失火責任法

(1)失火責任法の概要
(2)債務不履行に基づく損害賠償責任
 
〇過去問
・マンション管理士 H19問15、H28問16
 
 
(1)失火責任法の概要
 
●失火責任法
・民法第709条の規定は、失火の場合には、適用しない。ただし、失火者に重大な過失があったときは、この限りでない。
 
●不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任
・不法行為責任の一般原則について規定した民法709条によれば、失火により他人に損害を与えた場合、失火者は、その失火につき”故意又は過失”があれば損害賠償責任を負う。
 しかし、失火(軽過失)による不法行為の場合は民法709条を適用せず、重過失がある場合のみ損害賠償責任を負い、軽過失による失火の場合は損害賠償責任を負わないとされた。
 
〇使用者責任との関係
・被用者の重大な過失によって火災が発生した場合、使用者は、被用者の選任・監督について重大な過失がなくても、損害賠償責任(使用者責任)を負うとされている(判例)。
 
〇故意の場合
・故意の場合は”失火”該当しないので本法は適用されず、本則である民法709条が適用される。
 
(2)債務不履行に基づく損害賠償責任
 
・失火責任法の対象は”不法行為(民法709条)に基づく損害賠償責任”であり、債務不履行に基づく損害賠償責任(民法415条以下)については本法の適用はない。
・例えば賃貸借契約に基づいて借りたマンションの一室を失火により燃やしてしまった場合、借主が貸主に対して原状回復して返還しなければならないとする債務の不履行に基づく賠償責任は、たとえ軽過失であったとしても免れることはできない。

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