委任、寄託

〇民法:643~666条
〇過去問
・管理業務主任者 H13問1,3,4、H14問1、H16問2、H18問2、H19問2、H23問1,2、H24問4、H26問5、H29問6
・マンション管理士 H15問14、H26問4
 
 
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委任の概要
●委任(643条)とは
 
・依頼者(委任者)が契約の締結や解除といった法律行為(意思表示により権利義務に変動を与える行為)を受任者に委託することを目的とした契約。
・当事者間の”信頼関係”というのが基礎にある。
・成立にあたり、委任状の交付などは必ずしも必要ではない。
 
〇代理との違い
・代理人が相手に対して代理行為を行うと、その行為の効果は本人に直接帰属する。
→代理は、本人・代理人・相手方の三面関係。
・委任というのは、委任者と受任者の関係。
・委任契約だけでは、AB間の内部関係しか規律しないが、代理権も授与しておくと、相手方Cとの関係も含めて、その効果を及ぼすことができる。
・受任者は、当事者として顕名をすることなく事務処理を行う。
 
●準委任とは(656条)
 
・発注者(委任者)が、法律行為以外の事務を受注者に依頼するタイプの契約。
 
〇法律行為とは
・それを行うことにより法的な権利が発生したり消滅したりする行為のこと。
・契約や遺言など。
・システムの開発やITサービスは通常、法的な権利の発生や消滅を招く行為ではないので、法律行為とはならない。
・管理業者への管理委託など。
・マンション管理組合とその管理者との関係も、区分所有法に規定されていない事項は、民法の委任の規定が適用される。
受任者の義務
〇善管注意義務(644条)
・受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。
・その者が従事する職業、その社会的地位・経済的地位などに応じて一般的に要求される注意。
・無償の委任契約であっても、注意義務は軽減されない。
 
〇自己服務義務(644条の2)
・原則として、自ら委任事務を処理し、第三者に任せてはならない。
・受任者は、委任者の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、復受任者を選任することができない。
 
〇報告義務(645条)
・委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告しなければならない。
・委任が終了した後は、遅滞なく必ず自らその経過及び結果を報告しなければならない。
 
〇受け取った物の引渡し義務(646条)
・その収取した果実についても、同様とする。
 
〇利息支払・損害賠償義務(647条)
・金銭の使い込みなどをした場合。”消費した日”以後の利息を支払う。
・受任者の故意・過失の有無、損害の証明の有無を問わず、当然に法定利息を請求することができる。さらに損害の証明があれば、法定利息以上の損害賠償も請求できる。(一般の損害賠償の例外である419条に対して、さらに例外を認めたもの)
受任者の権利
〇受任者の報酬(648条)
・原則は無償だが、特約で有償の場合は、後払い。
・受任者は、次に掲げる場合には、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。
①委任者の責めに帰することができない事由によって委任事務の履行をすることができなくなったとき。
②委任が履行の中途で終了したとき。
 
〇費用の前払請求(649条)
・委任事務を処理するについて費用を要するときは、委任者は、受任者の請求により、その前払をしなければならない。
 
〇立替費用償還義務(650条)
・受任者は、委任事務を処理するのに必要と認められる費用を支出したときは、委任者に対し、その費用及び支出の日以後におけるその利息の償還を請求することができる。
・費用のほか、支払日以後の利息を請求することができる。
 
〇損害賠償請求(650条)
・受任者は、委任事務を処理するため自己に過失なく損害を受けたときは、委任者に対し、その賠償を請求することができる。
 この損害賠償責任は、委任者の無過失責任とされており、委任者の指図について過失がない場合でも同様である。
委任の解除、終了
●解除(651条)
・委任は、各当事者が”いつでも”その解除をすることができる。
・当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは、その当事者の一方は、相手方の損害を賠償しなければならない。ただし、相手方にとって不利なときであっても、やむを得ないときには損害を賠償しなくても解除をすることができる。
 
〇委任の解除の効力(652条)
・その解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。
・委任契約は”継続的契約”といわれるもので、契約すると、ある一定期間受任者は委任者のために継続して委任事務を行う。一般的にこのような継続的契約の解除には、遡及効がない。継続して委任事務をしているので、すでに実行されてしまった行為は取り消すことができない。
→解除は将来に向かって効力を生じる。
→受任者が解除前に行った行為の効力は、有効のまま残る。
 
●委任の終了事由(653条)
〇委任者の終了事由
・死亡、破産手続き開始の決定
〇受任者の終了事由
・死亡、破産手続き開始の決定
・後見開始の審判を受けたこと。
※受任者が保佐開始の審判を受けたとしても終了しない。
 
〇委任の終了後の処分(654条)
・委任が終了した場合において、急迫の事情があるときは、受任者又はその相続人若しくは法定代理人は、委任者又はその相続人若しくは法定代理人が委任事務を処理することができるに至るまで、必要な処分をしなければならない。
 
〇委任の終了の対抗要件(655条)
・委任の終了事由は、これを相手方に通知したとき、又は相手方がこれを知っていたときでなければ、これをもってその相手方に対抗することができない。
寄託
1)寄託とは(657条)
 
・当事者の一方(受寄者)が、相手方(寄託者)のために特定物の保管を委託する契約。
 
〇契約の成立、諾成契約
・当事者の一方が目的物の保管を委託し、相手がこれを承諾することによって成立する(諾成契約)。
〇契約の解除
・原則として、受寄者が寄託物を受け取るまでは契約を解除することができる。
 
〇報酬
・委任契約と同様、特約がなければ、無報酬が原則。
・有償の場合、後払いが原則。
 
2)受託物の保管
 
●受寄者の注意義務(659条)
〇有償の場合
・善管注意義務あり。
〇無償の場合
・自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。
※”委任”の場合は、無償でも善管注意義務あり。
 
●寄託物の使用及び第三者による保管(658条)
・受寄者は、寄託者の承諾を得なければ、寄託物を使用することができない。
・受寄者は、寄託者の承諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときでなければ、寄託物を第三者に保管させることができない。
 
3)寄託物の返還
 
・受寄者は、寄託契約に基づき、寄託者に対して、寄託物を返還する義務を負う。
・第三者が寄託物について権利を主張する場合であっても、受寄者は、寄託者の指図がない限り、原則として、寄託者に対しその寄託物を返還しなければならない。
 
●寄託者による返還請求等(662条)
・当事者が寄託物の返還の時期を定めたときであっても、寄託者は、いつでもその返還を請求することができる。
・上記において、受寄者は、寄託者がその時期の前に返還を請求したことによって損害を受けたときは、寄託者に対し、その賠償を請求することができる。
 
●受寄者からの返還(663条)
・当事者が寄託物の返還の時期を定めなかったときは、受寄者は、いつでもその返還をすることができる。
・返還の時期の定めがあるときは、受寄者は、やむを得ない事由がなければ、その期限前に返還をすることができない。
 
●寄託物の返還の場所(664条)
・寄託物の返還は、その保管をすべき場所でしなければならない。
・ただし、受寄者が正当な事由によってその物を保管する場所を変更したときは、その現在の場所で返還をすることができる。

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