区分所有法 各種定義

〇建物の区分所有等に関する法律:1~5条
〇過去問
・管理業務主任者 H13問31、H14問32,38、H15問34、H16問40、H18問38、H19問35、H20問38、H22問39、H23問34、H25問39、H26問34,35,39、H27問39、H28問34,36、H29問34
・マンション管理士 H13問1,2,4,17、H14問3、H15問1-3、H16問6,31、H17問1-3、H18問1-3、H19問1、H20問18、H21問1,2,4,5、H22問1、H24問1,10、H25問1、H26問2,26、H27問1,3、H28問2、H29問1
 
 
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区分所有権、専有部分
●区分所有権、専有部分の定義
〇区分所有権(1条)
・一棟の建物に構造上区分された数個の部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものがあるときは、その各部分は、この法律の定めるところにより、それぞれ所有権の目的とすることができる。
 
○専有部分(2条3項)
・区分所有権の目的たる”建物の部分”をいう。
 
〇専有部分、共用部分
・専有部分を目的とする所有権をいい、共用部分の共有持分は含まれない。
 
〇一棟の建物に構造上区分された数個の部分を最初に一人で所有している場合は?
・上記定義より、この場合においても区分所有権と言える。(マン管H14問3)
 
〇上記定義の”数個の部分”は、法律上当然に専有部分や区分所有権の目的となるか?
・上記定義で”~それぞれ所有権の目的とすることが”できる”。”とあり、法律上当然に専有部分(区分所有権の目的)となるわけではない。(マン管H15問1)
 
●構造上と利用上の独立性
・構造上の独立性と利用上の独立性を備えていることが必要。
 
○利用上の独立性
・その部分が隣室を通行することなく、直接外部に出入りすることができるかどうかが基準。
・住居の場合、台所・洗面所、便所、浴室などの設備が存在していることも重要な要素となる。
・バルコニーやベランダは、緊急時の避難経路となっているので共用部分。
 
〇共用部分に属する設備
・”共用設備のあることは必ずしも専有部分と認めることの妨げにはならない”という判例があるので、専有部分にも共用部分に属する設備が存在することもある。
※構造上の独立性を有する車庫内に共用設備が設置されていたとしても、それが当該建物部分の小部分を占めるにとどまり、その利用管理によって車庫の排他的利用に格別の制限ないし障害を生じない限り、車庫は専有部分にあたらないとはいえない。”
 
(管業H16問40、管業H22問39、管業H25問39
 
●専有部分(区分所有権の目的とする場合)の用途
・住居、店舗、事務所、倉庫、駐車場、他建物としての用途に供することができるもの(駐車場も含まれる。
→特に規約の定めがない場合は上記用途で利用可能なので、住宅のみの使用に制限する場合は規約の定めが必要。
 
(マン管H21問4、マン管H27問3、マン管H30問4、管業H13問31、管業H26問35、管業H27問39、管業H28問34)
 
●専有部分の範囲
 
○区分所有法における専有部分の床面積(14条3項)
・壁その他の区画の内側線で囲まれた部分で計算。内法計算。
※規約で別段の定めが可能。
 
 
〇専有部分の範囲
①壁心説
・躯体は専有部分ということになり、マンションで加入する損害保険の対象外となってしまう。
・マンションの躯体部分を区分所有者が改良できることになってしまう。
 
②上塗り説
・専有部分を”上塗り”までとし、躯体部分を共用部分とする。
・標準管理規約ではこの説を採用。
※上塗り部分とは
・天井:躯体部分までの石膏ボードなどの部分。
・壁:躯体部分までのクロス、合板張り、ペイントなどの部分
・床:コンクリート躯体までのフローリング、設備配管などの部分。
 
③内法説
・専有部分は上塗り部分も含まない”空間のみ”とし、境界をすべて共有部分とする。
・内装工事を区分所有者のみの判断で行うことができなくなってしまう。
・区分所有法において床面積の算定について採用されている。
建物の部分、建物の附属物
●建物の部分の例
 
・エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、屋上、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎部分
 
●建物の附属物
 
・建物に附属し、効用上その建物と不可分の関係にあるものをいう。
・ガス・水道の配管や電気の配線など。
・エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネッ通信設備、テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配管
・上記の配管などは専有部分内にあるものは専有部分に属する場合があり、専有部分に属さないものは共用部分に該当することになる。
共用部分
●共用部分とは?(2条4項、4条)
 
①専有部分以外の建物の部分
②専有部分に属しない建物の附属物
・ガス・水道の配管や電気の配線など
③規約共用部分
・”建物の部分”及び”附属の建物”は、規約により共用部分とすることができる。
・その旨の登記をしなければ、これをもつて第三者に対抗することができない。
 
〇附属の建物
・附属の建物は、そのままでは共用部分ではなく、共用部分とするには規約の定めが必要。
〇敷地、附属施設
・敷地、狭義の附属施設は、”共用部分”とすることはできない。
 
●法定共用部分(4条)
 
・”数個の専有部分に通ずる廊下又は階段室その他構造上区分所有者の全員又はその一部の共用に供されるべき建物の部分は、区分所有権の目的とならない”。
・区分所有法で定められた共用部分で、規約によって法定共用部分を専有部分とすることはできない。
・その建物の部分の構造上の観点から共用部分と考えられる領域。(廊下、エレベーター、ベランダ、バルコニーなど)
・ピロティーにある駐車場・駐輪場所等は法定共用部分と解されている。
・電気室、屋上広告塔。
・構造上の観点から、”全体の”共用部分か”一部”共用部分かどうかが決まるので、規約の定めによって、”全体の”共用部分を”一部”共用部分とすることはできない。
 
〇管理受付室
①法定共用部分とされる例
・内部に集中管理する共用設備があり、常時来訪者と応対。受付者が常駐。
②規約共用部分とされる例
・管理する者が居宅として使用し、併せて管理事務を行っている場合。共用設備はなし。
③主たる部分の状況で判断される例
・上記①の形態であり、かつ、②の形態がある場合
 
〇一部共用部分
・一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分。
・下駄ばきマンションの下層階の店舗部分だけで使われるお客用や店舗の従業員専用の出入口、階段、エスカレーター、空気調節設備等や、上層階の住宅部分のためだけに使われる専用玄関、住居階専用のエレベーター、階段等。
附属施設、附属の建物
●附属施設の分類
 
イ)附属施設と附属の建物
 
・広義の附属施設
 ・①狭義の附属施設
 ・附属の建物
  ・②規約で共用部分と定めた附属の建物
  ・③上記以外の附属の建物
 
〇共用部分以外の建物の附属施設とは?
上記の①と③。
 
〇広義の附属施設
・狭義の附属施設 + 附属の建物
・”区分所有者の団体”が管理を行う対象に含まれる。(3条)
 
〇狭義の附属施設の例
・上記の附属の建物を含まない。
・塀、フェンス、駐車場、通路、自転車置場、ごみ集積所、排水溝、排水口、外灯設備、植栽、掲示板、専用庭、プレイロット等建物
 
〇附属の建物
・マンション本体とは別棟として建てられた集会室・車庫・倉庫・水道ポンプ室・下水道処理室等の本体建物に付随する建物。
・規約で共用部分とすることができる。
・規約で共用部分としない場合は民法の”共有関係”が適用される。
 
ロ)区分所有者の共有に属するか、非共有か
 
〇区分所有者の共有に属する場合
・附属施設が区分所有者によって共有される場合は、区分所有法の規定(17~19条)で管理される。
 
〇上記以外の場合
・特定の所有者、区分所有者以外の複数の所有者の共有、一部の区分所有者による共有などの場合は、民法の規定が適用されることになる。
 
ハ)共用部分と共用部分以外の附属施設
 
〇共用部分(規約で共用部分と定めた附属の建物)
・規約で共用部分と定めた附属の建物(4条2項)
・共用部分の共有関係(区分所有者全員又は一部の区分所有者で共有、持分割合)が区分所有法に規定される。規約で別段の定めが可能。
・一部共用部分の規定も適用。
・管理所有が可能
 
