単体規定 特殊建築物等の内装制限

〇建築基準法:35条の2
〇過去問
・管理業務主任者 2014問17、2020問17
・マンション管理士 
 
 
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内装制限の概要(35条の2)
●目的
 
〇避難経路の確保
・天井・壁の内装材が燃えやすいかったり有毒ガスを発生する建材を用いたのでは、火災を拡大させたり避難上の障害となるおそれがある。
 
〇フラッシュオーバーを防ぐ
※フラッシュオーバー
・火災発生時、室内の局所的な火災が数秒から数十秒というごく僅かな時間で全体に拡大する現象の総称。
・フラッシュオーバーを機に火災は急激に拡大延焼し、避難者もこれに巻き込まれて死亡することがある。
・天井、壁などを不燃化することによって、火災時に内装材への着火を遅らせ、フラッシュオーバーを抑制し避難の時間を長くする。
 
〇天井や壁の上部に防火材料を用いて不燃化を図る
・室内の局所的な火災によって熱せられた天井や煙層からの放射熱により、火の元やその他の可燃物が外部加熱を受けることで、急速に延焼が拡大して全面火災にいたる。
・建物内で火災が拡大していくのは、火災が天井を這うように燃え広がっていくため。
 
●居室等に対する規制の考え方
 
・火災時の逃げ遅れなどに配慮し、就寝利用の建物や不特定多数が利用する建物などの居室を規制対象とする。
 
●通路等(廊下・階段)に対する規制の考え方
 
・火災時における確実な避難を実現するため、上記のような内装制限の対象となる居室から、地上に通ずる廊下・階段等を規制対象とする。
内装制限の対象、内容
・特殊建築物等は、政令で定めるものを除き、政令で定める技術的基準に従って、その”壁”及び”天井”の室内に面する部分の仕上げを防火上支障がないようにしなければならない。
・用途、構造、規模等に応じて、その壁及び天井の室内に面する部分の仕上げに、不燃材料、準不燃材料、難燃材料を用いることが必要。
※”床”は内装制限を受けない。
 
●対象
①特殊建築物(劇場類、ホテル、共同住宅類、百貨店類等)
②階数が3階以上、延べ1,000㎡をこえる建築物
③政令で定める窓その他の開口部の無い居室を有する建築物。
④調理室、浴室その他火を使用する設備を設けたもの
 
●用途:共同住宅
①耐火建築物(特定避難時間が1時間以上の準耐火構造も含む)
・3階以上の部分の床面積の合計が300㎡以上のもの[200㎡以内に準耐火構造で防火区画されたものは除く]
②準耐火建築物
・2階の部分の床面積の合計が300㎡以上のもの
③その他建築物
・床面積の合計が200㎡以上のもの
〇居室等:難燃材料
・壁のうち床面から1.2m以下の部分は対象外。
・3階以上の階を特殊建築物の用途とする場合、天井は準不燃材料で仕上げる必要がある。
※壁を難燃材料としなくてもよい居室(平12建告1439号)
・難燃材料としなければならない居室の天井を”準不燃材料”とする場合、壁は木材(25㎜厚以上)、合板、せっこうボードなどを用いることができる。
〇通路・階段等:準不燃材料
・避難階段・特別避難階段の場合、内装及び下地を不燃材料としなければならない
 

●規模
・階数が3以上で延べ面積が500㎡を超えるもの
・階数が2で延べ面積が1,000㎡を超えるもの
・階数が1で延べ面積が3,000㎡を超えるもの
〇居室等:難燃材料
・壁のうち床面から1.2m以下の部分は対象外。
〇通路・階段等:準不燃材料
・避難階段・特別避難階段の場合、内装及び下地を不燃材料としなければならない
 
●内装制限上の無窓居室
〇居室等:準不燃材料
〇通路・階段等:準不燃材料
・避難階段・特別避難階段の場合、内装及び下地を不燃材料としなければならない
 
・床面積が50㎡を超える居室で窓等開放できる部分(天井から下方80cm以内の部分に限る)の面積の合計が床面積の1/50未満のもの
 
●火気使用室
a)住宅
〇対象建築物
・階数:2以上(最上階を除く)
・主要構造部が耐火構造のものは除く
〇居室等:準不燃材料
b)住宅以外
〇居室等:準不燃材料
注)abいずれも、主要構造部を耐火構造とした建築物の火気使用室は内装制限の適用は受けない。

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