検出用機器を設置する。
・増圧給水設備内部には運転中に負圧が生じてはならない。
・空気が混入しない構造であること。
・ポンプ停止時に、配水圧により可能な高さまで給水できるバイパスを設けてあること。
 
3)逆流防止用機器、減圧式逆流防止器
 
・従来の受水槽方式では、吐水口空間により水の本管側への逆流を防止していたが、直結給水方式では受水槽を使用しない為、その吐水口空間に代わる逆流防止装置が必要となる。
・逆流防止用機器には減圧式逆流防止器を使用し、配水管側から止水弁、ストレーナ、逆流防止器、止水弁の順で構成されるものとする。また、機能確認ができるように上流側、中間、下流側に点検孔があること。
・減圧式逆流防止器は2つの逆止弁の間にダイアフラムにより動作する逃し弁を備えた中間室が設けられ、逆流及び逆サイホンに対して、中間室の水を逃し弁から排水して空間を作ることにより、管路を遮断する。
 
4)直結増圧ポンプの製品例
 
水道用直結加圧形ポンプユニット(増圧給水用)、公共建築工事標準仕様
https://www.teral.net/products/search/type?kishu=541000
 
●構成
・キャビネット形とする。
〇ポンプ
・2台以上
・電動機直動形とする。
〇圧力発信器等
・圧力を受圧エレメントで検出し、電気信号を発信するものとする。
〇制御盤
〇圧力タンク
・隔膜式とし、タンク本体は鋼板製で、接液部の防錆は樹脂粉体コーティング、樹脂ライニング、樹脂シート貼り等とし、衛生上無害なものとする。
〇電動機
〇バルブ類
〇逆流防止装置等
・直結加圧形ポンプユニットには水質を汚染しない、配水管の水圧に影響を与えない等の目的で逆流防止器を設置しなくてはならない。
・JWWA B 129(水道用逆流防止弁)又はJWWA B 134(水道用減圧式逆流防止器)によるもの。
・特記がない場合は吸込側に設ける。
 
●制御方式
・圧力発信器等からの信号によりインバーター制御を行い、末端圧力が一定となる吐出圧力を推定して圧力を制御する末端圧力推定制御とする。
・停電時に配水管の圧力により、直圧給水ができる構造とする。
 
●運転方式
・ポンプの切替えは小水量停止時に自動的に行われるものとする。
〇ポンプ2台の場合
・自動交互運転
〇ポンプ3台以上の場合
・予備機を設けた自動交互・並列運転とし、ローテーション機能を備えたものとする。
 
5)増圧給水設備の設置
 
・増圧給水設備の呼び径はメータ口径と同等以下とする。
・増圧給水設備の設置位置は、メータの下流側で保守点検及び修繕を容易に行える場所とし、これらに必要なスペースを確保する。また、維持管理の際の排水処理を考慮する。
・減圧式逆流防止器を設置する場合は、その吐水口からの排水等により、増圧給水設備が水没することなどのないよう、排水処理に考慮する。
 
6)増圧給水設備の維持管理
 
・増圧給水設備設置者等管理責任を有するものは、次の機能について1年以内ごとに1回の定期点検を行わなければならない。(東京都給水条例施行規程第8条の2)
ア 逆流防止機能
イ 運転制御機能
ウ ア及びイのほか正常な運転に必要な機能
 
(3)メータバイパスユニット
 
・メータバイパスユニットは、都の認証品とする。
・メータバイパスユニットは、第一止水栓(仕切弁B)以降に設置し、直近上流側に止水栓を設置すること。
※第一止水栓;給水管上に設置されている、宅地内の最初の栓
・メータバイパスユニットにおけるメータ設置方法は、メータ一次側の切換弁(盗水防止のため特殊な開栓器を使用)と二次側の仕切弁を操作し、設置する。
・メータを取り付けた後、スライドハンドルを結束バンドで固定し、回転を防止する。
 
(4)増圧給水設備以下の配管
 
1)配管方法
 
・停滞空気が発生しない構造とする。
・衝撃防止及び凍結防止のための必要な措置を構じる。
・各戸にメータが設置される場合は、メータに近接して上流側に止水器具を、下流側には逆止弁を設置する。
※メータユニット設置で対応可。
・メータ前後の配管は、規定に適合するものとする。
・低層階等で給水圧が過大になる場合には、必要に応じ減圧弁を設置するなどの措置を施す。
 
