区分所有法 規約

〇建物の区分所有等に関する法律:30~33条
〇過去問
・管理業務主任者 H13問37、H14問33,35,41、H15問32,34、H16問33、H17問29、H18問37、H19問29,33、H20問35、H22問31,35、H23問39、H25問35,38、H27問29,33,39、H28問33,34,39、H29問37
・マンション管理士 H13問1,7,34、H14問3,27,28,30、H15問5,7、H16問5、H17問2,8、H18問7,8,10、H19問1,7、H20問26,27、H21問7,8、H22問1,2、H23問1、H24問3,4,25、H25問3,6,7,10,30、H26問5,9、H27問25、H28問6,7、H29問8
 
 
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規約の概要
●規約事項(30条)
 
〇規約とは?
・管理または使用に関する”区分所有者相互間”の事項。
→区分所有者と区分所有者者以外の第三者との間の事項を規約で定めることはできない。規約の設定により、区分所有者以外の者の権利を害することはできない。
・”建物”としか規定されておらず、共用部分だけでなく、専有部分も対象とすることができる。ただし、専有部分の処分についての定めは不可。
 
〇規約の衡平性
・形状、面積、位置関係、使用目的及び利用状況並びに区分所有者が支払った対価その他の事情を総合的に考慮して、”区分所有者間”の利害の衡平が図られように定めなければならない。
・原始規約(分譲業者によって作成された最初の規約)によって紛争が生じた事例があった。
例)分譲業者が分譲後の自己または等価交換方式で区分所有者となる地主の利益を図るため、元地主に駐車場専用使用権を無償で取得させたり、管理費の割合を他の区分所有者より低く定めたりする規約を設定した例があり、訴訟になったケースもある。
 
〇規約の作成
・書面又は電磁的記録により作成しなければならない。
 
●規約で定める事項
 
①絶対的規約事項(規約で定める必要がある事項)
〇規約共用部分・規約敷地に関する事項(4条2項・5条1項)
〇共用部分に関する事項
・共用部分の共有関係(11条2項)
・共用部分の持分の割合(14条4項)
・共用部分の変更に関する定数の削減(17条1項但書)
・共用部分の負担および利益収取の割合(19条)
〇敷地利用権に関する事項
・専有部分と敷地利用権の分離処分の許容(22条1項但書)
・各専有部分に対する敷地利用権の割合(22条2項但書)
〇管理者に関する事項
・管理者の権利義務(26条1項)
・管理所有(27条1項)
・第三者に対する区分所有者の責任の負担割合(29条1項但書)
〇集会に関する事項
・集会招集請求権の定数の削減(34条3項但書)
・集会の招集通知期間の短縮と建物内掲示通知(35条1,4項但書)
・通知事項以外の事項に関する集会の決議(37条2項)
・集会での議決権割合と議決定数の変更(38条。39条1項)
〇管理組合法人
・理事が数人いる場合の事務決定方法(49条2項)
・理事の互選による代表理事の定め(49条5項)
・理事の任期(49条6項)
・解散した管理組合法人の残余財産の帰属(56条)
〇その他
・建物の価格の1/2以下の滅失の場合の復旧方法(61条4項)
・建替えに関する決議事項を会議の目的とする集会の招集通知期間の伸長(62条4項但書)
 
②相対的規約事項(集会決議でも可能な事項)
・共用部分の管理に関する事項(18条2項)
・管理者の選任および解任(25条1項)
・管理者の訴訟追行権(26条4項)
・管理者がいない場合の規約、議事録の保管者(33条1項但書他)
・電磁的方法による議決権行使(39条3項)
・集会における議長の選任(41条)
・管理組合法人が事務に関し、原告又は被告となる(47条8項)
・管理組合法人の代表理事および共同代表の定め(49条5項)
・管理組合法人の理事の代理行為の委任の禁止(49条の3)
・管理組合法人の事務の執行(52条1項)
・管理組合法人が解散した時の清算人(55条の3)
 
③規約で別段の定めをすることができない事項
・一部共用部分の原則の変更(全員の利害に関係するものと一部共用者で管理する定めは不可)
規約の設定、変更および廃止(31条)
・区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による集会決議によって行う。
・規約の設定、変更および廃止が一部の”区分所有者の権利”に特別の影響を及ぼすべきときは、その者の承諾を得なければならない。
※占有者の承諾を得る必要はない。賃借人は意見を述べる権利のみ持つ。
 
〇承諾不要の例
・1階が店舗、2階以上が住宅の複合用途マンションで、1階店舗の外装工事を行う場合の合理的な制限を新設。
→マンションの外壁は共用部分であり、その外装工事に合理的な制限を設けることは、他の区分所有者の受忍限度の範囲内である。
 
〇承諾必要の例
・管理費の負担割合を、”専有部の床面積に応じて”、から、”同一にする”、と規約を変更する場合。
公正証書による規約の設定(32条)
・”最初”に建物の”専有部分の全部”を所有する者は、公正証書により、規約を設定することができる。
 
○”公正証書”とは?
・公正証書とは、公証人によって作成される公文書のこと。
・公証人は、実務経験を有する法律実務家の中から法務大臣によって任命される公務員。
公証人は全国に300程存在する公証役場にて執務している。
 
○”最初に建物の専有部分の全部を所有する者”とは?
・新築分譲マンションの専有部分を原始的に取得する分譲業者
・単独所有の1棟の建物を新たに区分して成立する専有部分の全部を所有することになる者。
・自己所有の賃貸用の建物を区分することによってその専有部分の全部を区分所有者として所有することになった不動産業者。
・中古マンションの専有部分のすべてを所有するに至った場合は不可。
 
○公正証書による規約で定めることができる事項
・規約共用部分に関する定め
・規約敷地に関する定め。
・専有部分と敷地利用権との分離処分を認める定め。
・専有部分と一体化される敷地利用権の割合
・最初に建物の専有部分の全部を所有する者であれば、その間は公正証書による規約の設定と同様の手続により、その規約を廃止することもできる。
 
○背景
・区分所有建物の専有部分の表示に関する登記は、一括して申請しなければならず、分譲業者は、表示に関する登記をする時点で、公正証書によって規約を設定することができる。例)管理人室や集会室などを、分譲前から規約共用部分と定めるような場合。
 
〇公正証書以外の新築分譲後の規約成立方法
・新築マンションの分譲においては、一般的に全区分所有者からの合意書面によって規約を成立させる方法が取られている。
 
※書面または電磁的方法による決議(45条)
・区分所有者全員の書面または電磁的方法による合意があった場合は、集会を開かなくても集会決議があったものとみなされる。
規約の保管及び閲覧(33条)
●保管者
○管理者がいる場合の保管者
・管理者
○管理者がいない場合の保管者
・建物を使用している区分所有者
・”建物を使用している区分所有者”の代理人で、規約又は集会の決議で定める者
 
●規約の保管場所
・建物内の見やすい場所に掲示しなければならない。
 
●規約の閲覧
・利害関係人の請求があつたときは、正当な理由がある場合を除いて、規約の閲覧を拒んではならない。
 
〇規約が電磁的記録で作成されているときの閲覧方法(施行規則2条)
・電磁的記録に記録された情報の内容を紙面又は出力装置の映像面に表示させて閲覧する。

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