建築物の省エネ性能表示が強化、賃貸募集時に断熱・省エネ性能が重視される?

建築物省エネ法が改正され(R4年6月17日交付)、省エネ性能表示制度が強化されるようです。賃貸募集の広告時に省エネ性能が分かりやすく他の物件と比較可能な状態で表示されるようになると断熱・省エネ性能が賃貸物件においても入居者から評価されるようになり、家賃・空室期間にも影響が出るようになるかもしれません。
 
建築物の省エネ性能表示制度の強化内容、省エネ基準などについてまとめました。
 
 
※目次をクリックすると目次の下部にコンテンツが表示されます。
建築物の省エネ性能表示制度の強化
1)建築物省エネ法の改正
 
・2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減(2013年度比)の実現に向けて、2022年6月に建築物省エネ法が改正され、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能の表示について制度が強化。
 
2)改正法に基づく省エネ性能表示制度
 
・建築物の販売・賃貸時の表示事項及び表示方法等の遵守事項を国土交通大臣が告示で定める
・告示に従って表示していないと認める場合、国土交通大臣が販売・賃貸事業者に対し、告示に従って表示を行うよう勧告することができる。
 
●努力義務の対象
・「建築物」には、新築建築物・既存建築物いずれも含まれる。
・住宅であれば、新築の分譲住宅・マンション、中古の買取再販住宅、賃貸住宅等が対象。
・個人事業者は対象に含まれる(例: 継続・反復して販売・賃貸を行っている場合)。
 
●勧告等の措置について
・勧告は「告示に従って表示していない」と認める場合に行うことができることとされている。
・告示に従わない表示を行っている場合のほか、表示を全く行っていない場合も、法律上、勧告の対象となり得る。
省エネに対する入居者ニーズの変化
1)賃貸入居者の新居と実家の断熱・省エネ性に対する評価
 
・10代、20代:実家の方が良い
・40代以上:新居の方が良い
  ↓
1999年省エネ基準の改正、2000年に住宅性能表示がスタートし、持ち家物件を中心に性能向上し、今の20代は性能の良さを既体験
 
2)賃貸入居者の入居前と入居後の重視項目
 
●探すときの部屋の重視項目
①間取りが自分好み
②住宅設備がきれい、自分好み
③内装がきれい、自分好み
④耐震性が高い
⑤外装がきれい、自分好み
⑥遮音性が高い
⑦断熱・省エネ性が高い
 
●入居後の改善要望項目
①遮音性能
②断熱性能
③室内の安全性
④設備の最新化
⑤内装の更新・リフレッシュ
既存建築物の取り扱いの方向性
1)既存建築物の現状・課題
 
・既存建築物の中には、これまで建築物省エネ法の規制対象となっておらず、建築時に省エネ性能を評価せずに建築されたものが多数存在し、今回求められる省エネ性能にまで至らない住宅が大半。
・既存建築物についても、販売等しようとする建築物の省エネ性能を新築時と同様に評価・表示する取組が一部の事業者において行われている。(リノベーション工事を行う場合など)
・住宅については、既存ストックの省エネリフォームを政策的に推進してきたことにより、窓・ドアの断熱改修など、「パーツの断熱化」も進められている。
→「建物全体の省エネ性能は不明だが、窓の性能などを部分的に把握している」という場合がある。
 
2)既存建築物の取り扱いの方向性
 
●既存建築物における省エネ性能表示
・既存建築物を販売・賃貸しようとする場合にあっては、必ずしも告示に定める表示すべき事項の表示を行うことは求めないこととしている。
→仮に告示に定める表示すべき事項の表示を行わない場合も、勧告の対象とはしない。
・既存の図書等から省エネ性能の把握を行うことが困難な場合にも、既存建築物において実施された省エネ性能向上のための取組状況を表示することができるよう、告示に定める表示の代替となる措置について検討を行っている段階。
 
●代替措置の検討
・性能評価には一定のコスト・期間を要するため、全ての物件にこれを求めることは事業者への負担が多大と考えられることから、代替措置についても検討する必要があると考えられる。
・住宅については、省エネリフォームにより窓等の「パーツの断熱化」が進められていることも踏まえ、断熱や設備の部分的な仕様等に基づく簡易な評価・表示の仕組みを検討。
・当面の検討の方向性としては、関係省庁の支援措置等により、今後一層促進されると考えられる①高断熱窓②高効率給湯器への改修を行っている場合に、その旨が統一的な文言等により広告等において表示されるためのルールを定めることを想定しており、2023年度上半期を目処に表示ルールの検討を行う。
建築物の省エネ基準の変遷
●建築物の省エネ基準の変遷
省エネ基準性能表示制度の等級
1980年旧省エネ基準(昭和55年基準)等級2
1992年新省エネ基準(平成4年基準)
断熱性能(Q値・μ値)基準強化
等級3
1999年次世代省エネ基準(平成11年基準)
機密性能(C値)の適用
等級4
2013年平成25年基準
新指標(UA値・ηA値)導入
C値基準を削除
2015年建築物省エネ法制定
2016年平成28年基準
BEI導入
 
●省エネ基準と断熱材の厚さ(沖縄、岩手・秋田以北を除く地域))
・新省エネ基準(1992年~):30㎜
・次世代省エネ基準(1999年~):50㎜
・建築物省エネ基準(2016年~):50㎜

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