2)吸排気弁
 
●吸排気弁の設置
・立上り管の最頂部に、吸排気弁等を設置する。
・必要に応じて、配管上で空気の溜まりやすい位置にも、吸排気弁等を設置する。
 
●吸排気弁の機能
①排気機能(排気を円滑に行う)
・最頂部に滞留する空気を自動的に排除することによって、円滑な給水を促進し、ウォーターハンマ、脈動によるメータの誤作動および管内腐食を防止する。
②急速吸気機能(多量吸気を急速に行う)
・断水時等に、立上り配管内に負圧が発生した場合、負圧解消として管内に速やかに空気を吸引し、逆サイフォン現象を防止する。
③圧力下排気機能(圧力下排気を円滑に行う)
・ポンプメンテナンス時等に、管内に滞留する空気を充水しながら排気する。
・管内の圧力が大気圧以下になった場合、速やかに吸気弁が開き、確実に吸気動作を行うこと。
 
3)既存の受水タンク以下装置を流用する場合の特例措置
 
“指定給水装置工事事業者による事前確認”などの要件に適合する場合には、既存の受水タンク以下装置を増圧給水設備以下の給水装置に切り替えて使用することができる。
 
●指定給水装置工事事業者による事前確認
①既設配管の材質の確認
・「給水装置の構造及び材質の基準」に適合した製品が使用されていることを現場及び図面にて確認する。
②耐圧の確認
・受水タンク以下装置を給水装置に切替える場合の試験水圧は0.75MPaとし、1分間水圧を加えた後、漏水のないことを確認する。
③水質(又は浸出性能)の確認
・水質試験(又は浸出性能試験)を行い、該当する事項を確認する。
なお、設計審査申込の際には試験成績書を提示する。
〇水質試験(更生工事の履歴のない場合)
・直結給水ヘの切替え前において、水道法第20条第3項に規定する者による水質試験を行う。
・採水方法は、毎分5Lの流量で5分間流して捨て、その後15分間滞留させたのち採水するものとする。
・試験項目は、味、臭気、色度、濁度の4項目において、水道法第4条に定める水質基準を満足していることを確認する。
 
(5)共用の直圧給水栓の設置
 
・増圧給水設備の故障、停電及び水道施設の工事等による、一時的な出水不良が生じた場合に備えて増圧給水設備使用者が使用できる共用の直圧給水栓を設置する。
 
(6)増圧給水設備の設置に伴う耐圧試験
 
1)増圧給水設備以下の給水装置(増圧給水設備は除く)
 
・配管工事の一部又は全部が完了したときには耐圧試験を行う。
・試験圧力は配管の最低部において、ポンプ吐出圧の2倍又は1.75MPaのうち大きい数値とし、1分間保持する。
 
2)第1仕切弁より増圧給水設備までの給水装置(増圧給水設備は除く)
 
・試験圧力は1.75MPaとする。ただし、メータバイパスユニットを設置した場合は、この部分の配管の試験圧力は0.75MPaとする
※これは、流路切換弁の構造上、弁座漏れ試験を0.75MPaとしていることから、弁座の機能を損なわないよう0.75MPaの圧力で行うものである。
 
3)増圧給水設備の試験について
 
・増圧給水設備は、製造業者の工場において、既に必要な水圧試験を実施済である。
・増圧給水設備には、試験圧力がかかると損傷するおそれのある機器(圧力検出装置等)が取り付けられているため、現場での水圧試験は行わないこととする。
特例直結方式への変更、施工(東京都の場合)
※参考 東京都水道局 指定給水装置工事事業者工事施行要領
※参考 東京都水道局 給水装置設計・施工基準(給水装置編)
 
(1)特例直圧給水の手続き
 
1)特例直圧給水とは
 
・増圧直結給水の対象であるが、現状の配水管の水圧で建物最上階の末端給水栓までの直圧直結給水が可能な場合に、増圧給水設備の設置を留保し、特例として直圧直結給水が実施できるものをいう。
 
