地区計画等

〇都市計画法:12条の4~13、58条の2
〇過去問
・管理業務主任者 
・マンション管理士 H15問22、H18問22、H28問20
 
 
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地区計画等
1)地区計画等(12条の4)とは
 
・”地区計画等”とは、次の都市計画の総称をいう。
①地区計画
②防災街区整備地区計画(密集市街地整備法)
③歴史的風致維持向上地区計画(地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律)
④沿道地区計画(幹線道路の沿道の整備に関する法律)
⑤集落地区計画(集落地域整備法)
 
・いずれも比較的狭い範囲の地区において、その地区の特性を活かした個性ある街並みの実現を図ることを目的としている。
 
2)地区計画等の都市計画で定める事項
 
〇必須事項
・地区計画等の種類、名称、位置及び区域。
〇定めるよう努める事項
・区域の面積その他の政令で定める事項。
地区計画の概要
1)地区計画とは(12条の5)
 
・建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画。
・地域の特性に合わせたきめ細かな街づくりをするための都市計画。
例)
・主として街区内の居住者等の利用に供される道路や小さな公園等の整備
・緑化の推進
・建物の色彩や形態について規制
 
●地区計画の種類
〇一般型(12条の5)
〇再開発等促進区を定める地区計画(12条の5)
〇誘導容積型(法12条の6)
・区域:公共施設が未整備のため、土地の有効利用が図られていない区域
・目的:公共施設を伴った土地の有効利用を誘導する
〇容積適正配分型(法12条の7)
・区域:適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域
・目的:地区特性に応じた容積率規制の詳細化を図り、良好な市街地環境の形成を図る
〇高度利用型(法12条の8)
・区域:適正な配置及び規模の公共施設を備えた土地の区域
・目的:敷地の統合を促進し、有効な空地を確保し、機能更新に必要な用途の導入を行い、土地の高度利用を図る。
〇用途別容積型(法12条の9)
・区域:地区の特性に応じ、住宅とそれ以外の用途とを適正配分し、住宅供給の促進を図る区域
・目的:住宅部分の容積を緩和し、立地誘導を図る
〇街並み誘導型(法12条の10)
・区域:地区の特性に応じた高さ・配列・形態、工作物の設置の制限などの規制を定めて、建築物の形態の緩和を行い、統一的な街並みを誘導する区域
・目的:壁面の位置を制限し、適切な幅員の道路などを確保することにより、良好な市街地環境の形成を図る
〇立体道路制度(法12条の11)
・区域:都市計画道路の整備と道路上の建築物等の整備を一体的に行う区域
・目的:道路整備の進捗と一体となる建築物等を含む市街地環境を良好に維持する。
 
2)地区計画の都市計画で定める事項
 
・”地区計画等”で定める事項に加え、以下を定める。
〇必須事項
・地区整備計画
 
〇定めるよう努める事項
・地区計画の目標
・当該区域の整備、開発及び保全に関する方針
 
●指定できる地域
〇用途地域が定められている土地の区域
〇途地域が定められていない土地の区域
・一定の要件を満たせば指定することができる。
〇市街化調整区域に指定する場合
・市街化区域における市街化の状況等を勘案して、地区計画の区域の周辺における市街化を促進することがない等当該都市計画区域における計画的な市街化を図る上で支障がないように定めること。
〇準都市計画区域
・指定できない。
 
●市町村の条例に基づく規制(建築基準法68条の2)
・市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画等が定められている区域に限る。)内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。
→用途制限についての緩和も可能(国土交通大臣の承認が必要)。
 
3)地区整備計画
 
〇地区整備計画とは
・地区施設(主として街区内の居住者等の利用に供される道路、公園その他の政令で定める施設)及び建築物等の整備並びに土地の利用に関する計画、のことをいう。
・地区整備計画では、地区計画の目的を達成するために地区計画毎に具体的にその内容が定められている。

〇地区整備計画で定めることができる事項
①地区施設の配置及び規模
②築物等の用途・形態等の制限
・建築物等の用途の制限
・建築物の容積率の最高限度又は最低限度
・建築物の建ぺい率の最高限度
・建築物の敷地面積又は建築面積の最低限度
・壁面の位置の制限
・壁面後退区域における工作物の設置の制限
・建築物等の高さの最高限度又は最低限度
・建築物等の形態又は色彩その他の意匠の制限
・建築物の緑化率の最低限度
・その他建築物等に関する事項で政令で定めるもの
③現に存する樹林地、草地等で良好な居住環境を確保するため必要なものの保全に関する事項
 
注)”市街化調整区域内において定められる地区整備計画については、建築物の容積率の最低限度、建築面積の最低限度及び建築物等の高さの最低限度を除く。”
→市街化調整区域は、建物の建築は原則として規制されているため。
 
〇地区整備計画を定めない場合
・地区計画を都市計画に定める際、当該地区計画の区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることができない特別の事情があるときは、当該区域の全部又は一部について地区整備計画を定めることを要しない。
 
4)地区計画の決定
 
〇決定権者
・市町村が決定する。
 
〇住民の意見(16条)
・都市計画で定める地区計画の案は、当該区域内の土地所有者などの利害関係人(土地所有者、借地権者、抵当権者など)の意見を求めて作成しなければならない。
 
5)建築等の届出(58条の2)
 