〇共用部分以外の建物の附属施設
・区分所有法の共用部分に関する規定のうち17~19条は適用されるが、11~16条(共有関係、持分割合など)は適用されない。
・一部共用部分の規定は対象外。
・管理所有の対象外。
敷地
●建物の敷地
・建物が所在する土地
・規約敷地
 
●法定敷地
・建物が建っている土地。
・不動産登記上の”筆”の概念を前提に、建物が乗っている土地、建物が踏んでいる土地を法定敷地という。
 
●規約敷地(5条)
・区分所有者が建物および法定敷地と一体として管理または使用をする庭、通路その他の土地で、規約により敷地とされたもの。
・建物が所在していない土地は、そのままでは”建物の”敷地とはいえない。
 
〇みなし規約敷地
・建物が所在する土地が建物の一部の滅失により建物が所在する土地以外の土地となつたときは、その土地は、前項の規定により規約で建物の敷地と定められたものとみなす。
・建物が所在する土地の一部が分割により建物が所在する土地以外の土地となつたときも、同様とする。
区分所有者の団体(3条)
・区分所有者は、”全員”で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。
 
●管理組合の成立
 
〇区分所有者が2人以上
・管理組合は、集会を開き意思決定をするところであり、複数の区分所有者の存在を前提にしている。
→専有部分が少なくとも一つは販売され、区分所有者の数が2人以上になったときに、管理組合が存在することとなる。
・区分所有者が1人で全部の専有部分を所有することになったときでも、その後再び区分所有者が複数現れる可能性がある以上、区分所有者の団体は当然には消滅しない。
 
〇設立のための手続き
・特に設立のための手続は要求されていない。
 
〇管理組合に規約は必須?
・規約の設定は任意のものであり、規約の設定がない管理組合であっても集会を開くことはできる。
 
〇管理組合に管理者は必須?
・管理者の制度は任意。
・区分所有者は、”全員”で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成するとされるので、区分所有関係が成立したときに当然に成立する。
 
●管理組合、権利能力なき社団
 
・登記することはできない。
・”団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続し、しかしてその組織によつて代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定しているものでなければならない”
・マンション管理組合に関しては、区分所有法の規定があるので、マンション管理組合が”団体としての組織をそなえ、そこには多数決の原則が行なわれ、構成員の変更にもかかわらず団体そのものが存続”するという要件は満たしており、また”総会の運営”についても区分所有法で定められているため要件を満たすと思われる。
・区分所有者の団体が、権利能力なき社団と認められるためには、管理者及び規約が定められている必要がある。
 
●訴訟
 
・権利能力なき社団に該当する場合は、その名において訴訟当事者となることができる。
非法人の管理組合は、いわゆる”権利能力なき社団”だが、管理規約に代表者の定めがあれば(裁判所へ管理規約のコピーを提出してそのことを証明)、訴訟の当事者となることができる(民事訴訟法29条)。
 
・マンション管理組合が組合名で訴訟を提起するには、”代表の方法”や”財産の管理その他団体としての主要な点が確定”していればよいものと考えられる。
注)区分所有者の団体が、権利能力なき社団と認められるためには、管理者及び規約が定められている必要がある、とされている。
 
○法人の場合
・理事や監事を置くなどの要件を満たす必要がある。
 
●一部管理組合(3条)
 
・一部の区分所有者のみの共用に供されるべきことが明らかな共用部分(一部共用部分)をそれらの区分所有者が管理するときは、棟の管理組合が成立するだけでなく、その一部共用部分を管理するための管理組合が成立する。
・区分所有建物で下層階と上層階の用途が分かれている、いわゆる複合用途型の区分所有建物においては、各層ごとに一部共用部分を管理する管理組合が成立しうる。

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