2)要件
 
・増圧ポンプの設置スペースを確保すること。
・既設の受水タンク以下装置を、特例直圧給水の給水装置に改造する場合は、耐圧及び水質の試験を行った結果において、「給水装置設計・施工基準」に規定する基準を満たすことが確認できること。
 
3)配水管最小動水圧の事前確認
 
・設計審査申込みに先立ち、所管する取扱事業所に調査を申請し、現地配水管の最小動水圧を確認する。
〇提出書類
・「三階までの直圧給水・特例直圧給水事前調査申請書」(様式42)
・「案内図」
 
4)改造工事の設計審査及び工事検査
 
●設計審査
・工事着手前に設置しようとする給水装置の構造、使用材料及び施行方法が水道法施行令第6条及び都の施工基準に適合していることを確認するために行う。
〇提出書類
・「指定給水装置工事事業者設計審査申込書」及び設計図
・「貯水槽水道設置・変更・廃止届」
・「給水装置不使用兼撤去届」
・「三階までの例外・特例直圧給水・増圧給水設備設置条件承諾書」
・「増圧給水設備等(設置・変更・廃止)状況調査表」
・入館方法の報告
 
●工事検査
ⅰ)指定事業者の自主検査
・給水装置工事主任技術者は給水装置工事完了後、次により自主検査を行い、工事の適否を確認しなければならない。
①工事完成図(都に提出予定のもの)により、次の事項を確認すること。
ア 管の延長
イ 管の埋設深度
ウ 管の接合方法
エ 分岐、屈曲、径落し箇所及び工法
オ 逆流防止機器の設置状況、吐水口空間の確保及び器具の取付方法
カ メータ設置基準及びメータますの設置状況
キ クロスコネクションがないこと
ク 給水管防護方法
ケ 「給水装置設計・施工基準25 設計図及び完成図の作成方法」により、完成図が正しく作成されていること
②給水装置の構造及び材質
・政令第6条及び都施工基準に適合していることを確認すること。
③耐圧検査
・「給水装置設計・施工基準23 耐圧試験」により、耐圧検査を行い、漏水及び変形、破壊その他の異常がないことを確認すること。
④水質の確認
・「給水装置設計・施工基準12.5.2 給水装置工事完成時の水質確認」により、残留塩素測定等による水質の確認を行うこと。
⑤通水確認
・誤配管(クロス配管)の防止、吐水状況及びメータの逆取付がないことを通水により確認を行うこと。
 
ⅱ)指定給水装置工事事業者工事検査
・給水条例第6 条第2 項第2 号の規定に基づき、指定事業者が施行する給水装置工事が完了したときに、都が行う検査であり、工事場所を所管する取扱事業所へ申し込む。
〇提出書類
・「指定給水装置工事事業者工事検査申込書」
・「完成図」
 
5)既設配管を使用する場合の取扱い
 
・給水条例第32 条の3 の規定に基づき、あらかじめ当該配管材料の耐圧及び水質を確認する。
①耐圧の確認
・配管及び器具について、あらかじめ耐圧試験(試験水圧0.75MPa)を行い、漏水のないことを確認し、設計審査申込書に水圧試験実施日を赤書きで記入すること。
②水質の確認
・都が別に定める方法により水質試験(又は浸出性能試験)を行い、その結果書の写しを提示し、設計審査申込書に水質検査実施月日を赤書きで記入すること。
 
6)受水タンク以下装置のメータを、特例直圧給水のメータに切り替える場合の手続き
 
・この場合は、既設の受水タンク以下装置のメータ撤去手続と合わせて特例直圧給水の給水装置のメータ新設の手続が必要となる。
①受水タンク以下装置のメータ撤去の手続
〇提出書類
・「受水タンク以下装置メータ撤去承認申請書」
・「設計図」
・「受水タンク以下装置メータ撤去調書」
②特例直圧給水の給水装置のメータ新設の手続
〇提出書類
・「特例直圧給水の給水装置メータ設置(新設)承認申請書」
・「増圧給水設備設置条件承諾書」
・「設計図」
・「指定給水装置工事事業者設計審査申込書 兼、特例直圧給水の給水装置メータ設置(新設)調書」
・「入館方法の報告」
 