・地区計画の区域(再開発等促進区、開発整備促進区、地区整備計画が定められている区域に限る)内においては、一定の行為は市町村長に届出をしなければならない。
 
〇届出
・土地の区画形質の変更、建築物の建築等を行おうとする者は、当該行為に着手する日の”30日前まで”に、一定の事項を市町村長に届け出なければならない。
 
〇例外(届出不要)
・通常の管理行為、軽易な行為
・非常災害のため必要な応急措置として行う行為
・国又は地方公共団体が行う行為
・都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
・開発許可を要する行為
・その他
 
〇市町村長の勧告
・市町村長は、届出に係る行為が地区計画に適合しないと認めるときは、設計の変更その他の必要な措置をとることを勧告することができる。
再開発等促進区
1)再開発等促進区とは
 
・”土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とを図るため、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備を実施すべき区域”、のことをいう。
・次に掲げる条件に該当する土地の区域において、都市計画に定めることができる。
①現に土地の利用状況が著しく変化しつつあり、又は著しく変化することが確実であると見込まれる土地の区域であること。
②土地の合理的かつ健全な高度利用を図るため、適正な配置及び規模の公共施設を整備する必要がある土地の区域であること。
③当該区域内の土地の高度利用を図ることが、当該都市の機能の増進に貢献することとなる土地の区域であること。
 
例)”土地の高度利用”
→工場、倉庫の跡地などの低利用地などについて、土地の利用転換を推進するもの。
例)”適正な配置及び規模の公共施設を整備する必要
→再開発でビル等の建設だけけではなく、道路又は公園、緑地、広場その他の公共空地等の公共施設も整備する。
例)壁面の位置の制限も、土地の高度利用を図る際に、建築物の周囲の道路における歩行用通路を補完する必要がある場合には、これを積極的に活用することもできる。
 
〇指定できる地域
・用途地域が定められている土地の区域。
 
2)都市計画で定める事項
 
・地区計画で定める事項に加え、以下を定める。
〇必須事項
・道路、公園その他の政令で定める施設(都市計画施設及び地区施設を除く)の配置及び規模
 
〇定めるよう努める事項
・土地利用に関する基本方針
 
〇都市計画基準(13条)
・土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進とが図られることを目途として、一体的かつ総合的な市街地の再開発又は開発整備が実施されることとなるように定めること。
 この場合において、第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域及び田園住居地域については、再開発等促進区の周辺の低層住宅に係る良好な住居の環境の保護に支障がないように定めること。
開発整備促進区
1)開発整備促進区
 
・”特定大規模建築物劇場(店舗、飲食店その他これらに類する用途に供する大規模な建築物)の整備による商業その他の業務の利便の増進を図るため、一体的かつ総合的な市街地の開発整備を実施すべき区域”、のことをいう。
・次に掲げる条件に該当する土地の区域において、都市計画に定めることができる。
①現に土地の利用状況が著しく変化しつつあり、又は著しく変化することが確実であると見込まれる土地の区域であること。
②特定大規模建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進を図るため、適正な配置及び規模の公共施設を整備する必要がある土地の区域であること。
③当該区域内において特定大規模建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進を図ることが、当該都市の機能の増進に貢献することとなる土地の区域であること。
④第二種住居地域、準住居地域若しくは工業地域が定められている土地の区域又は用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)であること。
 
〇建築する建築物の用途
・劇場、店舗、飲食店その他これらに類する用途に供する大規模な建築物。
※再開発等促進区は、”土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の増進”とを図るとされており、劇場、店舗、飲食店等の特定大規模建築物等に用途は限定されていない。
〇指定できる地域
・第2種住居地域、準住居地域、工業地域、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く)
※第2種住居地域、準住居地域、工業地域は、大規模な集客施設の立地が原則として制限される地域で、道路等の公共施設を整備するならば、この用途制限を緩和して特定大規模建築物を建築できるようにしている。
※再開発等促進区では、用途地域が定められていればよかったのに対し、開発整備促進区では用途地域が制限されている点が異なる。
 
例)
・工業地域にある工場跡地を活用して、大規模なショッピングモールを建設する計画がある場合。
→現状の工業地域としての用途地域に係る規制内容はそのままにした上で、特定大規模建築物を建てる土地に限り用途制限を緩和し特定大規模建築物を建てられるようにする。
・”市街化調整区域を除く用途地域が定められていない土地の区域”の例
→インターチェンジと都市を結ぶ幹線道路の利便を活用して大規模店舗を建設するプロジェクトなどが挙げられる。
 
●10,000m2超の大規模集客施設の建築と開発整備促進区
・店舗、映画館、アミューズメント施設、展示場等で床面積が1万m2超のものは、原則として、用途地域が近隣商業地域、商業地域、準工業地域に指定されている土地に限って立地できる。
→開発整備促進区に指定することによって、第2種住居地域、準住居地域、工業地域においても立地が認められる。また、非線引き都市計画区域の白地地域に開発整備促進区を指定することもできる。
 
2)都市計画で定める事項
 
・地区計画で定める事項に加え、以下を定める。
〇必須事項
・道路、公園その他の政令で定める施設(都市計画施設及び地区施設を除く)の配置及び規模
 
〇定めるよう努める事項
・土地利用に関する基本方針
 
〇地区整備計画に定めることができる事項(12条の12)
・劇場、店舗、飲食店その他これらに類する用途のうち当該区域において誘導すべき用途及び当該誘導すべき用途に供する特定大規模建築物の敷地として利用すべき土地の区域
 
〇都市計画基準(13条)
・特定大規模建築物の整備による商業その他の業務の利便の増進が図られることを目途として、一体的かつ総合的な市街地の開発整備が実施されることとなるように定めること。
 この場合において、第二種住居地域及び準住居地域については、開発整備促進区の周辺の住宅に係る住居の環境の保護に支障がないように定めること。

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