担保物権の概要

〇民法:295~302条、342~368条
〇過去問
 
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担保物件とは
・所有権のうち、主に処分権を制限する物権。
・担保物権とは、債権者が債務者に確実に債務を返済してもらうために、債務者側の”物”の担保価値を利用する権利のこと。
 
1)法定担保物権
 
・一定の債権について、法律上当然に成立する担保物権
 
〇留置権
〇先取特権
先取特権
 
2)約定担保物権
 
・当事者間の契約により成立
 
〇質権
〇抵当権
抵当権
担保物権の共通の性質
○付従性
・債権が消滅すれば担保物権も消滅する
 
○随伴性
・債権が移転すれば担保物権も移転する
 
○不可分性
・債権の全額の弁済を受けるまで、その担保となる物の全部のうえに担保権が存続する
 
○物上代位性
・担保物件者は、目的物の売却・賃貸・滅失等により債務者が受け取る金銭等に対しても、権利を行使することができる。
・他の債務者に先だって優先的に弁済を受けるには、債務者などに代金が払い渡される前に、差押えをすることが必要。
留置権
●留置権(295条~)
 
・他人の物の占有者が、その物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置(支配してとどめておくこと)して、債務者の弁済を間接的に促そうとする担保物件。
・留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。
・占有が不法行為によって始まった場合は、留置権を行使することはできない。
 
〇建物の賃貸借との関連
・賃借人が、必要費償還請求権、有益費償還請求権を有する場合、その償還があるまで留置することができる。
・賃貸借契約終了後、留置権に基づいて建物を留置している間に支出した必要費においても、留置権を行使できる。
・造作買取請求権、敷金返還請求権に基づいては留置できない。
質権
1)質権とは
 
・債権者が、債権の担保として、債務者又は第三者から受領した物を弁済を受けるまで留置して、弁済を(間接的に)促しつつ、弁済がないときは、その物を換価して優先弁済を受けることができる担保物件。
・動産質、不動産質、債権質がある。
※抵当権は目的物を留置せず、設定者に目的物の使用収益を委ねる点で異なる。
 
2)質権の成立
 
〇要物契約
・質権は、当事者の合意(質権設定契約)のほか、債務者に対する目的物の引渡しがあってはじめて効力が生じる。
 
〇契約による質物の処分(流質契約)の禁止(349条)
・質権設定者は、設定行為又は債務の弁済期前の契約において、質権者に弁済として質物の所有権を取得させ、その他法律に定める方法によらないで質物を処分させることを約することができない。
 
3)不動産質
 
・不動産質では、目的物である不動産を、その用法に従い使用・収益することができる。
・目的物の管理費用を負担する必要があり、原則として、債権の利息を請求できない。
※動産質の場合は、目的物を留置するのみで使用収益することはできない。
・不動産質の存続期間は最長10年。
・不動産質は登記できる。権利を第三者に対抗するには登記が必要。
 
4)債権質
 
・譲渡するために債権証書の交付を必要とする債権を、質権の目的とするは、その証書の交付によって、債権質は成立する。
・債権質権者が、第三債務者(質権の目的となっている債権の債務者)に質権を主張するには、”質権設定者から第三債務者への質権設定の通知”、または”第三債務者による承諾”が必要。
・質権者は、質権の目的である債権を、直接取り立てることができる。
・質権者の債権の弁済期前に、目的債権の弁済期が到来する場合は、質権者は、目的債権の債務者に対し、その弁済をすべき金額を供託するよう、請求することが出来る。

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