7)直結切替増径工事に関する取扱い
 
・貯水槽水道方式から直結給水方式への切替えに伴う給水管増径工事の申込みが所有者等からされ、事業の対象になるものについて、直結切替増径工事を都の負担により施行する。
・都が負担する、直結切替増径工事の取扱いは次による。
 
〇対象となる工事及び施行範囲
・貯水槽給水方式から直結給水方式へ変更する場合の改造工事において、指定事業者の流量計算結果により、給水管の増径工事が必要と判断されたもの。
・都が施行する直結切替増径工事の範囲は、原則として申込みのあった建物の前面道路に布設されている配水小管分岐部からメータまでとする。
 
〇申込方法
①提出書類及び記入方法
ア 「直結切替増径工事条件承諾書兼工事申込書」
イ 「委任状」
ウ 「給水管口径(増径)の選定基準となる流量計算書」
 
(2)特例直圧給水の配管
 
1)配水管最小動水圧の事前確認
 
・特例直圧給水での施行を検討する場合は、設計審査申込みに先立ち、当該給水装置の工事場所を所管する取扱事業所に調査を申請し、現地配水管の最小動水圧を確認する。
 
2)配管構造等
 
●メータバイパスユニットの設置
・特例直圧給水は、あくまで増圧給水設備の設置を留保するものであることから、メータバイパスユニットは、増圧直結給水方式の取扱いにより設置する。
 
●配管形態
・停滞空気が発生しない構造とする。
・衝撃防止及び凍結防止のための必要な措置を構じる。
・親メータから、立上り配管入り口の間で、維持管理が容易な場所に、逆止弁を設置する。
・各戸にメータが設置される場合は、メータに近接して上流側に止水器具を、下流側には逆止弁を設置する。
※メータユニット設置で対応可。
・メータ前後の配管は、規定に適合するものとする。
・低層階等で給水圧が過大になる場合には、必要に応じ減圧弁を設置するなどの措置を施す。
 
●吸排気弁の設置
・立上り管の最頂部や配管上で空気の溜まりやすい位置に吸排気弁等を設置する。
 
3)既存の受水タンク以下装置を流用する場合の特例措置
 
“指定給水装置工事事業者による事前確認”などの要件に適合する場合には、既存の受水タンク以下装置を特例直圧給水の給水装置に切り替えて使用することができる。
 
●指定給水装置工事事業者による事前確認
①既設配管の材質の確認
・「給水装置の構造及び材質の基準」に適合した製品が使用されていることを現場及び図面にて確認する。
②耐圧の確認
・受水タンク以下装置を給水装置に切替える場合の試験水圧は0.75MPaとし、1分間水圧を加えた後、漏水のないことを確認する。
③水質(又は浸出性能)の確認
・水質試験(又は浸出性能試験)を行い、該当する事項を確認する。
なお、設計審査申込の際には試験成績書を提示する。
〇水質試験(更生工事の履歴のない場合)
・直結給水ヘの切替え前において、水道法第20条第3項に規定する者による水質試験を行う。
・採水方法は、毎分5Lの流量で5分間流して捨て、その後15分間滞留させたのち採水するものとする。
・試験項目は、味、臭気、色度、濁度の4項目において、水道法第4条に定める水質基準を満足していることを確認する。
 
4)共用の直圧給水栓の設置
 
・水道施設の工事等による、一時的な出水不良が生じた場合に備えて、増圧直結給水方式と同様に、共用の直結給水栓を設置する。

5)増圧給水設備の設置スペース
 
・特例直圧給水は、増圧給水設備の設置を留保して、特例として直圧直結給水を認めるものであることから、増圧給水設備の設置スペースを確保しなくてはならない。
・増圧ポンプの設置給水設備は、製造メーカや増圧ポンプの型式によって異なるが、増圧の点検寸法まで考慮して確保する必要がある。
 
6)特例直圧給水の実施に伴う耐圧試験
 
・配管工事が完了したときには耐圧試験を行う。
・試験圧力は配管の最低部において、1.75MPaかけ、1分間保持する。
・メータバイパスユニットを設置した場合は、この部分の配管の試験圧力は0.75MPaとし、メータバイパスユニット以降の配管の試験圧力は1.75MPa とする。
改良工事
給排水管改修工事の注意点

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